不動産の売却代金含めて公平に分割したいが遠方のため難しい…【遠方の不動産の売却・代金分配を公平な第三者にまかせたいケース】

相続人が遠方に住んでいるため売却活動が難しい…

ご相談前の状況

お母様が亡くなられた方からのご相談。

相続人はお子様二人。

東京都内の実家については、利用予定もないため売却すると決めており、数年前に亡くなったお父様の相続の事も考慮して、売却代金を分割するつもりとのこと。

ただ、相続人はそれぞれ東海地方と関東の他県在住で、仕事や家庭の事情もあり、売却活動のために何度も東京に行くのは難しい状況。

交通費も馬鹿にならないので、どちらかに負担が偏らないよう、公平な第三者に不動産の売却・代金の分配を含めて遺産分割・相続手続きをまかせることができないかという事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 利用予定のない実家不動産は売却して代金を分けるつもりだが、相続人が全員遠方在住で、売却活動のために何度も現地に出向くのは難しい。
  • 相続手続きや不動産売却手続きの負担がどちらかに偏ることは避けたい。
  • 数年前に亡くなった父の相続の際に受け取った財産も考慮した上で、今回の遺産分割内容を決めたい。
  • 遺産の分配や不動産売却代金の分配は、公平で信頼できる専門家に任せたい。
  • 取得価格が不明で高額の譲渡所得が発生しそうなので、特別控除の特例の適用を検討する必要がある。
  • 家屋が古く、一般向けにそのまま売却するのは難しいので、買取業者への売却も検討する必要がある。

当事務所からのご提案

亡くなった方が一人暮らしで相続人の生活基盤が別の地域にある場合、相続した自宅不動産は早期に売却したいと考える方がほとんどです。

持ち続けても固定資産税や管理費用等がかかり続けるだけ、というのはもちろんですが、不動産が遺産に占める割合が大きい場合、売却して代金を分けなければきれいに分割できないというのも理由になります。

このケースでは相続人はそれぞれ東海地方と関東の別の県に暮らしていて、故人宅は東京都内だったため、定期的な管理も難しく早期に売却したいとのことでした。

また、数年前に亡くなった父の相続の際に相続税の事を考えてやや不公平な分割となったため、今回、父母分あわせて公平に分割したいとご希望でした。

不動産の売却を前提として遺産を公平に分けるためには、相続手続きと売却手続きを一体のものとして進めなければ、思わぬところで不満が生じ相続人間のトラブルに発展してしまいます。

ご相談者様方も、二人とも遠方にいて専門的知識もないため、自分たちだけで進めた場合、手続きの負担が偏ったり、実質的な公平さを欠く分け方になってしまうことを危惧されていました。

そこで、当事務所で遺産相続の必要な手続きと不動産売却に必要な手続きを一括して代行し、売却代金の分配までサポートさせていただくことを提案しました。

最大600万円も得する⁉相続不動産売却時の空き家特例とは

相続した不動産を売却する場合に、「どれだけ高く売れるか」と同じぐらい重要なのが、「税金(譲渡所得税)の負担をいかに抑えるか」です。

というのも、相続した不動産を売却する場合、不動産を取得したときの価格(取得費)が非常に低額であったり、そもそもいくらかまったくわからないケースが多いためです。

不動産を売却した場合、取得時の価格と売却時の価格の差額(譲渡所得)に対して税金(所得税及び住民税)が課税されます。

取得費が不明な場合や取得価格が売却額の5%よりも少ない時は、売却額の5%を取得費として計上できますが、残りの95%に対しては課税されてしまいます。

譲渡所得税の税率は約20%のため、納める税金の金額も馬鹿になりません。

この点、実は相続した不動産が空き家の場合、一定の条件を満たした上で売却をすれば、儲けのうち3,000万円までは課税されないという特例があります。(通称空き家特例と言います。)

空き家特例の適用条件を満たした上で売却することで、税金の額は一人あたり最大600万円も安くなります。

空き家特例にはいくつか適用条件がありますが、その中でも「古い家屋は取り壊した上で売却する*」というものがあります。

*税制改正により、2024年以降に譲渡する場合は、売却(譲渡)後一定期間内に取り壊せば適用できることになりました。

今回、当初は解体費用等の負担を考えて、古屋付土地として一般向けに売却することを考えていらっしゃいました。

しかし売却後の手取り額を考えると、空き家特例の適用を受けて売却した方が明らかにメリットは大きいと思われました。

また、建物が建っていると土地の状態が判別しづらい等の理由から、一般向けでは中々買い手が付かない可能性があります。

そこで、まずは「引き渡し時までに建物を解体する」という条件で複数の買取業者に金額を提示してもらうことを提案しました。

そして業者による入札の結果、納得できる金額が出た場合はそのまま業者に売却、金額が低すぎる場合は、時間をかけて一般向け販売に切り替えるという方針で売却活動を進めることになりました。

このように解決しました

  • 戸籍謄本の取得や財産調査を行い、売却の前提となる遺産分割協議及び相続登記を迅速に完了させました。
  • 金融資産の解約手続き等のその他の相続手続きも迅速に行い、各相続人への分配を完了させました。
  • 相続物件に強い不動産会社と連携の上、複数の買取業者に買い取りを打診し、入札方式で買取希望者を募りました。
  • 入札額が納得のいくものだったため、最高額で入札した業者と早期に売買契約を締結しました。
  • 空き家特例の適用を受けるために、引き渡し時までに家屋を解体し、残代金決済及び所有権移転登記を行いました。
  • 売却後、手続きにかかった費用等を控除した上で、各相続人への分配を行いました。
  • 空き家特例の適用を受けるために必要な書類を手配し、翌年の確定申告を担当する税理士に連携しました。
  • 相続人2人とも空き家特例の適用を受けられるよう遺産分割を行ったため、譲渡所得税をほぼゼロに抑えることができました。
  • 遺産相続手続きから不動産売却に必要な手続きまで一括して代行させていただき、ご相続人様の負担なく相続を終えることができました。

担当者からのコメント

このケースでは、ご相続人様達が遠方に住んでいるという事もあり、自分たちで手続きを進めることに不安を感じていたため、最初から専門家のサポートを希望されていました。

しかし、中には自分たちだけで進めた結果、手続きの負担を巡って不満が生じたり、手続きが途中で止まってしまうケースもあります。最悪の場合、弁護士を入れての泥沼の紛争に発展してしまう事さえあります。

費用を節約するつもりだったのに、結果的にトラブル解決のコストがかさんでしまった…という事になっては元も子もありません。

また、普通の不動産会社に売却の相談をしても、譲渡所得税のことまで考慮した実質的に公平な遺産分割まで提案してくれることはほとんどないでしょう。

むしろ、売却を進めるために売主が損するようなとんでもない(しかし知識の無い方は気づかない)提案をされることもあるようです。

公平で信頼できる専門家に任せることで、費用以上のメリットを得られるケースも多いので、遺産相続や不動産売却に少しでも不安を感じている方は、相続と不動産に強い司法書士などの専門家に相談してみましょう。

当事務所では、相続手続きから不動産の売却までを一括しておまかせできる「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとしたさまざまなサービスをご提供しており、相続した空き家の売却についても数多くのサポート実績があります。

ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

相続不動産の売却をおまかせしたい方はこちら

相続不動産の売却で損しないためのポイントについてはこちらをご覧ください。

相続不動産売却時の空き家特例についてくわしくはこちらをご覧ください。

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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