【相談事例】遺産相続で絶縁した兄弟がいます|対処法や相続させない方法【司法書士解説】

著者情報

司法書士法人東京横浜事務所
代表/司法書士 田中 暢夫
年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。相続案件を中心に、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
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司法書士法人東京横浜事務所
代表/司法書士 田中 暢夫
年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。相続案件を中心に、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
「親が亡くなったけれど、絶縁した兄弟と遺産相続について話合いをしたくない…」
「親の介護を一度もしなかった兄弟にも、遺産を渡さなければいけないの?」
さまざまな理由から兄弟間にいさかいが生まれ、絶縁状態になることはおかしなことではありません。
しかし、親が亡くなり相続が発生すると、どれほど険悪な仲であっても絶縁した兄弟は相続人となります。
こうした中での相続は精神的に大きな負担になるうえ、些細なことをきっかけにトラブルに発展してしまうケースが高いです。
本記事では、よくある相談事例をベースにして、相続の基礎知識から絶縁した兄弟との相続手続きの進め方、円滑に相続を進めるための注意点まで詳しく解説します。
司法書士田中暢夫一般的な知識の解説にとどまらず、現役の司法書士である筆者の経験に基づく具体的なノウハウを解説しているので参考にされてください。
今まさに手続きが進まず困っている方はもちろん、「絶遠した兄弟がいて、将来の相続に不安がある」という方に向けて生前に取るべき対策も解説しているので、本記事を読めば、絶遠した兄弟がいる場合の遺産相続に関する不安や悩みが軽減・解消されます。

【相談事例】絶縁した兄弟にも遺産相続する権利はありますか?
【相談の概要】
先日亡くなった父の遺産相続についての相談です。
私の家族は父、母、長男である私、そして弟(次男)の4人です。
弟は昔から素行が悪く度々実家に迷惑をかけ、父と私とは険悪な関係でした。
家を出た後も、弟はギャンブルなどで給料を使い尽くしては、唯一弟を案じていた母を通して実家に金の無心を繰り返していました。
そのうえ数年前に母が急病で倒れた時、弟は一度も病院に見舞いに来ませんでした。そればかりか、今度は私に対して金銭の融通を求めてきたのです。
妻とともに母の看護をすべて行っていた私は、母への心配や迷惑をかけてきたことへの謝罪をするそぶりを見せない弟を叱責しました。
口論の末、私は弟に絶縁を言い渡し、弟もそれを承諾しました。以来連絡は取っていません。
その後、今度は昨年父が病気で入院し、余命宣告を受けました。
父には何度か弟に会いたいかと尋ねましたが、父は「弟には会わない」「自分が亡くなったことも知らせるな」と答えるばかりでした。そして間もなく、父は息を引き取りました。
これまで家族を顧みず親の看護もすべて私に押し付けてきた弟に、父の遺産を渡す必要はあるのでしょうか?

