これでバッチリ!相続登記を自分でやる方法【完全版】

相続登記を自分でやるという選択

亡くなった方名義の不動産を相続人の名義に変更するためには、相続登記が必要になります。

この記事をご覧の多くの方は、相続登記が必要なことは知っていても、実際にどのような手続きなのか、自分で行うことができるのか等、手続きの詳細についてはよくわからないという状態だと思います。

忙しいあなたでも大丈夫です

登記は非常に厳格な手続きを要求されます。申請の際に書類に少しでも記載漏れや間違いがあれば、実情がどうであれ登記は完了しません。

多くの方は不慣れな手続きに費やす時間や労力を考えて、専門家である司法書士に申請の代行を依頼されます。

しかし中には、司法書士に払う報酬を節約したい、一度経験してみたい等の理由で自分で登記することを考えている方もいると思います。

そこで本記事では、相続登記を最初から最後まで自分で行おうとしている方のために、手続きの流れや必要書類等について詳しく解説します。

これを読めば自分一人で相続登記を行うことができるようになります。

また、自分でやるかはともかく、とりあえずどのような手続きか知りたいという方は、これを読んで自分で登記するか司法書士に依頼するかを判断する参考にしてください。

なお、手続きを自分でやるつもりではなく、司法書士への依頼を検討されている方はこの記事ではなくこちらの記事をご覧ください。

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相続登記をはじめとして、お客様にどのような手続きが必要なのかをご案内させていただくため、当事務所では無料相談を行っています。

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このような豊富な相談経験を活かし、お客様に必要な手続きと最適なサポートを提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

目次

知っておきたい相続登記の基礎知識

まずは手続きの前提として、相続登記に関する基本的な知識について解説します。

そもそも相続登記は必ずしなくてはいけない?期限はある?

実は長い間相続登記は義務ではなかったので、相続登記をしなくても特に罰則や罰金等はありませんでした。

いつまでにしないとできなくなるというものでもないので、10年以上前の相続について今になって登記することも可能です。(実際、実務ではよくあります)

しかし相続登記未了のため管理や処分ができない不動産が増え、社会的影響が大きくなってきたため、相続登記は罰則付きで義務化されることになりました。

2024年4月以降は、相続発生後3年以内に相続登記を済ませなければ、最大10万円の過料(罰金)が科されます。

また、長期間登記をしないことによって、過料以外にも様々な弊害が生じる可能性があります。例えば次のような弊害です。

  • 登記をしないでいるうちに他の相続人の気が変わってしまい、協力してもらうために余分なお金(はんこ代)を支払うことになった
  • 登記をしないでいるうちに他の相続人が認知症になってしまい、当初予定していた割合での相続登記ができなくなってしまった。
  • 登記をしないでいるうちに他の相続人が亡くなってしまい、手続きに必要な戸籍を揃えるのに余計な費用や手間がかかってしまった。

​このような事態を避けるために、誰が不動産を相続するかが確定した段階ですみやかに登記を済ませておくべきでしょう。

相続登記をしないことによる弊害・デメリットについてはこちらの記事でよりくわしく解説しています。

どのように相続するかによって手続きの流れや必要書類が異なる

相続登記をする方のほとんどは次のどれかにあてはまります。

1.法定相続分通りに相続登記する

2.遺産分割協議で決めた内容に従って相続登記する

3.遺言書に従って相続登記する

​手続きの手順や必要書類については、全てのパターンで共通する部分も多いですが、それぞれ異なる部分もあります。

これから解説していきますが、自分がどのパターンに当てはまるかは把握しておきましょう。

1

法定相続分通りに相続登記する

法律で定められた法定相続分通りに登記する方法です。

法定相続人が一人のみであればこの方法によることになります。

逆に相続人が複数の場合は、よほどの事情がある場合を除いて、次に解説する遺産分割協議による相続登記を考えるべきです。

共有名義(法定相続分)の登記をしてもいいケースとすべきでないケースについてはこちらの記事でくわしく解説しています。

2

遺産分割協議で決めた内容に従って相続登記する

最も多いのがこのパターンです。

不動産を共有名義にすると、後で色々と面倒なことになる可能性が高いため、相続人のうち特定の一人が取得するという内容の遺産分割協議を行い、その通りに登記します。

ただし、この方法によるためには、相続人全員の実印を押した遺産分割協議書と印鑑証明書を登記申請の際に添付する必要があります。

そのため誰が不動産を取得するかで争いがある場合には難しくなります。

遺産分割協議による相続登記手続きの流れや注意点についてよりくわしく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

