遺言書の調査・探索方法【遺言書保管制度対応】

遺言書はどうやって探せばいい?

遺言書は、亡くなった方が財産分与についての自分の思いを託したものです。

遺言書があれば原則として遺言に従って遺産相続手続きを進めることになります。

遺言書の捜索は遺産相続手続きの第一歩です

そのため、亡くなった方が生前に遺言書について話をされていたときは、遺産分割を行う前にまずは遺言書の有無を調査する必要があります。

遺言書についての話がなくても、遺産の額が大きい場合や相続関係が複雑な場合などは、後になって遺言書が発見されて揉めることのないように事前に調査しておいた方がいいでしょう。

ここでは遺言書の調査・探索方法について解説します。

遺言書の調査・探索等の相続手続き・生前対策に関する無料相談実施中!

遺言書の調査・探索をはじめとして、お客様にどのような手続きが必要なのかをご案内させていただくため、当事務所では無料相談を行っています。

当事務所では、身近な人が亡くなった後に必要な死後手続き・相続手続きに関して、数多くのご相談とご依頼を受けています。

このような豊富な相談経験を活かし、お客様に必要な手続きと最適なサポートを提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

目次

遺言書の種類

通常時の遺言には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言という3つの形式があります。

このうち、公正証書遺言・秘密証書遺言については、作成の段階で必ず公証役場が関与しているため、平成元年以降に作成されたものであれば、公証役場で調査を行えば、故人が生前に作成したという記録が残っています。

一方、自筆証書遺言は自分で作成して自分で保管するため、基本的には自宅等を根気よく探すしかありませんでした。

しかし2020年7月から法務局での遺言書預りサービス(自筆証書遺言の保管制度)が始まったため、故人がこの制度を利用していた場合は、法務局で調査を行えば遺言書の存在や内容を確認することが可能になりました。

以下、遺言書の種類別に調査・探索方法を解説します。

公正証書遺言の探し方

3種類の遺言の中でも、公正証書遺言(遺言公正証書とも言います)は、証人2名の立会いのもと、公証人によって作成されるため、相続トラブル防止の観点から多く利用されています。亡くなった方が残したのが公正証書遺言であれば比較的簡単に探すことができます。

公正証書遺言は公証人の関与のもと作成され、原本が公証役場に保存されます。そして平成元年(昭和64年1月1日)以降に作成された公正証書遺言については日本公証人連合会の遺言書検索システムに登録されているため、遺言書を残したかどうかは全国どこの公証役場からでも検索が可能です(本人以外が検索できるのは遺言者が亡くなった後です)。

遺言書の内容については、実際に作成した公証役場で謄本を請求して確認する必要がありますが、遺言書検索システムではどこの公証役場で作成したかもわかるため、あとは必要な書類を持参して作成した公証役場に行くだけです。

また、従来は遺言書謄本の交付請求は、実際に遺言書を作成した役場まで行く必要がありましたが、2019年4月からは、郵送での謄本請求も可能になりました。(ただし、最寄りの公証役場に一度は行く必要があります。)

公正証書遺言検索システムを利用して、遺言書の有無を確認したり、その後謄本を請求するためには請求者が相続人であることがわかる戸籍謄本等が必要になります。

具体的には下記の書類です。

【公正証書遺言の検索や謄本請求に必要な書類】

・遺言者の死亡の事実を証明する書類

(遺言者の死亡の記載がある戸籍(除籍)謄本または死亡診断書のコピーなど)

・請求者が利害関係人であることを証明する書類

(亡くなった方の相続人であることが確認できる戸籍謄本等)

・請求者の身分を証明する書類

(免許証などの写真付き本人確認書類、印鑑証明書+実印当)

公正証書遺言検索システムの利用方法や謄本の請求方法についてはくわしくはこちらをご参照ください。

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自筆証書遺言の探し方

自筆証書遺言の場合は公正証書遺言と違い、原本が公証役場で保管されることはありません。また、2020年に法務局での自筆証書遺言の保管制度が開始されましたが、制度の利用は任意のため、まだまだ利用されていない方が多いと思います。

