故人の借金はあるが実家を売れば完済できるかもしれず悩ましい…【実家不動産の売却価格次第で相続放棄するか判断するケース】

この事件の担当者

司法書士法人東京横浜事務所 代表/司法書士 田中 暢夫
開業以来相続一筋。これまでに担当した事件は1000件を超える。
この事件の担当者

司法書士法人東京横浜事務所 代表/司法書士 田中 暢夫
開業以来相続一筋。これまでに担当した事件は1000件を超える。
ご相談前の状況
お父様が亡くなられた方からのご相談。
相続人はお子様3人。
母とは離婚済みで、亡父とは長年音信不通の状態。
財産の詳細も不明なため家探しをしたところ、自動車ローンがある他、多数の督促状が見つかったため、現預金や自動車等より借金の方が大きい可能性が高いとのこと。
ただ、父の持ち家である実家は、小さく、築年数も古いとはいえ立地は悪くないので、売却すればいくらかのお金にはなるかもしれないとも考えている。
他の親族に迷惑をかけないようにできれば相続した上で借金を清算したいが、債務の総額も不動産の価値も不明で、相続すべきか相続放棄すべきかの判断が難しいという事で相談にいらっしゃいました。
問題点

- 故人にはカーローンやカードローンの他、消費者金融からの借り入れもあるため、他の債権者からの借り入れを含め、債務の全容を調査する必要がある。
- 税金の滞納もあると思われるため、役所等に問い合わせの上、滞納額を確認する必要がある。
- 預貯金や不動産等のプラスの財産の調査も行い、相続しても赤字にならないか検討する必要がある。
- 万が一、返済できないほど債務の額が大きい場合は、相続放棄も視野に入れる必要がある。
- 調査に時間がかかる場合、相続放棄の3か月の熟慮期間を延ばす手続きを行う必要がある。
- 自動車については、買取業者に査定を取る必要があるが、遠方のため現地に行くのが難しい。
- 相続する場合は、自動車についてディーラーや信販会社と調整の上、カーローンの返済や所有権解除手続き等を行う必要がある。
- 実家不動産については、一般向けに売り出すのは難しいので、買取業者に打診して確実に買取可能な金額を出してもらう必要がある。
当事務所からのご提案
亡くなった方に借金等の債務があり、預貯金等のプラスの財産を上回りそうな場合は相続放棄を検討すべきです。
ただ、預貯金等以外に不動産がある場合は売却すれば借金を完済した上で、手元にお金を残せる可能性もあります。
プラスの財産とマイナスの財産について正確な金額を把握したうえで、相続するか相続放棄するかを判断するのが最善策ですが、本件のように故人と疎遠だった場合は正確な金額の把握が難しいことが多いです。
このケースでは、亡くなった方と長年音信不通だったこともあり、当初は借金を背負うことを避けるため相続放棄することを検討されていました。
しかし、子供たち全員が相続放棄すると親戚に相続権が移ることになるため、できれば迷惑をかけないようにしたいとも考えておられました。
そこで、当事務所で財産と債務の調査を行い、その全容を把握するとともに、不動産と自動車については、買取業者に見積もりを取り、買取金額を提示してもらう事を提案しました。
また、調査の結果プラスの財産より借金等の債務が大きく、赤字になる場合は相続放棄する方針でしたが、本件では故人の生活状況が不明という事もあり、調査に時間がかかることが予想されました。
相続放棄は「相続開始を知った日から3か月以内」に行わなければならず、調査に時間がかかるとこの期限を過ぎてしまう恐れがあります。
そこで、財産・債務の調査と並行して、当事務所で相続放棄の3か月の期限を延ばす手続き(相続放棄の熟慮期間伸長の申立て)を行うことになりました。
税金の滞納により自宅に差押登記が…このままでは売却できない?
ご依頼をいただいてから、当事務所で調査を開始したところ、新たな問題が発覚しました。
実は、税金(固定資産税、住民税等)の滞納により、実家不動産に地方自治体(○○市)の差押登記が入っていたのです。
差押登記が入ったままでは、第三者に売却することはできません。
また、そのまま放置するといずれ公売*の手続きが開始され、不動産が売却されてしまう可能性があります。
*公売…税金を滞納した人の財産を国や自治体が直接差し押さえ、一般の人に売却する手続き。
一般的に公売での売却価格は市場価格より安くなるため、税金は清算できたとしても他の債権者への返済が難しくなる可能性があります。
このよう場合、第三者への売却代金から滞納税金を全額納付する代わりに差押登記を解除(抹消)してもらうという方法(任意売却)があります。
国や自治体としても、公売の手続きは面倒なため、確実に全額を納付できるという保証があれば任意売却に応じてくれます。
担当部署に打診したところ、納付や差押解除についての調整は必要になるものの、間に司法書士である当事務所が入るという事もあり、全額納付できる見込みであれば問題ないとのことでした。
そこで当事務所で、他の債権者からの借り入れと併せて、延滞税含む滞納額を把握し、相続することとなった場合は、実家不動産の任意売却に向けて自治体との調整を進めることになりました。
このように解決しました

