【司法書士解説】おば・おじの相続はこんなに大変⁉実例で学ぶ甥姪の相続心得

著者情報

司法書士法人東京横浜事務所
代表/司法書士 田中 暢夫
年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。相続案件を中心に、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
著者情報

司法書士法人東京横浜事務所
代表/司法書士 田中 暢夫
年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。相続案件を中心に、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
「おば(おじ)が亡くなったけど、甥(姪)の自分は相続人になる?」
「おば(おじ)の相続手続きを自分が中心となって進めているが、思ったより大変…」
おばやおじが亡くなり、甥姪が相続人となる場合、相続関係・財産状況の把握や他の相続人との調整などでつまずきやすく、親が亡くなった場合と比べてもかなり大変です。
本記事では、実際の事例をもとにおじ・おばの相続が大変な理由を解説するとともに、手続きの進め方や注意点についても解説します。
司法書士田中暢夫一般的な知識の解説にとどまらず、現役の司法書士の経験に基づく具体的なノウハウを解説しているので参考にされてください。
どのような場合に甥姪が相続人になるかについても詳しく解説しているので、本記事を読めば、おばやおじの相続に関する不安や悩みが軽減・解消されます。

おば(おじ)が亡くなった場合の相続関係

親族であれば誰でも相続人になるという訳ではなく、亡くなった人との関係によって法定相続人になるかどうかが決まります。
■相続人の相続順位
| 亡くなった人から見た関係 | 相続順位 |
| 配偶者 | 常に相続人 |
| 子(亡くなっている場合は孫) | 第1順位 |
| 直系尊属(父母、祖父母など) | 第2順位 |
| 兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥姪) | 第3順位 |
配偶者は常に法定相続人となりますが、第2順位以降の後順位者は先順位者がいない場合にのみ法定相続人となります。
また、兄弟姉妹の中に先に亡くなっている人がいる場合は、その子供(故人から見て甥姪)が先立ったきょうだいの代わりに相続人になります。(代襲相続と言います。)
したがって、おじ・おばが亡くなり甥姪が相続人になるのは、故人に子供がおらず、両親もすでに亡くなっており、故人より先に亡くなったきょうだいに子供がいるケースです。
甥姪がおば(おじ)の相続人になるケースと法定相続分
兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合、相続関係によって法定相続分が異なります。
以下、具体的な相続関係ごとに解説します。
【ケース1】亡くなった人に配偶者がいないケース
亡くなった人に配偶者がおらず兄弟姉妹が相続人となる場合に、相続人となるはずのきょうだいが既に死亡しているときには、その子である甥姪が相続人(代襲相続人)となります。
兄弟姉妹や甥姪のみが相続人になる場合、兄弟姉妹の法定相続分は人数で均等割りです。
また、代襲相続人である甥姪の法定相続分は亡くなった親(兄弟姉妹)の法定相続分をそのまま引き継ぎます。
甥姪が複数いる場合は人数で均等割りとなります。

【ケース2】異母・異父兄弟のケース
ケース1では故人と相続人は両親とも同じきょうだい(全血兄弟姉妹)ですが、父母の一方が異なる異母兄弟や異父兄弟(半血兄弟姉妹)の場合は、異母・異父きょうだいの法定相続分は両親とも同じきょうだいの2分の1になります。
甥姪は親の相続分を引き継ぐので、異父・異母きょうだいの子である甥姪の法定相続分は、両親とも同じきょうだいの子である甥姪の2分の1になります。

【ケース3】配偶者がいるケース
亡くなった人に配偶者がいる場合は、配偶者及び兄弟姉妹・甥姪が相続人となります。
それぞれの法定相続分は、配偶者は4分の3、兄弟姉妹は4分の1です。
甥姪は親であるきょうだいの法定相続分を引き継ぎ、複数いる場合は人数で均等割りです。
異母・異父兄弟の相続分が両親とも同じきょうだいの2分の1になるのも同様です。

【ケース4】相続人となる兄弟姉妹が遺産分割協議が終わる前に死亡したケース
相続開始後、遺産分割協議を終える前に相続人が亡くなった場合、亡くなった相続人の相続人(配偶者や子供など)に相続権が移ることになります。(数次相続といいます。)
下図のように相続人であるきょうだいの配偶者が存命の場合は、きょうだいの配偶者と甥姪で相続分を分け合うことになります。

