「親族が孤独死した」と警察から連絡が⁉司法書士が教える孤独死相続の対応ガイド

著者情報

司法書士法人東京横浜事務所
代表/司法書士 田中 暢夫
年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。相続案件を中心に、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
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司法書士法人東京横浜事務所
代表/司法書士 田中 暢夫
年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。相続案件を中心に、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
「親族の○○さんが自宅で孤独死されたので、身元確認をお願いしたい」
ある日突然警察からこのような連絡があったら、冷静に対処できる方はほとんどいないでしょう。
高齢化と核家族化による単身世帯の増加、地域コミュニティの希薄化等を背景として、孤独死(孤立死)は年々増加しています。
内閣府の発表によると、令和7年(2025年)中の「孤独死・孤立死」推計者数は、32,678件*に上るそうです。
*「警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者」のうち、発見された時点で「死後4日以上」を経過して発見されたケース。「死後8日以上」を経過して発見されたケースに限定しても22,222件。
参考
≫孤立死者数の推計|内閣府
「一人暮らしの人が誰にも看取られずに亡くなり、発見まで時間がかかった死」を孤独死(孤立死)として定義した場合、自分の回りでは絶対に起こらないという方はほとんどいないのではないでしょうか。
本記事では、現役の司法書士である筆者が実際に経験した事例をもとに、親族に孤独死があった場合の初期対応や相続手続きの進め方について徹底的に解説します。
司法書士田中暢夫当事務所には年間400件以上の相続の相談が寄せられますが、うち30件程度は孤独死相続のご相談です。
孤独死の相続の当事者になることは、誰にでも起こりうる身近な問題です。
今まさに孤独死の相続問題に直面している方はもちろん、そうでない方もいざというときのためにお読みいただき、お役立ていただければ幸いです。
【相談事例】ほとんど交流のなかった姉が孤独死をしたと警察から連絡がありました。何から手を付ければいいですか?

【事例の概要】
2週間ほど前にほとんど交流のない異母姉が亡くなったと警察から連絡があった。
亡姉は自宅マンションで孤独死しており、夏に亡くなってから3か月ほどしてから同じ階の住人から異臭がするという事で連絡が入り、警察により発見されたとのこと。
亡姉には夫がいたがすでに亡くなっており、子供はいない。
父母も亡くなっているため自分を含む兄弟3人が相続人になるはずである。
他の兄弟とは密に連絡を取り合う仲ではないが、話し合いは普通にできる。
とりあえず火葬は行ったが、故人とほとんど交流がなかったため、財産の状況もわからず何をどうしていいかわからない。
【法定相続割合】
| 法定相続人 | 法定相続分に基づく相続割合 |
| 兄A | 1/3 |
| 妹B(ご相談者様) | 1/3 |
| 妹C | 1/3 |

まさか自分が姉の相続人になるとは思っておらず、困惑しています。
正直なところ自宅にも入りたくないのですが、自宅の捜索から相続手続きまですべてまかせることはできますか?
司法書士田中暢夫孤独死は突然降りかかって来るうえ、死亡から発見まで日数が経っていることが多いので、精神的にも辛いですよね。
孤独死の相続は専門家でも対応が難しいため、他の事務所では断られることもあると思いますが、当事務所は難しい案件も断らないことをポリシーとしているので、孤独死の相続をまるごとおまかせいただけます。
以下、この事例をもとに、「身内が孤独死した場合の相続の進め方」について相続の実務家の視点から解説します。
親族が孤独死した場合の初期対応

警察から身元確認と死亡届の提出を求められたので対応したのですが、もし相続放棄することになった場合問題になりませんか?
司法書士田中暢夫相続財産の処分にはあたらないので、相続放棄に影響することはありません。
孤独死があった場合、警察や役所から連絡が来ることが多いです。
突然のことに驚くと思いますが、現在の状況や今後の流れなどを説明されるので、ひとまず自分が対応すべきことを確認しましょう。
警察や役所からは、死亡の状況等により下記のような対応を求められます。
具体的な対応方法については、警察や役所から教えてくれるでしょう。
- 身元確認(DNA鑑定)
- 死亡の提出
- 遺体の引取
- 葬儀埋葬(火葬や遺骨の引取)
- 遺留品の受取
これらは、遺族が行うべき事務手続きや事実行為であり、対応したとしても相続放棄できなくなるという事はありません。
ただし、遺留品の受取については、受け取った遺留品を処分してしまうと「相続財産の処分」にあたる可能性があります。
相続放棄する場合は相続財産を処分してはならないので、相続することが決まるまではそのまま保管しておきましょう。
■身元確認や死亡届の提出、遺体の引取等は拒否できる?
身元確認(DNA鑑定)や遺体の引取は法的な義務ではないので、拒否したとしても罰則はありません。
一方、死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に提出しなければならず、正当な理由なく届出をしない場合は5万円以下の過料(ペナルティ)を科される規定があります。(戸籍法第137条)
ただし、実際には親族が対応を拒否した場合は、大家や地主、病院長や施設長、自治体等が届出することになるので、罰則を受けることはありません。
とは言え、死亡届が提出されない間は戸籍に死亡が反映されず、その後の相続手続きや相続放棄の手続きが進まないというデメリットがあります。
司法書士田中暢夫警察からの協力要請を拒否した場合、他の人に迷惑がかかる可能性も高いので、一切関わりたくない場合でも「身元確認(DNA鑑定)」と「死亡届の提出」だけは行い、すみやかに相続放棄を行うことをおすすめします。
まずは大まかに財産・債務の状況を把握する

