叔父の自筆遺言書、遺言執行者に指定されているがどうすればいい?【自筆の遺言書の遺言執行者に指定されているケース】

遺言執行者に指定された!代行をお願いできる?

ご相談前の状況

叔父様が亡くなられた方からのご相談。

配偶者もお子様もいないため、相続人は兄弟姉妹や甥姪合計10人。

故人は生前に自筆の遺言書を遺しており、その内容は特に親しかった妹様と甥であるご相談者様にすべての財産を相続させるというもので、遺言執行者として受遺者二人が指定されているとのこと。

相続人の人数も多く財産も多岐にわたるため、自分たちの手には負えないと考え、遺言執行者の代行含めて相談したいという事でいらっしゃいました。

問題点

  • 自筆証書遺言の中で遺言執行者が指定されているが、遺言執行者の義務や職務をどのように果たせばいいかわからない。
  • 遺言執行の前提として家庭裁判所で遺言書の検認を受ける必要がある。
  • 遺言執行者には相続人への通知義務があるので、多数の相続人の住所を調べ、通知しなければならない。
  • 相続人の中には疎遠な人も多く、出来れば直接連絡を取りたくない。
  • 仕事が忙しいため自分で遺言執行を行う時間を確保するのは厳しい。
  • 不動産や預貯金の他、債券、出資金、保険の解約返戻金など、遺産が多岐にわたるため、調査して全容を把握するだけでも大変な労力を要する。

当事務所からのご提案

亡くなった方の遺産は相続人全員の協議によって分け方を決めるのが原則ですが、故人が遺言書を遺していた場合はそちらが優先されます。

また、遺言の中で遺言執行者が指定されている場合は、金融資産の解約などの相続手続きは執行者が執り行うことになります。

また、自筆の遺言書の場合、遺言執行の前提として家庭裁判所での検認手続きを経る必要があります。法務局の遺言書保管制度を利用している場合を除く)

検認手続き自体は特に難しいものではありませんが、申立てにあたり相続人全員の住所を申立書に記載する必要があります。

そのため今回のように相続人が10人もいるケースでは全員の正確な住所を把握するだけでも大変な労力を要します。

今回、ご相談者様は遠方にお住まいで手続きのために仕事を休んで何度も出向くのは難しく、また、財産の種類も多いためとても自分たちの手には負えないとの事でした。

そこで、まずは当事務所で戸籍等の必要書類を集め、検認手続きをサポートさせていただき、あわせて相続財産の調査を行い遺産の全容を把握する事を提案しました。

遺言執行者の義務とは?他の相続人に連絡しなければならない?

遺言執行者は遺言の内容を実現できる唯一の立場であり、他の相続人による妨害行為が禁止されるなど強力な権限を持っています。(民法1012条、1013条)

その裏返しとして遺言執行者にはいくつか法定の義務が課されており、相続人への通知(民法1007条)や相続財産目録の交付(民法1001条)を行わなくてはなりません。

今回、相続人の中には疎遠な方が多く、できれば連絡はしたくないとの事でした。

しかし遺言執行者は善管注意義務を負うため(民法1012条3項、民法644条)、義務を怠ると相続人ら責任を追及され、最悪の場合損害賠償性任を負う可能性があります。

そこで当事務所が遺言執行者の代理人として、各相続人への通知、財産目録の作成及び交付、相続預金の解約及び分配、不動産の名義変更など、遺言執行者の職務全般を代行させていただくことを提案しました。

このように解決しました

  • 戸籍謄本等の必要書類を集め、家庭裁判所に遺言書の検認申立てを行いました。
  • 財産の種類が多く、手続きに時間がかかることが予想されたため、検認終了後に検認調書謄本を複数取得しました。
  • 金融機関への連絡・残高証明書の請求や名寄帳の請求など、相続財産の調査を行いました。
  • 遺言執行者の代理人として各相続人へ就任承諾の旨と遺言の内容を通知しました。
  • 遺言執行者の代理人として相続財産目録を作成し、各相続人に交付しました。
  • 遺言執行者の代理人として相続預金の解約・分配や不動産の名義変更を行いました。
  • 債券、出資金、保険などの解約・承継手続きも代行し、ご依頼者様の負担なく、全ての遺言執行手続きが完了しました。

担当者からのコメント

遺言執行者は基本的に誰でもなれるため、相続人や受遺者本人が遺言執行者として指定されているケースは少なくありません。

しかし、遺言執行者にどのような義務があり、具体的に何をしなければいけないまでを把握している方は少ないと思います。

他の相続人へ通知義務があるといっても、疎遠な相続人へ連絡を取るのは避けたいと思うのは普通の感覚です。

ましてや遺産を貰う方から貰えない方へ通知するとなると、そこに何らかのトラブルが生まれる事も少なくないでしょう。

とは言え通知をしなければ、後でより大きなトラブルに発展する可能性もあります。

今回のように兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合、遺留分が無いため通知は不要と考える方もいるのですが、通知義務を負うのは同じです。

また、自筆の遺言書の場合、最低限の記載しかされておらず、そもそも執行者の指定がない事も多いです。

その場合、相続手続きの際に相続人全員の協力が必要となり、相続人の方により負担がかかる可能性があります。

財産を残す側も残される側も相続発生後の手続きで苦労するのは本意ではないでしょう。

そのような事態を避けるためにも、遺言書作成の際は、遺言執行及び相続実務に精通した専門家に相談の上、必要に応じて専門家を遺言執行者に指定しておくことをおすすめします。

当事務所では、遺言執行者として、または遺言執行者の代理人としてこれまでに多数の遺言執行・執行サポートの実績があり、疎遠な相続人がいる場合の遺言執行手続きについても数多くのご相談・ご依頼をいただいております。

ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。

遺言作成・遺言執行サポートについてくわしくはこちら

遺言執行者の職務や遺言執行の流れについてくわしくはこちらをご覧ください。

遺言書の検認についてくわしくはこちらをご覧ください。

※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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この記事の執筆者

司法書士法人東京横浜事務所
代表 田中 暢夫(たなか のぶお)

紹介年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。ミュージシャンを目指して上京したのに、何故か司法書士になっていた。
誰にでも起こりうる“相続”でお悩みの方の力になりたいと、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
九州男児で日本酒が好きですが、あまり強くはないです。
保有資格東京司法書士会 登録番号 第6998号
簡裁訴訟代理認定司法書士 認定番号 第1401130号

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