遺言書に私道の記載漏れ、不仲な兄弟と話合いが必要に…【公正証書遺言に私道の記載漏れがあり、不仲な兄弟と協議が必要なケース】

ご相談前の状況
お父様が亡くなられた方からのご相談。
相続人はご相談者様含むお子様2人。
亡くなった父は公正証書遺言を遺しており、その内容に従って相続登記をお願いしたいという事で相談にいらっしゃいました。
問題点
- 私道等の非課税物件は課税明細に記載されないため、遺言書の記載から漏れている可能性がある。
- 遺言書の記載内容によっては、記載漏れの不動産について遺言者の意図とは異なる方が相続することになる可能性がある。
- 遺言書と違う方が不動産を取得する場合、相続人全員の同意が必要になる。
当事務所からのご提案
亡くなった方が遺言書を残されていた場合、基本的には遺言の内容に従って手続きを行うことになります。
今回、お父様は複数の不動産を所有されており、そのうち一つを長男に、もう一つを二男であるご相談者様に残すという遺言書を作成されていました。
公正証書遺言の場合、家庭裁判所での検認手続きも不要で、基本的にはそのまますぐに相続登記を行うことができます。
ただ、万が一物件の記載漏れがあった場合、遺言書の内容によっては、遺言者の意図とは異なる方が相続することになる可能性があります。
そこで、相続登記の前提として念のため不動産の調査を行う事を提案しました。
不動産の調査は「名寄帳」を取得する
不動産の記載漏れを確認するためにはいくつかの方法がありますが、確実なのは管轄の役所に「名寄帳」(土地家屋名寄帳)を請求する方法です。
名寄帳には固定資産課税台帳に記載されている請求対象者名義の不動産がすべて記載されています。
そのため同一行政区域内の不動産については、名寄帳を取得すればほぼ確実に把握することができます。(共有名義の不動産は個別に請求する必要があります。)
■所有不動産記録証明制度について
2026年2月2日より、「所有不動産記録証明制度」が開始しました。
この制度は、法務局に請求することで、自分が所有している不動産を一覧にした証明書が発行されるという画期的な制度です。
名寄帳と異なり、全国の不動産が対象で、所有者が亡くなっている場合は相続人からの請求が可能です。
この制度を利用することで不動産の登記漏れを防ぎ、相続登記が義務化された背景にある「所有者不明土地問題」が解消されることが期待されています。
ただし、制度の仕組み上、請求書に記載された所有者の氏名・住所と、登記簿上の氏名・住所が一致しない場合は証明書に記載されません。
登記簿上旧住所のままになっている不動産はこの制度で確認できない可能性があるので、相続の際は、所有不動産記録証明制度の利用と併せて引き続き名寄帳の取得も行うのがいいでしょう。
遺言書に私道の記載漏れあり、相続への影響は?
当事務所で名寄帳を取得したところ、二男(ご相談者様)が相続する土地に隣接する私道の記載が漏れていることが判明しました。
また、遺言書には「その他一切の財産は長男に相続させる」旨が記載されていました。
この場合、遺言書に従えば長男が私道を相続することになってしまいます。
ただ、二男が私道を相続しなければ将来不動産を売却するときや、不動産を担保にして融資を受けるときに困ってしまいます。
一方、長男が私道を持っていても特に使い道はありません。
この状態を避けるためには、下記の二つの方法があります。
- 相続人全員の同意のもと、遺言と異なる遺産分割協議(二男が私道を取得する)を行う。
- 遺言に従い、いったん長男が相続した上で二男に(贈与や売買などで)譲渡する。
どちらかというと①の方法が手間も費用もかからず済むため、まずは①の方法で手続きを進めることを提案しました。
ただ、ご相談者様は兄とあまり折り合いが良くなく、もしかしたら私道の譲渡の対価として金銭を要求されるかもしれないと懸念されていました。
そこで、まずは①の方法で打診していただき、難しいようであれば②の方法も検討していただくことになりました。
このように解決しました
- 不動産所在地の役所に名寄帳の請求を行い、漏れのないように調査を行いました。
- 当事者同士の話し合いは難航し、途中から相手方が弁護士を付けて交渉してきました。
- ご相談者様は引き続き自分で交渉したものの、解決金の金額が折り合わなかったため、とりあえず私道部分以外の相続登記を行うことになりました。
- 私道部分については、引き続き当事者で話し合いを行い、解決したら改めて登記を行うことになりました。
担当者からのコメント
「公正証書で作成した遺言書であれば相続トラブルは起きない」と考える方は少なくありませんが、実際にはこのケースのようなことは珍しくありません。
聞けば、遺言書の作成は専門家を介さず直接公証人に頼んだそうで、作成時の資料として課税明細書(固定資産税の納税通知書)を提供したとのことでした。
しかし、私道(公衆用道路)は非課税のため、基本的に課税明細(固定資産税の納付書)には記載されません。
公証人に依頼すれば、法的に不備の無い遺言書は作成してくれますが、不動産の調査まではやってくれません。
本件は、相続に精通した司法書士に遺言書作成を依頼していれば、念のために名寄帳を取得して調査したでしょうから、このような事態にはならなかったと思われます。
ただし、司法書士であれば誰でも相続や遺言書作成に明るいという事はありません。
実際に当事務所でも、司法書士が関与した遺産分割協議書や遺言書に不動産の記載漏れがあったケースをいくつも見ています。
せっかく遺言を遺してもそのせいで家族が揉めては本末転倒です。
遺言書作成の際は、相続手続きの実務に精通した専門家に相談の上、不備の無い遺言書を作成することをおすすめします。
当事務所には、これまでに多数の相続手続きをサポートした経験から、実務上不備の無い遺言書を作成するための豊富なノウハウがあります。
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