亡くなった姉の遺産として自宅マンションはありますが、事故物件扱いになると思うので売れるかどうかわかりません。
いっそのこと何もせずに相続放棄した方がいいんでしょうか?
司法書士田中暢夫明らかに多額の借金等があるのであれば別ですが、本件のようなケースではまずおおまかに財産と債務の状況を把握してから、相続するか相続放棄するか判断した方がいいでしょう。
孤独死の相続では、まずは大まかに故人の財産・債務の状況を把握することが重要になります。
孤独死の場合、生前の交流が無く、故人の生活状況や財産状況が全く分からないという事が少なくありません。
そのため、「相続する」「相続放棄する」のどちらを選択すべきかすぐに判断することが難しいです。
悩んでいる間に相続放棄の期限である3か月を過ぎてしまっては困ります。
この点、ほとんどのケースでは、プラスの財産とマイナスの財産(債務)のどちらが大きそうかは、以下の方法により見当が付きます。
故人の財産・債務を大まかに把握する方法
故人の財産・債務は、故人の自宅を調べることにより大まかに把握することができます。
具体的には、下記のような手がかりになるものを探しましょう。
司法書士田中暢夫警察から受け取った遺留品(通帳など)がある場合は、そちらも確認しましょう。
■財産・債務把握の手がかりになるもの
| 分類 | 代表的なもの |
| 遺言書関係 | ・遺言書(自筆証書、公正証書) ・遺言書の保管証(法務局発行のもの) ・エンディングノートやメモ |
| 不動産関係 | ・権利書(登記済権利証、登記識別情報通知) ・売買契約書 ・固定資産税納税通知書(課税明細書) ・固定資産税の領収書 ・登記簿謄本(登記全部事項証明書) ・土地賃貸借契約書(借地の場合) |
| 金融資産関係(預貯金、証券等) | ・通帳、キャッシュカード ・貸金庫のカード・鍵 ・証券会社からの郵送物(取引残高報告書など) ・配当金領収書 ・株主総会招集通知(議決権行使書) |
| 保険関係(生命保険、損害保険) | ・保険会社からの郵送物(契約状況のお知らせなど) ・保険証券 ・契約書、申込書 |
| その他財産関係 | ・自動車の鍵、車検証 ・ゴルフ会員権の証書 ・貴金属・宝石類(宝飾品、金地金など) ・高級時計 ・カメラ ・骨董品(陶磁器、漆器、刀剣など) ・美術品(著名な画家、彫刻家、書道家等の作品) |
| 負債(債務)関係 | ・住宅ローンの申込書や返済計画表 ・クレジットカード関係(現物、利用明細、申込書など) ・金銭消費貸借契約書 ・借用書(覚書) ・ATMの明細(消費者金融の入出金記録のあるもの) ・債権者からの書面(督促状、催告書など) ・裁判所からの書面(訴状、支払督促、期日呼出状など) |
| その他の手がかりになるもの | ・パソコン、スマートフォン ・過去の遺産分割協議書(故人が相続人として記載されているもの |
相続するか相続放棄するかの判断基準
相続するか相続放棄するかの判断基準は、大まかに言うと「プラスの財産よりマイナスの財産(債務)が大きいかどうか」です。
自宅を捜索し、手がかりとなるものが見つかれば、財産や債務の状況はある程度把握できるでしょう。
その段階で、下記のような状況であれば詳細な調査を行うまでもなく相続放棄した方がいいと考えられます。
相続放棄する場合は、「5.債務の方が大きい場合は相続放棄する」を参考にしてください。
一方、下記のような状況であれば基本的には相続した方がいいと考えられます。
ただし、孤独死の場合は後から想定外の事実が判明することもあるので、念のため詳細な調査を行いましょう。
くわしくは「4.財産・債務の詳細な調査を行う」を参考にしてください。
悩ましいのは持ち家(マンション)がある場合です。
不動産の価値が高い場合(概ね1,000万円以上)は、多少借金があっても不動産を売却すればマイナスにはならないでしょう。
ただし、孤独死の場合、自宅内で亡くなり発見までに時間がかかっていることから、いわゆる「事故物件(心理的瑕疵物件)」に該当するケースが多いです。
事故物件を売却する場合、死亡時の状況や発見までの日数等により売却価格に大きな影響が出ます。
通常相場の半額程度まで下がることも想定して、それでもマイナスにならないようであれば相続する方向で考えていいでしょう。
司法書士田中暢夫できれば早めに事故物件に強い不動産会社に相談の上、査定を取ることをおすすめします。
不動産がある場合の注意点については「8.不動産を売却する」で詳しく解説します。
■司法書士による実際の対応
本件では、故人の自宅マンションは立地も良く、預貯金等の金融資産もそれなりにある一方、借金等の存在を疑わせるものは見つからなかったため、基本的には相続する方向で進めることになりました。
特殊清掃や賃貸借関係の清算などは迷惑をかけないように早めに対応すべき?

とりあえず近隣住人に迷惑をかけないように特殊清掃を依頼しようと思いますが、もし相続放棄することになった場合問題になりませんか?
司法書士田中暢夫費用を遺産からではなく自分(相続人)のお金から出す分には問題ありません。また、価値のある動産は処分しないよう注意しましょう。
孤独死が発生した場合、近隣住民やマンションの管理組合・管理会社から早期に特殊清掃等の対応を要望されることがあります。
また、賃貸物件の場合は貸主から賃貸借関係の清算(未払賃料の支払いや契約解除など)を求められることもあります。
いずれも相続放棄する場合は対応する義務はないため、「相続するかどうか決まってから対応します。」と回答するのも一つの正解です。
ただしそうは言っても、迷惑をかけ続けるのは気が引ける、という方も少なくないでしょう。
もし、相続するかどうか確定する前に対応するのであれば、特殊清掃等にかかる費用は自分(相続人)のお金から出すようにしましょう。
また、特殊清掃や遺品整理の際には、価値のある動産は処分しないよう注意しましょう。
相続財産から費用を支払ったり、価値のある動産を処分したりしてしまうと相続を承認したとみなされ、相続放棄することができなくなってしまいます。
司法書士田中暢夫なお、賃貸借契約の解除は財産の処分行為に当たるとも考えられるため、相続するかどうか決まるまでは応じない方が無難です。
財産・債務の詳細な調査を行う

とりあえず、相続してもマイナスになることはなさそうで安心しました。
これからどのように進めていくことになりますか?
司法書士田中暢夫預貯金の解約や不動産の名義変更等の相続手続きを行う前に、財産や債務の詳細な調査を行います。
財産・債務の状況を大まかに把握し、基本的に相続する方針である場合は、遺産分割の対象となる財産を確定するために、財産や債務の詳細な調査を行います。
具体的な調査方法等については、以下で解説します。
司法書士田中暢夫遺産総額が一定額を超える場合は、10か月以内に相続税の申告が必要になるため、迅速かつ正確に調査を行うことが重要になります。
調査の前提として戸籍収集(相続人調査)が必要
相続財産・債務を調査する前提として、戸籍収集(相続人調査)を行います。
調査の際には、相続人であることがわかる戸籍謄本等の提出が必要になります。
また、後の遺産分割協議に参加する相続人を確認するためにも、相続関係を証明するすべての戸籍謄本等を集めておきましょう。
相続手続きの際に必要になる戸籍謄本には下記のような種類があります。
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等(①を含む)
- 相続員全員の現在戸籍謄本
※相続関係によってはこれ以外の戸籍が必要な場合もあります。

戸籍は本籍地の窓口で請求するほか、郵送請求も可能です。
また、直系血族の戸籍については「戸籍の広域交付制度」を利用して最寄りの役所でまとめて取得することもできます。
■司法書士による実際の対応
本件では、相続人が兄弟のため大量の戸籍が必要な上、調査が必要な財産等も多かったので、迅速に戸籍謄本一式を収集し、「法定相続情報一覧図」を取得することで、すみやかに調査を進めることにしました。
■戸籍に死亡の旨が記載されるのはいつ?
亡くなった人の戸籍に「死亡」の記載がされるのは、死亡届を提出してから1~2週間後です。
孤独死の場合、警察による検死が終わるまでは死亡届を提出できないため、死亡の状況によってはしばらくの間手続きが進まないことも珍しくありません。
死亡の記載がされる前の戸籍を取得しても、調査や相続手続きで使えないので気を付けてください。
戸籍の種類や請求方法についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