3

遺言書に従って相続登記する

故人がのこした遺言書に不動産についての記載があれば、それに従って登記することも可能です。

遺言書があるから必ずその通りにしなくてはいけないというわけではなく、相続人全員の同意があれば、遺言書と異なる内容の遺産分割協議を行って、その内容で登記することもできます。

遺言書による相続登記手続きの流れや注意点についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

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相続登記手続きの流れ

上記3パターンのどれにあてはまるかによって手順は多少異なりますが、相続登記手続きの大まかな流れは次の通りです。

なお、1~3については順番は前後しても構いません。できれば同時に進めていった方がいいでしょう。

※クリックするとそれぞれの解説へ移動します。
1.不動産の地番・家屋番号を特定して、近くの法務局またはオンラインで不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得する。

2.不動産を管轄する市町村役場(東京23区内は都税事務所)で不動産の固定資産評価証明書を取得する。

3.被相続人の戸籍等と住民票の除票を取得する。各相続人の戸籍と住民票を取得する。

4.相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が不動産を取得するか決まったら遺産分割協議書を作成し、全員の印鑑証明書を準備する。

5.登記申請書および相続関係説明図を作成する。必要であれば法定相続情報一覧図を作成する。

6.登録免許税を納付して、登記申請書と必要書類を不動産を管轄する法務局に提出する。

7.登記官による審査後、不備がなければ新たな権利者が登記簿に記載される。

8.登記完了後、登記識別情報(通知書)が交付されるので受領する。

それぞれの手順について詳しく解説します。

1.不動産の地番・家屋番号を特定して登記事項証明書を取得する

■住所=地番とは限らない

相続登記を申請するにあたっては、不動産の所在を特定する必要があります。

そんなの調べなくてもわかっているよ、と思われるかもしれませんが、実は多くの方が不動産の所在として認識しているのは住所(住居表示)の方である可能性が高いです。

不動産にはそれぞれ住居表示とは別に固有の地番(建物の場合は家屋番号)が付されていて、登記申請の際はこの地番・家屋番号を申請書に記載しなくてはならないのです。

※全ての地域で住居表示が実施されてるわけではないため、住所=地番の地域もたくさんあります。

地番・家屋番号は固定資産税の納付書(課税明細書)や権利書(登記済権利証または登記識別情報通知書)などに記載されています。

■登記事項証明書で権利関係の確認を

地番・家屋番号で不動産の所在が特定出来たら、近くの法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得します。

登記事項証明書とは、所在や地積などの不動産そのものについての記載の他、その不動産の所有権など権利関係についても記載された書面です。

登記申請の際に添付書類として提出するわけではないのですが、相続開始時点での権利関係(抵当権の有無など)についても確認しておくべきなので、必ず取得しておきましょう。

