行方不明の相続人がいる場合に不動産を売却するには?【不在者財産管理人を選任した上で不動産の売却を行うケース】

行方不明の相続人がいて、相続不動産を売却できない!
行方不明の相続人がいて、相続不動産を売却できない!

この事件の担当者

司法書士法人東京横浜事務所 代表/司法書士 田中 暢夫


開業以来相続一筋。これまでに担当した事件は1000件を超える。

この事件の担当者

司法書士法人東京横浜事務所 代表/司法書士 田中 暢夫


開業以来相続一筋。これまでに担当した事件は1000件を超える。

ご相談前の状況

ご両親が相次いで亡くなられた方からのご相談。

相続人はお子様3人

相続人であるご兄弟の一人は、数年前に失踪しており、現在も音信不通でどこにいるかもわからないとのこと。

主な遺産である自宅マンションは売却して代金を分ける事を考えているが、行方不明者がいる状況でどのように遺産分割や売却手続きを進めていいかわからず、困り果てて相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 遺産分割協議や預金解約等の相続手続きには、原則として相続人全員の同意が必要。
  • 相続人の中に行方不明の方がいる場合、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらう必要がある。
  • 不在者財産管理人が遺産分割協議に参加する場合、分割内容について家庭裁判所の許可を得る必要がある。
  • 不動産を換価分割する場合は、売却の妥当性含めて家庭裁判所の許可を得る必要がある
  • 不在者の相続分含めて売却するには、不在者財産管理人と協力して売却を進める必要がある。
  • 不在者財産管理人との調整が必要なため、不動産の売却や財産の分配も含めて公平な第三者に任せたい。

当事務所からのご提案

亡くなった方の預貯金等の解約や不動産の名義変更などの相続手続きを進めるにあたっては、原則として相続人全員による遺産分割協議を行う必要があります。

行方不明の相続人がいるからと言って、その方を除く相続人で協議を行っても、遺産分割協議自体が無効になります。

このケースでは、行方不明のご兄弟は数年前から姿を消しており、警察にも相談済でしたが、住民票を移した形跡もなく、今どこにいるか見当もつかないとのことでした。

このような場合、行方不明者に代わって「不在者財産管理人」という代理人が遺産分割協議や相続手続きに参加することになります。

不在者財産管理人には不在者の財産管理という重要な役割があり、責任も重いため、家庭裁判所に申立てをして、弁護士等の専門職を選任してもらう必要があります。

そこで当事務所で、申立てに必要な戸籍等の収集や相続財産の調査を行い、不在者財産管理人の選任申立て及びその後の相続手続きを一貫してサポートさせていただくことを提案しました。

行方不明の相続人がいる場合に故人の不動産を売却するには?

このケースでは、ご両親の自宅であるマンションについては、数年間空き家状態であり、今後お子様たちが住む予定もないという事で、売却して代金を分ける事を検討されていました。

行方不明の相続人がいる場合に、故人名義の不動産を売却するためには、一般的には下記の手順を経る必要があります。

  • 家庭裁判所で不在者財産管理人の選任申立てを行う。
  • 選任された不在者財産管理人と他の相続人全員で遺産分割協議を行う。
  • 不在者財産管理人が遺産分割を行うことについて、家庭裁判所から権限外行為の許可を得る。
  • 遺産分割協議の内容に従い、不動産の名義変更(相続登記)を行う。
  • 不動産の売却手続きを行う。

実務上は上記③がポイントで、事前に家庭裁判所に遺産分割案を提出した上で許可を求めることになりますが、この遺産分割案は、不在者の法定相続分の確保が求められます。

そのため、不在者の法定相続分相当の金融資産がない場合は、不動産を売却した上で代金を分ける換価分割の方法によることになります。

本件でも預貯金は少ない一方で、自宅マンションは売却すれば数千万円にはなりそうだったので、売却して代金を分ける予定でした。

換価分割の場合、不動産を売却すること含めて裁判所の許可が必要になるため、不在者財産管理人と密に連携して売却金額や条件等について調整を行う必要があります。

そこで、ご相続人様の負担にならないように、当事務所で不在者財産管理人との調整を行い、不動産の売却や代金の分配まで対応させていただくことになりました。

このように解決しました

  • 相続関係及び不在者の所在調査のため、戸籍謄本等の収集を行いました。
  • 家庭裁判所への申立てを行う準備として、相続財産の調査を行い、財産目録を作成しました。
  • その他必要書類一式を整え、家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てを行いました。
  • 不在者財産管理人として選任された弁護士と連絡を取り、遺産の分け方や分配方法につていの確認・調整を行いました。
  • 相続物件に強い不動産会社の協力のもと、指名入札方式により購入希望者を募りました。
  • 最高額で入札した不動産事業者から買付証明書を取得し、管理人弁護士に連携しました。
  • その他売却の条件や時期についても管理人弁護士と調整を行い、売却について家庭裁判所の許可を得られる見込みであることを確認しました。
  • 遺産分割について裁判所の許可が出た後に遺産分割協議書を作成し、署名捺印の手配を行いました。
  • 最高額で入札した業者と売買契約を締結し、残置物撤去など引き渡しに向けての準備を整えました。
  • 代金決済・引き渡しまでに間に合うように相続登記を完了させました。
  • 買主の了承のもと、代金決済時の立会い及び所有権移転登記についても、当事務所の司法書士が担当させていただきました。
  • 相続手続きや売却にかかった経費等の精算も行い、不在者財産管理人及び各相続人への売却代金の分配を行いました。
  • その他預貯金の解約等を含む相続手続きも一貫して代行させていただき、迅速かつ公平に完了させました。

担当者からのコメント

相続人の中に行方不明の方がいる場合、通常に比べて手続きはかなり複雑になります。

特に本件のように遺産である不動産を売却して分ける場合は、売却価格の妥当性について裁判所の許可を受ける必要があるため、不在者財産管理人との間でかなり細かい調整が必要になります。

相続だけではなく、不動産の売却についても知識や経験を求められるため、一般の方はもちろん、専門家であっても不動産関係の人脈の乏しい人には難しいでしょう。

また、行方不明になってからの年数によっては不在者財産管理人の選任ではなく、失踪宣告などの別の手続きを検討すべきケースもあります。

相続に強いとうたっている専門家の中でも、行方不明の方がいる場合の相続手続きや、不動産の売却にまで精通している人は多くはありません。

不慣れな専門家に依頼してしまうと手続きが途中で停滞することもあるので、相続人の中に行方不明の方がいる場合、相続手続きの経験豊富な専門家に相談することを強くおすすめします。

また、残された方に負担をかけないためにも、推定相続人の中に行方不明の方がいる場合は、必ず遺言書を作成しておきましょう。

当事務所では、不在者財産管理人の選任や、失踪宣告が必要なケースなど行方不明者がいる場合の相続手続きについて数多くのサポート実績がございます。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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