司法書士田中暢夫数次相続により甥姪が相続人となる場合、きょうだいの配偶者が相続人になる可能性があるので注意しましょう。
【ケース5】先順位の相続人が相続放棄した結果相続人になるケース
先順位の相続人全員が相続放棄した場合、次順位の相続人に相続権が移ります。
例えば、おじ・おばの子供や父母など先順位の相続人がいる場合でも、その全員が相続放棄したときは、次順位の相続人である兄弟姉妹や甥姪に相続権が移ります。

【ケース6】遺言書で指定されているケース
遺言書がある場合、法定相続分に関わらず、その内容に従って財産を引き継ぐことになります。
そのため、甥や姪に財産を相続させる(遺贈する)旨の遺言書がある場合は、他に相続人がいたとしても、おじ・おばの財産を相続することができます。

事例で解説・おば(おじ)の相続が大変な理由
おじやおばが亡くなり、甥や姪が相続人になる場合、配偶者や子供のみが相続人となるケースと比べて、手続きが大変なことが多いです。
理由としては以下のようなものが挙げられます。
以下、それぞれについてくわしく解説します。
理由① 戸籍の量が多く、集めるのが大変

【事例の概要】
妹様が亡くなられた方からのご相談。
相続人は兄と妹の二人。
きょうだい相続のため、戸籍集めが難航している上、相続人が離れて暮らしていることもあって思うように進んでいないとのこと。
二人とも高齢のため、今後の手続きを自分たちだけで行うのは難しいと考え、ご相談にいらっしゃいました。
【大変なポイント】
本事例のように、甥や姪が相続人になる場合は相続関係が複雑になるため、相続手続きを行うにあたって必要な戸籍集めが大変になることが多いです。
具体的には、下記のような戸籍が必要になります。
■必ず必要な戸籍
- 被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
- 被相続人の父母(場合によっては祖父母も)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
- 相続人である兄弟姉妹や甥姪の現在の戸籍謄本
■場合によって必要な戸籍
- (先に死亡した相続人がいる場合)先に死亡した相続人の死亡の記載のある戸籍謄本等
- (代襲相続が発生している場合)先に死亡した相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等
- (相続放棄した先順位相続人がいる場合)相続放棄した人の現在の戸籍謄本
父母の戸籍はかなり昔の戸籍までさかのぼる必要がありますが、昔の戸籍は手書きのため、読み解くのに大変な労力が必要です。
また、何とか読み取っても合併や町名変更等により請求先がわからない等、戸籍集めの段階でつまずいてしまったというご相談をよくお受けします。
【司法書士による対応内容】
本事例では、当事務所で下記のとおりサポートを行い、解決しました。
- 複数の役所から多数の戸籍を収集し、相続人を確定することができました。
- 当事務所で相続人への連絡、遺産分割協議の取りまとめ及び署名捺印の手配、金融機関の解約及び分配まで、必要な手続きをまるごと代行しました。
司法書士田中暢夫自分たちで戸籍を集めるのが難しい場合は、相続手続きを代行してくれる専門家等に依頼することをおすすめします。
この事例の詳細についてはこちら

■兄弟や甥姪の戸籍は広域交付制度の対象外
「戸籍の広域交付制度」とは、最寄りの役所において、全国の戸籍を一括して取得することができる制度です。
2024年3月1日から始まったこちらの制度を利用すれば、相続手続きに必要な戸籍収集の手間を大幅に減らすことができます。
ただし、兄弟姉妹や甥姪の戸籍謄本については広域交付制度の対象外のため、従来通り本籍地の役所窓口に出向くか郵送での請求が必要になります。
相続手続きに必要な戸籍の種類と集め方についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

