古い証券の資料があるが口座が不明、調べることはできる?【詳細不明の株式についての調査が必要なケース】

株式の古い証券が出てきたが、どのように調べたらいいかわからない…

ご相談前の状況

お父様が亡くなられた方からのご相談。

相続人は妻と子供二人の合計3名。

遺産として自宅不動産や預貯金の他に株式があるかもしれないが、20年以上前の日付で発行された証券会社の案内書類があるのみで、最近の日付の書類は見つからないとのこと。

相続税の申告が必要なため正確に財産を把握する必要があるが、どこの口座で保有しているか、そもそも現在も保有しているかどうかもわからないという事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 株式について、昔証券会社から届いた書類はあるものの、現在も取引があるかどうかわからないため、確認する必要がある。
  • 証券会社との取引がない場合、念のためほふりの調査を行い、口座の有無を確認する必要がある。
  • 現在も保有している場合、相続税申告や遺産分割協議の資料として、残高証明書や取引履歴等を取得する必要がある。

当事務所からのご提案

亡くなった方が株式等の有価証券をお持ちだった場合、証券会社等に連絡を取り相続手続きを行う必要があります。

また、相続税の申告が必要な場合は、残高証明書や取引履歴(総勘定元帳)などの資料を請求する必要もあります。

野村証券や大和証券などの証券会社の口座で株式等をお持ちの場合、少なくとも年に一回は「取引残高報告書」等の書類が届きます。

それらの書類があれば、どこの証券会社に口座を持っていたかはすぐにわかります。

ところが、このケースのように手元に古い資料しかない場合、株式保有の有無や口座の特定に非常に苦労することがあります。

すでに口座を解約済みという可能性もありますが、株式を保有していても、いわゆる端株(単元未満株)として信託銀行等の口座で管理されているケースもあるからです。

今回、まずは古い書類の発行元の証券会社に照会をかけてみたところ、該当する口座はないとの回答を受けました。

そこで、次の段階として、国内のすべての上場株式等の振り替えを行う「ほふり」(証券保管振替機構)の調査を行い、故人名義の証券口座の有無を確認することを提案しました。

詳細不明の株式を調べる方法、ほふりの調査とは?

2009年の株券電子化までに証券保管振替機構(ほふり)に株券が預託された株式については、現在、ほふり及び証券会社の口座で管理されています。

一方、電子化までに株券が預託されなかった株式については、株主名簿を管理する信託銀行等が開設した「特別口座」で管理されています。

そして単元未満株(端株)は通常株券が発行されないため、電子化までにほふりに預託されず、現在も信託銀行等の「特別口座」で管理されているケースが多いのです。

証券会社に口座を持っていなくても、「特別口座」のみ持っているケースもあれば、同じ人が保有する同銘柄が、証券会社の口座と「特別口座」で分かれて菅理されているケースもあります。

これらの口座の有無については、各証券会社や信託銀行に一つ一つ問い合わせることでも確認可能ですが、国内の証券会社すべてを総当たりするのは現実的ではありません。

そこで、別の方法としてほふりに故人の情報開示請求を行うという方法があります。

ほふりは国内のすべての上場株式等の振り替えを行っているので、情報開示請求を行えば、その方が国内に保有している証券口座を一度に把握できます。

特に相続税の申告が必要な場合、財産の記載漏れがあると税務調査等の対象になりやすいので、故人が亡くなった時点で一つでも証券口座をお持ちの場合は、念のためほふりの調査を行っておくべきです。

そこで今回も、当事務所でほふりの調査を代行させていただくことになりました。

また、お忙しい相続人の皆様に代わって、不動産や預貯金その他の財産調査や遺産分割協議書の作成、名義変更手続きなどの相続手続き一式を行う事になりました。

このように解決しました

  • ほふりに情報開示請求を行い、故人名義の口座が存在しないか調査を行いました。
  • 調査の結果、ある信託銀行の特別口座が存在することが判明したため、信託銀行に対して、残高証明書等の請求を行いました。
  • 不動産や預貯金その他の財産についても調査を行い、遺産分割協議及び相続税申告に必要な準備を整えました。
  • 遺産分割協議成立後、遺産分割協議書の作成及び手配を行い、税理士に連携の上、相続税申告を完了させました。
  • 株式については、手続きに必要な書類を整え、相続人名義の口座への移管手続きを行いました。
  • その他当事務所で戸籍収集、預貯金の解約及び分配、不動産の名義変更等を代行しご相続人様のご負担なく相続手続きを完了できました。

担当者からのコメント

亡くなった方が株式や投資信託をお持ちだった場合、特に慎重に調査を行う必要があります。

というのも、上場株式については本人も認識されていない口座をお持ちのケースがよくあるからです。

上場株式については2009年の株券電子化に伴い、原則すべての株式を証券会社(野村証券や大和証券など)の口座で管理することになりました。

ところが、株券電子化前にほふり(証券保管振替機構)に株券を預託されなかった株式については、信託銀行等に開設された「特別口座」で管理されている場合があります。

この特別口座で管理されている株式は単元未満株(端株とも言います)であることが多く、株主総会の招集通知等の郵送物が一切届かないこともあるため、その存在に気付きにくいのです。

しかし、単元未満株についても相続手続きは必要ですし、相続税申告が必要な場合は課税対象財産になるため、漏れのないよう調査を行う必要があります。

ほふりに情報開示請求を行うことで、漏れのないよう調査することが可能なのですが、普通の方には慣れない手続きとなるため、負担となるかもしれません。

自分たちだけでは手に負えそうにないという場合は、相続手続き全般に精通した司法書士などの専門家にお早めに相談することをおすすめします。

当事務所では、ほふりの調査をはじめとした株式・投資信託等の調査や相続手続きについて多数のご相談・ご依頼をいただいております。

ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

面倒な相続手続きをまるごとおまかせしたい方はこちら

株式や投資信託等の相続手続きについてくわしくはこちらをご覧ください。

ほふりの調査についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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