私のケースで絶縁した弟に遺産を相続する権利はあるのでしょうか?
おそらく父は弟に何も相続させるつもりはなかったと思います。
司法書士田中暢夫結論としては、弟に一切遺産を相続させないというのは難しいです。
絶縁した弟も、父の子として法定相続人となり、遺産を相続する権利があるからです。
以下、この相談事例をもとに、絶縁した兄弟との遺産相続について相続の実務家の視点から解説します。
兄弟と絶縁しても遺産を相続する権利はなくならない
民法では、下記のように相続人の優先順位が定められています。
■相続人の相続順位
| 被相続人から見た関係 | 相続順位 |
| 配偶者 | 常に相続人 |
| 子 | 第1順位 |
| 直系尊属(父母、祖父母など) | 第2順位 |
| 兄弟姉妹 | 第3順位 |
※第2順位以降の後順位者は先順位者がいない場合にのみ相続人となる
絶縁した兄弟も、被相続人(亡くなった人)の子として第1順位の相続人になります。
絶縁は法律上の手続きではないため、戸籍上のつながりがある限り兄弟の相続権は消滅しません。
法定相続人にはそれぞれ「法定相続分」という遺産取得割合が定められています。
亡くなった方に配偶者と子供がいる場合、それぞれの法定相続分は配偶者が2分の1、子供が2分の1です。
子供が複数いる場合は2分の1を人数で均等割りとなります。
絶縁状態にあったとしても、子供という立場は同じなので、相続割合は均等です。
司法書士田中暢夫なお、相続開始時点で配偶者がすでに亡くなっている場合は、法定相続分は子供の人数で均等割りとなります。
絶遠状態で親の面倒を見ない兄弟とも遺産は公平に分けなければならないか
兄弟の法定相続分は均等ですが、必ずしも公平に遺産を分割しなければならないわけではありません。
兄弟と絶縁状態にある方の中には、「親の介護もすべて押し付けられたのに、財産は均等に分けなければいけないなんて不公平だ」と思う方もいるでしょう。
絶縁していても相続する権利はなくなりませんが、法定相続分はあくまでも遺産取得割合の目安です。
もし絶縁した兄弟が任意に相続を辞退してくれる場合は、公平に分ける必要はありません。
ただし、絶縁状態の場合は、相続人同士の話し合いでは折り合いが付かず、遺産分割に弁護士が関与することや、最終的に遺産分割調停・審判になることも多いです。
弁護士が関与した場合や、遺産分割調停・審判になった場合は、法定相続分通りに遺産分割をすることになるケースがほとんどです。
絶遠した兄弟の取り分がゼロの遺言書があっても「遺留分」は認められる

絶縁した兄弟に遺産を相続させない旨の遺言書がある場合でも、子供には「遺留分」が認められるため、遺産の取り分を全くゼロにするのは困難です。
遺留分とは、一定の法定相続人に認められた最低限度の遺産取得分のことです。
遺言や生前贈与等により遺留分を侵害された(最低限の遺産をもらえなかった)相続人は、遺留分を侵害している人に対して、遺留分侵害額相当の金銭の支払いを請求する「遺留分侵害額請求」を行うことができます。
たとえば「全財産を長男に相続させる。(絶縁した次男には一切相続させない)」という内容の遺言書がある場合でも、遺留分の請求を受けたら長男は弟に対して相当の金銭を支払わなければならないということです。
子の遺留分は法定相続分の2分の1なので、相談事例のように配偶者(母)と2人の子供がいる場合、遺産全体の8分の1が絶縁した兄弟の遺留分として認められることになります。
■法定相続分及び遺留分
| 法定相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
| 妻A(母) | 1/2 | 1/4 |
| 子B(長男・ご相談者様) | 1/4 | 1/8 |
| 子C(次男・絶縁した兄弟) | 1/4 | 1/8 |
遺留分についてくわしくはこちらをご覧ください。

絶遠した兄弟に連絡せずに(知られずに)相続手続きを行うことはできるか

弟に相続する権利があるのは分かりましたが、弟に父が亡くなったことを連絡したくありません。
せめて預貯金の解約など、最低限の手続きは連絡せずに済ませられませんか?
司法書士田中暢夫結論から言うと、遺言書がない場合は兄弟に連絡をせずに相続手続きをすることは出来ません。
預貯金の解約手続きにも、絶縁した兄弟の同意が必要となります。
遺言書がない場合は、絶縁した兄弟に連絡せずに相続手続きをすることはできません。
亡くなった人が遺言書を残していない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
相続人である兄弟の協力を得るため、必ず連絡を取らなくてはなりません。

