ローン返済中の投資用マンションが複数…相続するためには何が必要?【投資用マンションの相続でローン承継等の手続きが必要なケース】

投資用不動産を相続するが、ローンもあるし、どうしたらいい?
投資用不動産を相続するが、ローンもあるし、どうしたらいい?

ご相談前の状況

お父様が亡くなられた方からのご相談。

相続人はお子様二人。

遺産として自宅のほかに投資用マンションが複数あるとのこと。

管理は管理会社に任せているようだが、購入時のローンを返済中の物件もあり、どのような手続きが必要かわからず、進め方にも不安があるという事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 賃貸中の不動産がある場合、相続登記の他に入居者への通知や火災保険契約などの名義変更手続きが必要になる。
  • ローン返済中の不動産がある場合、債権者に連絡を取り、債務の承継手続きや抵当権の変更登記などを行う必要がある。
  • 故人の所得について、4か月以内に準確定申告を行い、納税する必要がある。
  • 不動産ごとに家賃収入や売却相場、ローンの返済状況が異なるため、公平に分けるのが難しい。

当事務所からのご提案

亡くなった方が投資用マンションなどの収益物件を所有していた場合、一般的には下記のような手続きが必要になります。

  • 賃借人(入居者)への通知(オーナー変更、家賃振込先変更など)
  • 火災保険などの名義変更手続き
  • 故人の所得に関する準確定申告
  • 不動産の名義変更(相続登記)

このケースでは、故人は投資用のワンルームマンションを異なる場所に4室所有していましたが、管理会社に一括して物件の管理を任せていました。

そのため、管理会社に連絡をすれば入居者への個別の通知は必要ないと思われました。

そこで、まずは管理会社に連絡を取り、今後の流れについて確認することになりました。

あわせて、遺産の分け方を検討するための資料として、現在の収益状況や契約内容がわかる書類を取り寄せることになりました。

また、故人に家賃収入等の一定の所得がある場合は、亡くなってから4か月以内に、相続人全員の連名で準確定申告*を行う必要があります。

*確定申告が必要な方が亡くなった場合に、本人の代わりに相続人が確定申告を行うこと

さらに、お父様は生前自分で確定申告を行っていたようでしたが、亡くなる数年前からは、闘病生活だったこともあり、確定申告を行っていなかったと思われました。

そこで、当事務所で税理士を手配し、準確定申告に加えて、未申告になっている過去の分についても確定申告を行うことになりました。

不動産投資ローン返済中に亡くなった場合に必要な手続きは?

このケースでは、亡くなったお父様は投資用マンション購入のためにローンを組んでおり、複数の物件について返済中でした。

不動産投資ローン返済中に亡くなった場合は、すぐに売却して一括返済するのでなければ、不動産を相続する人が債務も引き継ぐことがほとんどです。

ただし、相続人間の合意によって不動産及び債務を引き継ぐ人を決めたとしても、債権者の同意がなければ、他の方は返済義務を免れることができません。

実務上は、相続人間で行った遺産分割協議の内容を債権者(金融機関等)に提出し、承諾を得たうえで、債務の引き受けに関する契約(免責的債務引受契約など)を結ぶことが多いです。

金融機関にとっても、複数の相続人にそれぞれ請求するのは手間なので、債務を引き受ける方に十分な返済能力があるのであれば悪くない話です。

また、不動産投資ローンの場合、債務を担保するために不動産に抵当権が設定されているので、金融機関等との契約締結後に「抵当権の債務者変更登記」を行うことになります。

本件では故人の生前の意向もあり、相続人の皆様はすぐに売却するのではなく、相続した上で返済を続けたいとのご意向でした。

そこで、相続人の皆様で話し合いのうえで不動産及び債務を引き継ぐ方を決めていただき、その結果に従い、金融機関の債務承継手続きや抵当権変更登記を行うことになりました。

このように解決しました

  • 管理会社に連絡を取り、今後必要な手続きや書類等について確認しました。
  • 管理会社から、賃貸物件の現在の収益状況や契約内容がわかる書類を取り寄せました。
  • 債権者に連絡を取り、遺産分割協議がまとまるまでのローンの返済方法や今後必要な手続きについて確認しました。
  • 税理士を手配し、期限内に準確定申告を行い、過去分の確定申告についても完了させました。
  • 話し合いの結果、不動産については相続人の一人がすべて相続することとなったため、遺産分割協議書を作成し、署名捺印の手配を行いました。
  • 協議内容に従い、不動産の名義変更(相続登記)を行いました。
  • 不動産取得者による債務承継手続きに続いて、抵当権の債務者変更登記を行いました。
  • 火災保険の名義変更についても、必要書類の確認や手配などのサポートを行いました。
  • 税理士と連携の上、必要書類の収集等をサポートし、期限内に相続税申告を完了させました。
  • 戸籍の収集や預貯金の解約及び分配など、その他の相続手続きについてもサポートさせていただき、無事に相続を終えることができました。

担当者からのコメント

本件のように、不動産投資が趣味で複数の物件をお持ちの方が亡くなった場合、財産や債務の把握に時間がかかることも少なくありません。

本件では不動産の他にまとまった金融資産があったため、問題になりませんでしたが、相続税の申告が必要な場合は、相続不動産の売却も視野に入れる必要があります。

さらに言えば、不動産を売却してもマイナスになりそうな場合は相続放棄も検討しなければなりません。

相続税の申告は10か月以内、相続放棄は3か月以内という期限がありますが、詳細がわからない状態から調査を行い、期限内にこれらの手続きを完了させるのは、普通の方には至難の業です。

自分たちで手続きを行えば費用は節約できるかもしれませんが、期限に間に合わずに大きな損害を被ってしまっては元も子もありません。

特に債務がある場合は早めの行動が肝心なので、亡くなった方がローン返済中の賃貸不動産をお持ちの場合は、お早めに相続に精通した専門家に相談することをおすすめします。

当事務所では相続手続きだけではなく、亡くなった後に必要なあらゆる手続きをまるごとおまかせできる相続まるごとおまかせプランを提供しており、債務の承継・清算手続きや、不動産の売却を含めてすべての手続きを代行・サポートすることが可能です。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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