必要に応じて法定相続情報一覧図を取得する
戸籍がすべて揃ったら、法務局に申請をして法定相続情報一覧図を取得することをおすすめします。
法定相続情報一覧図は、亡くなった方の相続関係を証明する家系図のような書面です。

法定相続情報一覧図は、相続手続きの際に戸籍の代わりになる書類です。
法定相続情報一覧図があれば、手続きのたびにいちいち戸籍の束を提出せずに済みます。
戸籍一式を数通ずつ取得すると発行手数料がかさみますが、法定相続情報一覧図は何通取得しても無料です。
提出先の確認作業が大幅に短縮できるため、手続きの完了が早くなるというメリットもあります。
■法定相続情報一覧図の便利な仕組み

司法書士田中暢夫孤独死のケースでは、同時並行で財産や債務の調査を進めることになるので、法定相続情報一覧図があると手続きが大幅に楽になります。
不動産を調査する
不動産の調査は、主に下記の方法で行います。
■不動産の調査方法
| 調査方法 | 調査先 | 調査によりわかること |
| 登記事項証明書(登記情報・登記簿謄本)を取得する | 不動産所在地の管轄法務局 | ・不動産の正確な所在(地番・家屋番号) ・現在の権利関係(登記名義人) ・抵当権や仮登記の有無 |
| 公図(地図)を取得する | 不動産所在地の管轄法務局 | ・不動産の正確な所在(位置関係) ・周辺にある不動産(主に私道)の状況 |
| 名寄帳(固定資産課税台帳)を取得する | 不動産所在地の市町村役場(東京23区は都税事務所) | ・対象地域内にある被相続人名義の不動産の一覧 ・対象不動産の固定資産税評価額 |
| 所有不動産記録証明書を取得する | 全国の法務局(不動産所在地でなくても可) | ・全国にある被相続人名義の不動産の一覧 |
固定資産税納税通知書(課税明細書)や登記済権利証、売買契約書等に記載された不動産については、登記事項証明書を取得して、現在の正確な権利関係を把握します。
また、非課税不動産(主に私道)や共有不動産については手元の資料に記載がないことがあるため、公図や名寄帳、所有不動産記録証明書を取得して漏れのないように調査を行いましょう。
司法書士田中暢夫課税明細や権利証等に故人の親族(父母や祖父母等)名義の不動産の記載がある場合は、故人が相続しているが名義変更をしていない可能性があるため、念のため親族名義の不動産も調査しましょう。
■司法書士による実際の対応
本件では、登記事項証明書や公図、名寄帳の取得に加え、所有不動産記録証明書も取得して漏れのないように調査を行いました。
その結果、自宅マンションとは別に、亡夫から相続した不動産(田舎の山林)があることが判明しました。
■所有不動産記録証明制度を利用すれば名寄帳は不要?
所有不動産記録証明制度とは、2026年2月に開始した「対象者が所有する全国の不動産を、法務局がリスト化して証明書として交付する制度」です。
一方、名寄帳とは従来からある「対象の納税義務者が行政区域内(市区町村)に所有する不動産の一覧表」です。
所有不動産記録証明制度の方が対象範囲が広いため、この制度を利用してリスト(所有不動産記録証明書)を取得すれば、名寄帳の取得は不要と思うかもしれません。
しかし、実際には登記記録上の住所氏名が一致しないことにより証明書に記載されない可能性があるため、調査漏れのないように両方を併用することをおすすめします。
参考
預貯金口座を調査する
預貯金口座の調査は、預金通帳や郵送物から対象の金融機関を特定し、その金融機関に対して残高証明書や取引履歴を請求することで行います。
金融機関によって多少対応は異なりますが、特定の支店に対して請求を行った場合でも、別の支店に口座があればその旨教えてくれます。(ゆうちょ銀行など一部例外あり)
司法書士田中暢夫残高証明書は「相続開始日時点のもの」を取得しましょう。
残高証明書や取引履歴の請求方法についてはこちらの記事を参考にしてください。

■司法書士による実際の対応
本件では、金融機関の通帳が複数見つかったため、個別に問い合わせを行い、残高証明書の請求を行いました。
また、相続税の申告が必要になると思われたため、過去10年分の取引履歴の請求も行いました。
その結果、過去の取引履歴(入出金記録)から他の財産や債務の存在が判明しました。
■金融機関が特定できない場合に調査する方法
預金通帳等の口座の存在をうかがわせるようなものは見つからないけど、どう考えてももっと預金があるはず、と思われる場合は、故人の生活圏内の金融機関にとりあえず口座の有無を照会してみるのも一つの手です。
金融機関によって対応は異なりますが、電話口で住所氏名生年月日等の情報を伝えれば、口座の有無を教えてくれる場合もあります。
電話で教えてくれない金融機関でも、戸籍謄本等の必要書類を提出すれば回答してくれます。
都市部など金融機関が多数ある場合は、片っ端から調べるのは労力がかかりすぎるので、メガバンク、ゆうちょ銀行、有力都市銀行や信用金庫に絞って調査してみましょう。
なお、亡くなった方が金融機関にマイナンバーを届け出て、口座と紐づけ(付番)していた場合は、「相続時預貯金口座照会制度」を利用することで、付番済みの口座の一括照会が可能です。
(制度開始が2025年のため、2026年時点では登録者が少なくあまり実用的ではありませんが…)
参考
≫「親が亡くなったため、相続手続きでどの金融機関の口座を持っていたかを把握したいです。どうすればいいですか。」|デジタル庁
また2027年以降には、金融業界横断の相続手続き一元化プラットフォーム「みらいたすく」が開始予定で、将来的には国内の多くの金融機関について一括調査・一括手続きが可能になると予想されます。
証券口座を調査する
証券口座(証券会社の口座)の調査は、預貯金口座と同様に、取引残高報告書等から対象の金融機関を特定し、その金融機関に対して残高証明書や取引履歴を請求することで行います。
また、証券保管振替機構(通称:ほふり)に対して情報開示請求を行うことによって、口座の有無をまとめて調べることができます。
特に昔から株式を保有している場合、証券会社の口座とは別に、単元未満株(端株)を信託銀行等の特別口座で保有していることがあるので、念のためほふりの調査を行っておくことをおすすめします。
司法書士田中暢夫ほふりの調査でわかるのは「故人がどの金融機関に口座を持っているか」までなので、具体的な取引状況については各証券会社に個別に確認する必要があります。
■司法書士による実際の対応
本件では、証券会社の書類が見つかったため、個別に問い合わせを行い、残高証明書等の請求を行いました。
また、調査漏れを防ぐためにほふりの調査を行ったところ、複数の信託銀行等に特別口座があることが判明したので、そちらについても個別に調査を行いました。
ほふり調査を含む株式等の調査方法についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

