相続税のことを考えて遺言と異なる内容で遺産分割したい…【公正証書遺言があるが、相続税を考慮した上で遺産分割を行うケース】

ご相談前の状況
お父様が亡くなられた方からのご相談。
相続人はお子様2人
故人は公正証書遺言を遺しており、配分割合には納得しているものの、遺産の中に不動産があり、売却するか否かについて意見が分かれているとのこと。
相続税のことも考えて、遺言書と異なる分け方をすることも検討しているという事で相談にいらっしゃいました。
問題点

- 公正証書遺言があるが、自宅不動産に関し今後の居住や売却について相続人間で意見が分かれている。
- 相続税や売却時の税金を考慮して、よりメリットが大きいようであれば、遺言書とは異なる内容で遺産分割をしたい。
- 相続人が離れて暮らしているため、手続きのために何度も集まるのは難しい。
当事務所からのご提案
亡くなった方が遺言書を遺していたものの、様々な事情により遺言とは異なる財産の分け方をしたい、という方は少なくありません。
遺言書がある場合はその内容に従うのが原則ですが、相続人全員の同意がある場合は、遺言と異なる内容で遺産分割を行う事は実務上認められています。
本件では、公正証書遺言の中で「次のとおり相続分を指定する 子A〇〇分の1 子B〇〇分の1」と、全財産について相続分が指定されていましたが、配分割合については二人とも納得していました。
しかし遺産である自宅不動産については、長女様は実家に思い入れがあり将来的に住むことも考えているので売却したくない、二女様は売却してお金を分ければいい、と意見が分かれているとのことでした。
また、相続税について税理士と相談する中で、長女様が不動産を相続した方が相続税や将来不動産を売却した際の税金を抑えられる可能性があるという話も出ていて、改めて遺産分割協議を行うことも検討されていました。
そこで、税理士と連携の上、不動産の分け方ごとに税負担額のシミュレーションを行い、相続人様のご希望を踏まえた上で、経済的メリットを最大化できる遺産分割案を提案させていただくことになりました。
自宅不動産は誰が取得するかで税金の額が大きく変わる
本件では、長女様が自宅不動産を取得した場合、小規模宅地の特例(家なき子特例)の適用を受けられると思われました。
小規模宅地等の特例は、亡くなった方の自宅の土地について、一定の要件を満たす人が相続した場合、相続税評価額を80%減額できる特例制度です。
土地の評価が8割減になることで、遺産全体の評価額も下がるので、不動産を取得する人だけでなく、他の相続人も相続税が安くなるというメリットがあります。
小規模宅地の特例(家なき子特例)の適用を受けるためには、相続税申告期限まで売却せずに保有する必要がありますが、長女様はいずれ自分が住むことを考えていたため、この点は問題になりません。
また、長女様が不動産に居住した場合、将来的に売却した際の譲渡所得に関し「居住用財産売却時の3,000万円の特別控除の特例(通称マイホーム特例)」の適用を受けられるため、そこでも税負担を抑えられるというメリットがあります。
その他の諸条件も考慮した結果、長女様が自宅不動産を取得し、その分を金融資産で調整する分け方がお二人にとって最もメリットが大きいと考えられたため、シミュレーション結果とともにご提案しました。
提案を受けてお二人とも納得されたため、改めて遺産分割協議書を作成し、それをもとに相続登記を行うことになりました。
また、相続人の皆様は離れて暮らしており、手続きのために集まるのは負担になるとのことでしたので、当事務所で戸籍の収集、遺産分割協議書への署名捺印の手配、預貯金の解約及び分配まで一括して代行させていただくことになりました。
このように解決しました

- 税理士による不動産の分け方ごとの相続税シミュレーションを行い、結果をご提示しました。
- 税理士と連携の上、相続人様のご希望に沿う形で、経済的メリットを最大化できる遺産分割案を提案しました。
- 具体的な分け方については、不動産は長女様が相続し、その分金融資産を二女様が多く相続することで、なるべく遺言書の配分に近くなるように調整しました。
- 相続人全員の同意のもと、遺言と異なる内容の遺産分割協議書を作成し、郵送で署名捺印をいただくように手配しました。
- 戸籍の収集、相続登記、預貯金の解約及び分配についても代行させていただき、ご相続人様の負担なく手続きを完了させることができました。
担当者からのコメント
本件のように遺言とは異なる内容で不動産やその他の財産を分けたい、というのはよくある話です。
遺言書に記された故人の想いは尊重すべきですが、遺言を作成した時とは状況が変わっていることは当然あります。
本件のように相続税その他の税金の負担が過大になるケースや、不動産を貰っても居住・活用できない等の事情がある場合に、絶対に遺言書のとおりに分けなければならないとなると、相続人は困ってしまいます。
相続時の状況に合わせて仲良く分けるという事であれば、故人の想いを無視するわけではなく、むしろ“残された家族が仲良く幸せに暮らしてほしい”という故人の願いを最大限尊重することになるのではないでしょうか。
ただし、本件と違って相続人間の関係性が微妙な場合は、話し合いによる遺産分割が難しい可能性があるため、遺言書作成の段階で分け方について慎重に検討すべきです。
将来的な相続税その他の税負担についても考慮しなければ、残された方が「せっかくならもう少しちゃんとした遺言書を作ってくれれば…」と残念な気持ちになるかもしれません。
また、本件の遺言書は弁護士が関与して作成されたものでしたが、士業専門家であっても必ずしも相続税や相続手続きの実務についてまで詳しいとは限りません。
残された家族が困らないように、遺言書作成の際は、相続手続きの実務に精通した専門家に相談の上、相続税にも配慮した遺言書を作成しましょう。
当事務所には、これまでに多数の相続手続きをサポートした経験から、相続税などにも配慮した「相続人が困らない」遺言書を作成するための豊富なノウハウがあります。
ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。
遺言書の失敗事例と残された人が困らない遺言書作成のポイントについてはこちら

小規模宅地等の特例についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

当事務所のこの他の解決事例はこちら

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

お電話でのお問合せはこちら(通話料無料)
0120-546-069