登記事項証明書の交付請求は、対象不動産を管轄する法務局(登記所)でなくても、全国の法務局で申請することが可能です。郵送での請求も可能です。

また、登録が必要ですがオンラインでの閲覧・取得も可能です。

オンラインによる登記簿閲覧・登記事項証明書の取得はこちら

登記情報提供サービス|一般財団法人民事法務協会

2.固定資産評価証明書を取得する

登記申請の際には登録免許税という税金を納付する必要があります。

この登録免許税は固定資産評価額(最新年度の課税台帳価格)を基準に算定されます。

そこで登記申請時には、納税額が間違っていないことを法務局が判断するための資料として、固定資産評価証明書を添付することになります。

評価証明書は、不動産所在地の市町村役場(東京23区は都税事務所)で、相続人であることを証明できる書類(戸籍謄本など)を提出して請求すれば取得できます。

不動産が東京23区内にある場合は、管轄に関係なくどこの都税事務所でも取得することができます。

ちなみに・・・

実はこの評価証明書は、不動産登記法などの法令によって添付が求められている書類ではなく、実務的な理由から添付を求められているに過ぎません。

なので大阪市、神戸市など一部の地域では、評価証明書の代わりに課税明細書のコピーなどを添付すればいいとしている法務局もあるようです。

発行手数料も無料ではないので気になる方はご自身が申請される法務局にお問い合わせください。

ちなみに関東地方ではほとんどの法務局で評価証明書の原本の提出を求められます。

3.戸籍等と住民票(除票)を取得する

戸籍等は本籍地、住民票や住民票除票は住所地の市町村役場でそれぞれ取得できます。

一般的なケースで必要な戸籍等は下記の通りです。

■被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本等

相続人を特定するために必要になります。

原則として出生から死亡までのものが必要ですが、遺言書通りに相続する場合は、被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本で足りることもあります。

■被相続人の住民票除票

登記簿上の住所と本籍が一致しない場合に、同一人物であることを証明するために必要になります。

引っ越しを繰り返している等で、住民票除票では住所のつながりが確認できない場合は、戸籍の附票を取得して特定することもあります。

■相続人の戸籍謄本

相続開始時点で確かに相続人であったことの証明(死亡や離縁、廃除等の事由がないか)のために必要になります。

■相続人の住民票

新たに登記簿に記載する住所の確認のために必要になります。不動産を取得する方のもののみで大丈夫です。

なお、相続関係によっては被相続人以外(被相続人の父母や兄弟姉妹など)の戸籍も必要になる場合があります。

その場合慣れない方には戸籍の収集や読み解きの作業だけでも大変な苦労を伴うことが多いので、司法書士に依頼した方が無難かもしれません。

具体的にどのようなケースでどういった戸籍等が必要かについてはこちらの記事をご覧ください。

戸籍等の収集方法についてはこちらをご覧ください。

4.遺産分割協議を行い遺産分割協議書を作成する

法定相続分通りに登記する場合や、遺言書に従って登記する場合は当然こちらの手順は不要です。

遺言書がなく、法定相続分と異なる割合で登記する場合や、遺言書があっても遺言で指定された内容と異なる内容で登記する場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、その内容を書面にした遺産分割協議書を作成して、申請の際に提出します。

協議書の形式に決まりはないですが、少なくとも作成した日付、合意した内容、地番・家屋番号など不動産を特定できる記載、相続人全員の住所、署名および実印の押印は必要でしょう。

申請の際には、協議書が真正に成立したことの証明として相続人全員の印鑑証明書の添付も必要になります。

この印鑑証明書に期限はないので3か月以上前のものでも大丈夫です。

※実務上、申請人(=不動産を取得する人)については印鑑証明書の添付は不要とされていますが、あらゆるケースで不要とまでは言い切れないので、他の手続きのためにすでに準備しているなら添付した方が確実です。

遺産分割協議の進め方や注意点についてはこちらの記事をご参照ください。

遺産分割協議書の書き方やひな型のダウンロードについてはこちらをご覧ください。

■遺言書がある場合

遺言書に従って登記する場合、遺言書が公正証書及び一部の自筆証書遺言*以外であれば家庭裁判所での検認手続きが必要になります。

*法務局の遺言書保管制度を利用した自筆証書遺言は検認は不要。

検認手続きは遺言書の保管者か遺言書を発見した相続人が申し立てます。

申し立ての際には相続人を確定するために戸籍等を提出する必要があります。

検認期日が決まったら相続人全員に通知が送られますが、期日に全員が揃わなくても手続きは行われます。(申立人の立ち合いは必要)

検認手続きが完了すると遺言書に検認済証明書を留めたものが交付されます。

登記申請の際は、この検認済証明書付遺言書を添付書類として提出することになります。

申し立てから実際に検認が行われるまで1か月以上かかることも珍しくないので、特に相続税の申告の必要がありそうな方は、戸籍収集にかかる時間も考えて早めに手配した方がいいでしょう。

検認手続きについて詳しくはこちらをご参照ください。

5.登記申請書および相続関係説明図を作成する

必要書類が揃ったら、いよいよ申請書の作成に入ります。

登記事項証明書や固定資産評価証明書を確認しながら、課税価格、不動産の表示などの必要事項を漏れなく記載しましょう。

申請書のひな型や記載例は下記の法務局ホームページからダウンロードできます。(17番から21番が相続に関する申請書です。)

不動産登記の申請書様式について|法務局

■相続関係説明図とは?

