「現役世代の夫が突然亡くなったら」葬儀から相続まで妻がやること【180のリスト付】

著者情報

司法書士法人東京横浜事務所
代表/司法書士 田中 暢夫
年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。相続案件を中心に、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
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司法書士法人東京横浜事務所
代表/司法書士 田中 暢夫
年間100件以上の相続のご相談・ご依頼に対応している相続専門の司法書士。相続案件を中心に、日々記事を書いたり、ご相談を受けたりしています。
現役世代の夫が突然亡くなったら、妻であるあなたは冷静に対処できるでしょうか?
筆者はこれまで司法書士として数多くの相続手続き・死後手続きをサポートしてきましたが、「現役世代*の夫が突然亡くなった」ケースは、心情的にも手続きの負担的にも残された妻が大変な思いをする可能性が高いです。
*公的年金受給前の、現役で働いている20代~60代前半の世代
今まさにその状況にある方以外にとっては、あまり考えたくないことかもしれませんし、「うちは大丈夫」と思われる方も多いと思いますが、事前に知識を得ておくことで、万が一の時にも必要以上に慌てずに済むでしょう。
本記事では、これまで1,000人以上の相続に関わった司法書士が、「現役世代の夫が突然亡くなった後に妻がやること」について時系列順に網羅的に解説します。
身近な人が亡くなった後に必要な手続き全180項目をまとめたチェックリストも用意したので、ぜひダウンロードしてお役立てください。
司法書士田中暢夫「夫が亡くなった」を「妻が」「配偶者が」に読み替えていただければ、より多くの方に役立つ内容だと思います。
いざというときのためにブックマークしておいていただき、折に触れて読み返していただければと思います。
今まさにパートナーの死に直面している方、万が一に備えて読んでおこうという方、境遇は様々でしょうが、本記事が少しでも皆様の不安や負担を軽くし、平穏な日常に戻ることができる助けになれば幸いです。

【相談事例】40代の夫が急逝しました。未成年の子供が二人います。とりあえず勤務先には連絡をして葬儀は行いましたが、これからどうすればいいですか?

【事例の概要】
2週間前に夫が急に亡くなりました。まだ45歳でした。
子供は上の子が12歳で来年中学生、下の子はまだ8歳で小学生です。
とりあえず葬儀を終え、夫の勤務先に連絡して必要な手続きの説明を受けましたが、急逝したショックもあり、正直言って頭に入ってきません。
私自身は下の子の出産を機に仕事を辞めたので、ブランクがあることから今後の生活にも不安があります。
相続のことなど、やらなければならないことがたくさんあるのはわかっていますが、何が必要でどこから手を付ければいいかもまったくわかりません…
【法定相続割合】
| 法定相続人 | 法定相続分に基づく相続割合 |
| 妻A(ご相談者様) | 1/2 |
| 子B(長女・12歳) | 1/4 |
| 子C(長男・8歳) | 1/4 |

まさかこんなに早く夫が亡くなるなんて…正直なところ気持ちの落ち込みもあり何も手につかないのですが、どうすればいいですか?
司法書士田中暢夫突然のことで何も手につかないのは無理もないことです。
まずはご供養を第一に考え、無理せず一つずつ進めていけば大丈夫です。
ご心労の中ですべてをご自身で進めるのは大変ですので、「専門家に手続きをまかせることもできる」とお考え下さい。
落ち着いて一緒に対応していきましょう。
以下、この事例をもとに、「現役世代の夫(配偶者)が亡くなった場合の相続の進め方」について相続の実務家の視点から解説します。
なお、事例では「働いている(会社員の)夫が亡くなったケース」を想定していますが、「働いている妻が亡くなったケース」でもほとんどの部分が共通します。
現役世代の夫が亡くなったときの手続きの流れ

子供のこともあるしいつまでも何もしないわけにはいかないですよね。
これからいったいどんな手続きが必要なんでしょうか?
司法書士田中暢夫亡くなった後の手続きには大きく分けて「死後手続き(遺産相続以外の手続き)」と「遺産相続手続き」があります。
一般的に遺産相続手続きは手間がかかるので、比較的簡単な「死後手続き(遺産相続以外の手続き)」から処理していきましょう。
一気に色々進めようとすると大変なので、まずは全体の流れを把握して、落ち着いて状況を整理しましょう。
身近な人が亡くなると、遺族は悲しみに浸る暇もなく様々なことに対応しなくてはなりません。
まずは死亡直後~四十九日を目安に行う手続きの全体像について把握しておきましょう。
■死亡直後~四十九日を目安に行う主な手続きの流れ

働いている夫が亡くなった後の手続きを進めるにあたっては、大まかな目安として以下のようにイメージしておくといいでしょう。
- 死亡直後は葬儀・法要の手配や、関係者への連絡等を中心に行う。
- 葬儀が終わってから、役所への届出や年金関係の手続き、公共料金などの各種変更・解約手続きを行う。
- 会社員の方が亡くなった場合、会社関係の手続きは勤務先でまとめて対応してくれることが多いので、まず勤務先に確認する。
- その後、少し落ち着いてから戸籍収集や財産調査などの遺産相続手続きに取りかかり始める。
もちろんあくまで目安なので、個々の事情によって優先順位や期間は異なる場合もあります。
手続きの進め方について不安な方や、お急ぎの方は専門家へのご相談をおすすめします。
以下、それぞれの手続き・やることについてくわしく解説します。
現役世代の夫が亡くなったときにまずやること(死亡直後の初期対応)
亡くなった直後とは言え、葬儀・火葬までは早急な対応が必要になります。
なお、事例では葬儀関係は終わっていますが、ここでは葬儀等を含む死亡直後の初期対応について解説します。
司法書士田中暢夫家族が急に亡くなってしまい、動揺しているかもしれませんが、葬儀社に相談すれば葬儀関係はほぼ主導してくれます。
■亡くなったときにまずやること(葬儀関係の手続き)
| 手続きの名前 | 時期・期限 | 手続き先・確認先 | 主な必要書類 |
| 近親者・関係者等への連絡 | すみやかに | 近親者、関係者、勤務先など | なし |
| 死亡診断書(死体検案書)の取得 | すみやかに | 医師(警察) | なし |
| 遺体の搬送・葬儀の手配 | すみやかに | 葬儀社、病院 | なし |
| 勤務先・関係者等への連絡 | すみやかに | 近親者、関係者、勤務先など | なし |
| 死亡届の提出・火葬許可証の取得 ※葬儀社が代行可 | 7日以内 | 次のいずれかの市区町村役場 ・故人の死亡地 ・故人の本籍地 ・届出人の所在地 | 死亡診断書(死体検案書) ・死亡届 ・火葬許可申請書 |
| お通夜・葬儀・火葬 | すみやかに | 葬儀社、親族など | 火葬許可証 |
| 初七日法要 | 7日以内 | 葬儀社、親族など | なし |
| 葬儀費用の支払い・領収書の受取り | 葬儀終了後すみやかに | 葬儀社 | なし |
以下、それぞれについてくわしく解説します。
近親者へ連絡する
死亡の連絡(又は危篤の連絡)を受けた段階で、家族や関係の近い親戚には連絡をしておきましょう。
急を要するので、連絡方法はメールやLINEよりも電話の方が確実でしょう。
内容が内容なので夜中や早朝であっても失礼には当たりません。
この段階では危篤や死亡の事実のみ伝えておけば大丈夫ですが、すでに通夜や葬儀の日程が決まっていればあわせて伝えておきましょう。
まだ決まっていなければ、決まり次第改めて伝えれば大丈夫です。
死亡診断書(死体検案書)を取得する
病院で亡くなった場合は、すぐに医師から死亡診断書を受取っておきましょう。
死亡診断書(死体検案書)は、A3用紙で下図のように死亡届と一体になっており、右側の「死亡診断書(死体検案書)」部分が記入された状態のものを受け取ります。
■死亡診断書(死亡届)の見本

