異母・異父兄弟との相続手続きは大変!連絡の取り方や注意点を事例で解説

著者情報

司法書士法人東京横浜事務所
代表/司法書士 田中 暢夫
年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。相続案件を中心に、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
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司法書士法人東京横浜事務所
代表/司法書士 田中 暢夫
年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。相続案件を中心に、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
親が亡くなって相続が発生すると、まず戸籍を確認して相続人が誰なのかを確認します。
そんな中で「亡くなった親の戸籍を確認して初めて自分に異母兄弟(異父兄弟)がいることを知った」というケースがあります。
たとえ全く面識のない異母兄弟でも、法律上は相続人となります。
このような交流のない疎遠な相続人がいる場合の相続は、トラブルに発展してしまうリスクが高いです。
本記事では、相続人として異母兄弟がいる場合の相続手続きの進め方や注意点を解説します。
司法書士田中暢夫一般的な知識の解説にとどまらず、現役の司法書士である筆者が経験した実例に基づく具体的なノウハウを解説しているので参考にされてください。
最もつまずきやすい異母兄弟との連絡の取り方などについても詳しく解説しているので、本記事を読めば、異母兄弟の相続に関する不安や悩みが軽減・解消されます。
事例で解説・異母兄弟(異父兄弟)がいる場合の相続手続きはこんなに大変
まずは、実際にあった異母兄弟が相続人になる事例を見ていきましょう。
以下では、異母兄弟が相続人となるケ―スで起こった問題と、それをどのように解決したかを解説します。
事例① 後妻及び後妻の子と前妻の子の間で話し合いをしなければならないケース

【事例の概要】
お父様が亡くなられた方からのご相談。
相続人としてご相談者様とお母様のほかに前妻との子供がいるという関係。
親族を通じて前妻の子の連絡先は把握しているものの、全く面識がないため、やりとりに不安があるとのこと。
現在母が居住している自宅マンションは、そのまま住み続けられるよう相続させてほしいとの希望をお持ちでした。
【法定相続割合】
| 法定相続人 | 法定相続分に基づく相続割合 |
| 母A | 1/2 |
| 子B(ご相談者様) | 1/4 |
| 子C(異母兄・前妻の子) | 1/4 |
【問題点】
- 面識のない異母兄弟と連絡を取り、遺産分割協議をまとめなければならない。
- 公平な遺産分割のため、財産調査をしっかり行い、財産目録を作成して開示する必要がある。
- 自宅マンションは現在住んでいる妻に相続させて欲しいという希望を伝えたい。
- 仕事が忙しく、離れて暮らしているので、自分で手続きを行うのは難しい。
- 後で不満が出ないように、財産の分配も含めて公平な第三者に任せたい。
【どのように解決したか】
上記の状況及び問題点を受けて、当事務所で下記のとおりサポートを行い、解決しました。
- 疎遠な相続人に連絡を取り、相続手続きや事情についてご説明をしました。
- 手続きへの協力をお願いした結果、無事応じてもらえることになりました。
- 自宅マンションについてのご希望は、お言伝の形で取次ぎさせていただきました。
- 不動産や金融資産について漏れなく調査を行い、財産目録を作成して相続人の皆様に開示しました。
- 話し合いの結果、法定相続をベースに、不動産はお母様が取得し、金融資産の取得額で調整することでまとまりました。
- 合意内容に基づき、遺産分割協議書を作成し、署名捺印をいただきました。
- 相続預金の解約及び分配、相続登記など、その他の必要な手続きもすべて代行し、ご相続人様の負担なく完了させることができました。
司法書士田中暢夫このケースでは自宅不動産は住む人が相続することでまとまりましたが、不動産の価値が高く、金融資産が少ない場合、自宅を売却せざるを得ないこともあります。
この事例の詳細についてはこちら

