遺言執行者は何をすればいい?代行をお願いできる?【相続人の一人が遺言執行者に指定されているケース】

遺言執行者に指定された場合、必ずやるべきことは?

ご相談前の状況

お父様が亡くなられた方からのご相談。

相続人は妻と子供3人。

故人は代々家業を営んでおり、妻と、家業を継いだ二女(相談者)にほとんどの財産を相続させるとの公正証書遺言を遺されていました。

遺言書の中で遺言執行者として二女が指定されているが、何をすればいいかわからない。

また、疎遠になっている長女とも連絡を取らなければならないのか不安がある、という事で相談にいらっしゃいました。

問題点

  • 公正証書遺言の中で遺言執行者が指定されているが、遺言執行者の義務や職務をどのように果たせばいいかわからない。
  • 相続人である長女とは疎遠になっており、出来れば直接連絡を取ることは避けたい。
  • 仕事が忙しいため、自分で遺言執行を行うだけの時間を確保するのは難しい。
  • 遺産の中に非上場株式やゴルフ会員権などの詳細不明の財産が多数あり、把握するだけでも大変な手間がかかる。

当事務所からのご提案

亡くなった方が遺言書を遺していた場合、基本的にはその内容に沿って相続手続きを行うことになります。

さらに遺言の中で遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者のみが遺言の内容を実現するための相続手続きを行うことができます。

遺言に従って相続手続きを行う場合でも、金融機関によっては相続人全員の同意を求めてくることがありますが、遺言執行者がいる場合は、他の相続人の同意なく、遺言執行者単独での手続きが可能です。

ただし、遺言執行者には法定の義務があり、また、明文の規定は無いものの当然に行うべきとされている職務があります。

義務を怠った場合、相続人や受遺者から責任を追及され、最悪の場合損害賠償性任を負う可能性があります。

今回、相続人の一人である二女とは音信不通の状態で、できれば連絡を取りたくないとのことでした。

しかし、遺言執行者には相続人への通知義務(民法1007条)と相続財産目録の交付義務(民法1001条)が定められているので、少なくともこれらの義務は果たす必要がありました。

そこで、ご相談者様に遺言執行者の立場として委任をいただき、相続人への通知や財産目録の作成・交付の他、戸籍収集、相続預金の解約・分配手続きなど遺言執行者の職務全般を代行させていただくことを提案しました。

また、遺産の中に非上場株式やゴルフ会員権などの詳細不明の財産が多数あったため、そちらの調査や承継手続きについても併せてサポートさせていただくことになりました。

このように解決しました

  • 遺言執行者の代理人として、疎遠な相続人へ就任承諾の旨と遺言の内容を通知しました。
  • 金融機関への連絡・残高証明書の請求や、名寄帳の請求など、相続財産の調査を行いました。
  • 遺言執行者の代理人として、相続財産目録を作成し、各相続人に交付しました。
  • 相続預金の解約・分配や不動産の名義変更等も遺言執行者の代わりに行いました。
  • 非上場株式やゴルフ会員権などの財産調査や承継手続きも代行し、ご依頼者様の負担なく、全ての遺言執行・相続手続きが完了しました。

担当者からのコメント

生前に遺言を遺していたものの、遺言執行者が指定されていないケースは多いです。

また、今回のように相続人の一人を遺言執行者として指定しているケースも多いです。

相続人全員が円満かつ心身ともに健康で、財産の種類も少なければ、遺言執行者がいなくても相続人全員の同意のもと手続きをすすめればいいので、大きな問題は生じないかもしれません。

しかし、遺言を遺しても、実際に効力が発生するのは未来の話です。

今は問題なくても、先々家族関係に変化が生じているかもしれません。

また、家族の仲に問題は無くても、認知症になっていたり、遠方に引っ越してしまっている可能性はあります。

そうなると、遺言執行や相続手続きは一般の方にはかなりの負担となり、手に負えない恐れがあります。

2019年に施行された改正民法によって遺言執行者の権限が明確化されたのですが、今でもその内容をよく把握しないまま、相続人を執行者にしている遺言は数多くあり、そのせいで相続発生後に苦労するケースも後を絶ちません。

いざ相続が発生した際に、大切な家族に過大な負担をかけてしまうことを避けるためにも、遺言書作成の際は、遺言執行及び相続実務に精通した専門家に相談の上、必要に応じて専門家を遺言執行者に指定しておくことをおすすめします。

当事務所では、遺言執行者として、または遺言執行者の代理人としてこれまでに多数の遺言執行・執行サポートの実績があり、疎遠な相続人がいる場合の遺言執行手続きについても数多くのご相談・ご依頼をいただいております。

ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

遺言作成・遺言執行サポートについてくわしくはこちら

遺言執行者の職務や遺言執行の流れについてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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