病院以外で亡くなった場合は下記のとおり対応しましょう。
■医師の管理のもと、在宅医療を受けている方が自宅で亡くなった場合
かかりつけの医師に来てもらい、死亡診断書を書いてもらいましょう。
■持病等の無い方が、自宅等で突然亡くなった場合
何も触れずに警察に連絡をしましょう。この場合は死亡診断書ではなく「死体検案書」が作成されることになります。
死亡診断書の発行手数料は3,000円〜1万円程度、死体検案書の発行手数料は3万円〜10万円程度です。
死亡診断書は死亡届提出の際に必要になるほか、死亡保険金の請求など複数の手続で必要になります。
司法書士田中暢夫死亡届提出の際に原本を提出すると戻ってこないので、必ずコピーを10枚程度とっておきましょう。
遺体の搬送・葬儀の手配
病院で亡くなった場合でも、一般的に霊安室に遺体を安置できるのは2~3時間程度のところが多く、その後は遺体を搬送する必要があります。
葬儀社に連絡をして、自宅や葬儀社の安置施設等の搬送先へすみやかに搬送しましょう。
遺体の搬送が終わったら、葬儀社の担当者と打ち合わせを行い、通夜・葬儀等の手配を始めます。
葬儀社を選ぶ際には下記の点を考慮して決めましょう。
- 故人の希望(生前契約や互助会加入の有無等)
- 葬儀のプラン(家族葬か一般葬か等)
- オプション(遺体の搬送、死亡届の提出、火葬、法要等)
- 価格(追加費用がかかる場合はあるのか等)
司法書士田中暢夫葬儀社は病院が紹介してくれることもありますが、病院の提携葬儀社は費用が高額になる傾向があります。
後でトラブルにならないように、必ず費用と内容を確認し、納得の上で契約しましょう。
大切なパートナーが亡くなったばかりで気持ちの整理がつかない、という方もいらっしゃると思います。
そのような場合は「遺体搬送のみ」を葬儀社に依頼し、葬儀については後でしっかり検討した上で依頼するというのも一つの手です。
遺体搬送のみを葬儀社に依頼した場合の費用相場は、50kmまでであれば2~4万円程度です。
依頼する際は「遺体搬送のみの依頼」であることを明確に伝えましょう。
勤務先・関係者に連絡する
通夜・葬儀の日程が決まったら、危篤時に連絡をしていない親族や知人、勤務先などに連絡をしましょう。
亡くなったことだけ伝えた方がいれば、日程が決まり次第忘れずに案内しておきましょう。
司法書士田中暢夫葬儀を身内だけの家族葬で行う場合、出席しない知人や関係者への連絡は葬儀の後でも大丈夫ですが、その場合でも勤務先には必ず連絡をしておきましょう。
■勤務先への連絡について
会社勤めの方が亡くなった場合、勤務先には必ず亡くなったことを伝えておきましょう。
所属する部署や直属の上司への電話連絡が望ましいですが、わからない場合は代表番号や同僚の方などに連絡して取り次いでもらえば大丈夫です。
連絡の際は下記のことを伝えましょう。
- 葬儀の形式(家族葬か一般葬か)
- 葬儀会場(参列を辞退する場合は不要)
- 会社関係者の参列の可否
- 香典や弔電の受け入れ(辞退する場合はその旨伝える)
※葬儀については未定であれば決まり次第の連絡で大丈夫です。また、伝え漏れがあっても必要に応じて会社から確認してくれるので、あまり気負わなくて大丈夫です。
司法書士田中暢夫なお、妻であるあなたが会社勤めの場合は、自分の勤め先にも忘れずに連絡しておきましょう。
また、子供が保育所や幼稚園、学校に通っている場合はそちらにも連絡してしばらく休むことを伝えておきましょう。(子供が大学生の場合は下記参照)
■子供が大学生の場合の対応
子供が成人済みで大学生や専門学校生の場合は、通っている大学などへの連絡を自分で行う必要があります。
成人しているとはいえ、突然のことでお子様も動揺していると思うので、下記の要領で連絡するように伝えておくといいでしょう。
- 連絡先は大学事務室(事務局)の担当部署。(学生課や教務課)
- 担当教員には可能な限り個別に忌引きで休むことを伝える。(メールでOK)
- レポート提出や試験期間と重なる場合は、教授に相談し対応について確認する。
- 忌引き休暇の日数は大学の規則によるが、親が亡くなった場合は土日含めて1週間が一般的。
- 忌引き申請の際に、証明するものの提出が必要。(会葬礼状や葬儀証明書など)
死亡届を提出する・火葬許可証を取得する
司法書士田中暢夫死亡届の提出と火葬許可証の取得は葬儀社が代行するのが一般的なので、ほとんどのケースではあまり気にする必要はありません。
死亡届は、死亡の事実を知ったときから7日以内(国外で死亡した場合は3か月以内)に市区町村役場に提出する必要があります。
■死亡診断書(死亡届)の見本

死亡届は、上図のように死亡診断書(死体検案書)と一体になっており、記入済みの「死亡診断書(死体検案書)」の左側の部分に、遺族が必要事項を記入します。
書き方がわからない部分は役所の窓口で教えてもらえるので、空欄のまま持参しましょう。
また、死亡届提出の際には、一緒に火葬許可証を取得します。
通常、葬儀の後はそのまま火葬することになりますが、そのためには事前に火葬許可証を取得しておく必要があります。
自治体により、死亡届の提出のみで火葬許可証を発行してくれる所と、下図のような火葬許可申請書の記入が必要な所があります。
■死体埋火葬許可申請書の記入例

お通夜・葬儀・火葬
司法書士田中暢夫通夜~葬儀~火葬までの一連の流れは、基本的には葬儀社が主導してくれるので、それほど気負わずとも大丈夫です。
お通夜は通常亡くなった翌日の夜に行いますが、深夜や早朝に亡くなった場合は死亡当日に行う事もあります。
また、年末年始などで火葬場の予約が取れない場合は、火葬の日に合わせてお通夜・葬儀の日を決めることになります。
近年では時代の変化に伴い儀式化され、2~3時間ほどで終了する「半通夜」が行われることが多くなっています。
葬儀・告別式では、配偶者が喪主となり参列者や僧侶に対応します。
喪主には表向き葬儀を取り仕切るという重要な役割があるので、心構えをしておきましょう。
■喪主のやることとは
通夜~葬儀~火葬の一連の流れで喪主(遺族代表)が対応することは、一般的には下記になります。
【通夜】
- 席次、焼香順、供花の配置の確認
- 返礼品や会葬礼状の確認
- 僧侶への対応(挨拶、お布施のお渡し、見送り)
- 喪主挨拶
【葬儀・告別式】
- 弔辞・弔電の確認
- 喪主挨拶
- 火葬場へ同行する親族の確認
多くの方が苦手と感じる喪主挨拶ですが、葬儀社に相談すれば挨拶の原稿などは用意してくれると思います。
インターネット等で例文を探して参考にするのもいいでしょう。
挨拶は長すぎてもよくないので2~3分程度(文字数にして600~1000字程度))にまとめましょう。手控えを見ながらの挨拶でも大丈夫です。
葬儀・告別式が終わったら、火葬場へ向かいます。
火葬場に向かう際、火葬許可証がどこにあるかは必ず確認しましょう。
一般的には葬儀社がそのまま預かっていることが多いですが、担当者の勘違いや遺族が受け取っている可能性もあるので、念のため確認しておきましょう。
火葬が終わったら、最後に骨壺と火葬済印が押された火葬許可証(埋葬許可証)を受け取って、火葬場を後にします。
押印済の火葬許可証(埋葬許可証)は、埋葬(納骨)のときに墓地や霊園に提出します。
万が一紛失してしまった場合は、役所で再発行の手続きを行いましょう。 その後は地域の慣習にもよりますが、自宅に戻り遺骨法要と初七日法要、精進落としなどを行うことが多いです。
■通夜・葬儀の服装について
通夜・葬儀の際の服装については、親族であれば喪服が一般的です。
ただ最近では、正式な喪服(モーニングスーツや紋付羽織袴)を着用することはほとんどなく、男女ともに通夜・葬儀を通していわゆるブラックフォーマルを着用することがほとんどです。
- 男性の服装…光沢のない黒のスーツ、黒いネクタイ
- 女性の服装…光沢のない黒のスーツ・ワンピース・アンサンブル
- 子供(高校生以下)の服装…制服が基本、制服が無い場合や派手な色合いの場合は黒や紺、グレーなどの地味な色合いの服装
喪服が準備できなかった場合は、オンラインの喪服レンタルサービス等を利用するほか、親族であれば葬儀社に相談して喪服をレンタルすることも可能です。
初七日法要
初七日法要は、名前のとおり、本来は亡くなってから七日目に執り行う儀式です。
しかし、現在では遠方に住む方の日程調整が難しい等の事情もあり、葬儀と同日に初七日法要を行う事も一般化しています。
葬儀と同日に初七日法要を行う場合、火葬後に行う「繰り上げ法要」と、葬儀の式中に繰り込む「繰り込み法要」のどちらかで行います。
どちらで行うかは地域の風習や宗派によっても異なるので、お寺や周りの方に相談しましょう。
また、本来は四十九日の忌明けの際に行う「精進落とし」についても、時代の変化に伴い、葬儀、初七日法要の後に行われることが多くなっています。
司法書士田中暢夫初七日法要についても、葬儀社がまとめて対応してくれるケースも多いようです。
特にこだわりがなければ、先に葬儀社に確認しておき、任せてしまってもいいでしょう。
葬儀費用の支払い・領収書の受取り
葬儀社から葬儀費用の請求書を受け取ったら速やかに支払います。
支払期限は通常、請求書が届いてから1週間または10日以内です。
葬儀費用を支払ったら、必ず領収書を受け取っておきましょう。
領収書が必要な理由は主に下記の2つです。
- 葬祭費の支給申請に必要なため
- 相続税の申告の際に必要なため
葬祭費は、故人が国民健康保険加入者だった場合に自治体から支給されるお金です。
支給申請の際には葬儀費用の領収書の提出が必要なので、コピーを取っておきましょう。
また、宛名が “○○家”“○○様ご遺族”等の記載だと支障が出ることがあるため、領収書の宛名は喪主個人宛にしてもらいましょう。
また、相続税申告の際には、プラスの遺産額から葬儀費用を控除することができます。
そこで控除できる額を確認・証明するために領収証書のコピーの提出が必要になります。
相続税申告の際は領収書の他に、葬儀費用の内訳がわかるもの(明細書、見積書など)が必要になることが多いので、あわせて保管しておきましょう。
■領収書がないお布施はどうなる?
相続税申告の際に控除できる葬儀費用には、お寺(僧侶)に支払うお布施も含まれます。
しかし、お布施に対して領収書を発行することは一般的ではありません。
そこで、お布施については、領収書の代わりに相続人が作成したメモを提出することができます。
具体的には下記のような内容のメモです。
「〇月〇日支払い ○○寺 お布施として 30万円」
メモは手書きでも、エクセルやワードで作成したものでも構いません。
なお、最近ではお布施に対して領収書を発行してくれるお寺もあるようです。

亡くなってから2週間後までを目安にやること①(役所関係の手続き)