事例② 全く面識のない異母兄弟と話し合って多く相続させてもらったケース

【事例の概要】
亡くなったのはお父様。
妻とは離婚済みのため、相続人はお子様2名(ご相談者様と兄)のみと考えておられました。
しかし、葬儀の際に親戚から「あなたたちのお父さんは以前別の女性と結婚しており、その方との間に子供がいたはず」と言われたとのこと。
父からは異母兄弟がいることなど全く聞かされておらず、突然のことに困惑しきりだったものの、とりあえず連絡をとる必要があるだろうと考えられました。
ところが、親戚に聞いても下の名前しか知らず、連絡先もわからないという事で、途方に暮れて相談にいらっしゃいました。
また、ご相談者様方兄弟は「ずっと父と同居して面倒を見てきたので、できれば法定相続分より多めに相続させてほしい」との希望をお持ちでした。
【法定相続割合】
| 法定相続人 | 法定相続分に基づく相続割合 |
| 子A(ご相談者様) | 1/4 |
| 子B(Aの兄) | 1/4 |
| 子C(異母兄・前妻の子) | 1/4 |
| 子D(異母姉・前妻の子) | 1/4 |
【問題点】
- 連絡先が分からない異母兄弟について、公的な手段で現住所を調べる必要がある。
- まったく面識のない異母兄弟と連絡を取り、遺産分割協議をしなければならない。
- 遺産分割協議を行う前提として、相続財産の調査を行い、財産目録を作成して開示しなくてはならない。
- 協議成立後は、協議内容に従って相続預金の解約手続きを行い、各相続人へ分配しなければならない。
- 法定相続分以外の分け方を希望する場合は交渉が必要だが、決裂すると遺産分割調停や審判が必要になり、長期化する恐れがある。
- 遺産分割調停や審判になってしまうと、基本的に法定相続どおりの分け方になってしまう。
【このように解決しました】
上記の状況及び問題点を受けて、当事務所で下記のとおりサポートを行い、解決しました。
- 面識のない異母兄弟について、戸籍の附票を取得して現在の住所を確認しました。
- 相続財産の調査を行い、詳細な財産目録を作成して相続人の皆様に開示しました。
- 面識のない相続人の方に手紙を出し、丁寧に事情を説明した結果、協力して貰えることになりました。
- 当事者同士で直接話し合った結果、お互いが納得の上で遺産の分け方を決めることができました。
- 話し合いがまとまったため、遺産分割協議書等を作成し、署名捺印をいただく手配をしました。
- 遺産分割協議成立後は、協議内容に従って相続登記や預金の解約及び分配を行いました。
司法書士田中暢夫このケースでは、結果的に相続人同士で直接話し合った結果、円満に遺産分割協議が成立しましたが、面識が無い場合、直接やり取りをすると、感情的になって話がまとまらないことも多いです。
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事例③ 親しい妹に財産を相続させるつもりだったが、遺言書に不備があったケース

【事例の概要】
お姉様が亡くなられた方からのご相談。
相続人は兄弟姉妹と甥姪5人だが、幸いにも故人と最も親しかったご相談者様のために遺言書を残していたとのこと。
自筆の遺言書のため検認手続きが必要という事もあり、戸籍集めからお願いしたいという事で相談にいらっしゃいました。
【ご依頼後に判明した問題点】
遺言を確認したところ、自宅不動産については確かに妹様に相続させる旨が記載されていたものの、預貯金等その他の財産については何も書かれていませんでした。
さらに、戸籍を収集して相続人の調査を行ったところ、故人には異母兄弟が複数人いることが判明しました。
結果的に相続人は12人にのぼり、全く面識のない人が多数含まれる状況となりました。
預貯金等の相続手続きのためには相続人全員の協力が必要なため、面識のない人にも連絡を取る必要があります。
財産調査の結果、故人の預貯金は数百万円程度あることがわかりましたが、ご相談者様の法定相続分を考えると、各相続人への連絡等を当事務所で代行した場合、費用倒れになる可能性もありそうでした。
【法定相続割合】
| 法定相続人 | 法定相続分に基づく相続割合 |
| 妹A(ご相談者様) | 12/72 |
| 兄弟姉妹および甥姪(異母兄弟含む) | 11人合わせて60/72 |
司法書士田中暢夫すんなりと話がまとまり、各自が費用を分担してくれれば問題ありませんが、このケースのように面識がない場合は、そうならない可能性も考えなくてはなりません。
【問題点】
- 自筆の遺言書がある場合、家庭裁判所に申立てをして検認手続きを行う必要がある。
- 検認手続きのためには、相続人全員の戸籍取得と住所調査が必要になる。
- 遺言書に財産の記載漏れ等の不備がある場合は、他の相続人の協力が必要になる。
- 面識のない相続人が多数いる場合は、手間と労力が相続できる財産と見合わない場合がある
【このように解決しました】
上記の状況及び問題点を受けて、当事務所で下記のとおりサポートを行い、解決しました。
- 膨大な数の戸籍を取得し、相続関係及び相続人全員の住所情報の調査を完了させました。
- 必要書類を整え、家庭裁判所に遺言書の検認の申立てを行いました。
- 検認完了後、遺言書による相続登記を申請し、無事完了しました。
- 預貯金の相続手続きについては、自分で対応した場合の労力や専門家に依頼した場合の費用を考慮した結果、コストと対価が見合わないということで積極的には手を付けない(手続きを進めない)ことになりました。
司法書士田中暢夫兄弟間相続では遺留分がないため、「全財産を妹に相続させる」という遺言をのこしていれば今回のような問題は生じませんでした。
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異母兄弟(異父兄弟)がいる場合の相続関係・法定相続分
民法では、下記のように相続人の優先順位が定められています。
■相続人の相続順位
| 被相続人から見た関係 | 相続順位 |
| 配偶者 | 常に相続人 |
| 子 | 第1順位 |
| 直系尊属(父母、祖父母など) | 第2順位 |
| 兄弟姉妹 | 第3順位 |
※第2順位以降の後順位者は先順位者がいない場合にのみ相続人となる
以下では、異母兄弟の法定相続分について、亡くなったのが親の場合と兄弟姉妹の場合に分けて解説します。
自分の親が亡くなり、後妻(配偶者)がいる場合(配偶者と子供が相続人のケース)
事例①のように、亡くなった人に後妻(配偶者)と後妻との子供がいて、別に前妻との子供がいる場合、法定相続分は配偶者が2分の1、子供達は2分の1を人数で均等割りとなります。
前妻との子でも後妻との子でも子供という立場は同じなので、相続割合は均等です。
なお、前妻は存命であっても相続人にはなりません。

