現況宅地なのに登記簿上は農地になっている土地、何が必要?【相続を機に登記地目の変更登記を行うケース】

実家の登記簿上の地目が「田」だった。何か問題ある?

ご相談前の状況

お母様が亡くなられた方からのご相談。

相続人はお子様三人。

相続にあたり母の不動産の登記簿を確認したところ、自宅として使用している土地の地目が「田」となっており、相続登記以外に必要な手続きがあるのかも確認したいという事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 地目が田畑となっており、現況も農地として使用している場合、農業委員会に「相続等による農地取得の届出」を行う必要がある。
  • 地目が田畑となっているが、現況は宅地等として使用している場合、現況に合わせるために地目変更登記の申請を検討する必要がある。

当事務所からのご提案

不動産の相続手続きは、通常は相続登記を申請して相続人への名義変更を行なえば十分です。

しかし登記簿上の地目が田や畑の場合は、相続登記以外に別の手続きが必要になる可能性があります。

まず、登記地目が田や畑で現況も農地として使用している場合は、管轄の農業委員会へ「相続等による農地取得の届出」を行う必要があります。

期限は権利を取得したことを知った日から10か月以内ですが、期限を過ぎても罰則はないようです。

一方、登記簿上の地目が田や畑であっても現況は宅地や雑種地である(=農地ではない)というケースも多いです。その場合は上記の届出が不要なこともあります。

そして今後の利用を考えると、相続の機会に地目変更登記を行う事を検討すべきです。

地目変更登記は、土地の用途や使用目的に変更があった場合に登記簿上の地目を現況と合うように変更する手続きのことです。

地目は登記を申請しないと勝手に変更されることは無いので、今回のように登記地目と現況(課税地目)が異なるケースは少なくありません。

今回も、実際には30年以上前に農地から宅地へ転用されていましたが放置されている状態でした。

このまま登記地目と現況が異なる状況が続いてもすぐに問題が生じるわけではないのですが、いずれ売却する際に不都合が生じます。

というのも登記簿上の地目が田や畑などの農地の場合、そのままでは第三者に登記名義を移すことができないからです。

登記名義を第三者に移すためには、地目変更登記を申請して宅地等に地目変更してから所有権移転登記を申請するのが原則です。

そのためには農地法の届出や許可を取得する必要があります。

上記についてご相続人様に説明したところ、すぐに売却する予定は無いもののいずれ必要になるだろうという事で、この機会に地目変更登記を行うことを希望されました。

そこで、当事務所で戸籍収集や遺産分割協議書の作成等を含む相続登記に必要な手続きを全面的にサポートさせていただくとともに、地目変更登記を担当する土地家屋調査士をお繋ぎさせていただくことになりました。

※地目変更登記は、権利に関する登記ではなく表題部に関する登記のため、司法書士ではなく土地家屋調査士の職域です。

このように解決しました

  • 戸籍謄本や遺産分割協議書等の必要書類の収集・手配を行い、相続登記を申請しました。
  • 相続登記の完了後、地目変更登記を担当する土地家屋調査士をお繋ぎし、必要な情報や書類を連携しました。
  • その後、土地家屋調査士により地目変更登記が申請され、無事完了しました。

担当者からのコメント

相続の際に登記簿を確認したところ、実は地目が田や畑のままであったというのはよくある話です。

所有するだけ、住むだけであれば実害はないので放置されてしまう方も多いのですが、売却の際や新たに住宅ローン等で担保を設定する際には結局地目変更登記が必要になります。

また、表題部登記は一定期間内に申請をしなければ10万円以下の過料に処すると法律上は定められています。

実際のところ、これまで過料が科せられたという話は聞いたことがありませんが、相続登記が義務化されるという事もあり、今後は厳しく適用されるようになる可能性も否定できません。

いずれ必要になる手続きを後回しにしたところで特にメリットはありません。相続は色々な問題を一気に片付けるいい機会だと考えましょう。

相続した土地が農地のまま変更されていないことがわかったら、相続登記と併せて地目変更登記も行っておくことをおすすめします。

当事務所では、地目変更登記を含む相続手続き全般について、数多くのご相談・サポートの実績があります。

ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

※地目変更登記については、提携の土地家屋調査士をご紹介いたします。

相続登記サポートについてくわしくはこちら

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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