なるほど…では父の遺言書があれば弟と連絡を取らなくてよかったんですか?
司法書士田中暢夫遺言書がある場合は、積極的に連絡を取る必要はありません。
しかし、何らかのきっかけでお父様が亡くなったことは知られる可能性が高いです。
絶遠した兄弟がいる場合、生前の遺言書作成はトラブル防止に役立ちますが(くわしくは後述)、遺言書がある場合でも故人が亡くなった事実は知られてしまう可能性が高いです。
以下、故人の遺言書がある場合に、絶遠した兄弟に死亡や相続に関する連絡がどのように行くか解説します。
遺言書がある場合は公的機関や遺言執行者から通知されるケースが多い
故人が生前に「絶遠した兄弟に遺産を相続させない」旨の有効な遺言書を遺していた場合、基本的には遺産相続のために兄弟に連絡を取る必要はありません。
しかし、遺言書の種類や内容によっては、相続人が自ら積極的に連絡を取らなくても、別のところから相続開始を伝える連絡が行くことになります。
司法書士田中暢夫なお、絶遠した兄弟にも相続させる遺言の場合や、財産の記載漏れ等遺言書に不備がある場合は、遺産相続のために連絡を取る必要があるでしょう。
以下、遺言書の形式別にくわしく解説します。
①自筆証書遺言の場合
自筆証書遺言がある場合、絶縁した兄弟に知られずに相続手続きを行うことはできません。
相続人から積極的に連絡をしなくても、公的機関から相続発生の事実を知らせる仕組みがあるためです。
自筆証書遺言で相続手続きを行う場合、原則として家庭裁判所での遺言書の検認手続きを経る必要があります。
検認の日程が決まると家庭裁判所から相続人全員に通知がされるので、この段階で兄弟に知られることになります。
また、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合、検認手続きは不要ですが、相続手続きのために必要な遺言書情報証明書の交付請求をした際に、法務局から相続人全員に通知が送付されます。
このように、自筆の遺言書で相続手続きを行う過程で裁判所や法務局から通知がされるため、絶縁した兄弟に知られずに相続手続きを行うことはできません。
自筆証書遺言書保管制度についてくわしくはこちら

②公正証書遺言(遺言執行者の指定あり)の場合
遺言書の中で遺言執行者*が指定されている場合、絶縁した兄弟に知られずに相続手続きを行うことはできません。
*遺言執行者…相続開始後に遺言の内容を実現するために相続手続きを行う人のこと
公正証書遺言の場合、自筆証書遺言のような公的機関からの通知の仕組みはありませんが、遺言執行者は相続人に対して、遺言書の内容を知らせる法的義務があります。(民法第1007条第2項)
したがって、相続人から積極的に連絡せずとも、遺言執行者からの通知により、相続発生の事実や遺言の内容は絶縁した兄弟に伝わることになります。
司法書士田中暢夫自筆証書遺言かつ遺言執行者が指定されている場合は、裁判所(又は法務局)からの通知と、遺言執行者からの通知が重ねて行われることになります。
③公正証書遺言(遺言執行者の指定なし)の場合
公正証書遺言があり、その中で遺言執行者が指定されていない場合は、絶縁した兄弟に連絡せず、知られることもなく相続手続きできる可能性があります。
この場合、裁判所や法務局から通知がされることはなく、遺言を作成した公証役場から通知がされることもありません。
また、遺言執行者がいなければ、他の相続人に対して通知をする法的義務はありません。
よって絶縁した兄弟が遺産を全く相続しない内容の遺言書であれば、兄弟に連絡せず、親が亡くなったことを知られることもなく相続手続きを完了できる可能性があります。
なお、遺言執行者が指定されていない場合、金融機関での相続手続きの際に、別途兄弟の同意や確認を求められることがあるため、確実に知られず(知らせず)に手続きできるというわけではありません。
司法書士田中暢夫仮に知られずに手続きができたとしても、何らかのきっかけで絶縁した兄弟が親の死亡を知る可能性は大いにあります。
くわしくは次項で解説します。
亡くなったことを知られずに手続きができれば、絶縁した兄弟に一切相続させないことはできるか
前項で解説したとおり、公正証書遺言があり、遺言執行者が指定されていなければ、絶縁した兄弟に知られずに相続手続きできる可能性があります。
それでは、亡くなったことを知られずに相続手続きができれば、兄弟に一切相続させないことができるかというとかなり難しいでしょう。
先述のとおり、絶遠した兄弟にも遺留分はありますが、遺留分の請求には時効があり、遺留分侵害の事実を知ってから1年または相続開始から10年経つと遺留分を請求できなくなります。
しかし、仮に兄弟に知られずに相続手続きができたとしても、何らかのきっかけで兄弟が相続発生の事実や遺言書の内容を知る可能性は非常に高いです。
子供が自分の親の戸籍を取得することは容易で、戸籍謄本を見れば死亡したことはすぐに分かるうえ、相続開始後であれば相続人として公証役場で遺言の有無や内容を確認することもできるからです。
司法書士田中暢夫つまり、親が亡くなったことを知られずに済んだと思っていても、数年後のある日突然兄弟や代理人弁護士から遺留分を請求する旨の手紙が届くかもしれないということです。
遺留分の請求をされてしまったら、何とか支払いをしなければなりません。