自分の親が亡くなり、後妻(配偶者)がいない場合(子供のみが相続人のケース)
事例②のように、亡くなった人に配偶者がおらず、前妻の子と後妻との子がいる場合、法定相続分は子供の人数で均等割りとなります。
前妻との子でも後妻との子でも子供という立場は同じなので、相続割合は均等です。

司法書士田中暢夫なお、亡くなった時点で子供がすでに死亡している場合、その子供(被相続人から見て孫)がいれば、その方が繰り上がりで相続人になります。(代襲相続と言います。)
自分の兄弟姉妹が亡くなり、配偶者がいる場合(配偶者と兄弟姉妹が相続人のケース)
亡くなった人に配偶者はいるが、子供や直系尊属がおらず、兄弟姉妹がいる場合、配偶者とともに兄弟姉妹が法定相続人になります。
法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。
存命の兄弟姉妹が複数いれば法定相続分4分の1を人数で均等割りです。
ただし、民法では「兄弟姉妹の相続の場合、半血兄弟(父母どちらか一方のみを同じくする兄弟姉妹)の相続分は全血兄弟(両親とも同じ兄弟)の2分の1」と定められています。
そのため、相続人として全血兄弟と半血兄弟(異母兄弟)がいる場合、異母兄弟の法定相続分は両親とも同じ兄弟の2分の1になります。

(法定相続分)
第900条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
・・・
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
自分の兄弟姉妹が亡くなり、配偶者がいない場合(兄弟姉妹のみが相続人のケース)
事例③のように兄弟姉妹が相続人になるケースで、被相続人の配偶者がいない場合は兄弟姉妹のみが法定相続人になります。
配偶者がいるケースと同様に、両親とも同じ兄弟のほかに異母兄弟(半血兄弟)がいる場合は、異母兄弟の法定相続分は両親とも同じ兄弟の2分の1になります。

司法書士田中暢夫なお、亡くなった時点で兄弟(兄弟姉妹)がすでに死亡している場合、その子供(被相続人から見て甥姪)がいれば、その方が繰り上がりで相続人(代襲相続人)になります。
異母兄弟(異父兄弟)がいる場合の相続手続きの流れ
相続人の中に異母兄弟がいる場合、手順を守って慎重に手続きを進めることが重要です。
異母兄弟がいる場合の相続手続きは、一般的には下記のような流れで進めていきます。
遺言書がある場合、異母兄弟との話し合いが不要になる可能性があるため、まずは遺言書の有無を確認します。
亡くなった人の自宅や貸金庫等を調べるのはもちろんですが、公証役場や法務局で一括調査することもできるので、念のため調査しておきましょう。
遺言書の有無の確認方法について、くわしくはこちらをご覧ください。

遺言書がない場合、基本的には相続人全員で遺産の分け方の話し合い(遺産分割協議)を行うことになります。
そのため、亡くなった人や相続人の戸籍謄本を集めて、話し合いに参加すべき相続人が誰かを確定させる必要があります。
必要な戸籍の種類や戸籍の集め方についてくわしくはこちらをご覧ください。