相続関係説明図とは、その名の通り相続関係を分かりやすく説明するために図にしたものです。

作成は義務ではありませんが、申請の際に提出すると、戸籍等のコピーを付けなくても原本を返してもらうことができます。

大量の戸籍をコピーする手間と比べてもそれほど手間のかかるものでもないですし、別の相続手続きが必要になった場合に戸籍が手元にあれば何かと便利なので、作成しておくことをおすすめします。

■法定相続情報一覧図とは?

法定相続情報一覧図とは、形式的には相続関係説明図と同じようなものです。(細かい部分では異なります。詳しくは下記リンク先をご参照ください。)

法定相続情報証明制度の規定に従って法務局に一覧図を提出すると、写しの交付を受けることができます。

この写しは、銀行や役所等での相続手続きの際に戸籍の束の代わりとして用いることができます。

登記申請後に複数の金融機関で手続きを予定されている方は、登記申請と一緒にこの法定相続情報証明制度の利用も検討してみてください。

法定相続情報証明制度について詳しくはこちら

「法定相続情報証明制度」について|法務局

6.登録免許税を納付して登記申請書と必要書類を法務局に提出する

■申請方法について

申請方法は以下の3つがあります。

1.法務局の窓口に必要書類を直接持ち込んで申請する。

2.必要書類を郵送して申請する。

3.オンラインで申請する。

​ですが、3のオンライン申請は一般の方が利用するにはハードルが高いためおすすめしません。ここでは1の窓口での申請と2の郵送での申請について解説します。

【窓口での申請】

窓口での申請の場合は必要書類を管轄の法務局に持参するだけですので、特に難しいことはないと思います。

書類に不備があってもその場で訂正できるように、申請書に押した印鑑は必ず持っていきましょう。

申請する前には法務局の登記相談窓口で、念のため不備がないか確認してもらった方がいいでしょう。(登記相談は予約が必須という法務局も多いので事前に予約しておきましょう。)

窓口での申請は、法務局の開庁時間に足を運ぶ必要はありますが、その場で相談・訂正ができるので、時間が許す方には最もおすすめできる方法です。

【郵送での申請】

郵送での申請も、基本的には必要書類を管轄法務局の不動産登記係宛に送るだけなので、難しくはありません。

平日昼間になかなか時間が取れない方はこちらの方法でもいいでしょう。

窓口での申請と異なり、不備があったときにその場で訂正することはできません。

軽微な間違いなら、申請書に申請人全員の捨印があれば、出向かなくても対応してくれる場合もあるので押しておくといいでしょう。

郵送する封筒の表面には『不動産登記申請書在中』と記載します。

重要な書類なので必ず書留郵便又はレターパックプラスで送りましょう。

■登録免許税の納付方法について

申請の際に必要な登録免許税の納付方法には下記の2つの方法があります。

1.申請書(収入印紙貼付台紙)に収入印紙を張り付ける。

2.銀行等の金融機関の窓口で現金で支払い、領収書を申請書に張り付ける。​

​ほとんどの方にとって簡単なのは1の方法だと思います。登録免許税が多額で印紙の購入や貼り付けが大変という方は2の方法でもいいかもしれません。

1の方法による場合、収入印紙は収入印紙貼付台紙(A4の白紙で代用できます)に張り付け、申請書の次に綴り、その綴り目に申請書に使用した印鑑で契印する、というのが正式な方法です。