理由② 相続人が離れて暮らしている

【事例の概要】
弟様が亡くなられた方からのご相談。
相続人は兄弟姉妹と甥姪でご相談者様含めて合計7人。
故人と最も親しかったご相談者様は関東在住だが、他の相続人は関西や北海道に住む方もいてやり取りが大変。
中にはほとんど面識の無い方もいるため、とても自分の手に負えないという事で相談にいらっしゃいました。
【大変なポイント】
兄弟姉妹や甥姪はそれぞれ独立して離れて暮らしていることが一般的です。
関係者全員が物理的に近くにいるなら、集まって話し合うことや、書類に署名をもらうことも簡単でしょうが、離れて暮らしている場合はそうもいきません。
しかし、郵送等でやり取りするにしても、微妙なニュアンスの意思疎通や、書き間違いがあった場合の対応等で苦労する事は多いです。
また、被相続人の近くに住んでいる方が中心となって動くことになるため、どうしても負担が偏ってしまい、不満が貯まる原因となりやすいです。
【司法書士による対応内容】
本事例では、当事務所で下記のとおりサポートを行い、解決しました。
- 全国各地にいる相続人に一人ずつ連絡を取り、手続きへのご協力をお願いし、同意を貰うことができました。
- ほぼ面識のない方については特に慎重な対応が必要だったため、書面等で丁寧に事情を説明しました。結果、無事協力して貰う事ができました。
- 遺産分割協議の前提として不動産や金融機関の調査を行い、相続財産目録を作成して相続人の皆様に開示しました。
- 分け方については法定相続分をベースとすることでまとまったため、遺産分割協議書を作成し、署名捺印をいただくための手配をしました。
- その後の不動産の名義変更や預貯金の解約・分配まで代行し、代表者の方に負担が偏ることなく手続きを終えることができたため、相続人の皆様に大変ご満足いただくことができました。
この事例の詳細についてはこちら

理由③ 相続人の中に高齢者が多い

【事例の概要】
叔父様が亡くなられた方からのご相談。
相続人は兄弟姉妹や甥姪。
ご相談者様の母含む兄弟姉妹は高齢のため手続きを行うのが難しく、ご相談者様が手続きを進めているとのこと。
相続放棄をしたいと言っている相続人もいて、意見の取りまとめが大変で、とても自分だけでは手に負えないという事で相談にいらっしゃいました。
【大変なポイント】
甥や姪が相続人になるケースでは、他に存命の兄弟姉妹がいて、共同相続人になることも多いです。
兄弟姉妹は故人と年齢が近いため、相続発生時点で相続人も高齢であることが多いです。
もし相続人の中に認知症等で意思能力が無い方がいると、家庭裁判所で成年後見人を選んでもらわなければ手続きを進められません。
意思能力に問題はなくとも、健康上の理由で外出が難しく、なかなか手続きが進まないという事もよくあります。
そうなると、年齢が若い甥や姪が中心となって動かざるを得ず、仕事を休んでまで対応が必要になるなど、手続きの負担が重くのしかかる…ということも少なくありません。
【司法書士による対応内容】
本事例では、当事務所で下記のとおりサポートを行い、解決しました。
- 各地にいる相続人に一人ずつ連絡を取り、手続きへのご協力をお願いし、同意を貰うことができました。
- 相続放棄手続きについても当事務所でサポートさせていただき、その後の相続手続きに必要な証明書の取得もサポートしました。
- 財産調査、遺産分割協議書の手配、不動産の名義変更金融機関の解約及び分配等も代行し、相続人様の負担なく完了させることができました
この事例の詳細についてはこちら

理由④ 手続き中に新たに相続が発生してしまう

【事例の概要】
叔父様が亡くなられた方からのご相談。
相続人は兄弟姉妹と代襲相続人である甥姪あわせて10名。
遺産については相続人間で公平に分けることで一応の合意はできているものの、相続人が多いため戸籍の収集が大変で、相続人間でのやり取りや書類の手配にも苦労しているという事で相談にいらっしゃいました。
しかし、手続きを進めている途中で相続人のうちの一人が突然亡くなってしまい、ほとんど面識のないお子様に協力していただくことが不可欠な状況になってしまいました。
【大変なポイント】
先述のとおり、兄弟間相続では相続人が高齢なことが多いです。
そのため、手続きが長引くと相続人が手続き中に亡くなってしまうことがあります。
その場合、亡くなった相続人の配偶者や子供も二次相続人になるため、相続関係が複雑になり、さらに話がややこしくなってしまうことが多いです。
【司法書士による対応内容】
本事例では、当事務所で下記のとおりサポートを行い、解決しました。
- 膨大な量の戸籍を収集し、相続人を確定することができました。
- 全国各地にいる10人(後に増えたため合計12人)の相続人に一人ずつ連絡を取り、手続きへのご協力をお願いし、同意を貰うことができました。
- 面識のない相続人の方については特に慎重な対応が必要だったため、書面等で丁寧に事情を説明しました。
- 面識のない方についても無事同意を貰い、手続きに協力してもらうことができました。
- 特定の方に負担がかからないように、遺産分割協議の調整及び協議書の手配、不動産の名義変更、金融機関の解約及び分配まで、必要な手続きを全て代行し、相続人様の手を煩わせることなく完了させました。
この事例の詳細についてはこちら

