相続した不動産に昔の仮登記が残っていた!売却も決まっているのにどうする?【昔設定されたままの仮登記を大至急抹消したいケース】

相続した不動産に昔の仮登記が残っていた!このままでは売却できない…
相続した不動産に昔の仮登記が残っていた!このままでは売却できない…

この事件の担当者

司法書士法人東京横浜事務所 代表/司法書士 田中 暢夫


開業以来相続一筋。これまでに担当した事件は1000件を超える。

この事件の担当者

司法書士法人東京横浜事務所 代表/司法書士 田中 暢夫


開業以来相続一筋。これまでに担当した事件は1000件を超える。

ご相談前の状況

御祖母様から不動産を相続された方からのご相談。

相続した実家不動産は売却する予定で相続登記は完了しており、すでに売買契約も締結済みで2か月後には代金決済・引き渡し予定という状態。

そのため当初は当事務所では、売却に伴う所有権移転登記を担当する予定でした。

しかし、登記簿を確認したところ、50年近く前に設定された所有権移転請求権仮登記が残ったままであることが判明。

仮登記が残ったままでは第三者へ売却はできないため、急遽仮登記抹消手続きについても当事務所が対応することになりました。

問題点

  • 相続した実家不動産に所有権移転登記仮登記が設定されているが、心当たりがない。
  • 売買契約で売主の責任として定められているため、2か月後の決済日までに仮登記を抹消しなければならない。
  • 仮登記は50年近く前に設定されているため、仮登記名義人に相続が発生している可能性が高い。
  • 仮登記名義人に相続が発生していた場合、戸籍謄本を収集して現在の相続人を確定する必要がある。
  • 面識がない仮登記名義人の住所を調べて連絡を取り、仮登記抹消手続きの協力をお願いする必要がある。
  • 仮登記名義人と連絡が付かない場合や協力を拒否された場合、訴訟手続き等が必要になるが、長期化すると売買の話が流れてしまう可能性がある。

当事務所からのご提案

亡くなった方がお持ちの不動産に仮登記が設定されている場合、相続登記とあわせて仮登記を抹消しておくべきです。

通常、不動産の売買契約では「売主は、本物件の引き渡し時(所有権移転時期)までに、抵当権や仮登記等の、買主の完全な所有権の行使を阻害する一切の負担を消除する。」と定められています。

そのため、仮登記が残ったままでは、事実上第三者への売却はできません。

したがって今すぐ売却する予定がなくても、相続のタイミングで仮登記の存在に気付いたら、将来困らないように可能な限りすみやかに抹消しておくべきです。

もちろん仮登記が今でも有効なもの(=実体のあるもの)であれば抹消することはできません。

しかし、一般的に数十年前に設定された所有権に関する仮登記はすでに実体が無く、抹消すべきタイミングで抹消していなかったケースが多いです。

本件では、仮登記の登記原因が「売買予約」となっていることから、当時何らかの金銭のやり取りがあった可能性もありましたが、登記記録から読み取れる下記の事情からすでに仮登記は実体のないものであると考えられました。

  • 仮登記設定から約15年後に相続を原因として、ご相談者様の御祖母様へ所有権が移転している。
  • 登記原因の日付から50年近く経過しているため、時効の中断(更新)事由がなければ、売買予約契約に基づく予約完結権は時効により消滅している。

実体のない仮登記であれば、本来もっと早く抹消しておくべきでしたが、ご相談者様の御祖母様が相続した時点では抹消されず、さらに今回の相続登記を担当した(当事務所とは別の)司法書士からも、特に仮登記についてアドバイス等はなかったとのことでした。

すでに実体が無い仮登記であっても、売買契約で定められている以上、抹消しなければ引き渡し(買主への所有権移転)ができません。

引き渡しできないまま時間が過ぎれば、違約金の支払い義務が生じる可能性や、最悪の場合契約解除となる可能性があります。

そこで、まずは当事務所で決済日までの2か月の間に仮登記を抹消することができそうか検討し、できるだけ間に合うように大至急対応することになりました。

心当たりのない仮登記を抹消するにはどうすればいい?