もっとも、収入印紙の枚数が少ない場合には、申請書の余白に直接張り付けて提出しても受理されるでしょう。

ただ、慣れていない方は登録免許税の計算を間違うこともあるため、窓口で申請する場合は収入印紙は貼らずに持参して、確認してもらってから貼ることをおすすめします。

収入印紙は郵便局やコンビニの他、法務局にある販売所でも購入できます。

2の方法による場合は、金融機関で登録免許税(国税)納付用の納付書に所定の事項を記入して、窓口で支払います。近くの銀行で行員の方に聞けば教えてくれるでしょう。

この場合は収入印紙の代わりに領収書を張り付けます。

なお、オンライン申請の場合は電子納付という方法もありますが、先述の通り、一般の方にはおすすめできないためここでは割愛します。

■原本還付の方法について

申請の際に提出した書類は、登記申請書や委任状など一部を除き、登記完了後に返却してもらうことができます。(原本還付といいます。)

原本還付の方法は次の通りです。

1.返却してもらいたい書類のコピーを一部ずつ取る。

2.コピーの末尾に『この写しは原本に相違ありません』と記載して、申請人が署名押印する。

3.原本と共にコピーを提出する。

なお、原本還付を受けたい書類が複数ある場合には、それぞれの書類の間に契印(割印)をすれば、上記の記載並びに署名押印は最後の一枚だけで足ります。

■戸籍等の原本還付について

戸籍等は相続関係説明図を添付すれば、上記の処理(原本証明をしたコピーの添付)をしなくても、原本還付を受けることが可能です。

戸籍等は少ない場合でも5~6通程度になることがほとんどで、10通以上になることも珍しくないため、この取り扱いは助かります。

なお、戸籍等というのは戸籍謄抄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本のことを言い、住民票(除票)や戸籍の附票、印鑑証明書などは通常の方法(原本証明をしたコピーの添付)によって原本還付を受ける必要があります。

7.登記官による審査後、新たな権利者が登記簿に記載される

提出した書類に不備がなければ、申請が受理されてから、通常1~2週間程度で完了します。

※登記の内容や法務局の繁忙状況によってはもう少しかかる事もあります。

不備があれば登記官から連絡が入るので、法務局に出向いて書類の補正や追完を行います。

8.登記完了後、登記識別情報を受領する

登記完了予定日が到来したら、申請書に押した印鑑と身分証を持って申請した法務局に出向きます。

完了予定日は各法務局のホームページからも確認できます。(一部掲載していない所もあるかもしれません。)

窓口で登記完了証と登記識別情報通知書、原本還付された書類を受け取って完了となります。

念のため登記事項証明書を取得して、ちゃんと登記されているか確認しておきましょう。

登記完了証は登記が完了したことの証明に過ぎず、今後必要になることはないでしょうが、登記識別情報は売買や贈与、担保の設定等の際に必要になるものです。

また、他人に知られてしまうと勝手に登記を移転されてしまう恐れもあるので、袋とじは破らずに(目隠しシールは剥がさずに)、厳重に保管しておきましょう。

■郵送で受け取る場合

原本還付された書類や登記識別情報通知書は郵送で受け取ることもできます。

郵送での受け取りを希望の場合は、申請書に下記のように記載して、返信用封筒と切手を提出(同封)しておきましょう。

『送付の方法により登記識別情報通知書及び登記完了証の交付並びに原本還付書類の返還を希望します。 送付先の区分 申請人の住所』

なお、登記識別情報通知書は重要な書類なので本人限定受取郵便で届きます。

郵送料金は基本料金+一般書留料金+250円です。(2023年現在)

いくらになるかよくわからなければ多めに切手を入れて置いた方が確実です。余ったら書類と一緒に戻ってきます。

■申請人が複数の場合の注意点

申請人が複数になる(=不動産を共有にする)場合は、登記識別情報はそれぞれ別に交付されます。

したがって郵送で受領したい場合は、人数分の返信用封筒と切手を同封することになります。

しかし戸籍等の原本還付された書類は別々に渡すことはできないので、申請人の一人に登記完了後の書類受領に関する権限を委任して(その旨の委任状を作成して)、受領する等の方法をとることになります。