絶縁した兄弟がいる場合に遺産相続を進めるための対処法

私の場合、弟に連絡せずに手続きすることは出来なそうですね。
でも、直接顔を合わせて話すと感情的になってしまいそうですし、弟からも話合いを拒絶されそうです。
司法書士田中暢夫遺産相続についての話合いはただでさえ感情的になってしまいやすいので、絶縁状態のご兄弟とでは尚更ご不安になるのは無理もないことです。
相手方の対応やご相談者様のご希望によって、遺産相続手続きの進め方を考えていきましょう。
絶縁した兄弟との相続では、両者とも顔を合わせて話すことに抵抗感があったり、連絡を試みても無視や拒絶をされてしまったりすることが多いです。
ここでは、絶縁した兄弟と遺産相続を進めなければいけない場合の対処法について解説します。
書面で相続手続きを進める
絶縁した兄弟と顔を合わせて話すと感情的になりそうな場合は、対面して話合うのではなく書面で相続手続きを進めることを試みましょう。
兄弟からの合意が得られれば、書類のやり取り(署名・押印)だけで顔を合わせずに手続きを完結させることができます。
もし兄弟に何を伝えればいいか分からない場合は、司法書士などの専門家に相談しましょう。
専門家に依頼して連絡を試みる
自分で連絡することが難しければ、司法書士や弁護士のような専門家に依頼して連絡を試みるという方法もあります。
他の相続人からの連絡には反応が無かったが、相続手続き協力のお願いという形で司法書士が連絡を取った結果、協力を取り付けることができたというケースはよくあります。
司法書士田中暢夫当人同士では感情的な理由からやりとりが難しい場合でも、専門家が公平な立場で関与するなら任せても問題ないと考える方は意外にも多いです。
司法書士が連絡を取った結果、協力を取り付けることができた具体的事例はこちら


