子なし夫婦の相続、登記しない間に相続関係が複雑化し行方不明者まで…【相続関係が複雑な上に長期間行方不明の相続人がいるケース】

この事件の担当者

司法書士法人東京横浜事務所 代表/司法書士 田中 暢夫
開業以来相続一筋。これまでに担当した事件は1000件を超える。
この事件の担当者

司法書士法人東京横浜事務所 代表/司法書士 田中 暢夫
開業以来相続一筋。これまでに担当した事件は1000件を超える。
ご相談前の状況
亡くなった兄夫妻の自宅の名義変更についてのご相談。
先に死亡した義姉名義の自宅の土地について、名義変更をしないまま先日兄が亡くなってしまったという状況。
兄夫妻には子供がいないため、義姉の相続人は兄弟姉妹や甥姪等になるが、親族に確認したところ、その中には長い間音信不通で生死不明な方もいるとのこと。
ただでさえ相続人の数が多くて大変な上、音信不通の相続人への対応まで必要という事になると、とても自分の手には負えないということで相談にいらっしゃいました。
問題点

- 相続発生から時間が経っており、相続人のうち何人かは亡くなっているため、現在の相続人が誰か正確にはわからない。
- 現在の相続人が誰かを確定するために、膨大な数の戸籍を取得し、相続関係を確認する必要がある。
- 相続人の中にはほとんど交流の無い方も多く、高齢者や遠方在住の方も多いため、自分で連絡を取り、説明するのは大変な負担になる。
- 遠方在住の相続人も多いため、必要書類に署名捺印を貰うのに手間がかかる。
- 音信不通の相続人に関しては、郵送等による所在調査を行う必要がある。
- 所在調査を行っても行方がわからない場合、相続手続きを進めるには家庭裁判所に申立てを行う必要がある。
- 行方不明の状況によっては、失踪宣告の申立てを行うことになる。
当事務所からのご提案
だいぶ前に亡くなった方名義の不動産の名義変更をしようとしたところ、新たな相続の発生により相続関係が複雑化してしまっていた、というのはよくある話です。
本件でも、相続登記がされないまま10年以上が経過しており、現在の相続人が何人いるかもわからない状況になっていました。
また、義姉側の親戚に聞いてみたところ、義姉の兄弟の一人とは長年連絡が途絶えており、年齢的に考えても亡くなっているかもしれないが、正確にはわからないということでした。
今後消息不明の相続人の調査を行っても生死や所在が見つからないということであれば、相続手続きを進めるためには家庭裁判所に次のいずれかの申立てを行う必要があります。
- 不在者財産管理人選任の申立て
- 失踪宣告の申立て
どちらを選択すべきかは行方不明の状況等によりますが、本件では行方不明になってから長期間経過しているため、②の「失踪宣告の申立て」の方が適していると思われました。
行方不明者を法律的に死亡したものとみなす「失踪宣告」とは
失踪宣告とは、長期間生死が不明な人について、家庭裁判所の審判により法律上「死亡したものとみなす」制度です。
失踪宣告の審判確定後、市区町村役場に失踪届を提出することで不在者(行方不明者)の戸籍に死亡とみなされた旨が記載されます。
これにより相続関係が確定するため、相続登記などの手続きを進めることができるようになります。
失踪宣告が認められるためには、単に行方不明であるというだけでは足りず、7年以上生死不明の状態が続いている場合に限り認められます(戦争・震災などの危難時の生死不明は1年以上)
本件では、下記の状況から不在者は生死不明の状態が7年以上継続していると言えそうでした。
- 不在者の住民票及び戸籍の附票は抹消(職権消除)されており、住民登録上の現住所を追うことができない。
- 不在者の本籍地には不在者の住民登録はなく、実際に住んでもいない。
- 不在者と親族が最後に連絡を取ってから、少なくとも20年以上経過しており、現在に至るまで音信がない。
- 不在者は、生きていれば100歳近い高齢である。
そこで当事務所で、家庭裁判所に行方不明の状況を説明するための事情説明書を作成し、その他の必要書類も整え、失踪宣告の申立てを行うことになりました。
また、相続登記を行うためには不在者以外の相続人全員の協力が必要になります。
そこで当事務所で、相続関係の調査のために戸籍を集め、判明した現在の相続人に連絡を取って協力をお願いし、遺産分割協議書等の必要書類の手配も含めてサポートさせていただくことになりました。
このように解決しました

- 現在の相続関係を確認するために、膨大な量の戸籍を収集しました。
- 判明した現在の相続人に連絡を取り、事情を説明した上で手続きへの協力をお願いしました。
- 当事務所からの連絡・説明の結果、不在者以外の相続人全員から協力を取り付けることができました。
- 不在者の本籍地の不在住証明書(住民登録がないことの証明書)を取得しました。
- ご依頼者様から状況を詳しく伺い、裁判所に事情を説明するための事情説明書を作成しました。
- 事情説明書とその他の必要書類を家庭裁判所に提出し、失踪宣告の申立てを行いました。
- 申立て後、家庭裁判所調査官による調査や公示催告などが行われ、申立てから半年後に失踪宣告の審判が出ました。
- 審判確定後10日以内に、不在者の住所地の役所に失踪届を提出し、戸籍に「死亡とみなされた旨」が記載されました。
- 作成した遺産分割協議書等に相続人全員から署名捺印をいただき、印鑑証明書と併せてご提出いただきました。
- その他の必要書類を整え、法務局に相続登記の申請を行い、無事完了しました。
- 自分の力ではとても解決できなかったという事で、ご依頼者様に大変お喜びいただけました。
担当者からのコメント
相続人の中に行方不明の方がいる場合、相続関係や行方不明の状況によって取るべき選択肢は異なるため、慎重な判断が必要です。
本件では該当しませんでしたが、失踪宣告によって行方不明者の相続が発生した結果、新たな相続人が登場するケースもあります。
新たな相続人との間でトラブルになる事が懸念されるようであれば、あえて不在者財産管理人選任の申立てを選択するということもあり得ます。
本件のように相続発生から時間が経っている場合、ただでさえ相続関係が複雑化していることが多いため、さらなる複雑化を避けるためにも専門家による適切なアドバイス・サポートは欠かせないでしょう。
しかし、専門家の中でも、音信不通の方がいる場合や、相続人が多数いる場合など複雑な相続の経験が豊富な人はそう多くはありません。
今回のように両方が合わさったケースとなると、対応経験がある人は限られるでしょう。
複雑な相続では、単に知識があるというだけでなく、同種の他の事例の対応経験があるかどうかで専門家の中でも対応力に大きな違いが出てきます。
確実に適切なアドバイス・サポートを受けられるように、相続人の中に行方不明の方や疎遠な方がいる場合は、複雑な相続の対応経験が豊富な専門家へ相談しましょう。
また、残された方が大変な思いをしないで済むように、推定相続人の中に音信不通の方がいる場合は、必ず遺言書を作成しておきましょう。
当事務所では、相続人の中に行方不明者がいる場合の不在者財産管理人選任や失踪宣告の申立てについて数多くのサポート実績がございます。
ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。
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