亡き妻の借金を相続放棄したい…と思ったら過払金が発生していた!【亡くなった方の債務を帳消しの上、過払金を取り戻せたケース】

消費者金融から故人宛の督促状が届いた!相続放棄しない方がいいケースとは?

ご相談前の状況

奥様が亡くなられた方からのご相談。

相続人はご主人様とお子様一人。

預貯金等の財産はほとんどなかったものの、ご主人様が受取人の生命保険契約があったとのこと。

実は奥様には借金があり、亡くなる前数か月は支払いが滞っており、消費者金融からの督促状が届いたとのこと。

このため当初は、債権者へ支払すべきか、場合によっては相続放棄も検討すべきか、という事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 亡くなった方には消費者金融からの借入があるが、債務の全容が不明なため、他の債権者からの借り入れを含め調査をする必要がある。
  • 債務の額が大きい場合は、相続放棄も視野に入れて対応について検討する必要がある。
  • 生命保険金は原則として相続財産にならないため、受け取っても問題ないが、その他の財産の処分や債務の支払いは慎重に対応する必要がある。

当事務所からのご提案

亡くなった方に借金等の債務がある場合、金額によっては相続放棄を検討する必要があります。

相続放棄を検討している場合、相続を承認したとみなされる行為(法定単純承認)を行わないよう気を付ける必要があります。

相続を承認したとみなされる行為の代表的なものは、預貯金などの引き出し、故人の財産からの債務の支払いなどです。

ただし、生命保険金は受取人の固有財産とされているので、受け取っても原則として単純承認事由にはあたりません。

このケースでは保険金以外にめぼしい財産はないとのことでした。

そこで、もしもの時に相続放棄ができなくならないよう、調査が終わるまでは奥様名義の預金口座や現金には手を付けず、債権者に連絡を取らないで欲しいことをご説明しました。

その上で、まずは財産の全容を把握するために信用情報の調査を行い、その結果によって相続放棄をするか、相続をして債権者に返済をするかを決めることを提案しました。

また、ご相談時にお持ちいただいた債権者から届いた書類に、現在の法律では違法となる利息が記載されていたため、返済状況によっては借金が帳消しになる可能性があると思われました。

そこで、消費者金融2社についても当事務所が代理人として連絡を取り、まずは取引履歴の開示請求を行い、本当の残債額について確認することを提案しました。

借金が帳消しになった上に、お金が戻ってくる⁉過払い金とは?

ご依頼を受けてからは、まず戸籍謄本等の調査のために必要な書類の収集から始め、その後、信用情報機関3社及び消費者金融2社に対して、被相続人の情報や取引履歴について開示請求を行いました。

消費者金融2社から届いた取引履歴について確認したところ、予想通り、亡くなった奥様は契約当初から最近まで違法利息で返済を続けていたことが判明しました。

さらに取引履歴をもとに返済額を法定利息に引き直して計算したところ、2社ともにすでに借金は完済済みであり、それどころか本来の返済額を超えて大きく払い過ぎている状況でした。

このようなケースでは金融業者に対して請求を行えば、既存の借金は帳消しになり、さらに過払い金を取り戻すことができます。

過払い金については、以前は大手法律事務所等によって盛んにCMがされていたため、ご存知の方も多いかもしれません。

当時のCMで“過払い金は10年で時効”という言葉が喧伝されていたため、大昔に契約したものについては取り返せないと思い込んでいる方も多いです。

しかし、過払い金(正確には不当利得返還請求権)は“最後の取引(返済)から10年で時効によって消滅する”というのが正しいです。

大昔の契約であっても連続した一つの取引として返済を続けていれば、最後の取引から10年経っていない限り、今からでもすべての過払い金を取り戻すことが可能です。

また、契約者本人が亡くなった場合、過払い金は故人に帰属する権利として相続財産になるので、相続人からの請求によって取り戻すことが可能です。

ただし、消費者金融等の金融業者は、一般の方からの過払い金請求に対しては、経営状態が苦しいと言って、返還額の減額や返還日の先送りを交渉してくることがあります。

また、法律的な論点があると主張して交渉を引き延ばすことで、相手があきらめたり、自分たちに有利な条件の和解が成立することを狙ってきます。

法律的な論点と言っても、大抵の場合専門家から見ると容易に反論可能な論点なのですが、一般の方には反論が難しいでしょう。

今回は、奥様は亡くなる数か月前まで、ほとんど滞納することもなく返済を続けており、業者の交渉に応じざるを得ないような不利な点はこちらにはない状況でした。

そこで、頑張って返済された奥様のためにも、当事務所が代理人として業者と交渉し、場合によっては訴訟を提起して、満額かそれに近い条件で過払い金を取り戻すことを提案しました。

このように解決しました

  • 戸籍等の必要書類を取集の上、信用情報機関3社に被相続人の個人情報の開示請求を行いました。
  • 信用情報調査の結果、把握している債権者以外に大きな借り入れはありませんでした。
  • 消費者金融2社について取引履歴を調査したところ、すでに債務は完済済みであり、過払い金が発生していることが判明しました。
  • 当事務所が代理人として、消費者金融2社に対して、任意交渉及び不当利得返還請求訴訟の提訴を行いました。
  • 交渉及び訴訟の結果、借金は帳消しになった上、2社合わせて200万円以上の過払い金を取り戻すことに成功しました。

担当者からのコメント

このケースのように、亡くなった方に借金があったので相続放棄をしようと思っていたところ、実は借金は帳消しどころか高額の過払い金が発生していたというケースはたまにあります。

過払い金が発生する方は真面目な方が多く、家族には迷惑をかけたくないとの思いからか、誰にも言わずに亡くなってしまい、借金があると知ってびっくりしたというケースが多いです。

過払い金は消費者金融からの借入だけでなく、カード会社のキャッシングでも生じる可能性があります。

昔契約をして亡くなるまで返済を続けていたという方や、完済したのがここ10年以内かもしれないという方は、相続と過払い金に強い司法書士等に相談の上、まずは取引履歴を調査してみることをおすすめします。

当事務所では亡くなった方の過払い金請求に関するご相談を承ります。司法書士は代理人として金融業者との交渉や訴訟を行うことが可能です(司法書士の業務範囲を超える場合は弁護士をお繋ぎしますのでご安心ください)。

ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

当事務所では亡くなった方の過払い金請求に関して数多くの実績がございます。

司法書士は代理人として金融業者との交渉や訴訟を行うことが可能です。司法書士の業務範囲を超える場合は弁護士をお繋ぎしますのでご安心ください。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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