価値に差のある不動産が複数、揉めないように相続させるには?【価値に差がある複数の不動産を揉めないように相続させたいケース】

財産の価値がバラバラ。揉めないための対策とは?

ご相談前の状況

ご高齢のお母様について遺言作成を含む生前対策をご検討中の方からのご相談。

現時点での相続人はご相談者様を含むお子様3人。

財産として預貯金や不動産があるが、お母様ご自身も何があるかよくわかっていない状況。

特に不動産は、亡父が生前購入した不動産含めて4物件あるものの、所在地もばらばらで価値に大きく差があるので、分け方や処分方法を巡って揉めるのではないかと心配しているとのこと。

何かあった時に兄弟を取りまとめるのは自分なので、揉めないようにきちんと対策をしておいてほしいという事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 子供たちになるべく平等に相続させたいが、価値に差のある不動産が複数あるため、難しい。
  • 遺留分請求など相続人同士の揉め事が起きないよう遺留分についても考慮する必要がある。
  • 万が一、亡くなる順番が逆になった場合に備えて、遺言の中で対策しておく必要がある。
  • 相続税の負担が過大にならないように、納税資金確保や節税についても対策の必要がある。
  • 財産を貰う方の負担にならないように、亡くなった後の手続きについても対策しておく必要がある。

当事務所からのご提案

経済状況や連絡の頻度の違いなどはあっても、子供達にはなるべく平等に相続させたいと考える親は多いです。

ただ、財産がすべて現預金や株式等の金融資産であれば平等に分けるのは簡単ですが、不動産がある場合は難しくなります。

このケースでは、亡くなったお父様が子供たちそれぞれに相続させるつもりで購入した不動産が3物件あり、お母様が親から相続した不動産と合わせて4つの不動産がありましたが、それぞれ離れた場所に存在し、価値には大きな差がありました。

しかも不動産の中には、現在の居住地の関係で住むのは難しく、賃貸にも適さないような土地も含まれていました。

従ってこのまま何も対策をしないまま相続が発生すると、誰がどの不動産を相続するか、どのように処分するかで揉める可能性が非常に高いと思われました。

そこで、当事務所で税理士の協力のもと財産の棚卸しを行い、現在の財産の種類や価値を正確に把握した上で、できるだけ公平な分割内容の遺言書を作成することを提案しました。

また、相続税の負担が過大にならないよう、無理のない範囲できる節税や納税資金確保のための対策を検討することになりました。

不動産が複数ある場合に子供たちに平等に相続させるには?

今回のように複数の不動産がある場合、公平な分け方として、相続発生後にすべての不動産を売却して代金を分けるという方法も考えられます。

しかし今回は、お子様の一人がお母様と自宅不動産で同居しており、できればそのまま住ませ続けたいと希望されていました。

そこでまずはお母様のご意向をもとに、お子様それぞれに相続させる不動産を決め、その上で、相続税評価をベースに各不動産の価格を決め、差額については預貯金等の金融資産で調整することを提案しました。

また、相続後に遺産を巡って争いになった場合、財産の価格は相続税評価ではなく時価が基準となることが多いです。

そこで、万が一にも遺留分侵害額請求等の争いが生じないように、現在の時価相場に基づき、各人の取得額が遺留分を下回らない内容になっていることを確認しました。

さらに、明らかに利用価値のない不動産については相続後の手続きの負担を減らすために、この機会に売却してお金に換えることを提案しました。

このように解決しました

  • 財産状況を詳しくヒアリングし、税理士の協力のもと現在の相続税評価を算出し、財産目録を作成しました。
  • お母様のご意向をもとに不動産の分け方を決め、差額を埋めるよう金融資産等の配分を決めました。
  • お母様に遺言を遺すにあたっての想い等を詳しく伺い、お子様それぞれの状況にも配慮した内容の遺言書を作成しました。
  • 死後に遺留分請求の問題が生じないよう、各相続人の遺留分が確保されていることを確認しました。
  • 万が一亡くなる順番が逆になったときのため、予備的遺言を盛り込みました。
  • 税理士の相続税試算を基に、生命保険への加入や効果的な生前贈与などの納税・節税対策についても提案及び実行のサポートをしました。
  • 不動産会社と連携し、利用価値のない不動産の売却をサポートしました。
  • 相続発生後の相続人様の負担を無くすため、遺言で当事務所を遺言執行者に指定していただきました。

担当者からのコメント

昔は、子供たちは独立して家を建てるのが当たり前という考えが一般的だったため、子供たちにそれぞれ土地を与える親は少なくありませんでした。

しかし、当人にとっては平等に分け与えたつもりでも、不動産の価値が大きく異なると不公平感が生じ、揉める原因になります。

幸いこのケースでは、不動産の差額を埋めるための金融資産が十分にあったため、不公平感の少ない分け方を提案することができました。

しかし、不動産が自宅しかなく、金融資産があまり多くないケースなど、完全に公平に分けるのが難しい場合もあります。

自分の死後も不動産を売却してほしくない場合は、遺留分を下回る分け方にならないように気を付ける必要があります。

また、どうしても不公平な分け方になる場合は、そのような分け方になった理由や子供たちへの思いを付言事項に記し、残された方への配慮を見せることも重要です。

残された家族が不仲になることの無いように、遺言書作成や相続対策をお考えの方は、事前に相続に精通した専門家に相談の上、実行することをおすすめします。

当事務所では、残されたご家族が円満相続を迎えるための遺言書作成や生前対策について数多くのサポートの実績がございます。

ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

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※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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