戸籍を調べたら知らない異母兄弟が!遺言書には預金の記載無し…【自筆の遺言書に不備があり、面識のない相続人が多数いるケース】

遺言書に預金の記載がないため他の相続人の協力が必要に…
ご相談前の状況
お姉様が亡くなられた方からのご相談。
相続人は兄弟姉妹と甥姪5人だが、幸いにも故人と最も親しかったご相談者様のために遺言書を残していたとのこと。
自筆の遺言書のため検認手続きが必要という事もあり、戸籍集めからお願いしたいという事で相談にいらっしゃいました。
問題点

- 自筆の遺言書がある場合、家庭裁判所に申立てをして検認手続きを行う必要がある。
- 検認手続きのためには、相続人全員の戸籍取得と住所調査が必要になる。
- 遺言書の記載内容によっては、他の相続人の協力が必要になる可能性がある。
- 場合によっては遺言執行者選任の申立てが必要になる。
当事務所からのご提案
兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合、一番仲のいい兄弟に財産を相続させる旨の遺言書を残していることも少なくありません。
自筆の遺言書については、家庭裁判所での検認手続きを経なければ相続登記などの手続きに使うことができません。(法務局の保管制度を利用していた場合は検認不要)
また、検認の申立てにあたっては被相続人の相続関係を証明する戸籍(相続人全員の戸籍)が必要なほか、申立書に相続人全員の住所を記載する必要があります。
ご相談者様はある程度ご自身で戸籍を集めてみたものの、相続人が全国に散らばっているためこれ以上は手に負えないと考えておられました。
そこで、当事務所で戸籍謄本及び戸籍の附票を収集し、相続関係及び各相続人の住所調査行い、検認手続きとその後の相続手続きをサポートさせていただくことを提案しました。
遺言書には不動産の記載のみ…預貯金を相続するには?
実はこのケースでは遺言書の記載内容に問題がありました。
故人の遺言書を確認したところ、不動産については確かに妹様に相続させる旨が記載されていたものの、預貯金やその他の財産については何も書かれていなかったのです。
日付や署名押印などの法的要件は満たしていたので、遺言書自体は有効と思われましたが、記載のない財産については遺言書を使って相続手続きを行うことはできません。
預貯金等の相続手続きのためには相続人全員の協力が必要なところ、他の相続人の連絡先はわかるので話し合いはできると思うとのことでした。
そこで、まずは預貯金の正確な残高を把握するために財産調査を行い、財産目録を開示の上で他の相続人と話し合っていただくことになりました。
戸籍を調べたら知らない相続人がたくさん…無視して手続きすることはできない?
ご依頼をいただいてから戸籍の収集を行ったところ、重大な事実が発覚しました。
実は、故人には異母兄弟にあたる方が複数いたのです。
異母兄弟の中にはすでに亡くなっている方もいましたが、その子供(被相続人から見て甥姪)がいれば相続人になります。
当初、相続人は5人で全員と連絡が取れるというお話でしたが、最終的に相続人は12人に上り、全く面識のない人が多数含まれるということが判明しました。
遺言書で取得者が指定されていない場合、遺産分割協議により分け方を決めることになりますが、面識がないからといってその方を遺産分割協議から除外していいわけではありません。
不動産に関しては他の相続人の関与なく手続きできそうでしたが、預貯金については他の相続人全員に連絡を取り、署名押印をもらう必要があります。
各相続人への連絡や、状況説明、書類の取り付けを専門家に依頼した場合、かなりの費用がかかります。
すんなりと話がまとまり、各自が費用を分担してくれれば問題ありませんが、このケースのように面識がない場合は、そうならない可能性も考えなくてはなりません。
財産調査の結果、故人の預貯金は数百万円程度あることがわかりましたが、ご相談者様の法定相続分を考えると、各相続人への連絡等を当事務所で代行した場合、費用倒れになる可能性もありそうでした。
そこで、とりあえず検認手続き及び相続登記を当事務所で行い、預貯金の相続手続きについては、自分で連絡を取ることも視野に入れて対応を検討していただくことになりました。
このように解決しました

- 膨大な数の戸籍を取得し、相続関係及び相続人全員の住所情報の調査を完了させました。
- 必要書類を整え、家庭裁判所に遺言書の検認の申立てを行いました。
- 検認完了後、遺言書による相続登記を申請し、無事完了しました。
- 預貯金の相続手続きについては、自分で対応した場合の労力や専門家に依頼した場合の費用を考慮した結果、コストと対価が見合わないということで積極的には手を付けない(手続きを進めない)ことになりました。
担当者からのコメント
本件は、遺言書に「すべての財産を妹に相続させる」と記載していれば、丸く収まったと思われます。
もちろん、遺言書のおかげで不動産を相続できたという側面はありますが、一方で「せっかくならもう少しちゃんとした遺言書を作ってくれれば良かったのに…」と少々残念な気持ちが残る結果となりました。
今後、他の相続人と連絡が取れ、協力してくれる場合は預貯金についても相続可能ですが、他の相続人が辞退してくれる保証も無く、ご相談者様が骨を折って手続きを進めるメリットは薄いでしょう。
近年は、書籍やインターネットを調べれば遺言書の書き方はすぐに出てくるので、自分で遺言書を作成される方も多いです。
本件でも、遺言者は誰かに相談することなくひとりで遺言書を作成したものと思われます。
しかし、自分ひとりで作成した場合、遺言書に不備があり、結果的に残された相続人が困ってしまうことも少なくありません。
公正証書による遺言や、2020年に始まった遺言書保管制度を利用した自筆証書遺言であれば、遺言書が無効になる可能性は低いですが、このケースのような実務上の問題については見落とされることも多いです。
残された家族が困らないように、遺言書作成の際は、相続手続きの実務に精通した専門家に相談の上、不備の無い遺言書を作成しましょう。
特に、相続人が多い場合や、面識のない相続人がいる場合は、専門家に遺言執行者を依頼し、遺言書の中で指定しておくことをおすめします。
当事務所では、遺言執行者として、または相続人の代理人としてこれまでに多数の遺言執行・相続手続きサポートの実績があり、疎遠な相続人がいるケースについても数多くのご相談・ご依頼をいただいております。
ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。
遺言書の失敗事例と残された人が困らない遺言書作成のポイントについてはこちら
疎遠な相続人がいる場合の相続手続きについてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

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