事業の安定経営のため、後継者以外の子供には遺留分を放棄してほしい…【事業承継を円滑に進めるために遺留分を放棄してほしいケース】

事業承継者の長男にほぼ全ての財産を譲りたい

ご相談前の状況

遺言書作成含む相続対策・事業承継対策をご検討中の方からのご相談。

現時点での推定相続人は妻と子供3人の計4人。

財産の大部分を不動産が占めており、不動産の多くは事業資金融資の担保として抵当権が設定されているため、将来的に会社の経営に問題が生じないよう、後継者である子供に財産の大部分を相続させたいという事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 遺言書を作成することで、後継者である長男にすべて相続させるという希望は叶うが、相続開始後に遺留分の請求をされる可能性は排除できない。
  • 死後に絶対に遺留分の請求をさせないようにするには、生前に他の相続人に「遺留分の放棄」をしてもらう必要がある。
  • 経営していた会社の株式を妻も持っているので、確実に後継者に相続させるために夫婦両方について遺言書を作成しておく必要がある。
  • 財産を貰う方の負担にならないように、亡くなった後の手続きについても対策しておく必要がある。

当事務所からのご提案

中小企業では、創業者=大株主=会社であることが多く、事業融資を受けるにあたり代表者個人が所有する不動産に担保を設定することも珍しくありません。

このケースも、所有する不動産の大部分に経営する会社を債務者とする(根)抵当権が設定されている状況でした。

この状況で何も対策をせず相続が発生した場合、将来的に会社の経営に深刻な影響が出る可能性があります。

また、遺言書を作成して後継者である長男に不動産を相続させたとしても、万が一他の相続人から遺留分(法定相続人に最低限認められている取り分)を請求された場合、長男は遺留分侵害額相当の金銭を用意しなければなりません。

用意できない場合は不動産の差押等の可能性があり、やはり会社経営に深刻な影響を及ぼす可能性がありました。

このような場合、生前に「遺留分の放棄」をしてもらうことで、死後に起こりうるリスクを廃除することができます。

遺留分を生前に放棄するためには家庭裁判所に申立てを行い、許可を得る必要がありますが、放棄が許可されれば、その相続人は死後に遺留分の請求をすることはできません。

遺留分の生前放棄が認められるためには、「本人の自由意志」「放棄の理由の合理性・必要性」「放棄の代償(見返り)」という3つの要件を満たす必要があります。

幸い今回は、他のお子様二人はすでに相談者様から十分な額の贈与を受けており、担保付きの不動産を相続するつもりは全くないとのことでしたので、問題なく手続きをすすめられそうでした。

そこで、当事務所で遺留分放棄の許可申立て手続きに必要な書類の収集・作成、書類の提出、照会書の回答等をまるごとサポートさせていただくとともに、公正証書遺言の作成もお手伝いさせていただくことになりました。

また、経営していた会社の株式について、相談者様だけではなく奥様もお持ちだったため、相続の際に問題が生じないよう、ご夫婦それぞれに遺言書を作成していただくことになりました。

このように解決しました

  • 遺留分放棄の許可申立ての際には、被相続人の財産目録の提出が必要なため、当事務所で資料を集め、目録を作成しました。
  • 遺留分放棄の要件である「放棄の理由の合理性・必要性」を裁判所にわかりやすく伝えるため、申立ての事情を詳細に記載した「上申書」を作成しました。
  • 作成した書類一式を、戸籍謄本等の必要書類と一緒に家庭裁判所に提出し、遺留分放棄の許可申立てを行いました。
  • 申立て後に裁判所から届く「照会書」について、照会の意図をわかりやく説明し、正確に回答できるようサポートしました。
  • 申立て時の書類や照会書の提出によって、十分に審議可能と判断されたため、裁判官による面接は省略されました。
  • 申立てから2か月ほどで、無事遺留分放棄が許可された旨の通知がありました。
  • 遺留分放棄の手続きとあわせて、長男に財産の大部分を相続させるという内容の遺言を、公正証書で作成しました。
  • 自社株式を確実に後継者に相続させるために、夫婦それぞれに遺言書を作成しました。
  • 遺言で当事務所を遺言執行者に指定していただきました。
  • 将来、相続が発生した後の様々な手続きについての負担が無くなったことで、遺言者様亡き後についても安心していただくことができました。

担当者からのコメント

個人所有の財産に、事業に関連する財産が含まれる場合、相続をきっかけに経営が立ち行かなくなることは珍しくありません。

事業用資産の承継対策としては、遺言書+遺留分の放棄の他、民法特例の「除外合意」を利用するなどいくつかの方法がありますが、どの方法を取るべきかは経営状態、株主の構成、家族関係等によって異なります。

事業承継が絡む相続の場合、詳しく無い方がネットや本の知識だけで対策を行ってしまうと、後で取り返しのつかない事態になることもよくあります。

事業の安定経営のためには、確実に後継者に自社株式や事業用資産を相続させることが必須ですが、そのためには専門家の関与は欠かせません。

これまで育ててきた事業を次世代に確実に受け継ぎ、更なる発展を目指すのであれば、遺留分の放棄を含む相続対策・事業承継対策全般に強い専門家に相談することをおすすめします。

当事務所では、遺留分放棄の許可申立てをはじめとした相続・生前対策について、数多くのご相談・サポートの実績があります。

遺留分放棄の許可申立てについては、これまでにサポートしたすべてのケースで遺留分放棄が許可されています。(申立てをすれば必ず許可されるというわけではありませんのでご注意ください。)

ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

遺言書の作成を検討されている方はこちら

遺留分の放棄についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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