遺言についてぜひ知っておいて欲しいこと

遺言とは

遺言(ゆいごん、いごん)とは、のこされた遺族が遺産をめぐって争うことのないように遺産の分配を定めるとともに、故人の最後の想いを伝えるものです。

それぞれの相続人には法律で決められた取り分(法定相続分)があります。しかし遺言をのこしておけば、法定相続分とは異なる割合で遺産を相続させることができます。たとえば親孝行の長男に全財産を相続させて、次男には一切遺産を与えないとすることも可能です(ただし、一定の相続人には遺留分という法律で決められた最低限の取り分があるので、遺言作成の際はこれに留意する必要があります)。

遺言は故人の最後のメッセージとなる大切なものです

また、相続人ではない人に遺産をのこすには、原則として遺言によるしかありません。

このように遺言には遺産の分配についての非常に大きな役割があります。

それでは、財産があまりない人は遺言をのこす意味がないかというと、そんなことはありません。遺言書には、財産承継事項以外についても自由に記載することができます。そしてこの記載に、のこされた家族への想いを込めることがとても大切だと私は考えます。

遺言はあなたがこの世にのこした最後のメッセージとなるものです。少し照れくさいかもしれませんが、ぜひ大切な方のために、面と向かってはなかなか伝えられない想いを、メッセージカードやラブレターを書くつもりで書いてみてください。

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目次

遺言書に書くべきこと

遺言書には大きく分けて2つの書くべきことがあります。

  • 法定遺言事項(遺言書に記載することで法的効力を有する事項)
  • 付言事項(法定遺言事項以外の事項、法的効力はない)

法定遺言事項とは遺産分割の指定などの法律で定められた記載事項です。遺言書をのこす方でこれを書かない方はほとんどいないと思います。

付言事項とは、遺言書を書いた理由、どんな想いでこのような財産分配にしたか、家族への感謝、子供たちの将来についての希望やアドバイスなど法定遺言事項以外の記載のことです。

これらは遺言に記載しても法的効力・拘束力はありませんが、のこされた方々からすると、より故人の人となりや想いが感じられることでしょう。たとえ遺産の配分に納得がいかなくても、遺言書を書いた理由や故人の想いを知れば揉めることも少なくなります。これから遺言をのこされる方はぜひ付言事項についても記載してみてください。

遺言の形式

通常時の遺言には法律で定められた3つの形式があります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

このうち秘密証書遺言は少々特殊な形式であり、ほとんど利用されていません。

自筆証書遺言は文字通り自筆による遺言の形式であり、自分一人で作成できるため、最も手軽な遺言形式です。

公正証書遺言は遺言者が公証人に遺言内容を伝えて、それをもとに公証人が作成する遺言形式です。作成費用はかかりますが、公証人が関与するため内容的に間違いのない遺言が作成できるうえに、公証役場に原本が保存されるため改ざんや紛失の恐れがなく、安心です。

遺言書の3つの形式についてくわしくはこちら

自筆証書遺言の書き方

自筆証書遺言は法律で定められた要件を満たさないと無効となってしまいます。

その要件は以下の通りです。

  • 遺言書を書いた日付の記載
  • 遺言者の署名
  • 遺言者の押印
  • 以上3つおよび遺言本文がすべて遺言者自らの手で書かれ、押印されていること

遺言の一部でも自筆でなければ遺言は全体として無効となってしまうので注意してください。自筆なのでワープロやパソコンを使用して書いたものも無効です。

これ以外の要件はないので、自由に記載してかまいません。用紙や筆記用具も決まりはありません(読めなくては意味がないので経年劣化の少ないものを用いるようにしましょう)。

ただ、自筆証書遺言は確かに紙とペンさえあればできる手軽な方法ではあるのですが、いざ遺言の通りに財産を分けようとした段階で家庭裁判所による『検認』という手続きが必要になります。この点では遺族の方に少し負担があるかもしれません。また、自分一人で書くために遺言としての形式や内容に不備があった場合、思った通りの遺言内容が実現されない可能性があります。これはたとえ検認を経た遺言書であっても同じです(検認はあくまで遺言の存在を確認し、保全するための手続きです)。

とは言え、何ものこさないよりは、遺族が揉める可能性ははるかに減ると思いますので、まずは手軽な自筆証書遺言から始めてみるのもいいかもしれません。

自筆証書遺言についてくわしくはこちら

遺言書の書き方の見本・サンプルはこちら

公正証書遺言の作成方法

公正証書遺言は公証人の関与のもと作成するので、遺言としての形式や内容の不備について気にする必要はありません。不備のないように公証人が作成してくれます。

公正証書遺言を作成するには公証役場に連絡して作成依頼をすればいいのですが、依頼をしたその日にすぐ作成してくれるというものではありません。通常は事前に遺言内容についてやり取りをして、必要な書類をそろえたうえで、実際に作成する日を決めて公証役場に出向いて作成するということになります。作成する際には推定相続人などの相続関係者ではない証人を2名用意する必要があります。

作成された遺言の原本は公証役場に保存され、遺言を作成したかどうかは全国の公証役場で検索できます。

公正証書遺言の作成は専門家への依頼がおすすめ

公証人とのやり取り、書類収集が面倒だと感じる方や証人の手配が難しい方は、司法書士などの専門家に依頼すればやり取りや書類収集はすべて任せられます。証人も必要であれば手配してくれるところがほとんどです。