遺産分割調停・審判を申立てる
絶遠した兄弟と下記のような状況であれば、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをして解決を目指すことになります。
- 行方不明という訳ではないのに全く反応がない場合
- 連絡は取れたが手続きに協力してもらえない場合
- 遺産の分け方を巡って争いになり当事者間での解決が難しい場合
遺産分割調停では、調停委員が当事者双方の言い分を聞いて、中立的な立場から解決策の提案をしてくれます。
ただし、あくまで話し合いなので、絶縁した兄弟が出席しない場合や合意に至らない場合調停は不成立となり、自動的に遺産分割審判の手続きに移行します。
遺産分割審判とは、当事者の主張や提出された資料をもとに、裁判官が遺産の分割方法を決める(審判する)手続きです。
調停と審判の大きな違いは、調停があくまで当事者同士の「話し合い」であるのに対し、審判は裁判所による「強制的な決定」であるという事です。
遺産分割調停では当事者の意向を汲んだ柔軟な解決も可能ですが、遺産分割審判では基本的に法定相続分での分割が指定されます。
司法書士田中暢夫自分の方が財産を多く貰える事情がある場合は、遺産分割審判で法的根拠のある主張を行う必要があるため、弁護士への依頼も検討しましょう。
絶縁した兄弟の連絡先が分からない場合
「絶縁した兄弟と連絡を取ろうにも連絡先が分からない…」というケースもあると思います。
そのような場合は、まずは下記の手順で住所を確認することから始めることになります。
- 亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集め、絶縁した兄弟が除籍になっているか確認する。
- 兄弟の戸籍を古い方から順番に取得し、現在の本籍地を確認する。
- 現在の本籍地に戸籍の附票を請求し、取得した戸籍の附票から兄弟の住民登録上の住所を確認する。
上記の手順で絶縁した兄弟の住所が分かったら、相続手続きへの協力をお願いする手紙を出します。
相手から手続きに協力する旨の返事があれば、遺産分割協議や相続手続きを進めることができます。
一方、送付した手紙が「あて所に尋ねあたりません」というスタンプを押されて戻ってきた場合は、兄弟はそこには住んでおらず、転送届も出していないと考えられます。
それ以上兄弟の足取りがつかめないという事であれば、相続人が行方不明ということで、家庭裁判所に「不在者財産管理人選任の申立て」(状況によっては「失踪宣告の申立て」)を行うことになります。
返送された手紙(封筒のコピー)は、裁判所での手続きの際に資料として提出が必要となるので、必ず保管しておきましょう。
司法書士田中暢夫郵便追跡サービスを利用すれば、到着したか否か、転送されたか否かのほかに、どの郵便局から配達されたかなども確認できるので、手紙は普通郵便ではなく書留郵便などの追跡可能な郵送方法で送りましょう。
連絡が取れない相続人がいる場合の対処法ついてくわしくはこちらをご覧ください。

行方不明の相続人がいる場合の相続手続きの進め方についてくわしくはこちらをご覧ください。

絶縁した兄弟がいる場合の遺産相続の解決事例
絶縁した兄弟がいる場合の相続は、実際の事例を見てみると全体像を把握しやすいです。
以下では、兄弟同士が不仲なケースで起こった問題と、それをどのように解決したかを解説します。

【事例の概要】
お母様が亡くなられた方からのご相談。
相続人はご相談者様含むお子様3人。
故人は自筆の遺言書を残していたものの、中身は確認していないとのこと。
ごきょうだいのうちの一人とはあまり関係が良くないため、今後の手続きの進め方に不安があるということで相談にいらっしゃいました。
【法定相続割合】
| 法定相続人 | 法定相続分に基づく相続割合 |
| 子A | 1/3 |
| 子B(ご相談者様) | 1/3 |
| 子C(絶遠状態の兄弟) | 1/3 |
【問題点】
- 自筆の遺言書がある場合、家庭裁判所に申立てをして検認手続きを行う必要がある。
- 遺言書の記載内容によっては、他の相続人の協力が必要になる可能性がある。
- 場合によっては遺言執行者選任の申立てが必要になる。
【どのように解決したか】
上記の状況及び問題点を受けて、当事務所で下記のとおりサポートを行い、解決しました。
- 検認手続きに必要な戸籍等を収集し、家庭裁判所に申立てを行いました。
- 不動産や金融機関の調査を行い、調査結果をまとめた財産目録を作成しました。
- 不仲な相続人の方に、遺言書の内容や相続手続きについての説明と、手続きを行うことに協力して欲しいという内容を記載したお手紙を出しました。
- お手紙に対して返事があり、色々と思うところはあるものの、遺言の内容に異存はないということで、無事協力していただけることになりました。
- 遺言書に従って手続きを進めるために必要な書類を作成し、相続人の皆様に署名捺印をいただく手配を行いました。
- その後の不動産の名義変更(相続登記)や、金融機関の相続手続きについても当事務所で代行し、完了しました。
- 当事務所が適切な対応を行った結果、迅速かつ経済的負担も少なく手続きを終えることができたということで、大変ご満足いただけました。
司法書士田中暢夫このケースのように相続人同士に確執がある場合、しっかりと財産調査を行い、開示しなければ、不信感を持たれ、話し合いが決裂してしまう可能性が高いです。
この事例の詳細についてはこちら


