疎遠な親族間で遠方の不動産を売却し、代金を分割したい・・・【疎遠な親族間で相続不動産を換価分割するケース】

不動産売却のために疎遠な人と連絡を取らなくてはならない…

ご相談前の状況

伯母様が亡くなられた方からのご相談。

相続人はきょうだい二人と甥であるご相談者様の3人

きょうだいのうちの一人については20年以上連絡を取っていないとのこと。

遺産については公平に分けるつもりで、自宅不動産は売却して代金を分けたいが、疎遠なため自分たちで手続きを進めるのは困難という事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 疎遠な相続人と連絡を取り、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書に署名捺印を貰わなくてはならない。
  • 不動産は売却して代金を分けたいが、居住地から不動産が遠く。売却活動のために何度も現地に出向くのは難しい。
  • 相続人同士が疎遠なため、代金の分配まで公平な第三者に任せたい。
  • 売却の前提として室内整理や庭の残置物撤去、境界確定測量等が必要。
  • 売却の前提として、戸籍等の必要書類を集めて相続人名義への相続登記を行う必要がある。
  • 取得価格が不明で高額の譲渡所得が発生しそうなので、相続不動産売却時の特例適用を検討する必要がある。
  • 家屋が古く、一般向けにそのまま売却するのは難しいので、買取業者への売却も検討する必要がある。
当事務所からのご提案

相続した不動産について、今後利用する予定がなければ、売却が有力な選択肢になります。

特に空き家の場合、固定資産税等の負担だけでなく、管理が不十分な事による周辺住民とのトラブルも予想されるので、早期の売却を検討すべきでしょう。

ただし、相続した不動産を売却するためには、前提として相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書に署名捺印を貰い、相続人への名義変更登記(相続登記)を行う事が必須です。

今回、ご相談者様ときょうだいのお一人は、一応面識はあるものの、長い間連絡を取っておらず、現在も連絡がつかない状況でした。

また、仮に連絡が取れたとしても、不動産売却を含めた遺産分割(換価分割といいます。)について話し合う際に、法律的な事項や必要な手続きについてうまく説明できるか自信が無いとのことでした。

そこで、当事務所で疎遠な相続人の方に連絡を取り、手続きについてご説明した上で、遺産相続手続きや、その後の不動産売却手続きについてご協力をお願いすることを提案しました。

また、相続した不動産を売却する際には、相続登記の他にも、室内整理・残置物撤去や測量などの様々な手続きが必要になります。

今回、相続人様は全員不動産から離れたところにお住まいで、手続きのために現地に何度も行くのは難しく、不動産会社や遺品整理業者、測量会社の当てもないとのことでした。

そこで、当事務所で相続物件に強い不動産会社と連携の上、上記の手続きを含む相続不動産の売却に必要な一切の手続きを代行・サポートさせていただくことを提案しました。

空き家売却時は要注意⁉知らないと600万円損する特例とは?

不動産を売却する際に一番関心が高いのは「どれだけ高く売れるか」でしょう。

しかし、実は「税金(譲渡所得税)の負担をいかに抑えるか」も、売却で損をしないためには同じくらい重要です。

不動産を売却した場合、取得時の価格と売却時の価格の差額(儲け・譲渡所得)に対して約20%の税金(所得税及び住民税)が課税されます。

取得費が不明な場合や取得価格が売却額の5%よりも少ない時は、売却価格の5%を取得費として計上できます。裏を返せば売却価格の95%に対して約20%の税金がかかるということです。

相続不動産の場合、取得価格が非常に低額であったり、そもそも不明なことも多いため、売却価格の95%に対して課税されるケースがかなりの割合を占めます。

例えば3,000万円で売却した場合、最大570万円もの税金がかかるので、経済的に非常に大きなインパクトがあります。

この点、実は相続した不動産が空き家の場合、一定の条件を満たした上で売却をすれば、儲けのうち3,000万円までは課税されないという特例があります。(通称空き家特例と言います。)

空き家特例の適用条件を満たした上で売却することで、税金の額は一人あたり最大600万円も安くなります。

今回は空き家特例適用の前提条件を満たしていたので、「家屋を取り壊した上で売却する*」という条件を満たせば、特例の適用を受けられそうでした。

*税制改正により、2024年以降に譲渡する場合は、売却(譲渡)後一定期間内に取り壊せば適用できることになりました。

古い建物の場合、解体費用を考えると、古家屋付土地として売却した方がいい場合もありますが、今回は解体費用を考慮しても、空き家特例の適用を受けた方が最終的な手取り金額は大きいと思われました。

そこで、まずは「引き渡し時までに建物を解体する」という条件で複数の買取業者に金額を提示してもらうことを提案しました。

そして業者による入札の結果、金額が低すぎる場合は一般向け販売に切り替えるという方針で売却活動を進めることになりました。

このように解決しました

  • 疎遠な相続人の方に、手続きについての説明と協力をお願いする内容のお手紙を出しました。結果、無事協力していただけることになりました。
  • 遺産分割協議書を作成し、各相続人様に郵送で署名捺印をいただき、売却の前提となる相続登記を完了させました。
  • その他、戸籍収集、預貯金の解約及び分配など遺産相続手続き全般についてもサポートさせていただきました。
  • 遺品整理業者や測量会社を手配し、室内整理・残置物撤去や境界確定測量を完了させました。
  • 相続物件に強い不動産会社と連携の上、複数の買取業者に買い取りを打診し、入札方式で購入希望者を募りました。
  • 入札額が納得のいくものだったため、最高額で入札した業者と早期に売買契約を締結しました。
  • 空き家特例の適用を受けるために、引き渡し時までに家屋を解体し、残代金決済を行いました。
  • 税理士をお繋ぎして、相続税の申告と売却翌年の確定申告に必要な書類を連携しました。
  • 不動産売却まで一括して代行したことで、ご相続人様の負担なく相続を終えることができ、大変ご満足いただきました。

担当者からのコメント

このケースでは、相続人同士が疎遠という事もあり、最初から相続全般のサポートを希望されていたため、特にトラブルもなく、さらには売却にかかる税金のことまで考えたご提案ができました。

しかし、疎遠な相続人の方がいる場合は、連絡を取る際の伝え方や、手続きの進め方について、十分に気を付ける必要があります。

手続きを早く進めようとするあまり、失礼な対応をしてしまった結果、手続きが頓挫してしまうというのは珍しい話ではありません。

その段階でようやく専門家に助けを求めても、いったんこじれた話を前に進めるには、かなりの手間と費用が掛かることは覚悟しなくてはなりません。

また、例え相続手続きに強いと謳っている士業等の専門家であっても、売却時の税金のことまで見据えた遺産分割や売却方法まで提案できる方はほとんどいないでしょう。

費用を節約するつもりで自分たちで手続きを進めた結果、泥沼の争いに発展したり、最終的な手残り額で損してしまったりしては元も子もありません。

相続だけではなく不動産売却にも強い専門家に任せれば、トラブルを回避できることに加え、今回のよう経済的なメリットを得られる事もあります。

疎遠な相続人との間で不動産売却を含む遺産分割が必要な方は、相続と不動産に詳しい司法書士などの専門家に、一度相談してみることをおすすめします。

当事務所では、相続手続きから不動産の売却までを一括しておまかせできる「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとしたさまざまなサービスをご提供しており、疎遠な相続人間での不動産の換価分割についても数多くのサポート実績があります。

ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

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※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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