必要な戸籍が揃い次第、相続財産の調査を開始します。
調査対象は不動産、預貯金、株式等の証券、生命保険契約などです。
相続財産の調査方法についてくわしくはこちらをご覧ください。
財産調査が終わったら、調査結果をもとに相続財産目録を作成しましょう。
相続財産目録の作成は法律上の義務ではありませんが、異母兄弟とトラブルなく相続手続きを進めていくためにも作成することをおすすめします。
財産目録の形式に決まりはありませんが、パソコン(エクセル等)で作成すると編集が容易です。
相続財産目録の作成方法についてくわしくはこちらをご覧ください。

遺産分割協議には異母兄弟含む相続人全員の参加が必要です。
親戚などに聞いても異母兄弟の連絡先がわからない場合、戸籍の附票から住所を調べて手紙を送りましょう。
連絡先がわからない場合の住所の調べ方や連絡の取り方については、「4.異母兄弟(異父兄弟)と面識がない場合の連絡の取り方」で詳しく解説します。
異母兄弟も含めて、相続人全員と連絡が取れたら、遺産の分け方について話し合います。
遺産の分け方は相続人全員の合意があれば自由に決めて構いませんが、基本的には法定相続分がベースになると考えておきましょう。
下記の記事も参考にしてください。


遺産の分け方が決まったら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員の署名押印を貰います。
この後の相続手続きでは遺産分割協議書とあわせて印鑑証明書も必要になるので、一緒に提供してもらいましょう。
司法書士田中暢夫金融機関での相続手続きの際には、発行後6か月以内(3か月以内の場合もあり)の印鑑証明書を求められることがほとんどなので、新しく取得したものを提供してもらいましょう。
遺産分割協議書の作成方法についてくわしくはこちらをご覧ください。

遺産分割協議書と印鑑証明書が揃ったら、預貯金口座の解約や不動産の名義変更手続きを行っていきます。
解約した預貯金について、代表者がまとめて払戻しを受け、後で各相続人に分配する場合は、振込先の口座を忘れずに聞いておきましょう。

遺産総額が相続税の基礎控除額【3,000万円+(600万円×法定相続人数)】を超える場合は、相続税の申告・納付を行います。
申告・納付期限は故人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です。
配偶者控除や小規模宅地等の特例等の税制上の優遇措置を受けるためには、遺産分割協議も10か月以内に終わらせる必要があるので注意しましょう。
異母兄弟(異父兄弟)と面識がない場合の連絡の取り方
たとえ異母兄弟と全く面識がなくても、相続人である以上無視して手続きを進めることはできないため、連絡を取る必要があります。
異母兄弟と連絡を取るためには、まず連絡先を確認する必要があります。
連絡先の確認方法としては、主に下記の2つが考えられます。
- 親戚に異母兄弟(異父兄弟)の連絡先を確認する。
- 戸籍の附票で住所を確認する。
自分は知らなくても、意外と親戚は知っているかもしれないので、心当たりがありそうな方には確認しておきましょう。
親戚に聞いても分からない場合は、戸籍を辿り、異母兄弟の戸籍の附票を取得して住所を確認することになります。
以下では、戸籍の附票を取得して住所を確認し、連絡を取る方法を解説します。
異母兄弟(異父兄弟)の連絡先の調べ方
異母兄弟の連絡先が全く分からない場合、亡くなった人の戸籍を辿って異母兄弟の現在の本籍地を確認し、「戸籍の附票」を取得することで現在の住所が判明します。
具体的には下記の手順で確認します。
亡くなった人の出生から死亡までの戸籍を集める
まずは、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍をすべて集めます。
相続関係のいかんに関らず必要な作業なので、異母兄弟の存在を知らなかったケースでは、この段階で判明することもあります。
逆に相続人と思っていた異母兄弟がすでに死亡していたことが判明することもあります。
戸籍のある役所が遠方の場合は郵送で請求することになります。
また、直系血族の戸籍については、「戸籍の広域交付制度」を利用すれば、最寄りの市区町村役場窓口で一括取得することができます。
司法書士田中暢夫広域交付制度の利用には予約が必要な場合もあるので、事前に自治体のホームページ等で確認してください。
戸籍の広域交付制度についてくわしくはこちらをご覧ください。

