はじめての相続、これだけは知っておきたい

身近な方が亡くなった後は、悲しむ暇もないほど様々な手続きに追われることになります。
しかし死亡後の手続きや相続について熟知されている方は少ないと思います。

そこでここでは、身近な方が亡くなった後に必要な手続きの大まかな流れや、相続についての最低限知っておきたい知識をまとめました。ご参考になれば幸いです。

いざという時にあわてないように、最低限のことは知っておきましょう

目次

身近な人の死亡後に必要な手続きの流れ

まずは死亡後の手続きの全体像を把握しておきましょう。
一般的に必要になる手続き・届け出とそのタイムスケジュールは以下の図の通りです。

死亡後の手続きの流れ

死亡後の手続きの流れ(クリックで画像が拡大します)

このうち

  • 健康保険の資格喪失届(会社員等の健康保険は亡くなってから5日以内、国民健康保険は14日以内)
  • 世帯主変更届(亡くなってから14日以内)
  • 相続放棄(亡くなってから3か月以内)
  • 亡くなった方の所得税の準確定申告(亡くなってから4か月以内)
  • 相続税の申告(亡くなってから10か月以内)

については手続きの期限が定められているので、期限内に終了するようにスケジュールを組んでいきましょう。

その他の手続きについては特に期限の定めのないものや、期限に余裕のあるものが多いですが、長い間手続きをしないことで不利益を被る可能性もあるので、できるだけすみやかに終わらせるようにしましょう。

目安としては、

  • 初七日が終わって少し落ち着いてから、公共料金などの各種変更・解約手続きおよび年金・生命保険関係の手続きを行う。
  • 亡くなってから2か月後ぐらいまでには、遺産を引き継ぐ手続きの前提となる相続人及び相続財産の調査を終了させる。
  • 亡くなってから半年~8か月後ぐらいまでに遺産分割協議を終了させる。
  • その後、遺産分割協議(または遺言)に従って、不動産の名義変更や預貯金の解約払い戻しなどの遺産相続手続き、必要に応じて相続税の申告手続きを行う。

と言ったところです。

もちろんあくまで目安なので、個々の事情によって優先させるべき手続きは異なる場合もあります。手続きの進め方について不安な方や、お急ぎの方は専門家へのご相談をおすすめします。

死亡後に必要な手続きについて詳しくはこちらの記事もご参照ください。


遺産相続手続きの流れ

次に、死亡後に必要な手続きの中でも、一般の方にとってもっともわかりにくいと思われる遺産相続手続きについてもう少し詳しくまとめました。

遺産相続手続きの流れは以下の図の通りです。

相続手続きの流れ(クリックで画像が拡大します)

それぞれの手続きについて詳しく知りたい方は、以下のページをご参照ください。

●相続の開始(被相続人の死亡)
※被相続人・・・財産をのこして亡くなった方。財産を受け継ぐ側は相続人

●遺言書の調査・探索、相続人の調査、相続財産の調査

調査の結果、マイナスの財産の方が大きい場合は・・・

●相続放棄(3か月以内)

●遺言書の有無によって手続きが異なる

遺言書がある場合は・・・
●遺言書の検認(家庭裁判所での手続きが必要)

遺言書がない場合は・・・
●遺産分割協議(相続人全員での協議が必要)

遺言書や遺産分割協議に従って・・・
●不動産の名義変更(相続登記)

●預貯金や証券の解約・名義変更

相続財産が一定額を超える場合は・・・
●相続税の申告、納付(必要な場合は10カ月以内)

法定相続人や法定相続分とは

遺産相続手続きを進めていくにあたっては、一体誰がどのくらいの割合で遺産についての権利を持っているかを知っておく必要があります。

法律で定められた相続人(遺産を引き継ぐ権利のある人)を法定相続人、相続人それぞれの法律で定められた取り分を法定相続分と言います。

ここでは一般的なケースにおける法定相続人と法定相続分について解説します。

ケース1 亡くなった方に配偶者(妻または夫)および子供がいる場合

配偶者および子が法定相続人となるケース

◎法定相続人:配偶者、子供
◎法定相続分

  • 配偶者:2分の1
  • 子供 :2分の1を人数で均等割り(上のケースではそれぞれ4分の1ずつ)

ケース2 亡くなった方に子供がいるが、配偶者はいない場合

子のみが法定相続人となるケース

◎法定相続人:子供
◎法定相続分:人数で均等割り(上のケースではそれぞれ2分の1ずつ)
※子供がいなくても(すでに亡くなっていても)、その子供(亡くなった方から見て孫)がいれば、亡くなった子供の分は孫が引き継ぎます。

ケース3 亡くなった方に子供や孫がおらず、配偶者および親がいる場合

配偶者および直系尊属が法定相続人となるケース

◎法定相続人:配偶者、親(直系尊属)
◎法定相続分

  • 配偶者:3分の2
  • 親  :3分の1を人数で均等割り(上のケースではそれぞれ6分の1ずつ)

※両親ともにすでに亡くなっていても祖父母が存命であれば、親の代わりに祖父母が相続人となります。

ケース4 亡くなった方に子供も孫も親もおらず、配偶者および兄弟姉妹がいる場合

配偶者および兄弟姉妹が法定相続人となるケース

◎法定相続人:配偶者、兄弟姉妹
◎法定相続分

  • 配偶者 :4分の3
  • 兄弟姉妹:4分の1を人数で均等割り(上のケースではそれぞれ8分の1ずつ)

この他の相続関係についてや、法定相続人・法定相続分についてもっと詳しく知りたいという方はこちらの記事をご参照ください。


相続税は全員が納税しなくてはいけない?