亡くなった方が公証役場で遺言を作成しておらず、法務局の保管制度も利用していない場合は、自力で探すほかありません。まずは自宅の金庫、引き出しやタンスの中、書棚、仏壇などを根気よく探しましょう。

遺言書について話していたにもかかわらず、遺言書検索システムや法務局の調査で該当がなく、自宅からも見つからない場合は、どこか他の所に預けてあるかもしれません。

可能性としては以下のような所が考えられます。

●貸金庫

取引先の金融機関に尋ねてみましょう。ただし金庫を開けてもらうためには相続人全員の同意が必要になります。

●弁護士、司法書士、税理士、行政書士などの各専門家、信託銀行などの金融機関

遺言書の作成依頼をするとともに保管を依頼していることがあります。これら士業や金融機関の名前が入った郵便物などがあれば問い合わせてみましょう。

●親しい知人、友人、会社関係者

亡くなったことを知ればおそらく向こうから言ってくるとは思いますが、忘れているかもしれないので、ご挨拶とともにご存じないか聞いてみましょう。

上記に心当たりがあればあたってみましょう。

自筆証書遺言は検認手続きが必要

無事遺言書が見つかっても、それが自筆証書遺言であれば、家庭裁判所での遺言書の検認という手続きを経る必要があります。

検認は遺言書の存在と現状を確認するための手続きであり、遺言書の有効・無効を判断する手続きではありませんが、検認手続きを経なければ、その後の相続手続きを進めることはできません。後々相続人間で揉めないためにも必ず検認は済ませましょう。

また、遺言書が封印してある状態で見つかった場合は、検認前に開封してしまうと5万円以下の過料(罰金)に処される可能性があるのでご注意ください。

検認は被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てします。申立ての際には被相続人の相続関係を証明するすべての戸籍謄本等が必要になります。

具体的には下記の書類です。

【遺言書の検認申立てに必要な書類】

・遺言者の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等

 ※相続関係によってはこのほかにも戸籍が必要なケースがあります。

・相続人全員の戸籍謄本

・申立書

なお公正証書遺言は公証役場に原本が保管され、改ざんの恐れがないため検認手続きは不要です。

また、2020年に開始された遺言保管制度を利用して法務局に預けた自筆証書遺言についても、原本が法務局に保管され、改ざんの恐れがないため検認手続きは不要です。

検認手続きについてくわしくはこちらをご参照下さい。

遺言書の検認についてはこちら

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自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合の調査方法

2020年7月10日から始まった法務局での自筆証書遺言書保管制度は、生前に自分で書いた遺言を法務局に預けておけば、遺言者の死亡後に法務局より相続人等の代表者に通知がされ、相続人等が請求をすれば、遺言書の有無や内容の確認ができるという制度です。

保管制度を利用していた場合、遺言者の死亡を法務局が把握したときは、あらかじめ遺言者が指定した相続人等の代表者1名に対して、法務局より「遺言書の保管に関する通知」が送られます。また、相続人等の一人に対して遺言書の内容が開示された場合にも、他の相続人に対して同様の通知が送られます。