とりあえず葬儀は終わったんですが、これからどうすればいいですか?
司法書士田中暢夫後の手続きで戸籍謄本が必要になるため、まずは役所関係の手続きから進めていきましょう。
ご相談者様のケースでは、「国民健康保険・国民年金の加入手続き」と「戸籍の請求」が必要になります。
葬儀・法要関係が一段落したら、徐々に各種の届出や手続きを行って行きましょう。
手続きの順番は特に決まっていませんが、手続きに戸籍謄本が必要になる関係で、まず役所に足を運ぶことが多いので、役所関係の手続きはまとめて行っておくといいでしょう。
現役世代の夫が亡くなった後に必要な役所関係の主な手続きは以下のとおりです。
■亡くなってから2週間後までを目安にやること①(役所関係の手続き)
| 手続きの名前 | 時期・期限 | 手続き先・確認先 | 主な必要書類 |
| 国民健康保険の喪失手続き | 14日以内 | 市区町村役場等 | 保険証等 |
| 葬祭費の請求 | 2年で時効 | 市区町村役場等 | 領収書、保険証等 |
| 国民健康保険・国民年金の加入手続き | 14日以内 | 市区町村役場 | 健康保険資格喪失証明書等 |
| 世帯主の変更届 | 14日以内 | 市区町村役場 | 身分証等 |
| 戸籍の請求(窓口請求) ※戸籍に死亡が反映されるまで1~2週間程度かかる | 死亡届の提出から1週間経過後 | 市区町村役場等 | 身分証等 |
これらの手続きは役所の窓口に書類を出すだけなので、まとめてやれば1日で終わるでしょう。
ただし、戸籍に死亡の記載がされるまでは死亡届の提出後1~2週間程度かかるので注意しましょう。
一応、14日以内が期限とされている手続きがあるので、亡くなってから2週間後までに終わらせることを目安としましょう。
以下、それぞれについてくわしく解説します。
国民健康保険の喪失手続き
亡くなった夫が自営業・フリーランス(個人事業主)で、国民健康保険の加入者だった場合は、亡くなってから14日以内に故人の住所地の市区町村役場で喪失手続きを行います。
郵送での手続きも可能なほか、自治体によってはオンラインでの手続きも可能です。
具体的な手続きは自治体により異なるため、事前にホームページや電話で確認しましょう。
■国民健康保険喪失手続きの例(自治体により異なる)
- 死亡届の提出のみでOK
- 資格確認書(保険証)の提出のみでOK
- 電話で申し出るだけでOK
- 資格確認書等の返却は不要(自分で処分してOK)
14日以内という期限は定められていますが、遅れても罰則はなく、期限後でも手続き自体は可能です。
ただし、手続きをせずに放置すると保険料を払い過ぎ(納め過ぎ)となってしまう可能性があります。
納め過ぎた保険料は手続きをすれば後で遺族に返金(還付)されます。
司法書士田中暢夫亡くなった夫が会社員などで、社会保険に加入していた場合は各健康保険組合での手続きとなります。
基本的には勤務先で手続きすることになるので確認しましょう。
■マイナンバーカード、パスポート、運転免許証などはどうすればいい?
マイナンバーカード、パスポート、運転免許証などの身分証明書は、本人が亡くなった場合に返却が必要なのでしょうか?
この点、マイナンバーカード(マイナ保険証)は死亡届の提出により無効化されるため、返却は不要とされています。
相続手続きで故人のマイナンバーが必要になることがあるため、しばらくは持っておき、すべての手続きが完了した段階でハサミを入れるなどして破棄するのがいいでしょう。
また、運転免許証(運転経歴証明書)についても遺族による返納義務はありません。
ただし、運転免許証の有効期限が満了していない場合、亡くなった方宛に免許証更新等の通知が届くことになります。
通知の停止を希望する場合は、最寄りの警察署や運転免許更新センター・試験場等で手続きを行う必要があります。
一方、パスポートについては遺族が返納するものとされています。
参考
≫パスポートの名義人が死亡した場合は、どうすればよいですか?|外務省
ただし、実際には返納しなくても罰則はないため、マイナンバーカードと同様に自分で破棄するか、たまたまパスポートセンターに出向いたときに返納するかでいいでしょう。
これらの身分証明書を思い出の品として持っておくなら、悪用されないように保管方法には気を付けましょう。
葬祭費の請求
亡くなった夫が国民健康保険の加入者だった場合は、葬祭費の請求を忘れずに行っておきましょう。
国民健康保険加入者が亡くなった場合、市区町村役場で手続きをすれば、3~8万円*の葬祭費が申請人(喪主)に対して支給されます。
*支給金額は自治体により異なる。
葬祭費の支給申請には葬儀費用の領収書が必要になります。
領収書の宛名が喪主個人宛になっているものでないと受け付けられないので、確認しておきましょう。
支給申請の際にマイナ保険証や資格確認書の提出が必要な場合がありますが、紛失・返却している場合は提出不要です。
葬祭費の請求期限は、葬儀を行った日の翌日から2年以内です。
期限を過ぎると時効により権利が消滅してしまうので、葬儀費用を支払い、領収書を受け取ったらすぐに役所に出向いて手続きを行いましょう。
司法書士田中暢夫亡くなった夫が会社員などで、社会保険に加入していた場合は埋葬料(埋葬費)が支給されます。
こちらは各健康保険組合に申請しますが、基本的には勤務先で他の手続きと一緒に対応してくれることが多いので確認しましょう。
■葬祭費・埋葬料(埋葬費)の請求手続き
| 葬祭費 | 埋葬料(埋葬費) | |
| 保険の種類 | 国民健康保険 または 後期高齢者医療制度 | 社会保険 |
| 申請期限 | 葬儀の翌日から2年 | 死亡日の翌日から2年 |
| 申請できる人 | 葬儀を行った方(喪主) | 一定の遺族 |
| 申請先 | 市区町村役場 | 健康保険組合 |
| 支給額 | 3~8万円(自治体による) | 5万円(一律) |
| 主な必要書類 ※自治体や請求の状況によって異なるので要確認 | 1.葬儀費用の領収書等(宛名が申請人になっているもの) 2.故人の保険証(資格確認証、被保険者証) 3.申請人の預金口座番号がわかるもの(預金通帳等) 4.申請人の身分証明書(運転免許証等) 5.葬祭費支給申請書(役所の窓口で貰えます) | 1.亡くなった方の健康保険証(在職中に亡くなった場合は事業主より返却) 2.死亡診断書・埋葬許可証・火葬許可証等の写し(申請書に事業主の証明があれば不要) 3.生計維持を確認できる書類(住民票等、被扶養者による申請の場合は不要) 4.埋葬料(費)支給申請書(各組合の窓口や郵送で貰えます) |
葬祭費・埋葬料の請求についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

国民健康保険・国民年金の加入手続き
亡くなった方が会社員など社会保険の被保険者で、家族が扶養に入っていた場合、遺族(被扶養者)は、下記いずれかで新たに健康保険等に加入する必要があります。
- 国民健康保険に加入する。
- 職場の社会保険に加入する。
- 他の家族の扶養に入る。(社会保険の被扶養者になる)
多くのケースは①に該当すると思います。この場合、国民健康保険は世帯単位で加入することになります。
②については、勤務状況によっては勤務先の社会保険に加入できる場合があります。上司や人事・総務担当者に確認してみましょう。
一定の条件を満たす場合は、③(親が子の扶養に入るなど)が可能な場合もあるので確認してみてください。
また、亡くなった方が会社員等の場合、厚生年金の加入者(第2号被保険者)でもあることが多いですが、この場合、被扶養者の人は国民年金の「第3号被保険者」に該当します。
健康保険と同様にこの場合も、職場の厚生年金や他の家族の扶養に入るか、国民年金の加入手続き(第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更の手続き)が必要になります。
国民健康保険や国民年金に加入する場合は、故人の勤務先から「健康保険資格喪失証明書」を発行してもらい、市区町村役場で手続きを行いましょう。
手続きの期限は、退職日(死亡日)の翌日から14日以内です。
職場の社会保険・厚生年金に加入する場合や、家族の扶養に入る場合は勤務先の事業所を通じて手続きをすることになります。
下記のホームページも参考にしてください。
司法書士田中暢夫会社員の方が亡くなった場合、会社関係の手続きは基本的に勤務先で対応してくれますが、国保・国民年金の加入手続きは自分で行う必要があるので気を付けましょう。
■健康保険資格喪失証明書が届かない場合の対処法
故人の社会保険の被扶養者だった家族が、新たに国民健康保険に加入する場合、故人の勤務先から「健康保険資格喪失証明書」を発行してもらい、市区町村役場で手続きを行うのが原則です。
しかし、勤務先によってはなかなか証明書を発行してくれないこともあるかもしれません。
そのような場合は、下記のような方法でも手続きを行うことが可能です。
- 最寄りの年金事務所で資格喪失証明書(又はそれに代わる通知書)を発行してもらう
加入していた健康保険が「協会けんぽ(全国健康保険協会)」の場合は、年金事務所で即日発行可能。ただし会社がまだ資格喪失届を提出していなければすぐに発行できない場合あり。 - 健康保険組合から資格喪失証明書を発行してもらう
加入していた健康保険が協会けんぽではなく、独自の「○○健康保険組合」の場合は、その健康保険組合に依頼して直接発行してもらうことが可能。手続き方法や必要書類は組合によって異なるため要確認。 - 会社から発行された離職票や退職証明書で代用する
自治体によっては、資格喪失証明書が無くても、退職日がわかる代替書類があれば手続きできる場合がある。自治体により対応は異なるため要確認。 - 市区町村窓口で会社に確認してもらう
自治体によっては、証明書がない場合に市区町村役場の職員が会社に電話で退職日を確認し、手続きを進めてくれる場合がある。自治体により対応は異なるため要確認。
なお、手続き期限である14日を過ぎても手続きは可能であり、退職日(死亡日)の翌日にさかのぼって国保へ加入できます。
期限を過ぎたことによる罰則もありませんが、手続きが完了するまでの間に病院にかかった場合、医療費を一旦全額(10割)自己負担しなければならない可能性があります。
司法書士田中暢夫医療費を全額自己負担した場合でも、後から差額7割分の還付を受けることはできますが、一時的に高額な支払いが発生する上、還付申請の手間もかかるので、なるべく早く手続きを行いましょう。
世帯主の変更届
下記に該当する場合、世帯主変更の届出をする必要があります。
- 住民票上の世帯主が死亡した。
- 世帯主の死亡後、世帯に15歳以上の人が2人以上残っている。

司法書士田中暢夫子供がおらず配偶者のみが残る場合は当然届出不要ですが、子供がいても全員15歳未満であれば、配偶者が自動的に世帯主となるため届出は不要です。
届出が必要な場合は、亡くなってから14日以内に新しい世帯主を決めて、市区町村役場に「世帯主変更届」を提出します。
期限を過ぎても手続き自体は可能ですが、届出の際に遅れた理由を記載した「提出期間経過通知書」の提出が必要になります。
戸籍の請求(窓口請求)
ほとんどの相続手続きでは、相続関係の証明のために戸籍謄本が必要になるため、役所に出向いた際に請求・取得しておくと後で楽です。
相続手続きの際に必要になる戸籍謄本には下記のような種類があります。
- 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等(①を含む)
- 相続人全員の現在戸籍謄本
※相続関係によってはこれ以外の戸籍が必要な場合もあります。
■相続手続きに必要な戸籍