相続税には各種の控除や特例が使えるため、実際に納税する必要のある方は全体の6%程度と言われています。

各種の控除の中でも特に多くの人に関係があり、控除額が大きいものが基礎控除と配偶者控除です。基礎控除とは遺産総額のうちこの額までは課税しませんよ、という上限額のことです。

その額は
3000万円+(600万円×法定相続人の数)
となっています。

ほとんどの方は 基礎控除額≧遺産総額 となるため納税はもちろん申告の必要もないでしょう(特例等による評価額軽減の結果、基礎控除額を下回る場合は申告の必要があります)。

また、配偶者控除とはその名の通り相続人のうち配偶者(妻、夫)のみに認められる控除のことです。配偶者が実際に相続する遺産の額のうち、以下のいずれかの額までは相続税はかかりません。

(1)1億6000万円
(2)配偶者の法定相続分(相続人が妻と子供なら2分の1)

遺産総額が基礎控除額が上回る場合でも、配偶者についてはこの控除が使えるため、実際に課税される方はかなり少ないものと思われます(配偶者控除の適用を受けるためには相続開始から10か月以内に税務署に申告する必要があります)。

この2つの控除があるため、実際に納税の必要がある方の割合はかなり低くなります。しかし遺産総額が大きければ当然申告や納税の必要がでてきます。相続税は申告の仕方により納税額が数百万円単位で変わることもめずらしくないため、遺産の額や内容によっては税理士などへ相談した方がいいでしょう。

以下に相続税の申告・納税について専門家への相談の必要性が高いかどうかをかんたんに診断できるチャートをご用意しましたので目安になさってください。

※あくまで簡易的なものです。個々の事情によって申告の必要があるかどうかは異なりますので、詳しくは税理士などの専門家にご相談ください。

相続税申告・納税相談必要度診断チャート

※下図の遺産総額とは、特例等の適用前の評価額を単純に合算したものを指します。

相続税相談必要度診断チャート(クリックで画像が拡大します)

診断結果についての詳細はこちらをご覧ください。

相続税の計算方法など相続税についてもっと詳しく知りたいという方はこちらをご覧ください。


自分で相続手続きをするのは大変?

相続手続きはもちろんすべて自分で行うこともできます。今このページをご覧の方もご自身で手続きをされている・しようとしているかもしれません。確かに今はインターネットや書籍などで相続についての情報はたくさん収集できるので、初めての方でも手際よく進めることは不可能ではないでしょう。しかしいざ自分で手続きを始めてみるとネットや書籍の知識だけでは上手くいかないことも多いものです。

以下、お客様が実際に遭遇した困った事例を少し挙げます。

  • 自分で戸籍を集め始めたものの、故人の分だけで10通以上になり、とても相続人全員の分は集めきれないと思った。
  • 取り寄せた古い戸籍が手書きで、読めなかった。
  • わざわざ平日昼間に仕事を休んで法務局に行ったのに、専門用語で説明されて理解できず、結局司法書士への相談を勧められた。
  • 遺言書があったので、それで手続きを進めようとしたら銀行でも法務局でもできないと言われた。
  • 他の相続人は遠方にいてほとんど面識がないため、遺産分割について話し合いを進めるのが難しい。
  • 銀行に故人の預金についての手続きを問い合わせたら、いきなり口座を凍結されて生活費が引き出せず困った。

このような事は決して珍しいケースではありません。戸籍の収集や解読は慣れていないととても時間がかかります。法務局や銀行は平日の昼間に行く必要がありますし、場合によってはかなり待たされることもあります。せっかく集めた書類に不備があればまた煩雑なやり取りをしなくてはいけません。自分で全ての手続を行おうとするとかなりの時間と労力を費やす覚悟は必要でしょう。

こちらは相続登記についての記事ですが、自分で相続手続きをやった場合に大変な点と共通する部分も多いので参考にしてください。


では相続についての相談は誰にすればいいの?

自分一人で手続するのは難しそうなので専門家に相談したい、でも専門家と言っても弁護士、税理士、司法書士、行政書士と色々いて誰に相談したらいいかわからない・・・せっかく相談しようとしても今度はこのような悩みが出てくるかもしれません。

もちろん相続税のことは税理士に、争いごとは弁護士にというのは皆さんご存知かもしれませんが、多くの方は相続税も争いごとも関係ありません。でもよくわからなくて不安だから色々な手続きのことについて聞きたい。それぞれ別々に探すのは面倒くさいし、まとめて聞けたらいいのに・・・実際のところ、このようにお考えの方も多いのではないでしょうか。

そこで私が最初の相談先としてお勧めするのは『司法書士』です。もちろん当事務所が司法書士事務所であるという理由だけではありません。

私がおすすめする理由は次の通りです。

  • 専門家に相続手続きを依頼する方の大半は不動産についての手続きが必要であるが、司法書士は不動産手続きの専門家である。
  • 家庭裁判所での手続きが必要な場合も書類提出の代行が可能なため、相続手続き全般についてアドバイスが可能である。
  • 相続を主要業務とする事務所であれば、業務の性質上、税理士や弁護士などの他士業とのつながりが強い。
  • 費用が高くなり過ぎない。

『相続税の申告をお願いしたい』『遺産分割について揉めていて収拾がつかない』というようにはじめから依頼したいことが明確な場合を除いて、まずは司法書士に相談してみてはいかがでしょうか。

ただし司法書士事務所の中には、相続については『相続登記』しか扱っていないという事務所もありますので、相続手続きについて総合的にサポートしてほしい方は相続に特化した事務所を選ぶようにしましょう。

当事務所は個人のお客様を中心とした、相続全般を専門とする事務所です。面倒な相続手続きを『まるごとおまかせ』できるプランなどのご用意もございますのでお気軽にお問い合わせください。ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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