このあたりの取り扱いは法務局によって異なる可能性があるので事前に確認しておきましょう。

ちなみに登記識別情報の受領に関する権限を個別に委任すれば、代表者の住所に全てまとめて送付してもらうことも可能です。

なお、司法書士に依頼した場合はこういったことも含めてすべて手配してくれるので特に心配する必要はありません。

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相続登記申請に必要な書類

一般的なケースでの相続登記に必要な書類は、3つのパターンごとに次の通りになります。

法定相続分通りに相続登記する場合

  • 登記申請書
  • 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍
  • 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
  • 相続人全員の現在戸籍謄本(抄本)
  • 相続人全員の住民票(本籍が記載されているもの)
  • 対象不動産の固定資産評価証明書
  • 対象不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)…添付する必要はないが不動産の特定のために必要
  • 相続関係説明図…必須ではないが、あれば戸籍等の原本還付が楽になる
  • 委任状(代理人に申請や完了後の書類の受け取りを委任する場合のみ)

遺産分割協議で決めた内容に従って相続登記する場合

  • 登記申請書
  • 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍
  • 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
  • 相続人全員の現在戸籍謄本(抄本)
  • 不動産を取得する相続人の住民票(本籍が記載されているもの)
  • 対象不動産の固定資産評価証明書
  • 対象不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)…添付する必要はないが不動産の特定のために必要
  • 相続関係説明図…必須ではないが、あれば戸籍等の原本還付が楽になる
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 委任状(代理人に申請や完了後の書類の受け取りを委任する場合のみ)

遺言書に従って相続登記する場合

  • 登記申請書
  • 被相続人(亡くなった方)の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本
  • 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
  • 不動産を取得する相続人の現在戸籍謄本(抄本)
  • 不動産を取得する相続人の住民票(本籍が記載されているもの)
  • 対象不動産の固定資産税評価証明書
  • 対象不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)…添付する必要はないが不動産の特定のために必要
  • 相続関係説明図…必須ではないが、あれば戸籍等の原本還付が楽になる
  • 公正証書遺言書または検認済証明書付遺言書
  • 委任状(代理人に申請や完了後の書類の受け取りを委任する場合のみ)

なお相続関係等によっては追加で別の種類が必要になる場合もあります。

また、一部の法務局では添付する書類について独自の取り扱いがされている所もあるので、申請前に一度確認されることをおすすめします。

それぞれの書類の詳細や、相続関係が複雑なケースでの必要書類についてはこちらをご参照ください。

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申請書の提出先

相続登記は不動産の所在地を管轄する法務局に申請します。

管轄が同じであれば複数の不動産の登記を一回で申請できます。

ただし相続関係や不動産の取得者が異なる場合は別々に申請する必要があります。

管轄が違う場合はまとめて申請できないため、それぞれの法務局に対して申請します。

全国の法務局はこちらから検索できます。

管轄のご案内|法務局

相続登記申請に必要な費用

■登録免許税

不動産の固定資産評価額(最新年度の課税台帳価格)の0.4%です。

具体的な計算方法は次の通りです。

  1. 評価額の1000円未満の端数を切り捨てた額(課税標準額)に0.004をかけます。評価額が1000円未満なら登録免許税は1000円になります。
  2. 1で算出した額の100円未満の端数を切り捨てた額が税額になります。額が1000円未満なら登録免許税は1000円になります。

例:固定資産評価額が3550万1680円の場合

35,501,000×0.004=142,004→14万2000円(100円未満切り捨て)となります。

​慣れていない方だと、切り捨てる数字を間違えたために税額が異なるということもよくあるので気を付けましょう。

後で不足が発覚した場合は追加で納付します。多めに払った場合も手続きをすれば還付はしてもらえます。

■実費

戸籍等証明書類の交付手数料、郵送料金などで数千円~数万円程度です。

被相続人の出生からの戸籍を郵送で取得する場合など、発行手数料がいくらになるかわからないときは、定額小為替を多めに入れておけば差額分は戸籍と一緒に郵送してくれます。

