相続人が誰もいない場合、公正証書遺言の有無を調べることはできる?【相続人不存在で裁判所へ申立てする前に公正証書遺言の検索を行うケース】

この事件の担当者

司法書士法人東京横浜事務所 代表/司法書士 田中 暢夫
開業以来相続一筋。これまでに担当した事件は1000件を超える。
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司法書士法人東京横浜事務所 代表/司法書士 田中 暢夫
開業以来相続一筋。これまでに担当した事件は1000件を超える。
ご相談前の状況
親族が亡くなられた方からのご相談。
故人には家族がおらず、相続人が誰もいないため、一番親しかったご相談者様が死後の届出を行い、預金通帳等の遺品も預かっているとのこと。
相続の処理をするために、家庭裁判所に申立てを行うことを検討しているが、故人は生前遺言書を遺すと話していたことがあり、もしかして遺言書があるかもしれないと思っている。
自宅や関係先からは遺言書は見つからず、公証役場で確認しようとしたところ、相続人ではないという事で断られたため、何とか方法はないものかということで相談にいらっしゃいました。
問題点

- 相続人がおらず遺言書もない場合、相続処理のためには相続財産清算人選任の申立てが必要になる。
- 相続財産清算人選任申立ての前提として、相続人が本当に存在しないか調査する必要がある。
- 遺言書があれば相続財産清算人の選任は不要になるため、遺言書の有無を調査する必要がある。
- 公証役場での遺言書の確認を行う場合、相続人以外からの申出が可能か、確認・調整する必要がある。
- 相続人以外が公正証書遺言の検索を行う場合、利害関係を証する資料の提出が必要になる。
当事務所からのご提案
亡くなった方に法定相続人がいない場合、家庭裁判所での「相続財産清算人選任の申立て」という手続きを経て、最終的に相続財産は国庫に帰属することになります。
本件では、一番身近な親族であるご相談者様が死亡届の提出や葬儀埋葬を行い、預金通帳等の遺品も預かっていたため、家庭裁判所への申立てを行うことを検討されていました。
ただ、故人は生前にご相談者様に財産を遺したいと言っており、実際に遺言書の作成について銀行に相談するなどしていた形跡があったという事でした。
自宅や入所していた施設からは遺言書らしきものは見つかりませんでしたが、念のため公証役場で遺言書が保管されていないか確認したいという事でした。
相続人がいない場合でも、遺言書がある場合は、その内容に従って財産を相続することができます。
そこで、裁判所に申立てを行う前提として遺言書の有無を調べるために、当事務所で公証役場に相続人以外からの請求が可能か、確認・調整を行うことになりました。
相続人以外が公証役場で遺言書を確認することはできる?
全国の公証役場では、「公正証書遺言の検索システム」を利用して、公証役場に遺言書が保管されているかどうかを確認することができます。
公正証書遺言の検索システムは誰でも利用できるわけではなく、遺言検索の申出ができるのは、法定相続人、受遺者、遺言執行者などの利害関係人に限られます。
本件では、ご相談者様が自分で公証役場で確認しようとしたところ、相続人ではないという事で断られてしまったという事でした。
この点、遺言書の有無を確認することに法律上の利害関係を有すると公証人が認めた場合は、法定相続人では無い者からの申出であっても遺言検索は認められます。
当事務所で公証役場に確認したところ、利害関係を証する資料の提出により、法律上の利害関係ある蓋然性が高いと公証人が判断できれば、認められるとの回答を得ました。
本件では、下記の事情があったため法律上の利害関係はあるものと考えられました。
- 被相続人(亡くなった方)とご相談者様は親族であり、幼少のころから長年にわたり親しい間柄であった。
- 被相続人には法定相続人がいない。
- 被相続人の死亡届の提出や葬儀埋葬はご相談者様が行い、預金通帳等の遺品も預かっている。
- 被相続人は生前にご相談者様に財産を遺したいと言っていた。
- 最終的には相続財産清算人選任の申立ても検討しているが、もし遺言書が見つかれば必要な手続きの内容が変わる可能性がある。
そこで、まずは当事務所で本当に相続人がいないか戸籍調査を行うととともに、公証人に上記事情を説明するための上申書を作成し、公正証書遺言の検索を行うことになりました。
その結果、相続人不存在で遺言書も無ければ、相続財産清算人選任の申立てをサポートさせていただくことになりました。
このように解決しました

- 相続関係の確認のために戸籍調査を行い、法定相続人が一人もいないこと確認しました。
- 公証役場に事情を説明し、利害関係人であることが疎明できれば公正証書遺言の検索が可能であるとの回答を得ました。
- 上申書(事情説明書)やその他の書類を疎明資料として提出した結果、遺言検索の申出が認められることになりました。
- 遺言検索の結果、公証役場に遺言書が保管されていないことを確認しました。
- 必要な書類を整え、家庭裁判所に相続財産清算人選任の申立てを行いました。
- 清算人として選任された弁護士と打ち合わせを行い、詳細な事情の説明や遺品の引き渡しを行うとともに、今後の流れについて確認しました。
- 特別縁故者として財産分与を受けられる可能性があったため、相続人不存在の確定後に、特別縁故者への財産分与の申立てを行いました。
- 審理の結果、申立人を特別縁故者と認め、財産の一部を分与するとの審判がなされました。
担当者からのコメント
法定相続人がおらず、遺言書もない場合、預かった遺品や相続財産を処理するためには、相続財産清算人の申立てを行う必要があります。
しかし、申立ての際は、戸籍謄本等の必要書類が必要な上、20~100万円程度の予納金を納付しなければなりません。
相続人でもないのに、手間と費用をかけてまで申立てをする方は少ないため、なかなか申立てがされないこともあるのが実情です。
正式な遺言書さえあれば、残された人が相続の処理で困ることはありません。
ただし、遺言書を遺したとしても発見できなければ意味がありません。
また、本件のように、相続人以外が遺言書の検索を行うのは難しいです。
残された人に負担をかけることなく、確実に遺言の内容を実現するためにも、遺言書の中で専門家を遺言執行者を指定しておき、遺言書謄本の保管を依頼しておきましょう。
当事務所では、相続人がいない「おひとりさま」の遺言書作成や、遺言執行・相続手続きについて数多くのサポートの実績がございます。
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