遺言書の書き方が不十分、不仲なきょうだいの協力が必要に…【自筆遺言の記載に不備があり、疎遠な相続人の協力が必要なケース】

遺言に不備があり仲の悪いきょうだいの協力が必要に…

遺言に不備があり仲の悪いきょうだいの協力が必要に…

ご相談前の状況

お母様が亡くなられた方からのご相談。

相続人はご相談者様含むお子様3人。

故人は自筆の遺言書を残していたものの、中身は確認していないとのこと。

ごきょうだいのうちの一人とはあまり関係が良くないため、今後の手続きの進め方に不安があるということで相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 自筆の遺言書がある場合、家庭裁判所に申立てをして検認手続きを行う必要がある。
  • 遺言書の記載内容によっては、他の相続人の協力が必要になる可能性がある。
  • 場合によっては遺言執行者選任の申立てが必要になる。

当事務所からのご提案

亡くなった方が遺言書を残されていた場合、基本的には遺言の内容に従って手続きを行うことになります。

また、自筆の遺言書の場合は、家庭裁判所での検認手続きを経なければ、手続きを進めることはできません。

今回、遺言書は封を閉じた状態で保管されており、ご相談者様も中身は確認していないとのことでした。

封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができないとされています。(民法第1004条3項)

そこで、まずは当事務所で遺言書検認の申立てを行い、遺言書の中身を確認してから今後の方針を検討することとなりました。

遺言書の記載内容に不備が…このままでは手続きできない?

ご依頼をいただいてから、当事務所で戸籍等の必要書類を集め、家庭裁判所に遺言書の検認を申立てました。

検認手続きを経て確認した遺言書の内容は、不動産を含む主要な財産はご相談者様に「遺贈する」、預貯金等の一部を他の相続人へ「遺贈する」というものでした。

遺言書は、特定の方に財産を残す際の文言が、「相続させる」か「遺贈する」かで、手続きの煩雑さが大きく異なるケースがあります。

この当時は、相続人の方に不動産を「遺贈する」という遺言だった場合、不動産の名義変更の際に、他の相続人の協力が必要という取り扱いがされていました*。

*法改正により、2023年4月1日以降は財産を取得する相続人が単独で登記できるようになっています。

また、このケースでは遺言書の中で遺言執行者が指定されていませんでした。

遺言執行者が指定されていれば、不動産の名義変更や預貯金の解約は遺言執行者が単独で行うことができます。

一方、遺言執行者がいない場合、金融機関によっては預貯金の解約手続きの際に相続人全員の同意を求められることもあります。

遺言で指定されていない場合は、裁判所に申立てして遺言執行者を選んでもらうことができます。

しかし、申立ての手間がかかるうえ、遺言執行者には法定の義務があり、怠ると他の相続人から責任を追及される可能性があります。

今回、相続人の一人とはあまり関係性が良くないとのことでしたが、事情を確認したところ、連絡先等は把握しており、まったく連絡ができないわけではなく、相続をめぐってトラブルになっているわけでもないとのことでした。

遺言の内容や遺産の規模を考慮すると、遺言執行者選任の手間をかけるより、他の相続人にお願いして協力してもらった方がメリットが大きいと考えられました。

そこで、当事務所で不仲な相続人の方に連絡を取り、手続きについてご説明した上で、ご協力をお願いすることを提案しました。

また、後から問題にならないように、前提として相続財産の調査を行い、財産目録を作成して、連絡の際にあわせて開示することになりました。

このように解決しました

  • 検認手続きに必要な戸籍等を収集し、家庭裁判所に申立てを行いました。
  • 不動産や金融機関の調査を行い、調査結果をまとめた財産目録を作成しました。
  • 不仲な相続人の方に、遺言書の内容や相続手続きについての説明と、手続きを行うことに協力して欲しいという内容を記載したお手紙を出しました。
  • お手紙に対して返事があり、色々と思うところはあるものの、遺言の内容に異存はないということで、無事協力していただけることになりました。
  • 遺言書に従って手続きを進めるために必要な書類を作成し、相続人の皆様に署名捺印をいただく手配を行いました。
  • その後の不動産の名義変更(相続登記)や、金融機関の相続手続きについても当事務所で代行し、完了しました。
  • 当事務所が適切な対応を行った結果、迅速かつ経済的負担も少なく手続きを終えることができたということで、大変ご満足いただけました。

担当者からのコメント

近年は、書籍やインターネットを調べれば遺言書の書き方はすぐに出てくるので、自分で遺言書を作成される方も多いです。

しかし、自分ひとりで作成した場合、遺言書に思わぬ不備があり、結果的に残された相続人の方に大きな負担がかかることも少なくありません。

公正証書による遺言や、2020年に始まった遺言書保管制度を利用した自筆証書遺言であれば、少なくとも遺言書が無効になるほどの不備は起こりにくいですが、このケースのような実務上の問題については見落とされることも多いです。

残された家族に余計な負担をかけないためにも、遺言書作成の際は、相続手続きの実務に精通した専門家に相談の上、不備の無い遺言書を作成しましょう。

特に、相続人の中に関係性の良くない方がいる場合は、専門家に遺言執行者を依頼し、遺言書の中で指定しておくことをおすすします。

当事務所では、遺言執行者として、または相続人の代理人としてこれまでに多数の遺言執行・相続手続きサポートの実績があり、疎遠な相続人がいるケースについても数多くのご相談・ご依頼をいただいております。

ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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