絶縁した兄弟がいる場合の遺産相続の注意点
絶縁した兄弟がいる場合の相続手続きは、相続人同士の複雑な関係性に注意して進めていかなければなりません。
無用なトラブルを避けるために、特に注意すべき点は下記の3つです。
以下、それぞれについて解説します。
①相続手続きを放置しない
絶縁した兄弟と心情的に関わりたくない場合であっても、相続手続きを放置することはやめておきましょう。
手続きを放置してしまうと、以下のような不利益が生じてしまいます。
- 預貯金の引出しができない
預貯金は、故人が亡くなったことを金融機関が知った時点で凍結され、引出しができなくなります。解約手続きを行うためには、相続人全員の同意が必要です。 - 不動産の売却ができない
不動産を売却するためには、相続人全員で遺産分割協議を行い名義変更(相続登記)をする必要があります。名義変更できないまま放置してしまうと、使用しない不動産に固定資産税だけがかかり続けてしまいます。 - 相続関係が複雑になってしまう
相続手続きを放置している間に相続人が亡くなると、その子供(甥・姪)が相続人になり、関係者がねずみ算式に増えてしまいます。その結果、手続きを行うには今以上に労力が必要になります。
放置しても問題が改善することはないので、不本意であっても早期に手続きに着手しましょう。
②相続手続きが終わるまでは遺産に手を付けない
相続手続きが完了するまでは、まだ分け終えていない遺産に手をつけてはいけません。
故人の遺産は相続人間で共有の状態になるため、故人の判断で自由に処分することは基本的にはできません。
絶縁した兄弟姉妹と関わりたくないので、連絡を取らずに遺産を処分してしまおうと考える方もいるかもしれません。
しかし、そのような行為が後で発覚した場合、より大きなトラブルに発展してしまいます。
解決までの期間が長引き、費用負担も大きくなるリスクがあるため、相続手続きが終わるまでは遺産に手を付けないようにしましょう。
司法書士田中暢夫経済的な理由でどうしても遺産分割協議を行う前に預貯金を引き出したい場合は、相続預貯金の仮払い制度の利用を検討しましょう。
口座が凍結される前に預金を引き出してはいけない理由と解決方法はこちらをご覧ください。

③やり取りはできるだけ冷静に対応する
遺産相続のために絶縁した兄弟と関わる場合には、できるだけ感情的にならず、冷静に対応するように努めましょう。
たとえ仲の良い兄弟であっても、遺産の分け方で揉めてしまうことはあります。
絶縁した兄弟であれば、なおさら感情的になってしまうのは当然かもしれません。
しかし、感情的になってしまい話し合いができなければ、いつまでも遺産を自由に処分することができずに相続人の全員が困ってしまいます。
「今後関わらないようにするため」「相続手続きという事務的な作業をこなすため」だけに連絡を取るのだと考えれば、冷静に手続きを進められるかもしれません。
司法書士田中暢夫どうしても当事者同士のやり取りが難しい場合は、専門家に依頼して間に立ってもらうということも検討してみましょう。

