不動産の共有者の相続人が不明・・・調べることはできる?【血縁関係のない不動産共有者の相続人調査が必要なケース】

血縁関係のない不動産共有者の相続人を調べることはできる?

ご相談前の状況

お父様が亡くなられた方からのご相談。

相続人はお母様とお子様二人の合計3名。

お父様の単独名義だと思っていた不動産について、亡くなった後に登記簿を確認したところ、実はかなり前に亡くなったご祖父様(亡父の父)の後妻との共有名義であることが発覚したとのこと。

現在の相続人が誰であるかまったく見当もつかないという事で、お父様の相続手続きの件も含めてご相談にいらっしゃいました。

問題点

  • すでに亡くなっている不動産の共有者について、現在の相続人を確認して名義変更の交渉等を行いたいが、相続人にまったく心当たりがなく、調査する方法もわからない。
  • 自分たちや後の世代が困らないように、父名義の不動産持分と預貯金等についてはしっかりと相続手続を行っておきたい。

当事務所からのご提案

亡くなった方名義の不動産を調査したところ、実はその親やその前の世代から名義変更しないままになっていたというケースは珍しくはありません。

このような場合、まず戸籍を取得して名義人の方の相続関係を調査しなくてはなりません。

その後戸籍で確認した現在の相続人全員に連絡を取り、遺産分割協議書へ署名捺印をもらい、印鑑証明書を提出してもらう事で名義変更が可能になります。

こう書くとそれほど難しくなさそうに聞こえるかもしれませんが、亡くなったのが数十年前だったりすると、その間に次々と相続が発生していることがあります。

相続人が数十人(時には100人を超えることも!)になったり、さらにその中で連絡が取れない方や行方不明の方がいたりすることも多く、実際にはかなり大変な作業です。

手続きのための膨大な手間と費用がネックとなり途中で頓挫してしまうケースも少なくありません。

とは言え、相続人を確定させるために必要な戸籍については、亡くなった方の相続人であれば時間さえかければ収集することが可能です。

相続登記のためという正当な理由があれば、関係者の戸籍を請求することができるからです。

血縁関係のない不動産共有者の相続関係を調べることはできる?

ところがこのケースでは、ご相談者様一家は亡くなった共有者の方の相続人ではありませんでした。

ご祖父様の後妻と亡くなったお父様は同居して親子同然に暮らしていたものの、養子縁組はしていなかったので、戸籍上はあくまで赤の他人となります。

そうなると相続登記のために必要という理由では戸籍を取得することはできません。

当初、相続関係の調査は難しいかと思われたのですが、ヒアリングの結果、実はお父様はこの事実を把握しており、「後妻の相続人が全員亡くなった後は、共有持分は自分たち家族のものになるから大丈夫。」と言っていたのを生前奥様が聞いたことがある、という事実が判明しました。

確かに、相続人が一人もいない場合、所定の手続きを踏めば、共有物については他の共有者が取得できる可能性があります。(民法第255条)

そこで、相続人が本当に誰もいなかった(全員死亡していた)場合には、相続財産管理人選任の手続きを経て共有持分をお父様の相続人に帰属させることを視野に入れ、当事務所で共有者である後妻の戸籍を取得し、相続関係の調査を代行することを提案しました。

このように解決しました

  • 10を超える役所に請求を行い、50通以上の戸籍を取得し、相続関係を調査しました。
  • 踏査の結果、共有者である後妻には現在も生存している相続人が複数名いることが判明しました。
  • 相続人がいるため、共有者への財産帰属による名義変更はできないことがわかりましたが、自分ではとてもできなかったという事で、調査結果には満足していただけました。
  • 共有状態の解消については、どのような解決方法があり、今後どうしていくのがベターかをアドバイスさせていただきました。
  • お父様の相続手続きについては、戸籍収集から、遺産分割協議書の作成、相続登記や金融機関の解約までを一括して代行させていただき、滞りなく完了させることができました。

担当者からのコメント

不動産の名義が、大昔に亡くなった方のまま放置されているというケースは珍しくありません。

このケースのように相続人調査すら難しいというのはさすがに稀ですが、名義人が自分の直系尊属(祖父母や曽祖父母など)であっても、亡くなってから時間が経っていれば膨大な量の戸籍の収取が必要となります。

調査の結果判明した相続人に一人ずつ連絡を取るのにも大変な労力を要することになります。

後の世代に迷惑をかけないためにも、相続が発生したら、すみやかに登記の専門家である司法書士に相談の上、相続登記を済ませておくべきです。

また、このケースでは実の親子同然に暮らしていたにもかかわらず、戸籍上は赤の他人だったため相続することができないという大変残念な結果を招くことになってしまいました。

このような結果を防ぐためには、後妻とお父様が養子縁組をしておくか、お父様に不動産を遺贈する旨の遺言を遺しておけばよかったのです。

ただし、養子縁組や遺言のような生前対策は、方法を誤ると効果がないばかりか、かえってトラブルの原因になってしまう事さえあります。

どの方法が適切かはそれぞれの家族事情等によって異なりますので、生前の相続対策をお考えの方は、法律面だけでなく、相続実務にまで精通した司法書士などの専門家に相談の上で実行することを強くおすすめします。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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