中国から日本に帰化した父の口座を調べる方法は?【外国から帰化した故人の銀行口座を外国籍の相続人が調査するケース】

帰化した故人の銀行口座を調べたいが、相続人は外国籍。どうしたらいい?

ご相談前の状況

お父様が亡くなられた方からのご相談。

故人は中国生まれの中国籍だったが、その後日本に渡り帰化されたとのこと。

しかし、お子様であるご相談者様は日本在住ではあるが、中国籍のままという複雑な事情あり。

お父様とは長年交流がなく、しかも最後の方は妻とは別の女性と生活していたそうで、財産の詳細が不明だが、自分たちで調査するのが難しいという事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 預貯金や証券など、詳細不明の財産が多数ある。
  • 外国銀行の口座については、日本の銀行の手続き方法とは異なる可能性がある。
  • 外国籍の方は戸籍が無いため、相続人である事を証明するために、どのような書類が必要か手続き先に確認する必要がある。
  • 遺産の内容によっては相続放棄や相続税の申告が必要になるため、迅速に調査を行い、財産の詳細を把握する必要がある。

当事務所からのご提案

亡くなった方の財産の詳細が不明という事はよくあります。

親子であっても、生前の関係性によっては大体の財産額すらわからないという事も珍しくありません。

このケースでも、不動産については把握しているものの、預貯金等の金融資産については不明な部分が多く、遺産の全容がつかめないという状況でした。

このような場合、迅速に財産調査を行わなければのちに大変なことになる可能性があります。

というのも相続手続きには期限があるものがいくつか存在するからです。

特に、借金等の債務を引き継ぎたくない場合に必要な相続放棄手続き(3か月以内)と、遺産が一定額以上ある場合に必要な相続税の申告手続き(10か月以内)については、その必要性を判断するために財産の詳細を把握することが必須です。

そこで当事務所で、調査に必要な戸籍を集め、預貯金や証券等の金融資産の調査を行い、調査結果を見て後の手続きをどう進めるか判断していただくことを提案しました。

帰化済みの被相続人と外国籍の相続人、相続関係の証明に必要な書類は?

金融機関で亡くなった方の財産調査を行う場合、調査対象者の相続人であることの証明書類を提出する必要があります。

通常は戸籍謄本で証明するのですが、本件では相続人は中国籍だったため、戸籍の代わりの書面を提出することになります。

戸籍の代わりに何を提出するかは、故人との関係性や相続人の国籍によって異なります。

また、どこまで厳格な証明が求められるかは金融機関にもよるので、まず手続き先に個別に確認したうえで書類を揃えなければ、余計な手間がかかる恐れがあります。

このケースでは、お父様が中国から日本に帰化された際の戸籍に中国での氏名が記載されており、これと相続人であるお子様の出生証明書(公証書)*に記載されている父親の氏名が一致していました。

*出生証明書(公証書)・・・中国の公証処(日本でいう公証役場)が発行する国籍・身分関係を公的に証明する書面

当事務所で金融機関に個別に確認を取ったところ、多くの金融機関では、上記の戸籍と出生証明書(公証書)を提出すれば調査は可能との回答が得られました。

ただし、ある金融機関だけは、出生証明書(公証書)には父の生年月日の記載がないため、それだけでは不十分であり、追加で別の書類を提出してほしいとのことでした。

その後当事務所で交渉した結果、補足資料として過去に父と同居していた事実がわかる書面(住民票など)を提出すれば対応してもらえることになりました。

そこで、出生証明書(公証書)についてはご依頼者様で取得いただき、日本国内の戸籍や過去の住民票については弊所で取得し、手続きを進めることになりました。

外国銀行の相続手続き、日本の銀行と異なる?

このケースでは、亡くなったお父様は外国銀行(海外に本店がある銀行)の日本支店の口座をお持ちでした。

外国銀行の口座内のお金であっても、原則として日本における相続税などの対象になるため、やはり調査が必要です。

ただし、外国銀行の場合、日本国内に本店がある銀行と手続き方法や必要書類が異なる場合があります。

場合によっては書類等の手配に時間がかかることもあるので注意が必要です。

この点、当事務所で外国銀行に確認を取ったところ、少なくとも日本国内の支店の口座については日本の銀行同様の手続きで調査が可能とのことでした。

海外に口座があるかどうかは、外国銀行の本国での手続きが必要になるとのことでしたが、本件では故人は長年日本で暮らしていたため、日本国内の財産を調査すれば足りると考えられました。

そこで、当事務所で日本の銀行と同様に必要書類を整え、残高証明書や取引履歴の取得など、必要な調査を行うことになりました。

このように解決しました

  • 外国籍の相続人の相続関係を証明する書面について金融機関に確認を取り、手配しました。
  • 金融機関や証券会社に必要書類を提出し、残高証明書や取引履歴を取得して調査を行いました。
  • 株式等の有価証券については、ほふりに開示請求を行い、漏れのないように調査を行いました。
  • 遺言書の有無を調べるために、遺言検索システムを利用して公正証書遺言の検索を行いました。
  • 迅速に調査を行った結果、明らかに債務超過になることが分かったため、3か月の期間内に相続放棄の手続きを行いました。

担当者からのコメント

このケースでは、亡くなったお父様は経営していた会社の債務の連帯保証人になっており、調査の結果プラスの財産を債務が上回る見込みとなったため、相続放棄をすることになりました。

相続放棄には相続開始を知ってから3か月という期限があるため、迅速に調査を行う必要がありますが、慣れない方が漏れなく自分で調査するのは難しいでしょう。

本件のように被相続人が帰化している場合や、外国籍の相続人がいる場合は必要な書類を把握するだけでも一苦労です。

時間的制約もある中で、漏れなく迅速に調査を完了させるには専門家の力を借りることも必要でしょう。

ただし、相続に強いとうたっている専門家の中でも、詳細不明の財産の調査方法に詳しい人は実は多くありません。

ましてや外国籍の相続人がいるケースとなると対応経験のある方は限られるでしょう。

特殊なケースでは、関係各所への確認や調整が必須ですが、同種の他の事例の対応経験があるかどうかで解決までのスピードにも差が出ます。

不慣れな専門家に依頼してしまうと必要以上に時間がかかることもあり得るので、特殊な事情がある場合は、相続の経験豊富な専門家に相談の上、手続きを代行・サポートしてもらうことを強くおすすめします。

当事務所では詳細不明の財産調査や、外国籍の相続人がいる場合の相続手続きについて数多くのご相談・ご依頼をいただいております。

ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

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外国籍・海外在住の相続人がいるケースでの、当事務所の実際のサポート事例はこちらをご覧ください。

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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