理由⑤ 相続人同士が疎遠である

【事例の概要】
伯母様が亡くなられた方からのご相談。
相続人はきょうだい2人と甥であるご相談者様の3人。
きょうだいのうちの一人とご相談者様は親しい間柄だが、もう一人のきょうだいについては20年以上連絡を取っていないとのこと。
親族から連絡先を聞き連絡を取ってみたが不通で、遠方に住んでいるらしいが正確な住所もわからないという事で、途方に暮れて相談にいらっしゃいました。
【大変なポイント】
兄弟姉妹や甥姪が相続人になるケースでは、長年交流がなく、相続人同士が心理的に遠いというケースもよくあります。
疎遠な方に連絡を取るのはただでさえ気が重いことでしょう。遺産の分け方についての話となればなおさらです。
連絡が取りづらいからと言ってその方を除いて相続手続きを行うわけにはいかないので、何とかして連絡を取る必要がありますが、相続人の関係性によっては心理的にとても負担がかかる作業です。
【司法書士による対応内容】
本事例では、当事務所で下記のとおりサポートを行い、解決しました。
- 音信不通の相続人の方に、手続きについての説明と協力をお願いする内容のお手紙を出しました。
- 手紙を読んだ相続人から連絡があり、事情を説明した結果、無事協力していただけることになりました。
- 調査結果をもとに相続財産目録を作成し、相続人の皆様に開示いたしました。
- 分け方については、法定相続分をベースとすることでまとまったため、遺産分割協議書を作成し、署名捺印をいただく手配を行いました。
- その後の相続登記や、預貯金の解約・分配まで当事務所で代行させていただきました。
- 特定の方に負担が偏ることなく、公平かつ迅速に手続きを終えることができたという事で、相続人の皆様に大変ご満足いただくことができました。
この事例の詳細についてはこちら

理由⑥ 故人との生前の交流がほとんどない

【事例の概要】
叔父様が亡くなられた方からのご相談。
配偶者・お子様がおらず、すでに父母も兄弟も亡くなっているため、姪であるご相談者様が唯一の相続人。
叔父様とは生前に定期的な交流はあったものの、生活状況や財産の詳細についてはほとんど知らないとのこと。
居住地から少し離れているということもあり、自分で手続きを行うのは難しいため、すべての必要な処理をおまかせしたいという事で相談にいらっしゃいました。
【大変なポイント】
兄弟姉妹であれば一度は一緒に暮らしていた時期がある事がほとんどでしょうが、甥姪となると事情は違います。
兄弟の関係性によっては、幼い頃に何度か会ったきりで、数十年間交流がないという事もめずらしくありません。
そうなると、故人の暮らしぶりや財産の状況が全く分からず、どこから手を付けていいかわからないという事もあり得ます。
特に相続人が一人しかいないケースでは、自分で全てを行わなくてはならないので、かなりの負担になります。
本当に何もわからない場合、住居の清掃や遺品整理から始めて借金等の有無を調査し、場合によっては相続放棄も検討しなければなりません。
そのため、故人との関係が疎遠な場合は、専門家に対応を依頼する必要性は高いです。
【司法書士による対応内容】
本事例では、当事務所で下記のとおりサポートを行い、解決しました。
- 通帳や郵便物などの資料を確認し、必要な手続きをリストアップしました。
- 判明した事業者等に一つずつ連絡を取り、契約状況や必要な手続きの確認を行いました。
- 信用情報機関3社に個人情報の開示請求を行い、債務を調査しました。
- 債務の額は大きくなかったため、信用情報調査で判明した債権者に連絡を取り、返済方法等について交渉を行いました。
- 自動車ローンの返済方法について確認の上、返済し、その後自動車買取業者による下取りについても代行しました。
- 不動産の名義変更や預貯金の解約手続き、保険契約や年金その他の手続きの一切を代行・サポートしました。
この事例の詳細についてはこちら