上記のうち、被相続人(亡くなった人)の本籍地の市区町村役場に行けば、「①被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本」は確実に取得できます。
年金の手続きや保険金の請求など、使用する機会が多いので3~5通ほど取得しておくといいでしょう。
また、「②被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等」についても、同じ役所である程度揃うケースがあるので、あるだけ請求しておきましょう。
なお、故人の配偶者及び未婚の子供については「①被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本」が、「③相続人全員の現在戸籍謄本」を兼ねるため、重複しての取得は不要*です。
*養子縁組や分籍等で、未婚の子供と故人の戸籍が別になっている場合は別途取得が必要。
本籍地と住所地は必ずしも一致しないので、本籍地が遠方の場合は郵送請求や後述する「戸籍の広域交付制度」の利用をおすすめします。
司法書士田中暢夫窓口で請求する際は、担当者に「夫が亡くなったので相続手続きで必要な戸籍をここで取れるだけ全てください。」「死亡の記載のある戸籍は多めに(3~5通)ください。」と伝えれば大丈夫です。
■戸籍に死亡の旨が記載されるのはいつ?
亡くなった人の戸籍に「死亡」の記載がされるのは、死亡届を提出してから1~2週間後です。
死亡届を提出したのが故人の本籍地の役所であれば、1週間程度で記載されますが、本籍地以外の役所の場合は2週間程度かかることもあります。
死亡の記載がされる前の戸籍を取得しても相続手続きで使えないので、葬儀から間もなく戸籍を請求する場合は気を付けてください。
戸籍の種類や請求方法についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。


亡くなってから2週間後までを目安にやること②(年金関係の手続き)

