予備的遺言がないため遺産分割協議が必要、相続人も財産も多くて大変…【予備的遺言がなく、多数の相続人による遺産分割協議が必要なケース】

遺言が古く、相続人が既に亡くなっている。予備的遺言もない…
遺言で相続する予定の妻は既に死亡、予備的遺言もない…

ご相談前の状況

お兄様が亡くなられた方からのご相談。

故人は妻に全財産を相続させる内容の公正証書遺言を遺していたが、妻は2年前に亡くなっており、予備的遺言の記載もなかったとのこと。

夫婦には子供がおらず、両親もすでに亡くなっているため相続人は兄弟姉妹と甥姪でご相談者様含めて合計10人。

故人と年齢が近い関東在住のご相談者様が代表者として動いているが、他の相続人は関西に住む方が多くやり取りするだけでも大変。

遺言書にはゴルフ会員権や非上場株式、貸金庫なども記載されており、高齢の自分の手には負えないという事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • ほとんど面識のない方を含む相続人と連絡を取り、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書に署名捺印を貰わなくてはならない。
  • 相続人が離れて暮らしているため、郵送等でのやり取りにかなり手間がかかる。
  • 遺産分割協議を行う前提として、ゴルフ会員権や非上場株式、貸金庫等含む相続財産の調査を行い、財産目録を作成して詳細を明らかにしなければならない。
  • 相続税の申告に間に合わせるため、迅速に財産調査を完了し、遺産分割協議をまとめなくてはならない。
  • 相続税の納税資金確保のため、申告期限までに金融機関の解約手続きを完了し、各相続人に分配しなければならない。

当事務所からのご提案

子供がいない夫婦の場合、自分の死後に配偶者に全財産を相続させる旨の遺言を作成することが少なくありません。

ただ、一般的に夫婦は同年代であることが多く、財産を残すはずの配偶者の方が先立ってしまうこともよくあります。

遺言書で指定された財産の取得者が先に亡くなっている場合、予備的取得者の記載(予備的遺言)が無ければ、相続人全員の遺産分割協議で財産の分け方を決めることになります。

遺言書に予備的記載がない場合、故人と親しい親族がおらず、財産の詳細を把握するのに苦労することも多いのですが、本件はその典型です。

遺言書には不動産や預貯金の他に、ゴルフ会員権や非上場株式、貸金庫などの記載があり、調査するだけでも大変な手間がかかることが予想されました。

また、兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合、人数が多い上に関係性が薄いことが少なくなく、意見を調整するのが大変です。本件のように距離的にも遠方となればなおさらです。

さらに、本件は遺産の額が高額で相続税申告が必要なため、期限内に遺産分割協議を行い解約まで行う必要があるという事情もあり、とても代表者お一人の手に負える状況ではありませんでした。

そこで、代表者の方に負担がかからないように、戸籍収集、財産調査、各相続人への連絡・意見の取りまとめ、財産の名義変更・解約及び分配、相続税の申告(税理士が担当)まで、相続手続きをまるごとサポートさせていただくことを提案しました。

このように解決しました

  • 遠方の相続人に一人ずつ連絡を取り、手続きへのご協力をお願いし、同意を貰うことができました。
  • ほとんど面識のない方については特に慎重な対応が必要だったため、書面等で丁寧に事情を説明しました。結果、無事協力してもらうことができました。
  • 遺産分割協議の前提として、不動産や金融機関の調査を行い、財産目録を作成し、相続人の皆様に開示しました。
  • ゴルフ会員権や非上場株式についても関係各所に連絡の上、状況を把握し、解約や承継手続きを行いました。
  • 貸金庫については、相続人全員の同意を得て、代表者による開扉、格納物の確認・引上げ、解約等をサポートしました。
  • 相続人間で話し合いがまとまったため、遺産分割協議書を作成し、署名捺印の手配を行いました。
  • その後の不動産の名義変更(相続登記)や、預貯金の解約、分配まで当事務所で代行させていただきました。
  • 相続税申告を担当する税理士と連携し、必要資料の収集等についてサポートしました。結果、無事期限内に申告・納税を終えることができました。
  • 代表者の方に負担が偏ることなく、公平かつ迅速に手続きを終えることができたということで、相続人様の皆様に大変ご満足いただくことができました。

担当者からのコメント

実は本件の遺言は金融機関が関与して作成された遺言であり、遺言執行者としてその金融機関が指定されていました。

しかし、予備的遺言の定めがなかったために実際に遺言執行を行うことはありませんでした。

予備的遺言とは、財産を相続させる予定の方が先に亡くなった場合に備えて、予備的に財産の取得者を定める遺言条項のことです。

本件では、予備的遺言として「遺言者より先に妻が死亡していた場合は、○○に相続させる」と記載していれば、相続人の方の負担は大幅に軽減されていたはずでした。

遺言作成の経緯は不明ですが、仮には妻以外に財産を残したい人はいないというのが遺言者の希望だとしても、遺贈寄付の提案や法定相続分で相続させる旨の提案等はあってしかるべきだったでしょう。

金融機関の担当者は必ずしも相続に精通しているわけではないので、このような結果になったものと思われます。

せっかく費用をかけて遺言を作成したのに、このケースのように全く効力を発揮しなかったのでは意味がありません。

遺言書作成の際は、相続手続きの実務に精通した専門家に相談の上、予備的遺言を含む遺言書を作成することをおすすめします。

当事務所には、これまでに多数の相続手続きをサポートした経験から、実務上不備の無い遺言書を作成するための豊富なノウハウがあります。
ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

遺言作成・遺言執行サポートについてくわしくはこちら

遺言書の失敗事例と残された人が困らない遺言書作成のポイントについてはこちら

疎遠な相続人がいる場合の相続手続きについてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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