おば(おじ)が亡くなったときの相続手続きの流れ
おば(おじ)が亡くなり、甥姪が相続人になる場合の相続手続きの流れは、相続をめぐる状況によっても異なりますが、一般的には以下のように進めます。
遺言書がある場合、その内容に沿って手続きを進めることになるので、まずは遺言書の有無を確認します。
亡くなった人の自宅や貸金庫等を調べるのはもちろんですが、公証役場や法務局で一括調査することもできるので、念のため調査しておきましょう。
遺言書の有無の確認方法について、くわしくはこちらをご覧ください。

相続手続きを進めるにあたり、戸籍謄本は必ず必要になります。
また、遺言書がない場合は遺産分割協議に法定相続人全員が参加する必要があるため、亡くなった人や相続人の戸籍謄本を集めて、誰が相続人になるかを早めに確認しておくことが重要です。
先述したとおり甥や姪が相続人になる場合は必要な戸籍の範囲が広く、この段階でつまずく方も多いです。
戸籍を集めないとその後の手続きを進めることはできないので、難しいと感じられたら、お早めに司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。
司法書士田中暢夫甥姪が相続人になる場合は戸籍の数が多いので、戸籍が集まったら「法定相続情報一覧図」を取得しておくと、後の手続きがスムーズに進みます。
必要な戸籍の種類や戸籍の集め方についてくわしくはこちらをご覧ください。

遺産の分け方を決めるにあたり、遺産分割の対象となる財産を確定するために、相続財産の調査を行います。
具体的には、金融機関等に請求を行い、残高証明書などの財産の評価額を客観的に証明できる資料を取得します。
取得する資料は財産の種類によって異なりますが、主な例としては下記のとおりです。
| 財産の種類 | 取得する資料 |
| 不動産 | 登記事項全部証明書(登記簿謄本)、固定資産税評価証明書、名寄帳等 |
| 預貯金 | 残高証明書、取引履歴等 |
| 株式、投資信託等の有価証券 | 残高証明書、異動明細等 |
| 保険契約 | 相続評価額証明書、契約内容の案内等 |
なお、残高証明書等は必ず「相続開始日時点のもの」を取得してください。
また、甥や姪が相続人になる場合、関係性が薄く、故人の生活状況がわからないということも珍しくありません。
その場合、プラスの財産だけではなくマイナスの財産(債務)についてもしっかりと調査しておきましょう。
万が一プラスの財産より債務が大きい場合は、相続放棄を行うことになります。
司法書士田中暢夫相続放棄は、相続開始を知った日から3か月以内に手続きを行う必要があるので、財産・債務の調査は速やかに完了させましょう。
相続財産・債務の調査方法についてくわしくはこちらをご覧ください。

相続人及び相続財産の調査が完了したら、調査結果をもとに相続財産目録を作成しましょう。
相続関係説明図や相続財産目録は作成が必須というわけではありませんが、きちんとした資料がある事で、その後の遺産分割協議がスムーズに進みます。
司法書士田中暢夫特に兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合は、相続人同士の関係性が薄いことも多いので、後々トラブルにならないように作成しておくことをおすすめします。
■相続関係説明図の見本

相続関係説明図とは、亡くなった方の相続関係を家系図のような形でわかりやすく説明したものです。
法定相続情報一覧図とほぼ同一の内容なので、取得済みであればそちらで代用も可能です。
■相続財産目録の見本

相続財産目録は、相続財産の種類、数量、金額等を一覧表の形式でわかりやすくまとめたものです。
形式に決まりはありませんが、パソコン(エクセル等)で作成すると編集が容易です。
相続財産目録のひな型や作成方法についてくわしくはこちらをご覧ください。

戸籍集めと相続財産の調査が終わり、調査結果がまとまったら、相続人全員で遺産の分け方について話し合うことになります。
話し合いの方法に決まりはないので、必ずしも一堂に会して話し合う必要はありません。
相続人同士の関係性や居住地等に合わせて、適宜電話やメール、郵送等の方法で連絡を取り、話し合えばいいでしょう。
電話でやり取りする場合は、後で食い違いが起きないように、メモを残しておきましょう。
遺産の分け方は相続人全員の合意があれば自由に決めて構いませんが、基本的には法定相続分がベースになると考えておきましょう。
遺産分割協議についてくわしくはこちらをご覧ください。