すぐに仕事が見つかるかわからないので今後の生活のことも心配なんですが、遺族年金は貰えますか?
夫はずっと会社勤めだったんですが…
司法書士田中暢夫今後の生活のためにも、年金関係の手続きは早めに行っておきましょう。
ご相談者様のケース(配偶者及び未成年の子供2人)では、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」を受けられると思われます。
亡くなった方の年金の加入状況や家族構成によっては、妻が遺族年金を受けられる可能性があります。
遺族年金を受けられない場合でも、死亡一時金や寡婦年金を受給できる場合があるので、忘れずに手続きを行いましょう。
現役世代の夫が亡くなった後に必要な公的年金関係の主な手続きは以下のとおりです。
受給のためには請求書や戸籍謄本を提出する必要があるので、詳しくはお近くの年金事務所や街角の年金相談センター等でご相談ください。
なお、故人がすでに年金受給中だった場合は、配偶者は「未支給年金の請求」も行うことができます。
「細かいことはともかく、自分がどの遺族年金(遺族給付)を貰えるのか大まかに把握したい」という方は、こちらの早見表をご参照ください。
年金関係の手続きについては、年金事務所(又は街角の年金相談センター)にまとめて相談することができます。
どの年金を請求できるかわからなくても、年金事務所で確認してくれます。
年金事務所(又は街角の年金相談センター)での相談は原則として予約優先なので、事前に電話で予約してから行きましょう。
■年金請求用の戸籍謄本について
遺族年金等の請求の際には、原則として亡くなった方と請求者の関係がわかる戸籍謄本が必要になります。
この戸籍については、請求する方が亡くなった方の配偶者または子の場合、年金請求書にマイナンバーを記入することで添付を省略できます。
また、マイナンバーを記載せず、戸籍謄本の現物を添付する場合も、公的年金請求用の戸籍謄本については無料で発行してもらえます*。
請求する際には「公的年金請求用」であることを明確に伝えましょう。
なお、年金請求用の戸籍謄本にはその旨が明記されるため、他の相続手続き(預貯金や不動産の手続き)には使用できません。
*市区町村によって運用に若干の違いがあるため、無料にならないケースもあるようです。詳しくは役所に確認してください。
以下、それぞれについてくわしく解説します。
遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)の請求
亡くなった方の公的年金の加入状況によって、配偶者など一定の要件を満たす遺族は遺族年金を請求できます。
遺族年金とは、家計を維持していた人が死亡した場合に遺族が受給できる年金のことです。
遺族年金には、故人が加入していた年金により「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の二種類があります。
■遺族年金の請求手続き
| 加入していた年金 | 請求(受給)できる人 | 手続き先 | |
| 遺族基礎年金 | 国民年金(第1号被保険者、第3号被保険者) | 故人によって生計維持されていた 1.子*のいる配偶者 2.子* *当年度末時点で18歳以下の子又は重い障害がある場合は20歳未満の子 | 市区町村役場、年金事務所等 |
| 遺族厚生年金 | 厚生年金(第2号被保険者) | 故人によって生計維持されていた 1.子のいる配偶者 2.子* 3.子のいない配偶者 4.父母 5.孫* 6.祖父母 *当年度末時点で18歳以下の子(孫)又は重い障害がある場合は20歳未満の子(孫) | 年金事務所等 |
どちらの遺族年金かわからない場合は大まかに下記のとおりと考えてください。
- 故人が会社員や公務員だった期間がそれなりにあれば遺族厚生年金(+遺族基礎年金)
- 故人がずっと自営業だった場合は遺族基礎年金のみ
どちらかわからない場合でも年金事務所で相談すれば確認してくれるので、とりあえず年金事務所(又は街角の年金相談センター)でまとめて相談することをおすすめします。
いずれも亡くなった日の翌日から5年以内に請求しないと、時効で順次権利が消滅するので、請求できる場合は早めに手続きしておきましょう。
遺族基礎年金の請求
亡くなった方が、国民年金の加入者だった場合、請求できるのは「遺族基礎年金」です。
自営業・フリーランスの方が亡くなった場合などが該当します。
【請求できる場合】
国民年金の被保険者または被保険者だった方が亡くなったとき
【請求できる人】
亡くなった方に生計を維持されていた下記の方(優先順位もこの順番 ※1)
- 子のいる配偶者 ※2
- 子 ※2
※1 先順位者がいない場合に限り後順位者が請求可能。同順位者が2名以上いる場合は全員が請求(受給)できる。
※2 ここでいう「子」とは下記いずれかに該当する亡くなった方の子供のこと
- 18歳になった年度の3月31日までにある方(当年度末時点で18歳以下の方)
- 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方(20歳未満の重い障害がある方)
本記事の趣旨(夫が亡くなった場合)に合わせてわかりやすく言うと、「亡くなった方(夫)との間に高校生以下の子供がいる場合は、配偶者(妻)が遺族基礎年金を請求(受給)できる可能性がある。」という事です。
自分が請求できるかわからない方は、年金事務所(又は街角の年金相談センター)に相談すれば、必要書類や請求方法含めて詳しく案内してくれます。
下記の日本年金機構のホームページも参考にしてください。
≫遺族基礎年金を受けられるとき(必要書類・提出先等)|日本年金機構
遺族厚生年金の請求
亡くなった方が、厚生年金の加入者だった場合、請求できるのは「遺族厚生年金」です。
会社員や公務員の方が亡くなった場合などが該当します。
【請求できる場合】
厚生年金の被保険者または被保険者だった方が亡くなったとき
【請求できる人】
亡くなった方に生計を維持されていた下記の方(優先順位もこの順番 ※1)
- 子のいる配偶者
- 子 ※2
- 子のいない配偶者 ※3
- 父母 ※4
- 孫 ※2
- 祖父母 ※4
※1 先順位者がいない場合に限り後順位者が請求可能。同順位者が2名以上いる場合は全員が請求(受給)できる。
※2 ここでいう「子」(孫)とは下記いずれかに該当する亡くなった方の子供(孫)のこと
- 18歳になった年度の3月31日までにある方(当年度末時点で18歳以下の方)
- 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方(20歳未満の重い障害がある方)
※3 受給できる年齢、年数等に制限有り
※4 受給できる年齢に制限有り
本記事の趣旨(夫が亡くなった場合)に合わせてわかりやすく言うと、「亡くなった方(夫)の配偶者(妻)は、遺族厚生年金を請求(受給)できる可能性がある。」という事です。
なお、配偶者や子が遺族基礎年金の受給要件を満たしている場合は、遺族厚生年金とあわせて受給(併給)できます。
両方請求できる場合でも手続きは年金事務所でまとめて行うことができます。
自分が請求できるかわからない方は、年金事務所(又は街角の年金相談センター)に相談すれば、必要書類や請求方法含めて詳しく案内してくれます。
下記の日本年金機構のホームページも参考にしてください。
≫遺族厚生年金を受けられるとき(必要書類・提出先等)|日本年金機構
寡婦年金の請求
国民年金の加入者(第1号被保険者)である夫が、年金受給開始前に亡くなったときに、一定の要件を満たす場合、妻は寡婦年金を請求できます。
【請求できる場合】
国民年金の第1号被保険者*または被保険者だった夫が亡くなったときに下記の要件を満たす場合
*配偶者の社会保険の被扶養者ではない国民年金加入者
- 亡夫が年金保険料を納めた期間(免除期間を含む)が10年以上ある
- 亡夫が老齢基礎年金・障害基礎年金を受け取っていない
- 亡夫との婚姻関係(事実婚を含む)が、亡くなるまで10年以上継続していた
- 亡夫が亡くなった当時、その夫に生計を維持されていた*
- 妻が自身の老齢基礎年金を「繰上げ受給」していない
*目安として前年収入が850万円未満(もしくは所得が655万円5,000円未満)
【請求できる人】
65歳未満の妻
【必要書類】
| 必要書類 | 補足説明 |
| 年金請求書(国民年金寡婦年金) | 日本年金機構HPよりダウンロード可能 |
| 戸籍謄本 | ・亡くなった方と請求者の続柄が確認できる戸籍謄本 ・受給権発生日以降で提出日から6か月以内に発行されたもの ・請求者のマイナンバーを請求書に記入した場合は不要 |
| 請求者の世帯全員の住民票 (夫と別世帯の場合は故人の住民票除票も必要) | ・受給権発生日以降で提出日から6か月以内に発行されたもの ・請求者のマイナンバーを請求書に記入した場合は不要 |
| 請求者の収入が確認できる書類 | ・所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票 等 ・請求者のマイナンバーを請求書に記入した場合は不要 |
| 寡婦年金の振込先口座がわかるもの | 預金通帳のコピーなど(金融機関名、支店名、口座名義人氏名フリガナ、預金種別、口座番号の確認ができるページ) |
※死亡の原因が第三者行為(交通事故など)の場合、支給額の調整が行われる可能性があるため、追加で書類の提出が必要になります。
寡婦年金の金額は、夫が受け取る予定であった老齢基礎年金額の4分の3です。
受給期間は、60歳から65歳になるまでの最大5年間です。
「生計を維持されていたこと」(生計維持)が要件とされているため、妻に一定以上の収入がある場合は原則として受給できません。
また、後述するとおり「寡婦年金」と「死亡一時金」は同時に受給(併給)することはできません。
両方請求できる場合は、総支給額を比べて得になる方を選択しましょう。(一般的には寡婦年金の方が総額が多くなります。)
司法書士田中暢夫妻が60歳未満の場合、将来受け取れる可能性がありますが、自身の老齢基礎年金を繰上げ受給してしまうと寡婦年金は受給できないので注意しましょう。
自分が請求できるかわからない方は、年金事務所(又は街角の年金相談センター)に相談すれば、必要書類や請求方法含めて詳しく案内してくれます。
下記の日本年金機構のホームページも参考にしてください。
■遺族年金と寡婦年金の併給はできない
遺族年金(基礎・厚生)と寡婦年金の受給要件を両方とも満たす場合でも、同時に受給することはできないためどちらかを選択することになります。(基本的に遺族年金の方が支給額が多くなります。)
ただし、遺族基礎年金と寡婦年金とは受給可能な時期がずれる場合があり、その場合は要件を満たせば両方とも受給することができます。
なお、遺族厚生年金の受給者が一時的に受給を停止した上で、60歳~65歳の間は寡婦年金を受給し、その後遺族厚生年金の受給を再開することもできます。
(遺族厚生年金には「死亡一時金との併給」や「中高齢寡婦加算」があることを踏まえると、実務上メリットがあるケースはほぼ無いでしょうが…)
死亡一時金の請求
国民年金の加入者(第1号被保険者)が年金受給開始前に亡くなったときに、遺族基礎年金の受給要件を満たさない場合、一定の遺族は死亡一時金を請求できます。
【請求できる場合】
国民年金の第1号被保険者*が亡くなったときに下記の要件を満たす場合
*配偶者の社会保険の被扶養者ではない国民年金加入者
- 故人が年金保険料を36か月以上納付している
- 故人が老齢基礎年金・障害基礎年金を受け取っていない
- 遺族基礎年金の受給要件を満たす遺族がいない
【請求できる人】
亡くなった方と生計を同じくしていた下記の方(優先順位もこの順番*)
(1)配偶者 (2)子 (3)父母 (4)孫 (5)祖父母 (6)兄弟姉妹
*先順位者がいない場合に限り後順位者が請求可能。同順位者が2名以上いる場合は、そのうち1名が代表して請求する。
【必要書類】
| 必要書類 | 補足説明 |
| 国民年金死亡一時金請求書 | 日本年金機構HPよりダウンロード可能 |
| 亡くなった方の年金証書 | 紛失している場合は不要 |
| 請求者のマイナンバーが確認できる書類 | マイナンバーカード、通知カード、マイナンバー入り住民票など |
| 戸籍謄本 (又は法定相続情報一覧図) | 亡くなった方と請求者の続柄が確認できる戸籍謄本等 |
| 請求者の世帯全員の住民票 | ・死亡日以降に発行されたもの ・亡くなった方と請求者が住民票上、同住所同世帯の場合は原則不要 ・請求者のマイナンバーを請求書に記入した場合は不要 |
| 生計同一関係に関する申立書 | ・亡くなった方と請求者が住民票上、同住所の場合は不要 ・日本年金機構HPよりダウンロード可能 |
| 死亡一時金の振込先口座がわかるもの | 預金通帳のコピーなど(金融機関名、支店名、口座名義人氏名フリガナ、預金種別、口座番号の確認ができるページ) |
死亡一時金の金額は、保険料を納めた月数に応じて12~32万円で、1回限り支給されます。
遺族年金や寡婦年金と異なり、「生計が同じ」(生計同一)であればよく、「生計を維持されていたこと」(生計維持)は要件とされていません。
なお、遺族が遺族厚生年金の受給要件を満たしている場合は、死亡一時金とあわせて受給(併給)できる可能性があります。
両方請求できる場合でも手続きは年金事務所でまとめて行うことができます。
死亡一時金は、遺族年金と異なり請求期限が2年と短く、受け取れることに気づかないことも多いので注意しましょう。
自分が請求できるかわからない方は、年金事務所(又は街角の年金相談センター)に相談すれば、必要書類や請求方法含めて詳しく案内してくれます。
下記の日本年金機構のホームページも参考にしてください。
≫死亡一時金を受けるとき(必要書類・提出先等)|日本年金機構
■死亡一時金と寡婦年金は併給できない
「死亡一時金」と「寡婦年金」は同時に受給(併給)することはできません。
そのため、両方の受給要件を満たす場合でもどちらか一つを選択することになります。
一般的には寡婦年金の方が総支給額が多くなりますが、寡婦年金を受給できる期間が短いケース(あと数か月で65歳になる場合)など、死亡一時金を選択した方が得になる事もあります。
年金事務所(又は街角の年金相談センター)では、受給できるかどうかに加えて、受給額も試算してくれるので相談してみましょう。
夫の死亡後に妻がもらえる遺族年金等の早見表
「細かいことはともかく、自分がどの遺族年金(遺族給付)を貰えるのか大まかに把握したい」という方のために、各年金・一時金の受給要件や併給可否などをまとめた早見表を作成しました。
■夫の死亡後に妻がもらえる遺族年金等の早見表
| 年金の種類 | 遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 | 寡婦年金 | 死亡一時金 | 未支給年金 |
| 故人が加入していた年金 | 国民年金 | 厚生年金 | 国民年金 | 国民年金 | 国民年金・厚生年金 |
| 請求(受給)できる場合 | ・故人に生計を維持されていた ・当年度末時点で18歳以下の子供がいる | ・故人に生計を維持されていた | ・故人に生計を維持されていた ・故人の保険料納付期間が通算10年以上ある ・故人が年金を受給していない(受給開始前に死亡) ・故人との婚姻期間が10年以上継続していた | ・故人と生計を同じくしていた ・故人の保険料納付期間が通算36か月以上ある ・故人が年金を受給していない(受給開始前に死亡) ・遺族基礎年金の受給要件を満たす遺族がいない | ・故人と生計を同じくしていた ・故人が年金(基礎年金・厚生年金)を受給していた(受給開始後に死亡) |
| 請求できる人 | 妻(配偶者) ※妻がいない場合は子供が受給可能 | 妻(配偶者) ※妻がいない場合は子供など優先権のある親族が受給可能 | 65歳未満の妻 | 妻(配偶者) ※妻がいない場合は子供など優先権のある親族が受給可能 | 妻(配偶者) ※妻がいない場合は子供など優先権のある親族が受給可能 |
| 受給できる期間(回数) | 子供が18歳*になった年度の3月31日まで *障害のある子供(1級又は2級)の場合は20歳になるまで | ・30歳以上の妻…原則として一生涯(終身) ・子供がいない30歳未満の妻…5年間 | ・60歳から65歳になるまでの最大5年間 | 1回限り | 1回限り |
| 他の年金との併給可否 | ○併給可能…遺族厚生年金、未支給年金 ×併給不可…寡婦年金、死亡時一時金 ※寡婦年金と受給時期がずれる場合は両方とも受給可能 | ○併給可能…遺族基礎年金、死亡一時金、未支給年金 ×併給不可…寡婦年金 | ○併給可能…なし ×併給不可…遺族基礎年金、遺族厚生年金、死亡一時金、未支給年金 ※遺族基礎年金と受給時期がずれる場合は両方とも額受給可能 | ○併給可能…遺族厚生年金 ×併給不可…遺族基礎年金、寡婦年金、未支給年金 | ○併給可能…遺族基礎年金、遺族厚生年金 ×併給不可…寡婦年金、死亡一時金 |
| 請求期限(時効期間) | 支給事由が生じた日の翌日から5年 | 支給事由が生じた日の翌日から5年 | 支給事由が生じた日の翌日から5年 | 死亡日の翌日から2年 | 受給権者の年金支払日の翌月初日から5年 |
| その他備考 | ・子供が複数いる場合は、一番下の子供が18歳になった年度の末日まで受給可能 ・死亡の原因が第三者行為の場合は減額・支給停止の可能性あり | ・妻が再婚したときや、事実婚の状態になったときは受給権が消滅する ・死亡の原因が第三者行為の場合は減額・支給停止の可能性あり | ・妻が自身の年金を繰上げ受給しているときは受給不可 ・死亡の原因が第三者行為の場合は減額・支給停止の可能性あり |
なお、現役世代(年金受給開始前)の夫が亡くなった場合の、併給の可否については下記の通り考えれば大丈夫です。
- 「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」は両方とも受給要件を満たす場合は同時に受給できる。
- 「遺族厚生年金」と「死亡一時金」は両方とも受給要件を満たす場合は同時に受給できる。
- 「寡婦年金」と「死亡一時金」はどちらか一方しか受給できない。
- 「遺族基礎年金」と「寡婦年金」は受給時期がずれる場合あり。その場合、受給要件を満たせば両方とも受給できる。

亡くなってから2週間後までを目安にやること③(公共・民間サービスの解約・名義変更等)