また、公証人は遺言内容が法的に有効かどうかについてはきちんと判断してくれるものの、税制面も含めた財産配分についてのアドバイスや付言事項についての配慮はしてくれないため、費用はかかってもそういった配慮をしてくれる専門家に依頼するメリットはあると言えます。

公正証書遺言の作成についてくわしくはこちら

まずは一人で自筆証書遺言を書いてみては

とは言っても、自分にはそれほど多くの財産はないし、あらたまって遺言を作成するのはなんとなくハードルが高い、と思われる方もいるでしょう。そういう方はまずは下書きのつもりでご自身で自筆証書遺言を書かれてみてはいかがでしょう。

インターネットで遺言について調べるとこれは有効、あれは無効と書かれていて何かめんどくさそうと思われるかもしれませんが、上で書いたように自筆証書遺言は日付と名前と押印を忘れずに、すべてを自筆で書けばあとは自由に書いてもいいのです。

最初から完璧な遺言を書こうと思えば気が重くなるかもしれませんが、練習、下書きのつもりで書けばそんなこともないでしょう。

まずは遺言内容が法的に有効かなど気にせずに、家族に向かって感謝の手紙を書くような気持ちで書いてみましょう。そして遺言について専門家の意見を聞きたくなったり、もっときちんとした形で遺言をのこしたいと思われたら専門家や公証人に依頼すればいいのです。

自分は健康だからまだ遺言なんて必要ないと思っていらっしゃる方でも、人生は何が起きるかわからないものです。何ものこさず亡くなってしまう、というのはやはりどこか寂しいものだと思います。

遺言書のハードルが高ければエンディングノートを

遺言書を書いた方がいいことはわかったけれど、家族に手紙なんて書いたことないし、やっぱりちょっと腰が重い・・・

そんな方はエンディングノートを書いてみることをおすすめします。

エンディングノートとは自らの人生の最期(エンディング)に向き合い準備するためのツールです。数年前から書店などにエンディングノートや終活ノートという名前の書籍、文具が並び始め、メディアなどで取り上げられる機会も増えてきておりご存知の方も多いかもしれません。

現在では、書店に並ぶ有料のものからネットでダウンロードできる無料のものまで数多くの種類があり、その内容も様々です。エンディングノートは法的効力を持つものではないので、何を書くのも本当に自由ですが、一般的には自分史、資産一覧、介護や医療についての考え・希望、葬儀や墓についての希望、遺産相続についての希望、遺言書の有無、家族へのメッセージといった項目が用意されているものが多いようです。

誰かに見せるためではなく、自分のこれまでの人生を振り返るつもりで書くことができるため、日記の延長のようなものと思えば気負わずに始めることができると思います。そして自分について書いているうちに、きっと大切な人への想いも書きたくなるはずです。

夫婦相互遺言のすすめ

遺言書やエンディングノートを書いているうちに、大切な人への想いがあふれてきた方は、思い切って生前に伝えてみてはいかがでしょう。そのためには夫婦相互遺言がおすすめです。

夫婦相互遺言とは、夫婦がそれぞれお互いに遺産を相続させるという遺言をのこすことです。夫は妻に、妻は夫に『自分(遺言者)が死んだら、財産の全てを妻(夫)に相続させる』という遺言をのこします。配偶者に財産をのこし、お互いの死後の生活を支えることがその目的ですが、遺言をのこす過程で相手の自分への気持ちを知ることができ、夫婦の絆はより深まります。

また、配偶者の死後に自分名義の財産になったとして、そのころには自身も高齢のため遺言をのこす気力や能力がないということもありえます。しかし予備的遺言として配偶者及び自分の死後の財産の行方についても盛り込んでおけば、配偶者の死後に改めて遺言を作成する必要もない、というメリットもあります。

ただしいくら仲の良い夫婦でも一つの遺言書に二人分の遺言を記載してはいけません。共同遺言は遺言自体が無効となってしまいます。それぞれが別の紙に書きましょう。

夫婦の場合、配偶者名義の財産があっても、自分名義ではないので今は遺言は関係ないと思っている方が多いので、いきなり遺言を書こうと言われるとびっくりするかもしれません。

しかし夫婦がお互いに遺言しあうことは、長年支えあってきた二人のこれまでと今後を考える大切な機会になりえます。また自分一人ではなかなか遺言書を書く気になれない方には一歩踏み出す良いきっかけにもなります。ぜひ検討してみてください。

遺言書は最後のラブレター

遺言書は故人の最後の想いを伝える大切なツールです。

当事務所では、私どもがお手伝いするかどうかを問わず、願わくはすべての方に遺言をのこしていただきたいと考えています。

ぜひ大切な人への最後のラブレターとして、あなたの想いをのせた遺言をのこしてください。

遺言書作成サポート業務のご案内

当事務所では遺言書作成のためのプランをいくつかご用意しました。

皆様のお役に立てれば幸いです。

自筆証書遺言作成プラン
70,000円(税込 77,000円)
公正証書遺言作成プラン
79,800円(税込 87,780円)
夫婦相互遺言作成プラン
150,000円(税込 165,000円)
公正証書遺言作成プレミアムプラン
150,000円~(税込165,000円~)

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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