遺産の分け方が決まったら、遺産分割協議書を作成します。
■遺産分割協議書の記載例

遺産分割協議書の記載に不備があると、相続手続きに使えないこともあるので、戸籍や登記簿謄本、残高証明書等をよく確認して正確に記載しましょう。
遺産分割協議書のひな型や記載方法についてくわしくはこちらをご覧ください。

遺産の分け方が決まったら、遺産分割協議書に相続人全員の署名押印を貰います。
署名押印についても全員が集まって行う必要はなく、郵送で順次回していく形でも大丈夫です。
相続人の人数が多い場合は、やり取りの手間を省くために、各自がそれぞれ単独で署名押印した書面(下図参照)をまとめて提出する方法(証明書形式)をおすすめします。
こちらの方法であれば、各相続人にそれぞれ書類を送り、そのまま返送すればいいので、やり取りの時間は短縮でき、破損・汚損のリスクも最小限で済みます。
■遺産分割協議証明書の見本

遺産分割協議証明書の作成方法やひな型についてくわしくはこちらをご覧ください。

この後の相続手続きでは遺産分割協議書とあわせて印鑑証明書も必要になるので、一緒に提供してもらいましょう。
司法書士田中暢夫金融機関での相続手続きの際には、発行後6か月以内(3か月以内の場合もあり)の印鑑証明書を求められることがほとんどなので、新しく取得したものを提供してもらいましょう。
遺産分割協議書と印鑑証明書が揃ったら、預貯金口座の解約や不動産の名義変更手続きを行っていきます。
手続きの際には遺産分割協議書と印鑑証明書のほか、戸籍謄本等も一緒に提出します。
印鑑証明書の期限切れによる再取得の手間が生じないよう、速やかに手続きを終わらせましょう。
司法書士田中暢夫甥や姪が相続人になる場合、居住地等の関係で手続きを分担するのが難しいということも多いです。
特定の方に負担がかかることを避けたい場合は、相続手続きを代行してくれる専門家に依頼するといいでしょう。

遺産総額が相続税の基礎控除額【3,000万円+(600万円×法定相続人数)】を超える場合は、相続税の申告・納付を行います。
申告・納付期限は故人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です。
配偶者控除や小規模宅地等の特例等の税制上の優遇措置を受けるためには、遺産分割協議も10か月以内に終わらせる必要があるので注意しましょう。
相続税の申告についてくわしくはこちらをご覧ください。

預貯金や不動産等の相続手続きがすべて完了したら、各相続人への報告と共に書類を引き渡して完了になります。
解約した預貯金について、代表者がまとめて払戻しを受け、後で各相続人に分配する場合は、金融機関からの振込額や各相続人への分配額を記載した計算書を作成しておきましょう。
また、手続きにかかった費用についても精算書等を作成し、きちんと清算しておきましょう。
司法書士田中暢夫遺産分割協議書は、相続人の合意事項を証明する大切な書類なので、各相続人が一部ずつ保管しておくようにしましょう。

甥姪が相続人になる場合の注意点
甥姪が相続人になる場合特有の注意点は下記の3つです。
- 遺留分が無い
- 「再代襲相続」がない
- 相続税が2割加算される
遺留分が無い
甥姪には「遺留分」がありません。
遺留分とは、兄弟姉妹(甥姪)以外の法定相続人に認められた最低限の遺産の取り分のことです。
遺言書で遺産の分け方が指定されている場合に、自分の貰える財産が遺留分を下回る方は、多く貰う方に対して不足分の金銭の支払いを求めることができます。
しかし、遺留分が認められるのは配偶者・子供・直系尊属(父母など)までであり、遺言がある場合、例え一切遺産を貰えない内容だとしても、甥や姪は金銭の支払いを求めることはできません。
司法書士田中暢夫兄弟姉妹や甥姪が相続人になる場合、遺言書を書いておけば、遺言者の希望を100%実現できるという事になります。
遺留分についてくわしくはこちらをご覧ください。