絶縁した兄弟に親の遺産を相続させない方法はある?
絶縁するほどに関係性が悪い相手に、親の遺産を譲りたくないと考える方は少なくないでしょう。
また、親としても確執がある子供には自分の遺産を遺したくないと考えているケースも少なくありません。
では、絶縁した兄弟に親の遺産を相続させない、または相続させる遺産を可能な限り少なくできる方法はあるのでしょうか。
有効な方法としては以下の6つが考えられます。
以下、それぞれについて解説します。
①遺言書を作成してもらう
絶縁した兄弟に親の遺産を相続させたくないのであれば、必ず行っておくべき対策は、親に遺言書を作成してもらうことです。
親が絶縁した兄弟以外の子供に財産を相続させる旨の遺言を遺せば、遺言書の内容どおりに財産を相続させることができます。
遺留分の問題はありますが、「すべての遺産を特定の子供のみに相続させ、絶縁した兄弟には一切相続させない」という内容の遺言であっても、法律的には有効です。
ただし、トラブル防止のためには兄弟に遺留分相当の財産は相続させる内容にすることが望ましいでしょう。
司法書士田中暢夫遺言の有効性で争いになることを避けるためにも、遺言書は自筆ではなく公正証書で作成することをおすすめします。
②生前贈与をしてもらう
親の現預金や不動産などの財産を絶縁した兄弟以外の誰かに生前贈与しておけば、相続の対象となる親名義の財産が減るため、絶縁した兄弟に渡る財産を少なくすることができます。
年間110万円以内であれば贈与税がかからないので、少しずつ贈与すれば、現預金の多くを渡すことも可能です。
司法書士田中暢夫ただし、生前贈与は時期や内容によっては遺留分請求の対象となる可能性があり、せっかくの贈与が無駄になってしまうリスクがあるので注意しましょう。
③生命保険に入ってもらう
絶縁した兄弟に遺産を相続させたくないのであれば、生命保険の活用も検討しましょう。
生命保険の被保険者死亡時に支払われる死亡保険金は受取人の固有財産になるため、遺産分割する必要がなく、遺留分請求の対象にもなりません。
一時払いの生命保険であれば、健康状態に関わらず90歳ぐらいまで加入できる商品もあるので、親を契約者兼被保険者、受取人を絶縁した兄弟以外の家族とする生命保険への加入を検討しましょう。
司法書士田中暢夫ただし、財産の大半を使って生命保険に加入するなどした結果、遺産総額に占める死亡保険金の割合が大きい場合、遺産分割の対象となってしまう可能性があるので注意しましょう。
④絶縁した兄弟の相続廃除をしてもらう
絶縁した兄弟が親に対して虐待などをしていた場合は、親が兄弟を「相続人から廃除する」意思を示し、必要な手続きを経ることで、兄弟を相続人から除外することができます。
相続廃除とは、相続権を持っている人に一定の問題行為があった場合に、被相続人の意思によって、その人を相続から除外する制度です。
相続廃除をするには、下記のいずれかの方法で家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。
- 親が生前に自身で廃除の申立てをする。
- 親が生前に廃除する旨の遺言をのこし、死亡後に遺言執行者が家庭裁判所に申立てをする。
ただし、廃除が認められるのは、被相続人に対する虐待や重大な侮辱行為があった場合、その他の著しい非行があった場合に限られます。
司法書士田中暢夫相続廃除は推定相続人の権利を奪う重要な決定なので、「感情的な対立があった」「音信不通で連絡をよこさない」程度では認められることはないでしょう。
⑤絶縁した兄弟が相続欠格事由に該当するか確認する
絶縁した兄弟が「相続欠格」の5つの事由のいずれかに該当すれば、そもそも相続する権利が認められません。
「相続欠格」とは、相続人が法で定められた重大な不正・違法行為をした場合に、自動的に相続権を剥奪する制度です。
相続欠格は推定相続人の権利を強制的に奪う制度なので、被相続人または他の相続人へ殺害行為や、遺言書の偽造・破棄、遺言作成の妨害等の、「相続秩序を侵害する不正・違法行為」があった場合に限られます。
どれほど兄弟と険悪であっても、単に「仲が悪い」「長い間交流がない」だけでは相続欠格にはなりません。
具体的には、下記の5つの事由のいずれかに該当する場合に限られます。
(相続人の欠格事由)
第891条 次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
参考:民法|e-GOV法令検索
司法書士田中暢夫なお、欠格事由に該当した場合、兄弟は相続権を失いますが、兄弟に子供がいる場合は代わりに相続人(代襲相続人)となります。
⑥絶縁した兄弟に相続放棄してもらう(相続開始後)
絶縁した兄弟が相続放棄をすると、財産を渡す必要がなくなります。
相続放棄をすると「はじめから相続人とならなかったもの」とみなされるため、財産を相続することができなくなります。
ただし、相続放棄するためには、親が亡くなってから(相続開始を知ってから)3か月以内に、兄弟自ら家庭裁判所に申立てをしなければなりません。
相続放棄は亡くなってからでないとできず、他人から強制することもできません。
たとえ生前に相続放棄をすることを約束しており、覚書等を交わしていたとしても、心理的な効果はともかく、法的な拘束力はありません。
司法書士田中暢夫絶縁した兄弟の意向が確認できないうちに、一方的に相続放棄するよう迫ると、反発を買い、かえって悪い結果を招く可能性が高いのでやめておきましょう。