亡くなった人の戸籍から異母兄弟の記載を見つける
手順①の戸籍を取得する中で、異母兄弟の記載が出てきたら、その方が除籍(その戸籍からいなくなること)になっているか確認します。
除籍になっているかについては下記の部分で確認できます。
- 最近の戸籍…名前の横に「除籍」と記載されている。
- 古い戸籍…名前の所に×が付いている。
除籍になっていなければ、その方が記載されている戸籍が現在の本籍地なので、手順④に飛んで異母兄弟の戸籍の附票を請求します。
異母兄弟の戸籍を古い方から順番に取得し、現在の本籍地を確認する
手順②で異母兄弟が除籍になっていて、理由が「婚姻」「転籍」「縁組」などの場合は、新しい本籍地に戸籍を請求します。
新しい本籍はその人に関する記載事項の一番最後あたりに記載されています。
新しく取得した戸籍を確認し、転籍等によりさらに新しい戸籍が存在する場合は、最新の戸籍(現在の本籍地)に辿り着くまで戸籍請求を繰り返します。
司法書士田中暢夫除籍の理由が「死亡」の場合は、その方の子供が相続人になる可能性があるので、その方の出生から死亡までの戸籍を取得して子供がいるかどうかを調べます。
異母兄弟の戸籍の附票を確認する
異母兄弟の現在の本籍地がわかったら、その本籍地の市区町村役場に戸籍の附票を請求します。
戸籍の附票には住所の変遷が記載されており、一番新しい住所が異母兄弟の現住所という事になります。
■戸籍の附票の見本

連絡先が分からない相続人の住所の調べ方についてくわしくはこちらをご覧ください。

住所がわかったら手紙を送る
異母兄弟の現在の住所が分かったら、手紙を送って連絡を試みます。
相手から手続きに協力する旨の返事があれば、遺産分割協議や相続手続きを進めることができます。
手紙の内容は、下記の文例を参考にしてみてください。
■異母兄弟への手紙の文例