仮登記を抹消する場合、仮登記名義人に協力して貰い、所有者と共同して抹消登記を申請するのが原則です。

もし仮登記名義人に任意に協力して貰えない場合、時効を主張して仮登記抹消登記請求訴訟を提起し、認容判決を得た上で単独で抹消登記を申請することが考えられます。

しかし、訴訟の場合、被告欠席・答弁書提出書なしのケースでも提訴から判決確定まで2か月以上はかかるため、事前調査・準備期間も含めると決済日までには間に合いません。

ご相談者様に確認したところ、仮登記に心当たりはないが、仮登記名義人の名字からすると自分たちの親戚にあたる方かもしれないとのことでした。

親族の方であれば、きちんと事情を説明さえすれば、快く協力してくれる可能性もあります。

ただ、本件では仮登記が設定されたのが50年近く前のため、すでに仮登記名義人の方が亡くなっている可能性も高そうでした。

そこで、当事務所で仮登記名義人の生死及び相続関係を調査し、場合によっては相続人の方の現住所を調査して抹消手続きへの協力をお願いする手紙を出すことを提案しました。

このように解決しました

  • 仮登記名義人の戸籍を調査したところ、やはりすでに亡くなっていることが判明しました。
  • 仮登記名義人の相続に関するすべての戸籍を収集し、相続関係を確定させました。
  • 現在の相続人2名はご相談者様の親族にあたる方でしたが、面識がないとのことでした。
  • 面識のない相続人の方の、戸籍の附票を取得して現在の住所を確認しました。
  • 面識のない相続人の方に、丁寧に事情を説明し、抹消手続きへの協力をお願いする手紙を出しました。
  • 手紙を読んだ相続人の方から連絡があり、より詳しく経緯を説明した結果、無事手続きに協力して貰えることになりました。
  • 仮登記抹消登記に必要な書類を作成し、相続人の方から署名捺印いただくとともに印鑑証明書をご提出いただくように手配をしました。
  • 決済日まで時間が無かったため、仮登記抹消登記と売買に伴う所有権移転登記を連件申請する形で対応し、無事に決済が完了しました。
  • 当初の予定通りの日程で決済が完了したため、ご依頼者様に大変お喜びいただけました。

担当者からのコメント

相続した不動産に、昔設定された所有権に関する仮登記が残ったままという事はたまにあります。

仮登記はその仕組み自体が一般の方にはなじみのないものであり、自分で相続登記を行った場合、登記簿を確認していたとしても、見落としてしまうのは仕方ありません。

しかし本件では

  • 相続登記申請時の司法書士による確認 
  • 売買契約締結前の不動産会社担当者による確認

という少なくとも2段階で専門家や関係者により登記簿が確認されたにもかかわらず、仮登記の存在が見落とされていました。

登記の専門家ではない不動産会社はともかく、司法書士が登記簿を確認しながら仮登記に気付かない、あるいは気付いたにも関わらず依頼者に確認をしないというのは失態というほかありません。

相続登記を担当した司法書士が仮登記について適切なアドバイスをしていれば、決済日が決まる前に抹消できていたはずです。

とは言え、仮登記に気付いたとしても、十分な経験のない司法書士では、適切な対応を選択できないことや対応に時間がかかることもあり得ます。

相続に精通した司法書士であれば、相続登記の依頼を受けた段階で登記簿をしっかり精査するので、仮登記抹消等の他に必要な手続きについても適切なアドバイスやサポートを受けることが可能です。

特に相続した不動産の売却を考えている場合は、売却の際に不都合が生じないように、お早めに「相続に強い」司法書士に相談することをおすすめします。

当事務所では、面倒な相続手続きをすべておまかせいただける相続まるごとおまかせプラン等のサービスを提供しており、相続不動産の仮登記抹消に関しても数多くの実績とノウハウがあります。
ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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