特別口座(単元未満株・端株)の相続手続きについてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

生命保険を調査する
生命保険の調査は、「契約状況のお知らせ」や保険証券から対象の保険会社を特定し、その保険会社に確認を行います。
また、「生命保険契約照会制度」を利用することで、日本国内の現存する生保険契約の有無をまとめて調べることができます。
生命保険は厳密には相続財産ではありませんが、相続人が受け取ることができるケースも多く、相続税の課税対象財産にもなるので、必ず調査しておきましょう。
司法書士田中暢夫生命保険契約照会制度でわかるのは「故人がどの保険会社で契約しているか」までなので、具体的な契約内容については各保険会社に個別に確認する必要があります。
■司法書士による実際の対応
本件では、相続人の一人を受取人とする生命保険の資料が見つかったため、個別に問い合わせを行い、契約内容の確認や死亡保険金の請求を行いました。
また、調査漏れを防ぐために生命保険契約照会制度を利用して一括照会したところ、把握しているもの以外に生命保険契約はないことが判明しました。
生命保険の調査方法・生命保険契約照会制度についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

その他の財産を調査する
不動産や預貯金・証券、生命保険以外にも、下記のような財産は経済的価値があるかもしれないので、探しておきましょう。
- 自動車・バイク
- ゴルフ会員権
- 現金
- 貴金属・宝石類(宝飾品、金地金など)
- 高級腕時計
- カメラ
- 骨董品(陶磁器、漆器、刀剣など)
- 美術品(著名な画家、彫刻家、書道家等の作品)
調査の段階では、必ずしも正確な評価額まではわからなくても大丈夫ですが、「何が、どこに、いくつあるか」は把握しておきましょう。
司法書士田中暢夫評価額算定のために査定してもらう場合、そのまま処分(売却)してしまうと相続放棄できなくなるため注意しましょう。
債務を調査する
十分な遺産があり、相続する場合でも借金等の債務の有無は必ず調査しておきましょう。
孤独死の場合、相続人同士の関係性が遠いことも多く、後で債務が判明した場合に誰が支払いをしてどう清算するかでトラブルになる可能性もあるためです。
まずは自宅を捜索し、クレジットカード、契約書、ATMでの取引明細、催告書等が見つかれば、個別に問い合わせをして契約状況や返済状況を確認しましょう。
また、信用情報機関に対して情報開示請求を行うことによって、借入やクレジットカード利用の有無と大まかな残債額をまとめて調べることができます。
日本国内の金融業者や信販会社、銀行はそのほとんどがJICC(日本信用情報機構)、CIC、KSC(全国銀行個人情報センター)のいずれかの信用情報機関に加盟しており、信用情報の調査により故人の債務はほぼ把握できるので、必ず行っておきましょう。
■司法書士による実際の対応
本件では、多額の借金等の形跡は見当たりませんでしたが、念のため信用情報機関3社に対して調査を行いました。
その結果、クレジットカード数社と契約していることが判明したため、個別に問い合わせを行い、残債務の清算や解約手続きを行いました。
債務の調査方法・信用情報の調査方法についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

■住宅ローンがある場合は団信で完済可能か確認する
故人にローンがあっても、それが住宅ローンであれば支払わなくて済む可能性が高いです。
住宅ローンを組む際には同時に団体信用生命保険(団信)に加入していることが多く、団信に加入していれば契約者の死亡時に生命保険会社から残りのローンが支払われ、完済となるためです。
ただし、団信に加入していても死亡の原因が保険金支払いの免責事由*に該当する場合は、保険金は支払われません。
*保険の責任開始期から1年以内の自殺など
また、当初団信に加入していても返済の遅延等があれば契約が失効してしまっていることがあります。
住宅ローン申込書や返済計画表などの書類が見つかった場合や、不動産の登記記録に抵当権が設定されている場合は、金融機関に連絡してローンの返済状況と団信の加入状況を確認しましょう。
団信で完済できない場合、不動産の売却や相続放棄を検討することになるでしょう。
故人が団信に加入していた場合に必要な手続きについてくわしくはこちらをご覧ください。

並行して遺言書の有無も確認しておく
孤独死の相続では、財産・債務の調査と並行して必ず遺言書の有無を確認しておきましょう。
有効な遺言書がある場合、その内容に従って相続することになるため、相続人による手続きが不要となる可能性があるためです。
司法書士田中暢夫遺言の内容によっては相続人が一切相続できず、債務のみを負担する可能性もあるので、相続放棄も検討する必要があります。
遺言書は作成形式により調査・探索方法が異なります。
一般的には「自筆証書遺言」か「公正証書遺言」のどちらかであることがほとんどで、「自筆証書遺言書保管制度」の利用有無を含めて下記の3つに分かれます。
■遺言書の種類と探索方法
| 遺言書の種類 | 調査・探索先 | 調査・探索する方法 |
| 自筆証書遺言 | ・故人の自宅 ・金融機関の貸金庫など | ・故人宅の金庫や引き出し等を探す ・故人の取引先の金融機関に確認する |
| 自筆証書遺言(遺言書保管制度利用) | 全国の法務局 | 「遺言書情報証明書」又は「遺言書保管事実証明書」の交付請求を行う |
| 公正証書遺言 | 全国の公証役場 | 遺言検索システムを利用する |
司法書士田中暢夫遺言書が複数ある場合、内容が重なる部分については作成日が新しい遺言書が有効となります。
念のため公正証書遺言と自筆証書遺言の両方とも探しましょう。
■司法書士による実際の対応
本件では、自宅から遺言書は見つかりませんでしたが、念のため公正証書遺言の検索と遺言書保管事実証明書の交付請求を行いました。
その結果、該当はなかったため、原則通り相続人全員の協議により遺産の分け方を決めることになりました。
遺言書の調査・探索方法についてくわしくはこちらをご覧ください。

貸金庫がある場合は早めに中身を確認する
故人が金融機関に貸金庫を持っている場合、出来るだけ早く中身を確認しましょう。
貸金庫の中には、遺言書や預金通帳などの相続に関する重要な資料が入っていることがあります。
特に遺言書が入っていた場合、先述のとおり、今後の相続手続きに大きな影響が出る可能性があります。
司法書士田中暢夫貸金庫の開扉し中身を確認するには相続人全員の同意が必要になるため、早めに他の相続人に連絡を取ることも重要です。
故人の貸金庫の中身の確認方法についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