とりあえず遺族年金が貰えることがわかり、安心しました。
役所関係と年金関係の手続きの他に、早めにやっておいた方がいいことはありますか?
司法書士田中暢夫故人名義の銀行口座はいずれ凍結されてしまうので、公共料金や民間サービスの引き落とし口座の変更は早めに行っておきましょう。
また、利用しないサービスにお金を払い続けるのはもったいないので、これを機に不要なサービスは解約しておきましょう。
故人が契約者になっている公共サービスや民間サービス等は、今後使用しないものは解約し、使用を継続するものは名義変更や引落し口座の変更手続き等を行いましょう。
特に有料のサービスについては、解約しない限り料金が発生し続けるので、使用しないのであればすみやかに解約しておきましょう。
死亡後に必要な公共・民間サービスの解約・名義変更等の主な手続きは以下の通りです。
■亡くなってから2週間後までを目安にやること③(公共・民間サービスの解約・名義変更等)
| 手続きの名前 | 時期・期限 | 手続き先・確認先 | 主な必要書類 |
| 公共料金(電気・ガス・水道)の名義変更 | 適切な時期に | 各事業者 | 振替依頼書(口座変更時) |
| NHKの解約・名義変更 | すみやかに | NHK | 振替依頼書(口座変更時) |
| インターネット回線・プロバイダの解約・名義変更 | すみやかに | 各事業者 | 振替依頼書(口座変更時) |
| 固定電話の解約・名義変更 | すみやかに | NTT等各事業者 | 事業者に問い合わせ |
| 携帯電話の解約・名義変更 | 適切な時期に | 各通信事業者 | 事業者に問い合わせ |
| クレジットカードの解約 | すみやかに | 各カード会社 | 事業者に問い合わせ |
| オンラインの有料定期利用サービス(サブスク)の解約 | すみやかに | 各事業者 | 事業者に問い合わせ |
| メール・SNS等オンラインアカウントの削除・退会手続 | 適切な時期に | 各事業者 | 事業者に問い合わせ |
| 駐車場の解約・名義変更 | 適切な時期に | 管理会社,地主等 | 管理会社等に問い合わせ |
| CS/BSチャンネル・ケーブルテレビ・USEN等の解約・名義変更 | すみやかに | 各事業者 | 事業者に問い合わせ |
| 新聞の解約・名義変更 | すみやかに | 各販売業者 | 販売店に問い合わせ |
| 週刊誌・月刊誌・季刊誌等の定期購読の解約 | すみやかに | 各販売業者 | 販売業者等に問い合わせ |
| 日用品等の定期購入の解約・名義変更 | すみやかに | 各販売業者 | 販売業者等に問い合わせ |
| フィットネスクラブ・スポーツジムなどの退会手続 | すみやかに | 各事業者 | 店舗に問い合わせ |
| 百貨店友の会等の退会手続(積立金があれば払戻手続が必要) | すみやかに | 各事業者 | 店舗に問い合わせ |
| 旅行積立の解約・名義変更 | すみやかに | 各旅行代理店等 | 事業者に問い合わせ |
| JAFの退会手続 | すみやかに | JAF | JAFに問い合わせ |
| 競馬専用口座(JRA・PAT)の解約手続き | すみやかに | JRA | JRAに問い合わせ |
| リース契約・レンタル契約の解約・名義変更 | すみやかに | 各事業者 | 事業者に問い合わせ |
これらの手続きは電話やオンラインで完了することが多く、書類の提出が必要な場合でも代表者が単独で記入すれば済むことがほとんどなので、順次手続きを行いましょう。
手続きの明確な期限はありませんが、一応亡くなってから2週間から1か月後ぐらいを目途に終わらせるといいでしょう。
以下、それぞれについてくわしく解説します。
公共料金(電気・ガス・水道)の名義変更
電気・ガス・水道等の公共料金については、亡くなった方が契約者だった場合、新契約者への名義変更を行う必要があります。
また、口座引き落としで利用料金を支払っていた場合、引き落とし口座を妻名義の口座に変更する必要があります。
電力会社、ガス会社、水道局などの各事業者に電話して、契約者が亡くなった旨を伝え、必要な手続きを行いましょう。
問い合わせの際に契約番号(お客様番号)が必要になるので、利用明細等をお手元に準備しておくといいでしょう。
司法書士田中暢夫口座変更が間に合わず、故人の口座から引き落としができなかった場合は、各事業者から払込用紙が送られてくるので、そちらで支払えば大丈夫です。
契約者死亡後の公共料金の名義変更・解約手続きについてくわしくはこちらをご覧ください。

NHKの解約・名義変更
亡くなった方がNHKと契約していた場合、引き続きテレビを利用する場合は新契約者への名義変更を行う必要があります。
また、すでにテレビを廃棄しているなどNHKを視聴可能な環境がない場合は、解約を行いましょう。
NHK(NHKふれあいセンター)に電話して、契約者が亡くなった旨を伝え、必要な手続きを行いましょう。
名義変更手続きは、下記のNHKホームページからインターネット上でも手続きすることができます。
問い合わせの際にお客様番号(契約番号)がわかるとスムーズに手続きが進むので、事前に領収書等をお手元に準備しておくことをおすすめします。(わからなくても手続きは可能です。)
司法書士田中暢夫故人がテレビを持っていなくても、インターネット配信サービスを利用している場合やテレビ視聴可能なカーナビを持っている場合は、NHKと受信契約を結んでいる可能性があるので注意しましょう。
契約者死亡後のNHKの名義変更・解約手続きについてくわしくはこちらをご覧ください。

インターネット回線・プロバイダの解約・名義変更
亡くなった方がインターネット回線・プロバイダを契約していた場合、引き続き利用する場合は新契約者への名義変更を、利用しない場合は解約を行う必要があります。
インターネット関連の契約は、基本的に「インターネット回線の提供会社」と「プロバイダ」にそれぞれ連絡をして手続きを行う必要があります。
ただし、最近ではインターネット回線とプロバイダ契約がセットになった契約(ソフトバンク光、NURO光など)が主流であり、その場合はまとめて手続きを行えます。
連絡をする際は、お客様番号等(お客様ID、契約者番号など)がわかるとスムーズに手続きが進むので、事前に「開通のご案内」や「請求書」等を準備しておきましょう。(わからなくても手続きは可能です。)
■どの事業者と契約しているか調べる方法
故人がどこのインターネット回線事業者・プロバイダと契約しているのかわからない場合、下記の方法で確認可能です。
- 契約書
- 事業者から届く請求書やその他の案内
- 預金通帳、クレジットカードの利用明細(支払いや引き落としの履歴)
- 事業者から提供された機器(モデムやルーターなど)に書いてある会社名
契約者死亡後のインターネット回線・プロバイダの名義変更・解約手続きについてくわしくはこちらをご覧ください。

固定電話の解約・名義変更
固定電話の契約者が亡くなった場合、そのまま利用を継続する場合は新契約者への名義変更手続きを、利用しない場合は解約を行う必要があります。
契約中の通信事業者(NTTなど)に電話して、解約(又は名義変更)したい旨を伝え、必要な手続きを行いましょう。
契約している事業者や契約状況によってはインターネットでの手続きができる場合もあります。
契約者死亡後の固定電話の名義変更・解約手続きについてくわしくはこちらをご覧ください。

携帯電話の解約・名義変更
亡くなった方の携帯電話(スマートフォン)については、しかるべき時期に解約しましょう。
なお、希望する方は少ないでしょうが、名義変更してそのまま利用を継続することもできます。(通信事業者によっては解約しかできない場合あり)
スマホ内のデータには故人の財産や各種契約の状況(特にデジタル関係)などを知る重要な手がかりが含まれている可能性が高いです。
しかし、本人が亡くなった後は、スマホを携帯ショップに持ち込んでも基本的にデータの復旧や転送には応じてくれません。
急逝した場合、家族にも情報共有されておらず、スマホしか手がかりがないこともあるので、画面ロックの解除が可能であれば、必要な情報についてはスクリーンショットやデータの転送を行ってきましょう。
パスワード等の入力を一定回数以上間違うと、最悪の場合データが初期化され復元できなくなるので注意しましょう。
画面ロックを解除できないがどうしても中の確認が必要という場合は、高額(機種によるが相場は20万円~50万円)になりますが、専門の業者に依頼してロック解除やデータ復旧を試みましょう。
なお、亡くなってから業者に持ち込むまで一度も電源が切れていない状態であれば、比較的短期間でデータを抜き出しできる可能性が高いので、当面は充電を切らさないようにしておきましょう。
司法書士田中暢夫Apple IDやGoogleアカウントがわかれば、iCloudやGoogleドライブからバックアップを復元したり、「デバイスを探す」機能でロック解除を試みたりできます。
故人の財産や契約状況(特にデジタル関係)の情報整理が済んだら、携帯電話を解約しましょう。
手続き方法は通信事業者により異なりますが、3大大手キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)については、原則として直接店舗まで行く必要があります。
手続きの際は事前に来店予約をしてから行きましょう。
楽天モバイルや、いわゆる「格安スマホ(格安SIM)」事業者についてはインターネットや郵送等での手続きが可能な事業者がほとんどのようです。
未払いの利用料金は解約の際に清算することになります。
端末代金の残額が残っている場合、継続して分割で支払うか、一括で清算するかを選択することになります。
■電子マネー(○○ペイ)の取り扱いに注意!
スマホはSuicaやPayPayなどのチャージ形式の電子マネー(○○ペイ)と紐づいていることも多いです。
電子マネー(○○ペイ)の残高も基本的に相続の対象ですが、スマホを処分してしまうと情報がなく、手続きが難しくなる可能性があるので注意しましょう。
電子マネー(○○ペイ)の相続手続きについてくわしくはこちら

契約者死亡後の携帯電話の解約・名義変更手続きについてくわしくはこちらをご覧ください。

クレジットカードの解約
亡くなった方名義のクレジットカードは、すみやかに解約しましょう。
契約者が死亡しても、解約をしない限り年会費は請求され続けます。
また、クレジットカードと紐づいている定期契約サービス等についても、利用を停止しない限りカード会社からの請求は止まりません。
さらにカードが利用できる状態のままだと、誰かに不正使用されてしまうリスクもあります。(現物が手元にあってもオンラインでの不正使用のリスクは残ります。)
司法書士田中暢夫家族カードを利用している場合、カードの利用を続けたいという方もいるかもしれませんが、本会員の方が死亡した場合は、家族カードの利用もできなくなるのが原則です。
クレジットカードの解約は、カード会社に連絡を取り、手続きを行うことになります。
クレジットカードの現物や利用明細がある場合はもちろん、通帳の履歴からカード会社の名前らしきものを見つけたら、とりあえず問い合わせをしてみましょう。
未払いの利用残高がなければ電話のみで解約できることも多いです。
連絡した際にカード番号などを聞かれるので、クレジットカードその他の資料を手元に準備しておきましょう。
未払いの利用残高がある場合は清算が必要になりますが、相続税申告の際の資料にもなるので、念のため請求書や明細書はとっておきましょう。
清算が面倒なので故人の口座から支払いたいという場合は、最終の引き落とし日を確認して、引き落としがされた後に金融機関に死亡の連絡をした方がいいでしょう。
■ポイントは原則相続不可、マイルは相続の対象
クレジットカードには利用金額に応じて各社独自のポイントが付くことも多いですが、このポイントも原則として相続の対象にはならず、契約者の死亡によって失効してしまいます。
一方、航空会社のマイルが貯まるカードの場合、マイルは基本的に相続の対象となります。
ただし相続するためには手続きが必要です。
ANAのマイルは相続手続きの期限が死亡後6か月以内と短いので、すみやかに手続きを行いましょう。
死亡後のポイントやマイルの取り扱いについて詳しくはこちらの記事をご覧下さい。