遺言書があれば絶縁した兄弟とのトラブルを防止できる
兄弟同士が絶縁している場合、親の死後に相続トラブルに発展しやすいですが、親が生前に遺言書を作成しておくことで、トラブルになる可能性を大きく減らすことができます。
本記事で解説したとおり、何も対策をしないまま親の相続が発生すると、絶縁した兄弟同士で「連絡を取り、遺産分割について話し合う」という大きな負担がかかります。
やり取り自体が心理的な負担になるという事もありますが、遺産分割協議が調わないために預貯金の払戻しができない、トラブル解決のための弁護士費用がかさむ等、経済的にも大きな負担を負うことになる可能性があります。
そのようなトラブルを避けるためにも、絶縁した兄弟がいる場合は、生前に親に遺言書を作成してもらいましょう。
遺言書の中で、司法書士などの専門家を遺言執行者に指定しておけば、相続人自ら絶縁した兄弟とコンタクトを取る必要もありません。
絶縁した兄弟にも遺留分相当の財産を相続させる内容であれば、トラブルになる可能性は限りなく低いでしょう。
司法書士田中暢夫親の相続だけでなく、独身の方や子供がいない方は絶縁した兄弟が自分の相続人になる可能性もあります。
確実に兄弟に財産を相続させない為には、遺言書の作成が必須です。
トラブル防止のための遺言書作成の秘訣についてはこちらの記事をご覧ください。

絶縁した兄弟がいる場合の相続は専門家に相談を
ここまで解説したとおり、絶縁した兄弟のように関係性が良くない相続人がいる場合は、家族間の事情に応じて適切な方法で相続手続きを行う必要があります。
相続はただでさえ些細なことでトラブルが起きやすいので、絶縁した当事者同士だけで手続きを進めていくのは至難の業でしょう。
司法書士などの専門家であれば、絶縁した兄弟の所在調査から連絡、協議成立後の預金解約や相続登記等の手続きまで一貫して代行・サポートすることが可能です。
ただし、司法書士や弁護士であっても、そのすべてが相続実務に精通しているわけではありません。
特に相続人間の関係性が良くない場合の相続手続きは、同種の他の事例の経験の有無で対応力に大きな差が出るので、実務経験の豊富な専門家に相談することが重要です。
また、相続が発生する前であれば、相続人同士が接触することで揉めてしまう可能性を避けるためにも、相続に精通した司法書士などの専門家に相談の上、生前対策をしておくことをおすすめします。
司法書士田中暢夫絶縁した兄弟がいるような複雑な相続について経験豊富な専門家は意外と少ないので、ホームページで実際の事例を公開している場合は参考にするといいでしょう。

よくある質問
ここからは、絶遠した兄弟がいる場合の遺産相続のご相談の際によく受ける質問を、Q&A形式で解説します。

まとめ
絶縁した兄弟との相続は、それぞれが複雑な感情を抱いているために、一般的なケースよりもトラブルが起きやすいものです。
当事者同士では感情的になって収拾が付かないこともよくあるので、専門家による適切なアドバイスやサポートを受けることが重要です。
現在、絶遠した兄弟がいて遺産相続を進められずにいる方は、すぐに専門家へ相談されることをおすすめします。
また、「まだ親は健在だけど、将来相続の際に問題が起きそう」という場合は、親と相談のうえ、生前に遺言書を作成するなどして対策しておきましょう。
相続に関するお悩みやご不安を抱えている方は、一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。
記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。
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