3000円分入れておけば大体足りるでしょう。

■司法書士に依頼した場合の報酬

一般的な相続の場合、登録免許税や実費を除いて7万円~10万円(税別)程度が相場です。

ただし相続登記の場合は、相続関係や不動産の数、遺産分割協議の有無等によって業務量や難易度が大きく異なるため、依頼前に確定した見積もりを出すことは難しいです。

依頼する場合は、初回の無料相談後に概算でも見積もりの提示をしてくれる事務所を選ぶといいでしょう。

申請から完了までの期間

おおよそ1~2週間程度です。

申請する法務局や時期、申請内容によって期間は変わります。

登記完了予定日は各法務局の窓口で確認できるほか、ホームページからも確認できます。(一部表示されていない法務局もあるかもしれません。)

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相続登記についてのよくある質問

ここからは相続登記についてのよくある疑問・質問・注意点などをQ&A方式で解説していきます。

相続登記を司法書士に依頼せずに自分で申請することはできますか?

もちろん可能ですが、司法書士にまかせた方が確実です。

相続登記に限らず、登記は基本的に自身での申請が可能です。

行政手続きや届出等は基本的に自分で調べてやる、という方であれば、登記について全く知識がなくても、今回の記事を参考に自分で申請することはできると思います。

ただしネット上で知識を得ても、実際にやってみると勝手が違う、というのはよくある話です。

特に相続登記では一人一人状況が異なるため完璧なマニュアルのようなものは存在しません。また、役所等の対応にばらつきがあることもよくあります。

行き詰まった場合は無理に自分で進めようとせず、司法書士に相談することをおすすめします。

不動産を取得する相続人以外から申請することは可能ですか?高齢の母に代わって私が申請しようと考えているのですが・・・

委任状を作成すれば代理人として申請することが可能です。

相続登記の申請人には不動産を取得する相続人しかなることはできません。

しかし、登記申請についての権限を委任する内容の委任状を作成して、申請書と一緒に提出すれば代理人からの申請も可能です。

※登記識別情報の代理受領など一部の行為については個別の権限委任が必要です。

なお、業として不動産の権利登記の申請代理を行えるのは司法書士の他は弁護士のみです。

戸籍収集や相続関係説明図の作成を行政書士に依頼しても、そのまま登記申請をお願いすることはできませんので注意してください。

はじめての申請で不安なため、法務局で相談しながら申請しようと思うのですが、注意点はありますか?

事前予約制のところが多く、時間制限があるところもあります。

各地の法務局では、登記についての相談は申請窓口とは別に窓口を設けてあるところも多く、その多くは事前予約が必要です。

予約せずに行ったら相談できずに無駄足を踏んでしまった…という事の無いように、必ず事前に予約してから行きましょう。

なお、法務局によっては電話やオンラインでの相談を受け付けているところもあります。

特に相談者の多い地域では、一回の相談時間に制限を設けてあるところもあります。(東京、名古屋、大阪などは一回につき20分以内です。)

はじめて申請する方が何の準備もなく、制限時間内に要領よく質問することは難しいので、疑問・質問、それについての自分なりの見解などは、できるだけ紙などに書いてまとめておくといいでしょう。

なお、法務局で相談できるのは申請書の記載事項や申請の手続方法についてです。

登記の原因となる事実関係についての法的判断や、作成した書類の審査は相談段階では行うことができません。

そういったことが必要な方は、下で紹介する各司法書士会の相談会を利用するか、申請そのものを司法書士に依頼しましょう。

参考

登記手続のご案内|東京法務局

法務局以外に相続登記について相談できるところはありますか?できれば無料で。

各地域の司法書士会が開催している無料相談会で相談できます。

各都道府県の司法書士会では電話や面談による無料法律相談を行っています。

ここでは登記申請の手続き面だけではなく、登記原因となる事実の法的判断についても相談できます。

※相談内容によっては個別具体的な質問には答えられない場合もあります。

面談での相談は事前予約制のところがほとんどですので、各司法書士会にお問い合わせください。

また地域によっては支部単位(渋谷支部や世田谷支部など)での相談会が開催されることもあるので、たまたま開催されていれば利用してみるのもいいかもしれません。

ただし、相談員の面談能力については個人差があり、相談員を選ぶこともできません。

依頼を前提とするのであれば、はじめから自分が信頼できると思った事務所の無料相談を利用した方がいいかもしれません。

参考

無料法律相談(WEB・面談・電話・出張)|東京司法書士会

司法書士相談窓口|神奈川県司法書士会

司法書士に依頼するとしたら、どのような司法書士に依頼すればいいですか?選ぶ時のポイントのようなものはありますか?