この通知には遺言書の内容は記載されていないので、法務局に対して証明書の交付請求を行って内容を確認する必要があります。

法務局に対して相続人等が請求できる証明書には下記の2種類があります。

1.遺言書情報証明書

2.遺言書保管事実証明書

両者の違いは下表のとおりですが、大きな違いは、「遺言書の内容の記載の有無」「請求に必要な戸籍謄本等の範囲」です。

●遺言書保管制度に関する証明書の比較

スクロールできます
 遺言書情報証明書遺言書保管事実証明書
請求できる方相続人、受遺者、遺言執行者等の相続関係者並びに法定代理人誰でも可
請求方法郵送又は窓口で請求郵送又は窓口で請求
窓口請求の際の予約必要必要
請求に必要な戸籍等被相続人の相続関係を証明するすべての戸籍被相続人の死亡の事実と請求者が相続人であることがわかる戸籍
請求に必要な住民票等相続人全員の住所がわかる住民票等請求者の住民票
手数料証明書1通につき1,400円証明書1通につき800円
証明書に記載される内容遺言書保管申請に関する情報及び遺言書の内容被相続人及び請求者に関係のある遺言書保管の有無
証明書による相続手続きできる(検認も不要)できない
請求者以外の相続人への通知通知される(証明書の交付がされた場合のみ)通知されない(保管の有無に関わらず)

どちらの証明書を請求するべきかですが、「遺言書保管事実証明書」には、保管の有無が記載されているのみで、遺言書の内容まではわかりません。内容を確認するためには別途「遺言書情報証明書」の請求を行うという手間がかかります。

二度手間を避けるためにも、法務局からの通知が届いた場合や、生前に故人が法務局に遺言書を預けたことがわかる書類(申請時の保管証など)が見つかった場合など、遺言書保管制度を利用していたことが確実と思われる場合は、はじめから「遺言書情報証明書」の請求を行うべきです。

一方、「遺言書情報証明書」を請求する場合、被相続人の相続関係のすべてを証明する戸籍と相続人全員の住民票を収集しなくてはなりませんが、相続人が多い場合等にこれらの戸籍を集めるのはとても大変です。

遺言書があるかどうかわからないが、とりあえず調査したいという場合は、戸籍収集等の負担の少ない「遺言書保管事実証明書」の請求を行う方がいいでしょう。

「遺言書保管事実証明書」は、金融機関の相続手続きや不動産登記申請の際に必要になります。何通でも取得できるので、手続きの数が多い場合は多めに請求しておきましょう。

なお、遺言書保管制度を利用して預けた遺言書については、家庭裁判所での検認は不要です。

証明書の請求方法等についてくわしくはこちらの記事をご参照下さい。

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秘密証書遺言の探し方

秘密証書遺言はあまり使われることのない遺言形式です。

その名の通り遺言の内容については秘密なのですが、遺言書をのこした事実を公証人に認証してもらうため、上述した遺言書検索システムで照会すれば作成の有無についてはわかります。

ただし遺言書自体は公証役場で保管されず、自身での保管となるため、結局自筆証書遺言と同じ方法で探さなくてはなりません。また改ざんの恐れがあることは自筆証書遺言と同様のため、検認手続きが必要になります。

作成時に手間がかかるうえに、亡くなった後にも手間のかかる秘密証書遺言ですが、遺言書が存在する(した)事実がわかるだけでもましでしょうか。

遺言書の調査・探索その他の死後手続き・相続手続きのつまずきポイント

ほとんどの人にとって死後手続き・相続手続きを行うのは初めての経験でしょうから、思わぬところでつまづいてしまうことがあります。そこでここでは、遺言書の調査・探索をはじめとする死後手続き・相続手続きを自分で行う場合につまずきやすいポイントについて解説します。ご自身で手続きを行うか悩まれている方は参考にされてください。

また、これを読んで自分には難しそうだな・・・と感じられた方はお早めに専門家に相談することをおすすめします。

死後手続き・相続手続きのつまずきポイントについて

遺言書の調査・探索その他の死後手続き・相続手続きを、ご自身で行う場合多くの方がつまずくポイントとしては、主に以下の3つが挙げられます。

1

平日に役所や金融機関に行く時間が取れない。

死後手続き・相続手続きを自分で行う場合、戸籍等の請求や手続きに必要な書類の提出のために役所や金融機関、法務局などに足を運ぶ必要があります。

役所や法務局の窓口は17時過ぎには閉まってしまいますし、金融機関の窓口は、ほとんどの場合15時で閉まってしまいます。金融機関の中には14時までに受付をしないと駄目、というところもあります。