調査に時間がかかる場合は「熟慮期間伸長の申立て」を行っておく
孤独死の場合、故人と疎遠で生前の暮らしぶりがわからないため、財産・債務の調査に数か月を要することもあります。
相続放棄の期限である3か月以内に調査が終わらない可能性もあるので、念のため「熟慮期間伸長の申立て」を行っておくことも検討しましょう。
「熟慮期間伸長の申立て」は、3か月の期限を過ぎる前に家庭裁判所に申立てを行い、相続放棄の期間(熟慮期間)を延ばしてもらう手続きです。
この手続きを行っておけば、3か月経過後に債務の方が大きいことが判明した場合も、伸長された期間内であれば、相続放棄することができます。
司法書士田中暢夫熟慮期間伸長の申立ては各相続人が個別に行う必要があります。
申立てをしなかった相続人がいる場合、その方だけ相続放棄できず、借金を背負うこともあるので注意しましょう。
■司法書士による実際の対応
本件では、手がかりとなる資料を探すことから始めなければならず、調査に時間がかかることが予想されたため、万が一の事態に備えて相続人全員が熟慮期間伸長の申立てを行いました。
熟慮期間伸長の申立てについてくわしくはこちらをご覧ください

債務の方が大きい場合は相続放棄する
大まかに把握した段階で、または詳細な調査を行った上で、プラスの財産よりマイナスの財産(債務)が大きいと判明した場合は、相続するメリットがないので相続放棄することになるでしょう。
相続放棄する場合、相続開始を知った日から3か月以内に戸籍謄本等の必要書類を揃えて、被相続人の住所地の家庭裁判所に申立て(相続放棄の申述)を行う必要があります。
参考
≫相続の放棄の申述|裁判所
司法書士田中暢夫本件事例と異なり、孤独死した親族について相続放棄した事例もご紹介します。
賃貸アパートで孤独死した父について相続放棄するケース

保証会社からの家賃滞納の連絡がきっかけで孤独死を知り、両親に続いて兄弟も相続放棄するケース

以下、孤独死の相続放棄の注意点について解説します。
孤独死の相続放棄の注意点
孤独死の相続放棄の特有の注意点は下記のとおりです。
- 死亡日=相続開始を知った日とはならない。
- 相続開始を知った時点で、死亡日から3か月経過している場合もある。
- 戸籍に死亡が記載されるまでに時間がかかる場合がある。
- 財産や債務の詳細がわからないうちに相続放棄の決断を迫られる場合がある。
一般的なケースでは故人が亡くなった日や翌日に死亡したこと(=相続開始)を知ることが多いですが、孤独死の場合は、亡くなってから数週間や数か月経ってから知ることが多いです。
遅い場合は亡くなってから半年以上経ってから連絡を受けたというケースもあります。
司法書士田中暢夫「相続放棄の期限は3か月」という事は知っている方が多いので、期限が迫っている(あるいは過ぎている)と思い、慌てて相続放棄のご相談に来られる方も少なくありません。
しかし相続放棄の期限は「相続開始日から3か月以内」ではなく、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」(民法第915条)です。
そのため、孤独死の場合は「死亡の連絡を受けた日から3か月以内」に相続放棄の申述を行えば間に合います。
ただ、死亡日から3か月を過ぎてから相続放棄の申述を行うと、裁判所から「相続開始を知った日が遅いことについての説明」や根拠となる資料の提出を求められる場合があります。
きちんと対応すれば問題ありませんが、自信がない方は司法書士などの専門家のサポートを受けた方がいいかもしれません。
また、相続放棄の申述を行う際は「被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本」を提出する必要があります。
しかし、こちらで解説したとおり、孤独死の場合、警察による検死がなかなか終わらず、戸籍に死亡の旨が記載されるまで時間がかかることもあります。
死亡の記載がされる前の戸籍を取得しても、相続放棄手続きでは使えないので気を付けてください。
さらに、故人と疎遠なため、財産や債務の詳細がわからないうちに相続放棄の決断を迫られる場合があるというのも、孤独死ではよくある話です。
この点は「3-1.故人の財産・債務を大まかに把握する方法」を参考に判断するか、それでも判断が難しい場合は「熟慮期間伸長の申立て」を行い、詳細な調査を行った上で決断することをおすすめします。
■司法書士による実際の対応
当事務所では、死亡日から3か月を過ぎてから相続放棄の申述を行う場合、申述書と併せて、知った日を客観的に証明する資料や事情説明書(上申書)を提出します。
裁判所が聞きたいことを先回りして伝えるため、裁判所から追加の確認が入ることはほとんどありません。
持ち家(マンション)で孤独死した場合の注意点
孤独死した人が、自分の持ち家(マンション)で亡くなった場合、死亡から発見まで時間が経っていることから、いわゆる「事故物件(心理的瑕疵物件)」に該当するケースが多いです。
事故物件に該当する場合、売却価格は通常と比べてかなり低くなることがほとんどです。
「持ち家を売れば債務を完済してもプラスになるだろう」と考えていたところ、あてが外れて債務が残ってしまっても、後から相続放棄することはできません。
故人にそれなりの額の債務がある場合は、相続物件・事故物件に強い不動産会社に依頼して、早めに査定を取っておきましょう。
不動産を売却する際の注意点については、「8.不動産を売却する」で解説します。
賃貸物件で孤独死した場合の注意点
孤独死した人が、他人から借りている物件で亡くなった場合、貸主(大家)から、早期の退去(室内残置物の撤去)や賃貸借契約の解除を求められる場合があります。
また、遺体の腐敗が進んでおり事故物件となった場合、高額な原状回復費用や損害賠償を請求される可能性があります。
いずれも相続放棄する場合は対応する義務はないため、「相続放棄するので対応できません。」とはっきり断って問題ありません。
司法書士田中暢夫なお、自然死の場合、原状回復費用を超えて損害賠償請求ができるかという点について、判例は否定的です。
また、相続放棄したことを伝えると、大家や管理会社から「室内の残置物を処分していいか」と許可を求められることがあります。
他人が処分するのに同意することが、自らの処分行為に該当するかは微妙なところですが、万が一処分した残置物の中に経済的価値のあるものが含まれていた場合、相続放棄が否定される可能性はゼロとは言えません。
とは言え、家主の立場も理解できるので、できれば穏便にすませたいところでしょう。
これに関しては正解というものはないのですが、「相続放棄をしているので処分していいと言える立場ではない」という事を明確にしたうえで、「そちらが(勝手に)処分したとしても自分としては異議を唱えるつもりはない(その立場にない)」と伝えるぐらいが精一杯かと思います。
処分についての同意書等への署名を求められることもありますが、それはできないと断り、後は貸主側の判断に任せるしかないでしょう。
くわしくはこちらの事例を参考にしてください。

司法書士田中暢夫なお、相続人が賃貸借契約の連帯保証人になっていた場合は、相続放棄をしても原状回復費用等を支払う義務が残ります。(孤独死のケースではあまりないと思いますが)
相続する場合は死後手続き・遺産相続手続きを行う。

