疎遠な親族が被保険者の養老保険、どう処理すればいい?【保険契約の名義変更のため、疎遠な親族の協力が必要なケース】

保険の手続きのため、疎遠な人の協力が必要…

ご相談前の状況

ご祖母様が亡くなられた方からのご相談。

子供(ご相談者様の父)がすでに亡くなっているため、孫であるご相談者様が唯一の相続人。

故人は姪と同居されており、ご相談者様とは離れて暮らしているという事もあり、父が亡くなって以来あまり交流は無かったとのこと。

故人の遺産には不動産や預貯金の他、姪が受取人になっている生命保険や、被保険者が姪になっている故人名義の養老保険などがあり、どのように処理すればいいかわからないということで相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 故人の姪が受取人になっている生命保険契約があるが、姪とは疎遠なためどのように対応すればいいかわからない。
  • 故人が契約者で、姪が被保険者となっている養老保険があるが、どのように処理すべきかわからない。
  • 相続税の申告が必要なため、保険契約についても相続税評価額が分かる資料を取り寄せる必要がある。
  • 遠方のため、姪とのやり取りや手続きのために何度も足を運ぶのは難しい。

当事務所からのご提案

亡くなった方に子供がいて、子供が先に亡くなっている場合、その方の子供(亡くなった方から見て孫)が代襲相続人として相続人になります。

例え故人と同居していた他の親族がいたとしても、相続手続きは相続人自身で行わなければなりません。

ただし、受取人が指定されている生命保険契約については、原則として受取人自身が単独で手続きを行うことになります。

このケースでは、故人の姪が受取人になっている生命保険契約に関する書面が見つかったので、受取人本人にそのことを伝える必要がありました。

ご相談者様は姪の方とはほとんど交流がなく、遠方のため直接出向いて説明するのも難しいということでした。

そこで、当事務所で姪の方にお手紙を出し、生命保険の受取人になっていることをお伝えし、手続きを促すことになりました。

また、今回は相続税の申告が必要だったため、生命保険金の支払金額がわかる書類を相続税の申告の際に提出する必要がありました。

そこで、当事務所で保険会社に連絡を取り、相続税評価額がわかる資料の請求を行うことになりました。

故人が契約者で、被保険者が別の方の保険契約の取り扱いは?

このケースでは、上記の生命保険契約の他に「契約者及び保険金受取人は故人本人だが、被保険者は姪」という養老保険契約がありました。

このような保険契約は、解約することによって契約者本人が解約返戻金の支払いを受けることができるため、「生命保険契約に関する権利」として、遺産分割や相続税の対象になります。

1 相続開始の時において、まだ保険事故が発生していない生命保険契約に関する権利の価額は、相続開始の時においてその契約を解約するとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額によって評価します。

参考:生命保険契約に関する権利の評価

また、相続の方法についても、解約して返戻金を受けるほか、相続人へ名義変更することもできます。

さらに保険会社の規約によっては相続人ではない被保険者に名義変更することも可能です。

ただし、今回の契約では、名義変更のためには被保険者である姪の同意が必要とされていました。

ご相談者様にご意向を伺ったところ、保険はご祖母様が同居の姪のために入ったものだと思うので、できれば姪の方に名義変更して受け取ってもらいたいとのことでした。

そこで、当事務所で姪の方にお手紙を出し、先述の生命保険契約と併せてご意向を確認し、保険金請求や名義変更の手続きも代行させていただくことになりました。

ちなみに・・・

このケースのように被保険者が本人以外の生命保険は、保険会社の営業マンが「相続対策のため」という誘い文句で、知識のない高齢者の方に契約させているというケースがとても多いです。

しかし実際には死亡保険金等の非課税枠の対象外のため、全く相続対策にはなりません。

それどころか、保険契約の解約や名義変更には被保険者以外の相続人の同意が必要なため、後々相続トラブルの原因になりかねません。(このケースでは結果的に故人の希望が実現しましたが、稀な事例です。)

このケースは社会問題にもなった某保険会社の保険でしたが、同様の事例を見かけることは非常に多いので、後にトラブルにならないようにご自身や親の保険契約について、一度信頼できる専門家に相談の上、確認しておくことをお勧めします。

このように解決しました

  • 保険会社に連絡を取り、契約内容の確認や手続き方法の確認を行い、相続税評価額がわかる資料の請求を行いました。
  • 疎遠な姪の方に保険契約の内容や手続きについてご説明するお手紙を出し、ご連絡をお願いしました。
  • 最初の手紙では反応がなかったものの、何度か連絡を試みた結果、連絡があり、名義変更等のご意向を確認することができました。
  • 保険金の請求や名義変更手続きについても代行させていただき、無事完了させることができました。
  • そのほか、金融機関の調査・解約や不動産の名義変更等についても代行させていただき、迅速に完了させました。

担当者からのコメント

このケースでは、ご相談者様が唯一の相続人でしたが、地理的に遠いということもあり故人の財産状況や生前の生活状況がほとんどわからないという事情がありました。

それでも相続手続きについては、故人の近くに住んでいる(相続人ではない)親族に頼むというわけにはいかず、基本的には自分自身で行わなくてはなりません。

お仕事で忙しい方や遠方にお住まいの方が、すべての手続きを段取り良くこなすのは難しいでしょう。

このケースのように疎遠な方と連絡を取らなくてはならない場合はなおさらです。

専門家に依頼するとその分の費用はかかりますが、関係者とのやり取りや相続手続きをすべて任せることで煩わしさからは解放されます。

疎遠な方とのやり取りなどが必要で手続きが負担になりそうな方は、お早めに相続全般に精通した専門家に相談されることをおすすめします。

当事務所では、亡くなった後の様々な手続きをまるごとおまかせできる相続まるごとおまかせプランをはじめ、お客様のニーズに応じた様々な相続サービスをご提供しております。

ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

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※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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