■カード会社がわからない場合の確認方法
クレジットカードの現物や明細書等の手がかりが見つからない場合や、把握している以外の契約が無いか念のために確認したいという場合、信用情報調査(信用情報の開示請求)を行いましょう。
信用情報の開示請求は、故人との関係性がわかる戸籍謄本等を信用情報機関(CIC、JICC、全銀協の3社)に提出して行います。
信用情報機関の開示結果により、故人が契約しているカード会社や利用残高を確認することができます。
特に相続放棄するかどうかの検討のために債務の調査が必要な場合は、できるだけすみやかに信用情報調査を行いましょう。
信用情報の調査方法についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

契約者死亡後のクレジットカードの解約手続きについてくわしくはこちらをご覧ください。

オンラインの有料定期利用サービス(サブスク)の解約
亡くなった方がサブスクリプションサービス(通称サブスク)を利用している場合、そのままにしておくと利用料金がかかり続けるので早めに解約しておきましょう。
家族の方が同じサービスを継続利用したい場合は、自分の名義で入り直しましょう。(ファミリープランの管理者変更などで対応できる場合もあります。)
サブスクはデジタルコンテンツと相性が良く、サービスの申し込み・利用、利用料金の支払いまですべてオンラインで完結することも多いです。
スマホやPCの中を確認しないと契約の有無を把握できないケースも多いので、先述のとおりできるだけ確認しましょう。
オンラインの有料定期利用サービスは様々なものがありますが、代表的なものとして下記が挙げられます。
【有料オンラインサービス(サブスク)の例】
■複合サービス系
Amazonプライム、Apple One 、Google One、YouTube Premiumなど
■EC・ショッピング系
Amazon(プライム会員・定期おトク便)、Yahoo(プレミアム会員)など
■動画配信系
Netflix、Amazonプライムビデオ、U-NEXT、DMM TVなど
■音楽配信系
Apple Music、Spotify、Amazon Music 、LINE MUSICなど
■クラウドストレージ系
Googleドライブ、iCloud+、OneDrive、Dropbox、Boxなど
■ビジネスツール系
Microsoft 365、Google Workspace、Zoom、Adobe、Chatwork、Slack 、freeeなど
【サブスクの利用有無の確認方法】
- スマホやPCのアプリ、ブラウザのブックマーク・利用履歴
- メール(サービスについての案内、ログイン通知、請求書・領収書・利用明細など)
- クレジットカードの利用明細
- 預金口座の入出金明細(引き落とし履歴)
サブスクの利用有無は、故人のスマホやPCで確認するのが一番ですが、難しい場合はクレジットカードの利用明細や預金口座の引き落とし履歴から確認できる可能性もあります。
月払いではなく、年払いの場合もあるので最低1年分はさかのぼって確認するようにしましょう。
解約方法は事業者により異なりますが、問い合わせはオンラインで行うケースが多いようです。
その後の解約手続きについては、オンラインで完結する場合と書類等の郵送提出が必要な場合があります。
■解約しないままでいるとどうなる?
オンラインで完結するサービスの場合、契約していることにまったく気づかない可能性もあります。
その場合、故人のクレジットカード解約や預金口座凍結のタイミングで利用料金が引き落とせなくなります。
利用料金が支払われない場合、自動的に停止・解約となるサービスもありますが、利用料金が未払いでもサービスはしばらく継続する(すぐに解約とならない)可能性もあります。
その場合、亡くなった本人宛に請求書や督促状などが届けばそこで発覚することになります。
できれば、後になって思いもよらない請求が来るのは避けたいところです。
メール・SNS等オンラインアカウントの削除・退会手続き
メールやSNSのアカウント作成・利用は無料であることがほとんどなので、基本的には放置しても問題ありません。
ただし、長期間放置すると乗っ取りのリスクがあり、なりすましやスパム投稿、最悪の場合詐欺等に悪用される可能性があります。
また、事情を知らない知人・関係者から連絡が届き続ける可能性もあるので、必要に応じて家族から事情を伝え、しばらくしたらアカウントの削除・退会手続きを行う方が良いでしょう。
SNSアカウントは原則として本人限りのもの(一身専属権)であり、家族であっても相続・承継して利用を継続することはできません。
ただしFacebookやInstagramのように、遺族からの申請により、故人を偲ぶ「追悼アカウント」として残すことができる場合もあります。
本記事執筆時点(2026年8月)での、故人のアカウントに関する主要各社の対応状況は下記のとおりです。
■主要SNSの故人のアカウントに関する対応状況
| SNS | 遺族ができる対応 |
| X(旧Twitter) | 削除のみ可能 |
| 削除のほか追悼アカウントへの移行が可能 | |
| 削除のほか追悼アカウントへの移行が可能り住民票など | |
| LINE | 削除のみ可能 |
| TikTok | 削除のみ可能 |
| YouTube (Googleアカウント) | 削除のほか故人のアカウントからデータを取得することが可能 |
司法書士田中暢夫今後利用規約が変更される可能性はありますが、現状ではほぼ「削除(閉鎖)」か「追悼アカウントへの移行」の2択と思われます。
なお、YouTubeで公開されている動画についての著作権は原則として本人に帰属しており、こちらは相続の対象になります。(所属事務所等に権利を譲渡している場合は対象外)
また、動画で得た広告収入は金銭債権なので、相続の対象になると考えられます。
まだ収益が本人の口座に振り込まれていなければ、手続きをすることで遺族が受け取ることができます。
参考
≫故人のアカウントに関するリクエストを送信する|Googleアカウント ヘルプ
突然亡くなった場合など、故人の財産や各種契約の状況、知人の連絡先がわからないときは、メールやSNSでのやり取りが手掛かりとなることもあります。
家族とはいえあまりプライベートに踏み込むことは推奨されませんが、もしログインして確認できるのであれば、必要な情報については控えておきましょう。
その他契約・サービスの解約
その他にも、亡くなった方が契約していた可能性があるサービスとしては下記のようなものがあります。
手続きについては基本的に各事業者に連絡して、必要な書類等を提出することになります。
【解約等が必要な故人名義の契約・サービスの例】
■駐車場
■CS/BSチャンネル・ケーブルテレビ・USEN等
■新聞
■週刊誌・月刊誌・季刊誌等の定期購読
■日用品等の定期購入
■フィットネスクラブ・スポーツジム
■百貨店友の会等(積立金があれば返戻手続きが必要)
■旅行積立
■JAF
■競馬専用口座(JRA・PAT)
■リース契約・レンタル契約(事業用の機械や設備など)
夫が亡くなったら郵便局で手続きが必要か
当事務所のご相談者様から、「夫(又は妻)が亡くなったら郵便局での手続きは何か必要か」という質問を受けることがあります。
結論として、積極的に手続きを行う義務はなく、むしろ(少なくとも当面は)郵便局には亡くなったことを伝えない方がいいです。
郵便局に亡くなったことを伝えると、以後故人宛の郵便物は配達されることなく、差出人へ返還されます。
(郵便物の還付)
第四十条 受取人に交付することができない郵便物は、これを差出人に還付する。
参考:郵便法|e-Gov法令検索
このことは郵便局のホームページにも明記されています。
A.ご家族の方から転送のお申出があっても、亡くなられたご本人さまの郵便物等を転送することはできません。 受取人ご本人さまが亡くなられた場合、ご本人さまあての郵便物等は差出人さまへ返還されます。
参考:死亡した受取人あての郵便物等を家族に転送してもらえますか?|郵便局
しかし、現実的には亡くなった人の郵便物が届かなくなると困るケースが多いです。
郵便物により、故人の財産状況や各種契約状況、交友関係などを把握できることは少なくありません。
借金などの負債がある場合に相続放棄を検討するにあたって、債権者から本人宛の請求書や督促状が届かないと、負債の存在に気付くのが遅くなります。
また、差出人にとっても、本人が死亡したのであれば家族が開封して代わりに対応してもらうか、せめて亡くなったことを連絡してもらいたいことの方が多いでしょう。
よって、本人が亡くなった後もしばらくはそのまま郵便物は届くようにしておき、相続手続きが一通り終わりってから、死亡したことを伝えて郵便物を停止した方がいいでしょう。
郵便局にはゆうちょ銀行の窓口が併設されていることが多く、ゆうちょ銀行の相続手続き(書類の提出)も行うことができます。
しかし、ゆうちょ銀行の相続手続きの際に提出した戸籍で郵便局員が死亡を確認しても、それをきっかけに郵便物が停止されることはありません。
なお、当社は、株式会社ゆうちょ銀行から銀行代理業務および金融商品仲介業務を、株式会社かんぽ生命保険、取扱生命保険会社および取扱損害保険会社から保険販売代理業務を受託していますが、お客さまのご同意がない限り、お客さまから取得した非公開情報は、受託業務相互間並びに受託業務と独自業務相互間において使用いたしません。
参考:郵便局窓口事業における個人情報のお取扱いについて|郵便局

亡くなってから1か月後までを目安にやること(勤務先での手続き)

そういえば夫の勤務先の手続きはどうすればいいですか?
亡くなってからすぐに会社に連絡はしたんですが…
司法書士田中暢夫在職中に亡くなられた場合、会社関係の手続きは勤務先でまとめて対応してくれることが多いので、まず勤務先に確認しましょう。