連絡先・居場所が分からない相続人がいる場合の対処法についてくわしくはこちらをご覧ください。

異母兄弟(異父兄弟)が相続人になる場合の注意点
先の事例でもわかるように、異母兄弟がいる場合の相続手続きは、相続人同士の複雑な関係性に注意して進めていかなければなりません。
無用なトラブルを避けるために、特に注意すべき点は下記の4つです。
- 相続発生の連絡は早めに行う
- 相続財産目録を作成して財産の内容を開示する
- 面識がない場合はファーストコンタクトが重要
- 遺言書がない場合は法定相続分で分けることが原則
以下、くわしく解説します。
相続発生の連絡は早めに行う
異母兄弟との関係性にもよりますが、親が亡くなった場合、できれば遺産分割についての話し合いの前に連絡を取り、相続が発生したことを伝えた方がいいでしょう。
一般的に考えて、自分の親が亡くなったという事実は早めに知らせてあげるべきでしょう。
お互いに連絡先を知っているにも関わらず、亡くなって数か月経ってからいきなり遺産の分け方についての連絡が来たら、「相続するために仕方なく連絡してきたんだな」と不信感を持たれても仕方ありません。
感情のもつれから「争族」に発展してしまうと、まとまる話もまとまらず、解決のためには多大な労力と時間がかかります。
また、親が遺言書を残していて遺産分割協議が必要ないケースでも、連絡をしないのが得策とは言えません。
「6.異母兄弟(異父兄弟)に知らせず(知られず)に相続手続きはできる?」で解説するとおり、遺言書がある場合も、多くのケースでは何らかの形で相続人には死亡の事実が伝わります。
親が亡くなった場合は遺留分の問題もあるため、異母兄弟との関係性を悪化させることは避けるべきです。
司法書士田中暢夫異母兄弟の連絡先が分からない場合は仕方ありませんが、連絡先が分かるのであれば、少なくとも死亡の事実は早めに伝えてあげましょう。
■亡くなったのが兄弟の場合も早めに連絡すべき?
親が亡くなった場合と異なり、兄弟が亡くなり異母兄弟が相続人になるケースでは、早めに連絡を取るべきか否かはケースバイケースです。
故人と異母兄弟に生前の交流があった場合は、遺言書の有無に関わらず、社会常識に照らして早めに知らせてあげるべきでしょう。
一方、生前の交流がなく、異母兄弟が一切遺産を相続しない内容の遺言書がある場合は、遺留分の問題も生じないため、わざわざ亡くなったことだけを知らせる必要はないでしょう。
なお、遺言書で遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者の義務として法定相続人への通知をしなくてはならないため、いずれ異母兄弟に連絡が行くことになります。
相続財産目録を作成して財産の内容を開示する
異母兄弟と遺産分割協議を行うにあたっては、財産の内容はもれなく開示することを心がけましょう。
「疎遠な相続人に財産の詳細について知らせないまま、遺産分割協議書に判子を押してほしいと頼んだところ応じてもらえず、弁護士を付けて争ってきた。」というのはよく聞く失敗例です。
財産の全容がわからなければ、遺産の分け方を決めることはできず、判子を押すこともできないというのが普通です。
財産の開示をなあなあで済ませてしまうと、「他に隠している財産があるのでは」という不信感を持たれてしまう恐れがあります。
話し合いが決裂してしまうと解決までには長い時間がかかります。
また、隠すつもりは無くても、後で財産が見つかった場合、再度やり取りをして遺産分割協議を行うことになるため、相手方にも迷惑がかかります。
そのようなトラブルを避けるために、相続財産についてきちんと調査を行った上で、相続財産目録を作成し、資料と共にきちんと相手方に開示しましょう。
面識がない場合はファーストコンタクトが重要
異母兄弟と面識がない場合、快く手続きに協力してもらうためには、最初の連絡がとても重要になります。
よく知らない相手からいきなり連絡が来たら、警戒するのが普通です。
ましてや相続や遺産分割などのデリケートな話題となればなおさらです。
間違ってもいきなり遺産分割協議書や相続手続依頼書などの書類を送りつけて、署名捺印を求めたりしてはいけません。
これをやってしまうと大抵の場合、お互い弁護士を付けての交渉となり、解決までの期間が長引き、費用も高くつくことになります。
「4-2.住所がわかったら手紙を送る」の文例のように、丁寧に事情を説明し、あくまでお願いする立場であること、協力してもらえるとありがたい、という事を意識して書けば失礼な印象を与えることは無いでしょう。
司法書士田中暢夫これまでたくさんの方の相談を受けてきましたが「最初の連絡の際に失礼な印象を与えてしまうと、その後のやり取りが非常に難航することになる」というのは間違いない所です。
遺言書がない場合は法定相続分で分けることが原則
遺言書がない場合は、法定相続分どおり遺産を分けるのが原則です。
とは言え、相続人全員が合意すれば法定相続分と異なる分け方でも問題ないので、事例②のように異母兄弟と話し合った結果、現在の家族が多く相続することは問題ありません。
中には事情を汲んで相続を辞退される方もいるので、多く相続させてほしいとお願いしてみるぐらいはいいかも知れません。
しかし、話がこじれて遺産分割調停や審判になってしまうと、よほどの事情がない限り、ほぼ法定相続どおりの分け方になってしまうことがほとんどなので、「自分の希望を必ず通す」ことにこだわりすぎても、結局徒労に終わる可能性が高いです。
司法書士田中暢夫お願いするにしても、当然に現在の家族が多く財産を相続すべきという姿勢ではなく、「本来は異母兄弟と法定相続分で分け合うのが原則であり、提案が受け入れられないならきちんと分ける」という心づもりは必要でしょう。
異母兄弟(異父兄弟)に知らせず(知られず)に相続手続きはできる?
異母兄弟と会ったことがない場合、わざわざ異母兄弟に知らせずに相続手続きを進められないかと考える方もいるでしょう。
結論から言うと、ほとんどの場合は異母兄弟に知らせず(知られず)に相続手続きをすることはできません。
以下、ケース別にくわしく解説します。
遺言書がない場合
遺言書がない場合は、異母兄弟に知らせずに相続手続きをすることはできません。
亡くなった人が遺言書を残していない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行う必要があります。
相続人である異母兄弟の協力を得るため、必ず連絡を取らなくてはなりません。
遺言者がある場合
遺言書がある場合は、遺言書の種類や内容によって異なります。
① 自筆証書遺言の場合
自筆証書遺言がある場合、異母兄弟に知られずに相続手続きすることはできません。
自筆証書遺言の場合、相続人から積極的に連絡をしなくても、公的機関から相続発生の事実を知らせる仕組みがあるためです。
自筆証書遺言で相続手続きを行う場合、原則として家庭裁判所での遺言書の検認手続きを経る必要があります。
検認の日程が決まると家庭裁判所から相続人全員に通知がされるので、この段階で異母兄弟に知られることになります。
また、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合、検認手続きは不要ですが、相続手続きのために必要な遺言書情報証明書の交付請求をした際に、法務局から相続人全員に通知が送付されます。
このように、自筆の遺言書で相続手続きを行う過程で裁判所や法務局から通知がされるため、異母兄弟に知られずに相続手続きを行うことはできません。
自筆証書遺言書保管制度についてくわしくはこちら