「再代襲相続」がない

被相続人より先に甥姪が亡くなっている場合にさらにその子供が相続人になることはありません。
被相続人の直系卑属(子供、孫、ひ孫)は、下の世代がいる限り代襲相続人になりますが、兄弟姉妹の代襲相続は一代限りで、再代襲相続は認められません。
甥姪まで先に亡くなっているときは、その下の世代がいても相続権を引き継がず、他の相続人の相続分が増えることになるので、相続人を特定する際は気を付けてください。
司法書士田中暢夫甥姪の子供に相続させたい場合は、遺言書の作成が必須です。
相続税が2割加算される
甥姪は、相続税の2割加算の対象になります。
相続や遺贈によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人である孫を含む)及び配偶者以外である場合は、その人の相続税額は、本来の相続税額の2割に相当する額が加算された金額となります。
甥や姪は血族3親等にあたり、相続税は2割増しとなるので相続税の計算の際は注意しましょう。
子供のいないおば(おじ)には生前に遺言書を作成してもらうことが大事
おじやおばが亡くなり、甥や姪が相続人になる場合、相続手続きが大変になりやすいですが、生前に遺言書を作成しておけば残された相続人の負担は大きく軽減されます。
遺言書があれば遺産分割協議は不要になるため、他の相続人と連絡を取り合って話し合う必要はありません。
また、遺言で遺言執行者*を指定しておけば、他の相続人の協力を得ることなく、執行者が単独で相続手続きを行うことができます。
*遺言執行者…遺言の内容に従い相続手続きを行う権限を持つ者
さらに、兄弟姉妹や甥姪には遺留分がないため、おじやおばにとっても確実に自分の希望通りに財産を遺すことができるというメリットがあります。
もし自分がおじやおばの相続人になる可能性がある場合は、「遺言書が無いと亡くなった後の手続きが大変」「相続のことで他の相続人とトラブルになりたくない」等の理由を伝えて、遺言書の作成を検討してもらいましょう。
司法書士田中暢夫筆者の経験上、一番仲の良い甥や姪が一番苦労することが多いので、関係性にもよりますが「何も対策してくれないまま私だけが大変な思いをするのは嫌だよ」ぐらいは言ってみてもいいかもしれません。
ただし、せっかく遺言書を準備しても、財産の記載漏れや様式に不備があると相続手続きに使用できず、新たなトラブルの原因となりかねません。
そのようなトラブルを防ぐためにも、遺言書を作成する際には相続に詳しい専門家に相談のうえ、不備の無い遺言書を作成しましょう。
独身の方の生前対策についてくわしくはこちらをご覧ください。


おば(おじ)の相続手続きは専門家に相談を
ここまで解説したとおり、おば(おじ)が亡くなった時の手続きは通常より大変なケースが多いです。
特に相続人同士が疎遠な場合や、相続関係が複雑で人数も多い場合は、自分たちだけで進めるのは困難でしょう。
また、故人と生前の交流が無い場合は、相続放棄の可能性も考えて迅速に財産や債務の調査を行わなければなりません。
司法書士などの専門家であれば、相続人や相続財産の調査から遺産分割協議、相続財産の分配まで一連の手続きをまるごと代行することが可能です。
ただし、司法書士や弁護士であっても、そのすべてが相続実務に精通しているわけではありません。
特に相続関係が複雑なケースや相続財産が不明で調査が必要なケースでは、同種の他の事例の経験の有無で対応力に大きな差が出るので、実務経験の豊富な専門家に相談することが重要です。
司法書士田中暢夫複雑で難易度が高い相続の経験が豊富な専門家は意外と少ないので、ホームページで実際の事例を公開している場合は参考にするといいでしょう。

よくある質問
ここからは、おば(おじ)の相続のご相談の際によく受ける質問を、Q&A形式で解説します。

まとめ
おば(おじ)が亡くなり、甥姪が相続手続きを行わなければならないケースでは、特定の相続人に負担が偏りがちです。
調査や手続きを行う負担だけでなく、相続人間の連絡調整でも大きな負担がかかります。
表立って言う事は無くても、「自分が代表者として奔走したにもかかわらず、何もしていない他の相続人と遺産の取り分は同じというのは釈然としない」と感じている方は多いです。
遺産を公平に分けるのであれば、特定の方だけが手続きの負担を負うのではなく「専門家に代行を任せ、費用はみんなで負担する」というのが理にかなっていると言えます。
おじ・おばの相続手続きにお困りの方は、一度相続の専門家に相談することをおすすめします。
※記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

お電話でのお問合せはこちら(通話料無料)
0120-546-069


















