調査も終わったので、後は相続を進めることになりますよね?
これから先はどのように進めていくことになりますか?
司法書士田中暢夫孤独死のケースでも、遺産相続手続きの流れは通常の場合と基本的に変わりません。
また、公共料金や各種契約の清算・解約等の遺産相続以外の手続きも忘れずに対応しなければなりません。
財産・債務の詳細な調査が終わり、遺産分割の対象となる財産が確定したら、いよいよ遺産相続手続きを進めていきます。
また、公共料金や各種契約の清算・解約等の死後手続き(遺産相続以外の手続き)についても、相続する場合は対応しなければなりません。
具体的な手続きの内容や流れについては、以下で解説します。
死後手続き(遺産相続以外の手続き)を行う
孤独死の場合、相続放棄する可能性があるうちは手を付けない方がいいという事で、公共料金や各種契約の清算・解約等の死後手続き(遺産相続以外の手続き)を保留することも多いです。
相続することが確定した場合はこれらの手続きも併せて対応する必要があります。
代表的な死後手続きとしては下記のようなものが挙げられます。
■孤独死のケースの主な死後手続き(遺産相続以外の手続き)
| 手続きの名前 | 時期・期限 | 手続き先・確認先 | 主な必要書類 |
| 健康保険・介護保険の資格喪失手続き | 14日以内 | 市区町村役場等 | 保険証等 |
| 葬祭費・埋葬料の請求 | すみやかに(2年で時効) | 市区町村役場等 | 領収書、保険証等 |
| 死亡保険金・共済金等の請求 | すみやかに | 各保険会社 | 死亡診断書等 |
| 賃貸物件(借家)の解約・清算等(借主) | すみやかに | 管理会社・大家等 | 各所に問い合わせ |
| 訪問介護等高齢者福祉サービスの停止・解約 | すみやかに | 各事業者,ケアマネージャー,地域包括支援センター等 | 医療受給者証等 |
| 公共料金(電気・ガス・水道)の解約 | 適切な時期に | 各事業者 | 特になし |
| NHKの解約 | すみやかに | NHK | NHKに問い合わせ |
| インターネット回線・プロバイダの解約 | すみやかに | 各事業者 | 事業者に問い合わせ |
| 固定電話の解約 | すみやかに | NTT等各事業者 | 事業者に問い合わせ |
| 携帯電話の解約 | 適切な時期に | 各通信事業者 | 事業者に問い合わせ |
| クレジットカードの解約 | すみやかに | 各カード会社 | 事業者に問い合わせ |
| オンラインの有料定期利用サービス(サブスク)の解約 | すみやかに | 各事業者 | 事業者に問い合わせ |
| 新聞の解約 | すみやかに | 各販売業者 | 販売店に問い合わせ |
| 納骨 | 適切な時期に | 墓地管理者(お寺,霊園など) | 押印済火葬許可証等 |
| お墓の名義変更 | すみやかに | 墓地管理者(お寺,霊園など) | 管理者に問い合わせ |
| 改葬・墓じまい | 必要に応じて | 墓地管理者(お寺,霊園など) | 受入証明書等 |
手続き方法はそれぞれ異なりますが、概ね下記の通り対応することが多いでしょう。
- 手続き先に連絡する。
- 手続き方法や必要書類を確認する。
- 必要書類を提出する。(電話連絡のみで手続きできるものもあります。)
- 未清算金があれば清算する。
■司法書士による実際の対応
本件では、ご相続人様方は死後手続き含め一切の手続きを任せたいというご意向でしたので、当事務所でどんな手続きが必要かの洗い出しから行い、各手続き先に確認の上、解約や清算等を行いました。
亡くなった後に必要な手続きについてはこちらの記事を参考にしてください。

遺産相続手続きを行う
財産・債務の調査が完了した後の、一般的な遺産相続手続きの流れは下記のとおりです。
各手順について詳しく知りたい方はリンク先の記事をご参考ください。
財産・債務の調査が終わったら、調査結果をもとに相続財産目録を作成しましょう。
相続財産目録の作成は義務ではありませんが、遺産分割協議にあたっての相続人間の認識共有や、相続税の申告が必要かどうかの判断に役立ちます。

相続財産目録で遺産分割の対象となる財産を確認した上で、相続人全員で遺産の分け方について話し合いましょう。


相続人間の話し合いにより遺産の分け方が決まったら、合意した内容をもとに遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書を作成したら、相続人全員に署名捺印を貰います。
全員がすぐに集まれるなら一同に会してもいいですが、遠方の場合や時間が合わない場合は郵送で手配します。
遺産分割協議書とあわせて、全員分の印鑑証明書を忘れずに貰っておきましょう。

遺産分割協議書を作成したら、相続人全員に署名捺印を貰います。
全員がすぐに集まれるなら一同に会してもいいですが、遠方の場合や時間が合わない場合は郵送で手配します。
遺産分割協議書とあわせて、全員分の印鑑証明書を忘れずに貰っておきましょう。



■司法書士による実際の対応
本件では、相続財産目録の作成から、遺産分割協議書の作成及び署名捺印の手配、預貯金の解約や不動産の名義変更まですべて当事務所で代行しました。
相続人同士が疎遠な場合・面識がない場合の注意点
孤独死の相続では、相続人同士も疎遠なことや、まったく面識がないことも少なくありません。
遺産分割協議には相続人全員が参加する必要がありますが、疎遠・面識がない場合は連絡が取り辛く、意見調整が難しいことも多いです。
相続人同士が疎遠な場合・面識がない場合は、遺産分割協議や相続手続きを進めるにあたり、特に下記の点には注意しましょう。
- 遺言書の有無は必ず確認する
- 連絡の際は丁寧さを心がける
- 相続財産の内容は必ず開示する
- 財産の分け方は法定相続分が原則
- 相手方の事情にも配慮する
■司法書士による実際の対応
本件では、相続人同士の交流があまりないことから、公平な第三者を介してのやり取りを希望されたため、各相続人への連絡・調整や書面の手配、相続財産の分配や費用の清算まですべて当事務所で代行しました。
連絡が取れない・取り辛い相続人への連絡の取り方や対処法については下記の記事を参考にしてください。

必要な場合は相続税の申告を行う

遺産総額が相続税の基礎控除額【3,000万円+(600万円×法定相続人数)】を超える場合は、相続税の申告・納付が必要になります。
申告・納付期限は故人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です。
通常は「死亡日」と「死亡を知った日」はほとんど同じですが、孤独死の場合は大きく異なることが多いです。
税務署からは「死亡を知った日」がいつはわからないので、申告書提出の際に、下記のような知った日を客観的に証明する資料や、死亡を知った経緯を説明するための事情説明書を提出することになります。
- 警察から連絡を受けた際の着信履歴のスクリーンショットやメモ
- 警察署で受け取る書類
- 役所や不動産管理会社、大家等からの連絡書・通知書
- 弁護士や他の相続人からの通知書
司法書士田中暢夫相続税申告が必要な場合、遺産分割協議も10か月以内に終わらせる必要があるので注意しましょう。
■司法書士による実際の対応
本件では、相続税申告が必要になりそうだったため、当事務所で申告を担当する税理士をお繋ぎし、必要書類等の収集や税理士への連携を迅速に行いました。
その結果、無事に期限内に相続税申告及び納税を完了させることができました。
相続税の申告についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