② 公正証書遺言(遺言執行者の指定あり)の場合
遺言書の中で遺言執行者が指定されている場合、異母兄弟に知られずに相続手続きをすることはできません。
公正証書遺言の場合、自筆証書遺言のような公的機関からの通知の仕組みはありません。
しかし、遺言執行者は相続人に対して、遺言書の内容を知らせる法的義務があります。(民法第1007条第2項)
そのため、相続人から積極的に連絡せずとも、遺言執行者からの通知により、いずれ異母兄弟は相続発生の事実や遺言の内容について知ることになります。
司法書士田中暢夫自筆証書遺言かつ遺言執行者が指定されている場合は、裁判所(又は法務局)からの通知と、遺言執行者からの通知が重ねて行われることになります。
遺言執行者の法的義務についてくわしくはこちら

③ 公正証書遺言(遺言執行者の指定なし)の場合
公正証書遺言があり、その中で遺言執行者が指定されていない場合は、異母兄弟に知らせず(知られず)に相続手続きできる可能性があります。
この場合、裁判所や法務局から通知がされることはなく、遺言を作成した公証役場から通知がされることもありません。
また、遺言執行者がいなければ、他の相続人に対して通知をする法的義務はありません。
よって異母兄弟が遺産を全く相続しない内容の遺言書であれば、異母兄弟に知らせずに、最後まで知られることもなく相続手続きを完了できる可能性があります。
ただし、異母兄弟自身が親の戸籍を取得して生死を確認することや、相続人として公証役場で遺言の有無や内容を確認することはできるため、異母兄弟に知られる可能性を完全に排除することはできません。
司法書士田中暢夫なお、遺言執行者が指定されていない場合、金融機関での相続手続きの際に、別途異母兄弟の同意や確認を求められる可能性があります。
■親が亡くなった場合、異母兄弟に知らせないことが良策とは言えない
異母兄弟に知らせずに手続きができるなら知らせない方がいいかというと、必ずしもそうとは言えません。
親が亡くなった場合、仮にこちらから知らせなかったとしても、何らかのきっかけで異母兄弟が相続発生の事実を知る可能性は高いです。
子供が自分の親の戸籍を取得することは容易で、戸籍謄本を見れば死亡したことはすぐにわかってしまいます。
後述する遺留分の問題があるため、できるだけ知らせたくないという気持ちもわかりますが、最長10年もの間*、いつ向こうから連絡が来るかわからない状態で過ごすのは、精神衛生上良くはないでしょう。
*遺留分侵害の事実を知ってから1年または相続開始から10年経つと、時効により遺留分の請求はできなくなります。
何より、いくら疎遠とは言え、親が亡くなったのに何も知らせないというのは、道義的に問題があります。
後により大きなトラブルになるリスクを考えると、たとえ異母兄弟に知らせずに手続きができる場合でも、知らせないという判断が正しいとは言い切れないでしょう。
異母兄弟(異父兄弟)の遺留分

遺留分とは、遺言書の内容に左右されず、特定の相続人が最低限の遺産を相続できる権利のことです。
遺留分を侵害された(最低限の遺産をもらえなかった)相続人は、遺留分を侵害している人に対して、遺留分侵害額相当の金銭の支払いを請求する「遺留分侵害額請求」を行うことができます。
遺留分が認められる相続人の範囲は配偶者・子・直系尊属に限られており、兄弟姉妹には認められていません。
したがって、異母兄弟が亡くなった親の相続人になる場合、遺留分侵害額請求を行うことができます。
一方、異母兄弟が亡くなった兄弟の相続人になる場合、遺産を取得できなくても遺留分を請求することはできません。
司法書士田中暢夫遺留分侵害額請求の期限は、「相続開始と遺留分侵害の事実を知ってから1年間」または「相続開始から10年間」です。
遺留分についてくわしくはこちらをご覧ください。

