特別代理人がいる場合に親が単独取得する遺産分割はできる?【相続人の中に未成年の子供がいるが、不動産は親が単独取得したいケース】

特別代理人がいる場合、すべての財産を法定相続分で分けるべき?

ご相談前の状況

ご主人様を亡くされた方からのご相談。

相続人は奥様と未成年のお子様二人。

遺産分割協議を行うにあたり特別代理人が必要と聞いたが、不動産については今後処分がしやすいように、ご相談者様が単独で相続したいという事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 未成年者と親権者が共に相続人になる場合、遺産分割協議を行うにあたり、特別代理人の選任が必要。
  • さらに未成年者が複数いる場合は、それぞれ別々に特別代理人を選任してもらう必要がある。
  • 特別代理人が遺産分割協議に参加する場合、原則として本人(未成年者)の法定相続分の確保が必要。

当事務所からのご提案

相続人の中に未成年の方がいる場合、本人に代わって親(親権者)が遺産分割協議に参加することになります。

しかし、今回のように未成年者と親権者の両方が相続人という場合は、形式上両者の間で利害関係が対立するため、親権者は本人(未成年者)を代理することができません。

このような場合、家庭裁判所で選任された特別代理人が本人の代わりに遺産分割協議の参加することになります。

さらに、未成年者が複数いる場合はそれぞれ別の特別代理人が必要になります。

そこで、特別代理人選任のために必要な家庭裁判所での手続きについて、当事務所でサポートさせていただくことを提案しました。

遺産分割協議では未成年者の法定相続分の確保が原則必要

特別代理人が遺産分割協議に参加する場合、本人の権利保護の観点から、原則として本人の法定相続分を確保しなくてはなりません。

このため、申立て時に遺産分割協議書案を提出し、未成年者の法定相続分が確保されているか裁判所のチェックを受ける必要があります。

今回、遺産として不動産及び預貯金がありましたが、不動産については今後生活状況の変化に応じて賃貸や売却等の処分を柔軟に行えるように、ご相談者様(母親)の単独所有にしておきたいとの希望をお持ちでした。

※お子様との共有になった場合、未成年の間は親が子を代理して処分を行えますが、成人後は共有者全員の同意がなければ処分は難しくなります。

ただ、今回は遺産全体に占める不動産の割合が大きく、預貯金すべてをお子様二人に相続させたとしても、法定相続分には足りない状況でした。

この点について税理士も交えて相談したところ、ご相談者様に支払われた死亡保険金を原資として、お子様へ代償金を支払うことで、法定相続分確保の問題はクリアできそうでした。

そこで、ご相談者様(親)が不動産を単独取得する代わりに、お子様へ代償金を支払うという分割内容(代償分割と言います。)の遺産分割協議書案を裁判所に提出することになりました。

このように解決しました

  • 未成年者お二人それぞれについて、特別代理人選任の申立てを行い、問題なく選任されました。
  • 遺産分割協議には、特別代理人が参加し、未成年者の法定相続分を確保した内容の協議が成立しました。
  • 遺産分割協議書に関係者の署名捺印をいただき、その他の必要書類も整えて相続登記を申請し、無事完了しました。

担当者からのコメント

未成年者のための特別代理人選任の申立てはそれほど珍しいわけではなく、手続き自体はそれほど難しくはないかもしれません。

しかし、このケースのように未成年者の法定相続分を確保した遺産分割協議がネックになることは多いです。

財産の額やお子様の年齢にもよるでしょうが、法定相続分相当額が結構な金額になる場合は、未成年に多額の財産を渡すのはまだ早い…と考えるのも親として当然だと思います。

このような場合、裁判所に事情を説明すれば、例外的に法定相続分を下回る内容での遺産分割協議案が認められることもあります。

法定相続分を下回る内容での遺産分割協議案が認められた具体的事例はこちら

ただし、認められる条件はかなり厳しく、裁判官が納得するような事情を書面で説明しなければならないため、一般の方にはかなりハードルが高いでしょう。

また実務経験の乏しい専門家に相談すると、「法定相続分を確保した内容の遺産分割協議でなければ、家庭裁判所が認めることは絶対に無い」と言われることがあるようです。

もちろん、遺産総額や財産の種類、未成年者の年齢等によっては、法定相続分の確保が絶対必要なケースもありますが、実務経験の豊富な専門家であれば裁判所の判断基準や傾向を知っているので、認められる可能性が高いか低いかは回答できるはずです。

弁護士や司法書士という国家資格者であっても、そのすべてが相続手続きに精通しているわけではないので、相談の際は本当の意味での「専門家」を選ぶようにしましょう。

当事務所では、特別代理人の選任手続きをはじめとした相続人の中に未成年者がいる場合の相続手続きについて数多くのサポート実績がございます。

ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

相続まるごとおまかせプランについてくわしくはこちら

特別代理人選任申立ての手続きについてくわしくはこちらをご覧ください。

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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