登記だけでなく相続全般に詳しい事務所なら安心です。

はっきり言って登記を申請する『だけ』であれば、よほど複雑なケースでなければどの司法書士に依頼しても大丈夫です。(仕事の早い遅いはあるかもしれませんが)

しかし主な依頼は不動産会社からで、相続は相続登記ぐらいしかやらないという事務所に依頼すると、相続登記に関連して気をつけるべき様々なポイントについて気付かない・アドバイスできないことがあります。

例えば、遺産分割協議書一つとっても、この分割割合では明らかに相続税が過大になる、代償分割についての文言がない、など注意すべきポイントは沢山あります。

相続全般に詳しい事務所であれば、相続登記の相談のついでに相続についての細かな疑問についても相談できます。

そこから新たな問題点が見つかることも珍しくはありません。

もちろん報酬の高い安いも大事ですが、ホームページなどで相続全般について専門性が高そうな事務所を見つけたら、そこに依頼した方が結果的に満足度は高いかもしれません。

その他の司法書士を選ぶ際のポイントについてはこちらをご覧ください。

依頼を前提として司法書士に相談する場合に必要な書類はありますか?

何もなくても大丈夫ですが、固定資産の評価証明書又は課税明細書があると費用の概算がすぐにわかります。

ご依頼をいただければ印鑑証明書以外の書類は、司法書士が取得することができるので、何も持たずに相談されても大丈夫です。

ただ、固定資産の課税明細書(毎年春頃、固定資産の納付通知書と一緒に郵送されてきます)があれば登録免許税がいくらになるかわかるので、費用の概算見積もりをその場ですぐにお伝えすることができます。

課税明細書が見つからなければ、市町村役場や都税事務所で取得できる固定資産評価証明書をお持ちいただければ大丈夫です。

また、すでに取得されている戸籍や住民票除票等についてはお持ちいただければ、相談やその後の手続きがスムーズに進みます。

各種手続きで必要なため、相談時点で亡くなった方の死亡の記載のある戸籍ぐらいはすでに取得されている方も多いでしょう。

そのほかにも

  • 不動産の権利書(登記済権利証または登記識別情報通知書)
  • 売買契約書や抵当権設定契約書
  • 遺言書

​などはお持ちいただければ相談やその後の手続きがスムーズに進みます。

ただしこれらの書類が何も無く、亡くなった方の本籍すらわからなくても、亡くなった方の氏名、最後の住所、不動産の大体の所在地、亡くなった方と相談者の関係さえわかれば、相談および手続きを進める事は可能です。

多くの事務所では、どんな書類や手続きが必要かについては相談時に一から教えてくれるので、書類が手元に無いからと言ってあまり心配する必要はありません。

逆に面倒臭がったり、戸籍は自分で集めて来て下さいなどという事務所には頼まない方がいいでしょう。

司法書士への相談の際に必要な書類についてくわしくはこちらをご覧ください。

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相続登記に関するお悩み・ご相談は相続の専門家へ!

今回の記事では相続登記を自分で申請される方のために、かなり細かい部分まで詳細かつ網羅的に解説してきました。

ごく一般的なケースであればこの記事と関連記事を読めば十分対応できると思います。

ただ、正直言ってこれでも解説しきれないイレギュラーなケースが、相続登記では普通に起こります。相続というのはそれほど人によって千差万別です。

記事を読んでなんだか難しそうだな、と感じられた方や、自分でやってみようとしたが行き詰まってしまった方は、お早めに司法書士へ相談されることをおすすめします。

当事務所は相続全般に強い相続専門の事務所なので、登記はもちろん相続についてのあらゆるご相談について対応可能です。ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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