- 戸籍等の必要書類を収集の上、信用情報機関3社に被相続人の個人情報の開示請求を行いました。
- 役所の担当部署に連絡し、滞納中の税金について確認を行いました。
- 金融機関に残高証明書を請求し、現在の残高の確認を行いました。
- カーローンについては、ディーラーに連絡し、現在の所有権の状態とローン残高の確認を行いました。
- 複数の自動車買取業者に査定を依頼し、買取金額の見積もりを取得しました。
- 実家不動産については、自社買取可能な不動産業者に打診し、買取金額の見積もりを取得しました。
- 財産・債務の調査に時間がかかることが予想されたため、家庭裁判所に相続放棄の熟慮期間伸長の申立てを行い、期間延長が認められました。
- 信用情報調査や関係各所への確認の結果、債務調査が完了し、不動産や自動車を売却すれば完済できることが判明しました。
- 相続することが決まったため、遺産分割協議書を作成し、売却の前提として必要な相続登記を行いました。
- ご相続人様から不動産売却代理の委任を受け、現状有姿、契約不適合責任免責、という条件で買取業者と売買契約を締結しました。
- その後、代金決済及び引き渡しについても立ち会いを行い、売買に伴う所有権移転登記も代行しました。
- 差押登記については、担当者と調整の上、売却代金から滞納額全額を納付し、所有権移転登記の前に解除してもらうことができました。
- 自動車については、ディーラーや信販会社と調整の上、ローンの返済及び所有権解除手続きを行った上で、買取業者に売却しました。
- その他、金融機関の解約や各債権者への返済手続きも代行し、残った現預金を相続人様に分配しました。
- 当事務所の費用を含めても、赤字にならずに手続きを完了させることができたため、ご相続人の皆様に大変お喜びいただけました。
担当者からのコメント
亡くなった方と長年音信不通で、財産や債務の詳細が不明な場合は、迅速かつ慎重な対応が求められます。
財産や債務の調査を行い、赤字になる場合は相続放棄をするのが基本ですが、普通の方が3か月という相続放棄の期限内に調査を完了させるのは困難でしょう。
また、本件のように債務があるが不動産を売却すれば完済できるかもしれない場合は、残置物撤去や引き渡し期限などの条件面も含め、不動産会社との調整が必要になるため、より困難を極めます。
万が一にも借金を負いたくないという事であれば、債務調査や不動産の価格調査をせずに相続放棄するという選択肢もあります。
しかし、相続放棄すると他の相続人に相続権が移ることになるため、自分の親のことで、おじ・おばやいとこ等の親戚に迷惑をかけてしまう可能性があります。
あるいは、相続放棄した後で不動産が思ったより高く売れそうなことが判明しても、相続放棄を取り消して相続することはできません。
きちんと調査をしなかった結果、多額の借金を抱えることになるというのは最悪の事態ですが、逆に相続しなかったために悔いが残る結果になることもあり得ます。
疎遠な相続人が無くなり、借金があるが実家不動産を売れば完済できるかもしれないという方は、相続の専門家に相談の上、しっかりと調査を行ったうえで、相続するかどうかを慎重に判断することをおすすめします。
当事務所では、亡くなった方の債務の調査や不動産の売却を含めて、面倒な相続手続きをすべておまかせいただける「相続まるごとおまかせプラン」等、様々な相続サポートをご提供しております。
ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。
信用情報の調査方法についてくわしくはこちら

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