仕事や家事育児などで忙しい中、わざわざ時間を作って出向くのは厳しい…という方も多いのではないでしょうか。

2

相続関係が複雑、相続人の人数が多い等の事情があり、戸籍謄本を集めるのに手間がかかる。

兄弟姉妹が相続人になるケースなどでは、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍等に加え、両親の出生から死亡までの戸籍などが必要になります。相続関係が複雑になればなるほど、また、相続人の人数が多いほど、手続きに必要な戸籍の数は増え、集めるのに手間と時間がかかります。

古い戸籍は手書きのため解読が難しく、ただでさえ収集に手間がかかるのに、集めるべき戸籍が多すぎて、どこまで集めればいいかわからなくなってしまい、途中で断念したという方も珍しくありません。

戸籍収集は死後手続き・相続手続きの中でもつまずきやすいポイントの一つです。

3

相続人間での書類のやり取りや、手続きの説明に手間がかかる。

財産の分け方については争いが無い場合でも、手続きに必要な書類の手配や他の相続人への説明がネックになる場合もあります。

特に相続人が離れて暮らしている場合は、手続きのために郵送等で必要書類のやり取りを行わなければならず、書類の書き方や郵送方法等の説明、さらには不備があった場合の訂正など、思った以上に手間がかかり、負担になることも多いです。

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死後手続き・相続手続きの代行を当事務所に依頼した場合

遺言書の調査・探索をはじめとする死後手続き・相続手続きについては、上記のようなつまずきポイントがあるため、ご自身で行おうとしたものの、やっぱり専門家に依頼することにした、という方も多いです。

当事務所では、面倒な相続手続きをまるごとおまかせできる「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとした相続代行サービスを提供しているので、遺言書の調査・探索を含む死後手続き・相続手続き全般について代行・サポートが可能です。

遺言書の調査・探索を含む死後手続き・相続手続きを、当事務所にご依頼いただいた場合の主なメリットは以下のとおりです。

メリット1

死後に必要な100種類以上の手続きについて正確に把握しているため、お客様にどの手続きが必要かをご案内することが可能です。お客様の方でどのような手続きが必要かを一つずつ確認する必要はありません。

メリット2

役所や金融機関、法務局とのやり取りは基本的に当事務所が行うため、お客様が連絡をしたり、窓口に行ったりする必要はありません。

メリット3

相続を専門とする事務所のため、戸籍の収集作業に長けており、相続関係が複雑でも、迅速に戸籍収集を完了させることが可能です。

メリット4

公平な立場から、適切な遺産分割についてのアドバイス・サポートを行うので、わだかまりを残すことなく、円満な相続が実現できます。

メリット5

各相続人への連絡・説明や、必要書類の郵送手配なども当事務所が代行するため特定の方に負担が偏ることはありません。

メリット6

手続きの進捗については、定期的に報告させていただきますので、安心してお仕事や家事育児等に専念できます。

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遺言書の調査・探索でお悩みの方は専門家へ相談を!

遺言書は故人の想いを記した大切な記録であり、各種の手続きの際にも必要なため、相続が発生した際は最優先で存在や内容を確認すべきです。

本記事や参考記事をお読みいただき、速やかに遺言書の調査を行いましょう。

また、公正証書遺言及び保管制度を利用した自筆証書遺言以外は、亡くなった後の調査・探索に非常に手間がかかるうえ、検認手続きを経る必要があります。

また、遺言書を紛失してしまう恐れや、改ざんされてしまう危険もあります。さらには遺言の形式や内容に不備があれば、せっかく書いた遺言そのものが無効となってしまうことさえありえます。

保管制度を利用した場合でも、内容不備によるトラブルのリスクは排除できません。

このようなリスクを排除し、亡くなった後の相続人の負担を減らすためにも、相続の専門家に相談の上、公正証書によって遺言しておくことをおすすめします。

遺言書の調査・探索や検認手続き、遺言書作成についてのご相談は当事務所で承ります。ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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