■死亡日が不明確な場合の注意点
相続税申告では、相続開始日を基準として財産の評価を行います。
通常であれば戸籍の死亡日が相続開始日なので問題になる事はありませんが、孤独死の場合、死亡から発見までタイムラグがあることから死亡日の特定が困難なことも多いです。
そのため、戸籍上の死亡日に幅があることや、不明確なことが良くあります。
その場合、基本的には最も遅い日を相続開始日と考えれば大丈夫です。
具体的には下記のとおりです。
- 「令和8年5月1日から10日までの間 死亡」…期間の最終日である「5月10日」
- 「令和8年5月頃 死亡」…5月の最終日である「5月31日」
- 「推定令和8年5月1日 死亡」…推定とついているが一応特定されているので「5月1日」
- 「令和8年5月1日時刻不詳 死亡」…時刻不詳でも日付は特定されているので「5月1日」
司法書士田中暢夫金融機関で残高証明書等を取得する場合は注意しましょう。
不動産を売却する

ところで、不動産は売却できそうですか?
固定資産税や管理費用もかかるので早く売れないと困るんですが、事故物件扱いになると思うので心配です…
司法書士田中暢夫孤独死のケースは事故物件扱いになる事も多く、一般向けの売却は難航することが多いです。
早期に手離れよく売却するには、不動産会社に買い取ってもらう方が賢明でしょう。
孤独死の相続で持ち家(マンション)がある場合、その処分が問題になります。
相続人が住むことは考えづらいでしょうから、基本的には売却して代金を分ける事になりますが、孤独死特有の問題があるため、方向性を誤ると何年も売れず、固定資産税や管理費用ばかりかかり続けるという事もあり得ます。
以下、孤独死があった不動産を売却する場合の注意点について解説します。
孤独死による売却への影響
孤独死の中でも、「自殺や他殺のケース」「発見が遅れ、特殊清掃が必要なケース」は、いわゆる「事故物件(心理的瑕疵物件)」にあたり、買主への告知義務が発生するため、エンドユーザー(一般の方)向けの売却は難航します。
売却価格も市場相場と比べて1割~5割程度下がるのが通常です。
一方、孤独死でも事件性がなく、死亡後すぐに発見され、衛生上問題がないケース(特殊清掃が必要ないケース)では告知義務は発生しません。
しかし、その場合でも後でトラブルになることを避けるために、前所有者が建物内で亡くなったことは伝えておくことが多く、やはり一般の方からは忌避される傾向にあります。
戸建て物件であれば解体して更地にして売ることや、マンションであればきれいにリフォームして売ることも考えられますが、すぐに売れるかどうかわからない状態で最低数百万円の解体費用やリフォーム費用を負担するのは難しいと感じる方も多いでしょう。
また、孤独死の場合、室内に荷物が溢れていていわゆる「ごみ屋敷」のような状態になっていることも少なくありません。
エンドユーザー向けに売却するのであれば、室内をきれいにした状態でなければ内見もできません。
自分で頑張って片付けるか、遺品整理業者に頼んで整理する必要がありますが、いずれにしても手間や費用がかかります。
さらに、事故物件は担保価値が低く、住宅ローンの審査が通りづらいという点も懸念点です。
エンドユーザー向け以外の選択肢としては、不動産事業者に買い取ってもらうという方法があります。
不動産事業者の場合、室内の整理や家屋の取り壊しなしで現況のまま買い取ることが可能ということも多く、手離れがいいのが特徴です。
一方で、再販売する際の事業利益を考えた金額となるため、売却価格はエンド向けに比べて低くなる傾向にあります。
司法書士田中暢夫孤独死物件の場合、一般の購入希望者はかなり限定されるため、早期の売却を目指すのであれば、エンドユーザー向けではなく、不動産会社に買い取ってもらう方が賢明でしょう。
孤独死があった不動産の売却は専門家との連携が重要
孤独死があった不動産をスムーズに売却するには、各専門家・専門業者との連携が重要になります。
孤独死物件は売却先が限定されるため、こうした物件の取り扱いに慣れている不動産会社の関与が欠かせません。
不動産事業者に打診して直接買い取ってもらうのも選択肢の一つですが、需要が高い物件であれば複数の事業者による指名入札を実施することで、より好条件での売却を目指すという方法もあります。
相続物件の取り扱い実績が多数あり、エンドユーザー向け、直接買取、指名入札方式のいずれの売却方法にも対応してくれる不動産会社であれば、適切な方法を提案してくれるので安心です。
また、相続税の納税資金確保のために不動産を売却する必要がある場合は、税理士とスケジュール調整を行いながら間に合うように進めなければなりません。
そもそも、遺産分割協議が調い、相続登記が終わらなければ不動産を売却することはできません。
各専門家と連携を取りながら進めるのは、一般の方はもちろん、専門家でも経験のない方には難しい役割なので、孤独死の相続に精通した専門家を中心にしたチームで対応することが重要です。
■司法書士による実際の対応
本件では、当事務所の司法書士が中心となり、不動産会社や税理士とチームを組んで自宅マンションの売却を進めました。
売却にあたっては、現状有姿、契約不適合責任免責、融資利用特約無し、という条件で、複数の不動産事業者による指名入札を実施しました。
その結果、早期に手離れよく、かつご相続人様の満足の行く金額で売却することができました。
相続に強い不動産会社に依頼し、心理的瑕疵物件を早期売却した事例はこちら

相続した不動産を売却する際のその他の注意点
孤独死があった不動産に限らず、相続した不動産を売却する場合は下記の点に注意しましょう。
- 遺産の分け方によって最終的な手残り金額が変わることがある。
- 登記名義を単独にするか共有にするかは相続人の状況を考慮して決める。
- エンド向けか業者向けか・売却の方向性は最重要。
- 売却時にかかる税金は特例適用の有無で大きく変わる。
- 引き渡し条件により手離れの良さが大きく変わる。
- 売却の時期によっては減税効果の高い特例を受けられないことがある。
相続した不動産を売却する場合の注意点についてくわしくはこちらをご覧ください。

