亡父名義の不動産について固定資産税の納税義務者変更通知が届いた…【亡くなってから長期間経過後に父の相続放棄をしたいケース】

兄が相続したと思っていた実家不動産の固定資産税の通知が届いた!

ご相談前の状況

お父様が亡くなられた方からのご相談。

相続人はご相談者様とお兄様のお子様二人。

父は2年前に亡くなっており、父の財産は全て兄が取得することで処理されていると思っていた。

ところが最近になって、亡父名義の実家不動産について、固定資産税の未納分の支払いと納税義務者の変更を求める内容の通知が役所から届いたとのこと。

兄とはここ何年間はほとんど連絡が取れない状態のため、状況の確認もできず、登記名義を変更するようお願いすることも難しいという事で、途方に暮れて相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 相続放棄は、基本的に3か月以内に裁判所に申し出る必要があるが、相談時点ですでに相続開始から3か月が経過していた。
  • 兄と連絡がつかず、登記名義を変更してもらう事が期待できないため、相続放棄をしなければ今後も役所から請求書が送られてくる可能性がある。

当事務所からのご提案

不動産に課税される固定資産税は、原則として登記簿上の名義人(所有者)に対して、納税通知書が送られてきます。

亡くなった方の不動産について、名義変更(相続登記)を行わず、納税管理人(登記簿上の名義人の代わりに納税等の処理を行う人)の届出も行わなければ、いつまでも亡くなった方の名前で納税通知書が送られてきます。

また、役所が名義人の死亡を把握している状態で未納が続くと、納税管理人や納税義務者の届出をするよう求められたり、納税義務者として一方的に指定されたりすることもあります。

このケースも、まさにそういったケースであり、このままお兄様が名義変更を行わなければ、ご相談者様が納税義務者として指定され、未納分だけでなく、今後発生する固定資産税についても、ずっと支払い続けることになる可能性がありました。

そのような事態を避けるためには、相続放棄手続きを行い、相続放棄の事実を役所に伝えるという方法があります。

正式に相続放棄をしたことが確認できた方に対しては、以後役所からの請求等は行われないのが通常です。

ただ、相続放棄は、原則として死亡の事実を知ってから3か月以内に裁判所に申し出る必要があるため、今回のように相続発生から2年以上経過しているような場合は、一見すると相続放棄できないように思えます。

しかし、期限内に相続放棄をしなかったことについて相当な理由がある場合は、相続発生から3か月以上が経過していても放棄が認められることもあります。

今回のケースでは、亡くなった事実については死亡当日から知っていましたが、お話を伺ったところ、以下のような状況でした。

  • 役所から通知が届くまでは未納の税金があるという事実を知らなかった。
  • ご相談者様は実家から遠く離れて暮らしており、調査することも難しい状況であった。
  • 財産や債務の状況について知っているはずの兄と連絡が取れない。
  • プラスの財産についてはすべてもう一人の相続人である兄が相続すると思っていた。
  • 父の財産は実際に生前から今まで兄によって管理されていて、ご相談者様はまったく受け取っていない。

上記のような状況だったため、期限内に相続放棄をしなかったことに相当な理由があるものと思われました。

そこで、当事務所で上記のような事情を説明し、相当な理由があったことを認めてもらうための上申書(事情説明書)を作成し、相続放棄の申述書と一緒に提出させていただくことを提案しました。

また、実家から遠く離れて暮らしており、戸籍等の必要書類を集めるのも難しいとのことだったため、当事務所で戸籍収集、照会書の回答支援、相続放棄後の役所や他の相続人への通知等、相続放棄に関する手続き一式のサポートを提案しました。 

このように解決しました

  • 期限内に相続放棄をしなかったことにつき相当な理由があったことを裁判所に認めてもらうための上申書を作成しました。
  • 相続放棄手続きに必要な戸籍等の収集や申述書の作成も代行し、上申書と一緒に裁判所に提出しました。
  • 申述書提出後に、裁判所から届く照会書(回答書)の回答をサポートしました。その結果、無事相続放棄は認められました。
  • 相続放棄が認められた後、相続放棄申述受理証明書の取得及び役所への通知もサポートしました。
  • お兄様には、相続放棄をしたことを伝え、相続登記を行うよう促す内容の手紙を送付いたしました。

担当者からのコメント

このケースのように、亡くなったことは知っていたものの、債務があったことは知らず、長期間経過後に債権者からの連絡によってはじめて債務があったことを知るというケースはよくあります。

そのような場合でも、自分が財産をまったく受け取っておらず、処分もしていなければ相続放棄が認められる可能性があります。

相続放棄の期限は、原則として亡くなった事を知ってから3か月以内ですが、このケースのように、債務がある事を知らなかったことについて相当の理由がある場合は、例外的に相続放棄を認めるという判例があるためです。

しかし、相続放棄を認めてもらうためには、「相当の理由」について裁判所にきちんと説明し、納得してもらう必要があります。

一般の方が、裁判所に説明するための書面を作成することはとても難しいと思います。

相続放棄は、一度却下されると再チャレンジできない手続きになりますので、3か月を過ぎた後に相続放棄をしたいと考えている方は、相続放棄にも詳しい司法書士などの専門家にお早めに相談することを強くおすすめします。

当事務所ではこれまでに3か月経過後の相続放棄について、数多くのサポート実績があり、そのほとんどが受理されております。

ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

スピーディに相続放棄をお手伝い!くわしくはこちら

3か月経過後の相続放棄についてはこちらの記事もご参照ください。

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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