異母兄弟(異父兄弟)に財産を相続させない方法
異母兄弟を持つ方の中には、「面識もない異母兄弟に財産を分けたくない」という方も多いです。
異母兄弟に財産をなるべく相続させたくない場合、生前に対策を取ることが重要です。
ここでは、生前に取れる対策を「親の財産を相続させたくない場合」「自分や兄弟の財産を相続させたくない場合」に分けて解説します。
親の財産を相続させたくない場合
最も有効なのは、遺言書を作ったうえで生命保険や生前贈与を活用してなるべく相続させる分を減らす方法です。
まずは親が「現在の配偶者や特定の子供にすべての財産を相続させる」内容の遺言書を作成することは必須です。
これだけでは相続開始後に異母兄弟から「遺留分の請求」をされる可能性があるので、遺留分を減らすための対策を行います。
親の現預金を使い、相続人を受取人とする生命保険に加入するというのは節税対策でよく使われる手法ですが、遺留分対策としても効果的です。
死亡保険金は受取人の固有財産であり、原則として遺産分割や遺留分請求の対象にならないため、配偶者や特定の子供を受取人とすることで異母兄弟に渡ることを防ぐことができます。
ただし、財産の大半を使って生命保険に加入するなどした結果、相続人間で著しい不公平が生じる場合は、例外的に死亡保険金が遺留分請求の対象となる可能性があるので注意しましょう。
また、配偶者や特定の子供・孫などに生前贈与を行う事で、手元の財産を減らす方法もあります。
生前に自分の財産を減らしておけば、相続財産(=遺留分請求の対象となる財産)が減ることになるため、異母兄弟に渡る財産を少なくすることができるというわけです。
ただし、下記に該当する生前贈与は、遺留分侵害額請求の対象となるので注意しましょう。
- 相続開始前1年以内に行われた法定相続人以外への生前贈与
- 相続開始前10年以内に行われた法定相続人への生前贈与
- 当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って行われた生前贈与(期間の限定無し)
特に上記③に該当する場合、期間の限定なく遺留分請求の対象となるので、「遺留分の対象を減らす目的で生前贈与しても意味がないのでは?」という疑問が沸くかもしれません。
この点、実務上は「当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知っていた」ことの証明が難しく、金銭の贈与については10年以上前にされたものは証拠が残っていないことも多いです。
したがって、相続開始より10年以上前にした生前贈与については、遺留分請求の対象から外れる可能性が高いため、なるべく早く生前贈与を実行することが重要になります。
司法書士田中暢夫生命保険にしても生前贈与にしても、やりすぎるとかえって逆効果になるので、相続実務に精通した専門家に相談の上で、慎重に実行することをおすすめします。
自分や兄弟の財産を相続させたくない場合
親の場合と異なり、兄弟姉妹には遺留分がないため、生前に遺言書を作成し、財産を相続させる人を指定しておけば十分です。
遺言書は自筆のものでも有効ですが、紛失・改ざんリスクがなく、法的に無効になることのない公正証書で作成することをおすすめします。
なお、公正証書遺言でも内容に不備があるために異母兄弟の協力が必要になるリスクはあります。
せっかく遺言書を作るなら、確実にトラブルを避けるために、相続実務に精通した専門家に相談の上で作成することをおすすめします。
遺言書のトラブル事例と失敗しないための作成方法についてはこちらをご覧ください。

異母兄弟(異父兄弟)との相続手続きは専門家に相談を
ここまで解説したとおり、異母兄弟がいる場合の相続手続きは慎重に進めていく必要があります。
特に異母兄弟と面識がないなど疎遠な場合は、住所の確認や財産内容の開示など手間のかかる作業が多く、自分たちだけで進めるのはとても大変です。
相続に精通した司法書士などの専門家であれば、異母兄弟がいる場合の相続手続きをまるごと代行することが可能です。
また、一度話し合いで揉めてしまうと解決するのはなかなか難しく、最終的にはお互い弁護士を付けての交渉となり、解決までの期間が長引き費用も高くつくことになることが多いです。
公平な第三者を介して冷静に話し合いができるようにするという意味でも、相続実務に精通した専門家に相談することをおすすめします。
司法書士田中暢夫異母兄弟がいるような複雑な相続について経験豊富な専門家は意外と少ないので、ホームページで実際の事例を公開している場合は参考にするといいでしょう。
当事務所の解決事例一覧はこちら

相続で司法書士法人東京横浜事務所が選ばれる理由についてはこちら

まとめ
本記事では、異母兄弟(異父兄弟)がいる場合の相続について解説しました。
異母兄弟との相続は、それぞれが複雑な感情を抱いていることが多く、トラブルも起きやすいのが実情です。
いま相続に関するお悩みやご不安を抱えている方は、一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。
記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。
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