価値のない不動産がある場合はどうする?
孤独死した方が売りたくても売れない不動産(いわゆる「負動産」)を持っていた場合、無償譲渡や有償引取により処分することが考えられます。
山林や田畑、あるいは交通の便が悪い田舎にある古家屋付土地などの場合、処分したくてもお金を出して購入する方はいない可能性もあります。
そのような場合は下記の方法により処分することも検討しましょう。
- 親族・知人や近隣住民に打診して無償譲渡する。
- 自治体・公的機関が運営する空き家バンクや農地バンクに登録して引取先を探す。
- 民間のマッチングサイトに登録して引取先を探す。
- (農地の場合)農地中間管理機構や農業委員会のあっせんにより引取先を探す。
- 相続土地国庫帰属制度を利用して国に帰属させる。
- 専門の不動産業者に引取料を支払って引き取ってもらう。
人によっては、無償譲渡はともかく、「わざわざ費用を支払って処分するなんて…」と抵抗があるかもしれません。
しかし、保有し続けると税金や管理の負担、空き家の倒壊による損害賠償等のリスクがあるため、検討の余地はあると言えます。
司法書士田中暢夫誰も引き取らず処分もしないまま放置されると、次世代に迷惑がかかることになるので、お金を払ってでも早めに処分するのが賢明でしょう。
■司法書士による実際の対応
本件では、故人には自宅マンションとは別に、亡夫から相続した田舎の山林があることが判明しました。
売却や無償譲渡は難しい物件で、相続人全員が費用を払ってでも処分することを希望されたため、協力先の不要不動産引取業者に依頼し、引取料を支払って引き取ってもらいました。
次世代に負担をかけないように費用を支払って不要な不動産を処分した事例はこちら

孤独死の相続は専門家による代行をおすすめ
孤独死の相続は、通常の相続と比べて検討事項や対応しなければならないことが多く、相続人の方だけで行うのは困難な上、思わぬトラブルに見舞われるリスクもあります。
通常の相続であれば、頑張れば自分たちだけで手続きできるかもしれませんが、孤独死の相続手続きについては、専門家による代行を強くおすすめします。
専門家による代行をおすすめする理由
孤独死の相続について、専門家による代行を推奨する理由は下記のとおりです。
- 亡くなった方と疎遠なため、手がかりが何もない。
- 故人の居住地が遠方の場合、何度も現地に行くのが難しい。
- 財産や債務の調査を徹底的に行う必要がある。
- 短期間で相続するか相続放棄するかの判断しなければならない。
- 相続人同士も疎遠なことが多く、連絡調整が大変になりやすい。
- 誰が主導して進めるかで揉めやすく、代表者に大きな負担がかかる。
- 遺産は公平に分ける事になりやすく、代表者にとっては不公平感がある。
- 予期せぬ損害賠償請求やクレームを受けることがある。
- 孤独死のあった自宅の売却処分に困る。
孤独死の相続では、亡くなった方と疎遠であることがほとんどなので、初期対応やその後の調査・手続きを進めるのが難しいという点が大きなネックになりやすいです。
相続放棄の可能性もあるため、時間的な制約があるというのも困難に拍車をかけます
また、相続人同士が疎遠な場合は、誰が代表者として手続きを進めるかで、押し付け合いになる事もあります。
やむを得ず代表者となった方には、調査や手続きを行う負担だけでなく、相続人間の連絡調整でも大きな負担がかかります。
代表者の負担だけが大きくなりやすいと言うのは見逃されやすいですが、重大な問題です。
司法書士田中暢夫筆者が経験したケースでも、「自分だけが大変な思いをしたにもかかわらず、遺産は公平に分けることに不満を感じる」と仰る代表者の方をたくさん見てきました。
遺産を公平に分けるのであれば、「専門家に代行を任せ、費用はみんなで負担する」というのが、本当の意味で公平なのではないでしょうか。
孤独死の相続に強い専門家の選び方
孤独死の相続はイレギュラー対応が必要なことも多く、難易度が高いため、専門家であればだれでも対応できるというわけではありません。
少なくとも、下記の点をクリアできないのであれば孤独死の相続に強い専門家とは言えないでしょう。
- 孤独死が発生した場合の初期対応について適切にアドバイスできる。
- 孤独死があった場合に相続するべきか相続放棄するべきかについて適切にアドバイスできる。
- 孤独死のケースで相続放棄する場合の注意点について適切にアドバイスできる。
- 相続人の代わりに故人宅に行き、書類等の捜索を行うことができる。
- 手がかりが何もない状態から、短期間で財産や債務の調査を完了できる。
- 疎遠・面識のない相続人に連絡を取り、相続人の代わりに連絡調整を行うことができる。
- 相続物件・事故物件に強い不動産会社と連携して、不動産売却をサポートできる。
- 田舎の山林などの不要不動産の処分方法について、適切にアドバイス・サポートができる。
- 特殊清掃や遺品整理、遺骨の運搬や永代供養について、専門業者と連携しておりスムーズに案内できる。
孤独死の相続では、同種の他の事例の経験の有無で対応力に大きな差が出るので、実務経験の豊富な専門家に依頼することが重要です。
司法書士田中暢夫孤独死相続の経験が豊富な専門家はほとんどいないので、ホームページで実際の事例を公開している場合は参考にするといいでしょう。
当事務所の解決事例はこちら

孤独死の相続は司法書士法人東京横浜事務所におまかせ
司法書士法人東京横浜事務所は、開業以来「相続一筋」の司法書士事務所として数多くの相続のご依頼を受任し、対応・解決してきました。
開業当初から「相続の専門家として複雑な案件でも断らない」ことをポリシーとしているため、特殊な案件や困難な案件の対応実績も豊富です。
1,000件超の実績のうち、相続登記のみなどの簡単な事案は少なく、遺産承継の様な相続全般の対応がメインのため、孤独死の相続のような普通の士業専門家が対応しないような手続きを含む、あらゆる事案に対する対応ノウハウが蓄積されています。
孤独死は大きな社会問題であり、親族にとっては前触れなく訪れる現実的な問題でもあります。
突然のことに動揺され、大きな不安を抱えて来られる方がほとんどですが、当事務所にご依頼いただいた全てのお客様について、具体的な解決方法をご案内し、最終的には孤独死の相続問題を解決しています。
司法書士田中暢夫他事務所から断られた孤独死の相続案件もまるごと代行することが可能ですので、どうぞご安心ください。
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よくある質問
ここからは、孤独死の相続についてのよくある質問を、Q&A形式で解説します。
まとめ
ここまで孤独死の相続について解説してきましたが、相続の実務家の視点からお伝えしたい特に重要なポイントは下記の5つです。
親族の孤独死の連絡を受けた場合、混乱して冷静に対処できないのは普通のことです。
「孤独死の現場に足を踏み入れたくない」「できれば関わりたくない」と感じてしまうことも決しておかしいことではなく、後ろめたく感じる必要もありません。
今は何もわからず暗闇の中にいるような状況でも、一つ一つ状況を整理しながら手続きを進めていけば必ずゴールは見えてきます。
精神的に辛くなる時もあると思いますが、どうか一人で抱え込まないでください。
私たちと一緒に孤独死の相続問題を解決していきましょう。
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