母が失踪して長期間行方不明…亡父名義の実家を処分するには?【実家売却のために長期間行方不明の相続人の失踪宣告を申立てるケース】

この事件の担当者

司法書士法人東京横浜事務所 代表/司法書士 田中 暢夫
開業以来相続一筋。これまでに担当した事件は1000件を超える。
この事件の担当者

司法書士法人東京横浜事務所 代表/司法書士 田中 暢夫
開業以来相続一筋。これまでに担当した事件は1000件を超える。
ご相談前の状況
お父様が亡くなられた方からのご相談。
亡くなったのは6年前で現在の相続人は妻と子(ご相談者様)の2人。
しかし、相続人であるご相談者様の母は、父が亡くなる1年前に失踪し、以来行方不明の状態が続いているとのこと。
両親と暮らしていた兄も1年ほど前に亡くなり、空き家状態の実家不動産を処分したいが、この状況で手続きをどう進めればいいかわからないという事で相談にいらっしゃいました。
問題点

- 故人名義の不動産を処分するには前提として相続人への名義変更が必要。
- 不動産が共有名義の場合、売却するためには原則として全員の同意が必要。
- 相続人の中に行方不明の方がいる場合、相続手続きを進めるには家庭裁判所に申立てを行う必要がある。
- 行方不明の状況によっては、失踪宣告の申立てを行うことになる。
当事務所からのご提案
亡くなった方名義の不動産について、売却等の処分をする場合、前提として相続人への名義変更(相続登記)が必要になります。
相続人が複数の場合、法定相続分で共有名義の登記を行うことも可能ですが、共有名義の場合、売却する際に全員の同意が必要になります。
本件では、お母様は失踪前にも認知症の影響で近所を徘徊しては警察に保護されることが度々あり、年齢を考えても(失踪時点で80歳近く)、亡くなっている可能性も高いと考えておられました。
今後お母様が見つかる可能性は低いということであれば、相続手続きを進めるためには家庭裁判所に次のいずれかの申立てを行う必要があります。
- 不在者財産管理人選任の申立て
- 失踪宣告の申立て
どちらを選択すべきかは行方不明の状況等によりますが、行方不明になってからの期間が短い場合は、①の「不在者財産管理人選任の申立て」を行うことがほとんどです。
しかし、本件では行方不明になってから長期間経過しており、お母様の唯一の法定相続人がご相談者様であることを踏まえ、②の「失踪宣告の申立て」も検討すべき状況でした。
行方不明者を法律的に死亡したものとみなす「失踪宣告」とは
失踪宣告とは、長期間生死が不明な人について、家庭裁判所の審判により法律上「死亡したものとみなす」制度です。
失踪宣告の審判確定後、市区町村役場に失踪届を提出することで不在者(行方不明者)の戸籍に死亡とみなされた旨が記載されます。
これにより相続関係が確定するため、相続登記などの手続きを進めることができるようになります。
失踪宣告は、法律上「死亡したものとみなす」という非常に強い効果を生み出す制度であるため、単に行方不明であるというだけでは足りず、死亡の蓋然性が高い(死亡している可能性が高い)と判断できる場合しか認められません。
具体的には、普通の状態での失踪宣告は、不在者につき7年以上生死不明の状態が続いている場合に限り認められます。(戦争・震災などの危難時の生死不明は1年以上で認められる。)
本件では、下記の状況からお母様(不在者)は生死不明の状態が7年間継続していると言えそうでした。
- 不在者は認知症気味であり、近所を徘徊しては警察に保護されることが度々あったこと。
- 不在者がいなくなってからすぐに同居親族が捜索願(行方不明者届)を出し、以後警察と親族による捜索活動が継続して行われたが、現在に至るまで発見されていないこと。
- 不在者は高齢であり、当時現金やキャッシュカードの類を持っていなかったこと。
- 失踪以来、不在者からと思われる連絡が一度もないこと。
そこで当事務所で、家庭裁判所に行方不明の状況を説明するための事情説明書を作成し、その他の必要書類も整え、失踪宣告の申立てとその後の相続手続きをサポートすることになりました。
このように解決しました

- 相続関係及び不在者の足取りの調査のため、戸籍謄本等の収集を行いました。
- ご依頼者様から行方不明の状況を詳しく伺い、裁判所に事情を説明するための事情説明書を作成しました。
- 事情説明書と併せて失踪に関する資料その他の必要書類を揃え、家庭裁判所に失踪宣告の申立てを行いました。
- 申立て後、家庭裁判所調査官による親族への事情聴取や公示催告などが行われ、申立てから8か月後に失踪宣告の審判が出ました。
- 審判確定後10日以内に、不在者の住所地の役所に失踪届を提出し、戸籍に「死亡とみなされた旨」が記載されました。
- 法務局に相続登記の申請を行い、亡父の名義から唯一の法定相続人であるご依頼者様の単独名義に変更することができました。
- その後、無事に実家を売却できたという事で、大変お喜びいただけました。
担当者からのコメント
相続人の中に行方不明の方がいる場合、一般の方が一から自分で調べて、裁判所での手続きを行うのはとても大変です。
特に今回のように長期間行方不明の状態が続いているケースでは、失踪宣告の申立てを行うかどうかも含めて慎重な判断が求められます。
本件では父と母の相続人は全く同じでしたが、失踪宣告により行方不明者の相続が発生した結果、新たに相続人となった人との間でトラブルになるケースもあります。
また、行方不明者のご家族にとっては、亡くなったことを認めなければならないという心理的なハードルもあります。
場合によっては7年間の生死不明の要件を満たしていても、あえて不在者財産管理人選任の申立てを選択するということもあり得ます。
選択を誤った結果、トラブルが発生し、事態がより複雑化してしまう事を避けるためには、司法書士などの専門家への相談は必須でしょう。
しかし、専門家の中でも、行方不明の方がいる場合の相続手続きの経験が豊富な方は実は多くはありません。
不慣れな専門家に依頼したことで解決までの道筋が頓挫しないように、相続人の中に行方不明の方がいる場合は、相続の経験豊富な専門家にサポートしてもらうことを強くおすすめします。
また、残された方に負担をかけないためにも、推定相続人の中に行方不明の方がいる場合は、必ず遺言書を作成しておきましょう。
当事務所では、相続人の中に行方不明者がいる場合の不在者財産管理人選任や失踪宣告の申立てについて数多くのサポート実績がございます。
ご依頼をご検討中の方のご相談は無料です。
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