登記簿に残ったままの買戻特約、何か手続きが必要?【相続登記とあわせて買戻特約の抹消登記を行うケース】

相続した物件に「買戻特約」が付いていた。どうすればいい?

ご相談前の状況

弟様が亡くなられた方からのご相談。

故人に配偶者や子供はいないため、相続人はきょうだい2人。

相続人様お二人とも高齢で遠方にお住いのため、不動産や金融機関の相続手続きを代行して欲しいという事で相談にいらっしゃいました。

お話を伺う中で登記簿を確認したところ、すでに期間が満了している「買戻特約」の登記が残ったままであることが判明しました。

問題点

  • 買戻特約の期間が満了している場合、買戻権者に連絡を取り、抹消登記を申請する必要がある。
  • 買戻権者から書類を交付してもらい、自分で申請する場合、印鑑証明書の有効期限に気を付ける必要がある。

当事務所からのご提案

亡くなった方の不動産の登記簿を確認したところ、「買戻特約」の登記が残ったままという事がたまにあります。

「買戻特約(買戻し)」とは、一定期間(最長10年間)であれば、売主が売買代金や契約費用を支払う事で、手放した不動産を取り戻せる(買い戻せる)という仕組みです。

通常の売買契約に特約として買戻し条項が付く場合、所有権移転の登記と一緒に「買戻特約」の登記も申請します。

買戻期間経過後は買戻権者に連絡の上、抹消登記を申請すべきなのですが、単に所有しているだけであれば抹消しなくても特に不都合はないので、そのままになっているケースも少なくありません。

しかし、売却や担保設定の際には買戻特約の抹消を求められるので、その存在に気づいた時はすぐに抹消の手続きを行うべきです。

上記についてご相談者様に説明したところ、この機会に買戻特約の抹消登記も行いたいという事で、当事務所で相続登記等の相続手続きとあわせてサポートさせていただくことになりました。

買戻特約の抹消方法は?印鑑証明書の有効期限に注意!

買戻特約を抹消する方法は、買戻権者によって以下の2つの方法があります。

  • 買戻権者に委任状等の必要書類を提出し、買戻権者が抹消登記を申請する。
  • 買戻権者から委任状等の必要書類を交付してもらい、自分で抹消登記を申請する。

上記のうち2の場合は、登記義務者(買戻権者)の印鑑証明書の期限に気を付ける必要があります。

この場合、登記義務者の印鑑証明書は登記申請日から3か月以内に発行されたものが必要です。

しかし、買戻権者は請求の都度印鑑証明書を取得して送ってくれるわけではないため、有効期限が残り少ないという事もあります。

有効期限が切れてしまった場合は連絡をすれば再度印鑑証明書を出してもらうことはできますが、余計な手間がかかります。

相続の際に買戻特約を抹消する場合は、相続登記と一緒に抹消登記を申請した方が効率がいいので、買戻権者への連絡は遺産分割協議がまとまり、相続登記の必要書類がそろってからの方がいいでしょう。

今回は相続登記含めて当事務所におまかせいただいたので、適切なタイミングで買戻権者に連絡を取り、効率よく手続きを進めることになりました。

このように解決しました

  • 戸籍収集や財産調査などを行い、相続人間の遺産分割協議の取りまとめをサポートしました。
  • 遺産分割協議がまとまったタイミングで買戻権者の連絡を取り、必要書類を交付してもらいました。
  • 必要書類の受領後すみやかに、相続登記と併せて買戻特約の抹消登記を申請し、無事完了しました。
  • 金融機関の相続手続きなど、その他の手続きについても代行させていただき、ご相続人様の手を煩わせることなく完了することができました。

担当者からのコメント

買戻特約は最近ではほとんど見かけることはありませんが、以前は旧日本住宅公団や住宅供給公社による宅地分譲の際に、転売目的での購入を防ぐために利用されていました。

この事例の時は登記権利者と登記義務者の共同申請が必要だったため、買戻権者への連絡が必要でしたが、法改正により、2023年4月以降は期間満了後の抹消登記については所有者からの単独申請が可能になりました。

とは言え一般の方にとって登記は馴染みの無いものでしょうし、相続の際には買戻特約以外にも気を付けるべきポイントがいくつかあります。

相続登記を司法書士に依頼すれば登記簿を確認して必要な手続きを教えてくれるでしょう。

ただし、司法書士の中には相続はほとんどやっていないという事務所や、費用が安い代わりに必要な手続き以外は一切対応しないという事務所も存在し、そのような所に依頼すると必要な手続きを見落としてしまう事があります。

後になって手続きが必要という事がわかると余計な手間や費用がかかることが多いので、不動産の相続登記が必要な方は、相続の経験が豊富な司法書士に依頼する事をおすすめします。

当事務所では、面倒な相続手続きをまるごとおまかせできる「相続まるごとおまかせプラン」をはじめとしたサービスを提供しており、買戻特約の抹消を含む相続手続きについても数多くのサポート実績がございます。

ご依頼を検討中の方のご相談は無料です。

相続登記サポートについてくわしくはこちら

相続登記を自分でやる方法についてはこちらの記事をご覧ください。

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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