そういえば先日会社から郵送物が届いていた気がします。
書類が色々ありすぎて目を通していないですが…
司法書士田中暢夫勤務先から必要な手続きや書類の一覧が送られてきていれば、そちらを確認して手続きを進めていきましょう。
また、ご相談者様のケースでは「国民健康保険・国民年金の加入手続き」のために「健康保険資格喪失証明書」が必要なので、そちらは早めに出してもらいましょう。
故人が会社や団体に勤めていた場合、死亡に伴い退職することになりますが、それに伴い様々な手続きが必要になります。
死亡後に必要な、会社(勤務先)関係の主な手続きは以下の通りです。
■亡くなってから1か月後までを目安にやること(勤務先での手続き)
| 手続きの名前 | 時期・期限 | 手続き先・確認先 | 主な必要書類 |
| 死亡退職届の提出 | すみやかに | 勤務先 | 勤務先に問い合わせ |
| 健康保険資格確認書・社員証・貸与品等の返却 | すみやかに | 勤務先 | 資格確認書、社員証等 |
| 最終給与・退職金(死亡退職金)・弔慰金の請求 | すみやかに | 勤務先 | 勤務先に問い合わせ |
| 埋葬料の請求 | すみやかに(2年で時効) | 勤務先、各健康保険組合等 | 勤務先等に問い合わせ |
| 労災保険の遺族請求 | すみやかに(最短2年で時効) | 勤務先、労働基準監督署 | 勤務先等に問い合わせ |
| 団体生命保険(共済)の死亡保険金・共済金等の請求 | すみやかに | 勤務先、各保険会社等 | 死亡診断書等 |
| 従業員持株会の死亡時手続き | すみやかに | 勤務先、持株会事務局等 | 戸籍謄本等 |
| 確定給付企業年金の遺族請求 | すみやかに(原則5年で時効) | 勤務先、委託先金融機関等 | 戸籍謄本等 |
| 企業型確定拠出年金(401K)の遺族請求 | すみやかに(5年経過で取扱変更) | 勤務先、委託先金融機関等 | 戸籍謄本等 |
| 年金払い退職給付の遺族請求 | すみやかに | 勤務先、地方職員共済組合等 | 戸籍謄本等 |
| 財形年金貯蓄の遺族請求 | すみやかに | 勤務先、委託先金融機関等 | 戸籍謄本等 |
| 中小企業退職金共済制度の遺族請求 | すみやかに | 勤務先、中退共 | 戸籍謄本等 |
| 自社年金の遺族請求 | すみやかに | 勤務先企業 | 勤務先に問い合わせ |
このほかにも会社によっては、独自の遺族への弔慰金・見舞金制度などがある場合があります。
これらの手続きは勤務先が一括して対応してくれることが多く、基本的に配偶者が単独で行なうことができます。
手続きの種類が多い場合は書類の記入が大変ですが、亡くなってから2週間から1か月後のある程度落ちついた段階で、まとめて対応するのがいいでしょう。
以下、それぞれについてくわしく解説します。
死亡退職届の提出、社員証・貸与品等の返却
会社員の方が亡くなった場合、会社から退職届やそれに代わる書類の提出を求められることがあります。
法律上の義務はありませんが、基本的に会社側が様式を用意してくれるので、求められた場合は署名捺印の上提出しましょう。
また、下記のような会社に返却しなければならないものがある場合は、すみやかに返却しましょう。
■会社に返却するものの例
- 健康保険資格確認書
- 社員証(IDカード)
- カードキー、鍵
- 制服
- 通勤定期券(現物支給の場合や精算処理が必要な場合)
- その他貸与品(ノートパソコン、タブレット、スマートフォン等)
■社会保険(健康保険)の資格喪失手続きは会社が行う
会社員等で社会保険に加入している場合、勤務先が「健康保険資格喪失届」を日本年金機構(または健康保険組合)に提出し、その後遺族に対して「健康保険資格喪失証明書」を発行するのが一般的です。
基本的に遺族側が対応することはありませんが、故人がマイナ保険証を利用しておらず「健康保険資格確認書」を所持している場合は、資格喪失届の際に事業主を通じて返却が必要になるため、勤務先に渡しましょう。
また、故人の社会保険の被扶養者であった家族が、新たに国民健康保険に加入する場合、加入手続きの際に「健康保険資格喪失証明書」の提出が必要になります。
資格喪失届の提出期限は退職日から5日以内なので、すぐに対応してくれるところが多いと思いますが、なかなか届かない場合は勤務先に連絡して対応状況を確認しましょう。
司法書士田中暢夫資格喪失証明書がない場合の代替手段はありますが、確認などに手間がかかるので、会社に依頼して早めに対応してもらった方が良いでしょう。
最終給与・退職金・弔慰金の請求
ほとんどの会社では給与は後払いのため、在職中に亡くなった場合、遺族に対して未払いの給与が支払われます。
また、会社の規定によっては退職金(死亡退職金)や遺族への弔慰金・見舞金などが支払われることもあります。
基本的には会社側から案内があるでしょうから、それに従い必要書類を提出すれば大丈夫です。
なお、死亡退職金や弔慰金については会社の規定で妻(配偶者)が受取人になる事がほとんどですが、給与については本来本人が受け取るものであり、相続財産として遺産分割の対象になる事は気を付けましょう。
司法書士田中暢夫給与や死亡退職金は相続税の課税対象財産となるため、相続税の申告が必要な場合は忘れずに計上しましょう。(ただし死亡退職金は「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠あり)
埋葬料の請求
社会保険の加入者が亡くなった場合は、遺族に対して一律5万円の埋葬料(埋葬費)が支給されます。
葬祭費と異なり、基本的には勤務先で他の手続きと一緒に対応してくれることが多いので、会社等に確認しましょう。
もし勤務先が対応してくれない場合や、会社等に勤めていなかった場合(任意継続被保険者や特例退職被保険者など)は自分で手続きを行う必要があります。
その場合は、故人が加入していた健康保険組合に問い合わせをして必要書類を確認の上、提出しましょう。
なお、埋葬料は実際に葬儀を行っていなくても支払われるため、葬儀費用の領収書等の提出は原則不要です
司法書士田中暢夫被保険者本人ではなく、家族(被扶養者)が亡くなった場合は、被保険者本人に家族埋葬料(一律5万円)が支払われます。
労災保険の遺族請求
会社員等の方が労災(労働災害)で亡くなった場合、遺族は労災保険から次のような補償を受けることができます。
- 遺族(保障)等年金
- 遺族(保障)等一時金 ※遺族(保障)等年金を受ける遺族がいない場合
- 葬祭料(葬祭給付)
※遺族(保障)等年金・一時金は5年、葬祭料(葬祭給付)は2年が請求期限。(死亡日の翌日から起算)
就業中に亡くなった場合は、労災(労働災害)に該当する可能性が高くなります。
いわゆる事故死のケースでなくても、通勤中の交通事故や重労働による過労死なども労災として認定されます。
業務時間外に亡くなった場合でも、過労死や仕事のストレスによる自殺など、原因が会社の業務や環境にあれば労災として認定されます。
また、死亡の原因について会社側に法的責任がある場合は、労災保険とは別に、会社に対して損害賠償を請求できる可能性があります。
司法書士田中暢夫特に過労死や自殺のケースは労災に該当するか判断が難しく、慎重な対応が求められるため、一度弁護士に相談することをおすすめします。
団体生命保険(共済)の死亡保険金・共済金等の請求
亡くなった方が被保険者になっている団体生命保険契約(共済契約)がある場合は、会社を通じて死亡保険金(共済金)等を請求することができます。
団体生命保険契約とは、企業や官公庁などの「団体」が契約者となり、その所属員(従業員や組合員)を「被保険者」として一括して加入する生命保険のことです。
加入している場合は勤務先から案内があるので、死亡診断書のコピー等を会社等に提出して手続きを行いましょう。
なお、死亡保険金は遺族に直接支払われるケースと、一度会社(団体)に支払われるケースの2パターンがあります。
会社に支払われる場合は、一度会社に入った後、社内規定に基づいて、会社から遺族へ「死亡退職金」などの名目で支給されます。
司法書士田中暢夫どちらのパターンでも最終的に遺族が受け取ることに違いはありませんが、支給名目により相続税における取り扱い(非課税枠の適用)が異なるため注意が必要です。
従業員持株会の死亡時手続き
亡くなった方が勤務先の従業員持株会に入会していた場合、死亡に伴う手続きが必要になります。
従業員持株会の会員が死亡した場合、原則として自動的に退会となります。
退会した会員の持分(株式)の処理については、持株会の規約によりますが、下記のいずれかとなる事が多いです。(組み合わせることができる場合もあります。)
- 持株会または会社が株式を買い取る。(非上場会社に多い)
- 株式のまま相続人の証券口座に移管(名義変更)する。(上場会社・単元株の場合)
- 市場で株式を売却し、現金化して相続人の口座に振り込む。(上場会社・単元未満株の場合)
持株会の株式は、相続財産として遺産分割の対象となります。
そのため、死亡時手続きには原則として相続人全員の同意か、遺産分割協議書の提出が必要になります*。
*手続き方法法は規約によるため、金銭精算かつ少額の場合などは代表者単独で手続きできる場合もある。
該当する場合は、会社や持株会の事務局に連絡の上、すみやかに手続きを行いましょう。
司法書士田中暢夫持株会の株式は、死亡日の株価を基に相続税の申告対象となります。
非上場会社の場合、会社側から株価計算に用いる書類を提供してもらう必要があります。
確定給付企業年金・企業型確定拠出年金その他の遺族請求
勤務先が確定給付企業年金や企業型確定拠出年金等の制度を実施している場合、遺族の方が請求することで遺族給付(一時金等)を受けることができます。
受け取れる方や受け取り方(一時金か年金形式か)は、加入していた制度や規約によって異なりますが、基本的に受取人が指定されていれば指定受取人が優先、指定されていなければ「配偶者→子」の順で優先となることが多いです。
また、相続財産ではなく受取人の固有財産として扱われるものがほとんどですが、生命保険と同様に「みなし相続財産」として相続税の課税対象*となるものもあるので注意しましょう。
*制度によっては非課税枠(500万円×相続人の数)が設けられているものもあります。
請求の際には戸籍謄本等の提出が必要になります。詳しくは勤務先からの案内を確認しましょう。
■遺族給付がある勤務先の年金・退職金制度等の例
- 確定給付企業年金
- 企業型確定拠出年金(401K)
- 年金払い退職給付(公務員の場合)
- 財形年金貯蓄
- 中小企業退職金共済制度
- 自社年金
確定給付企業年金や企業型確定拠出年金等の手続きについてくわしくはこちらの記事をご覧ください。


亡くなってから2か月後までを目安にやること

勤務先の手続きが終わったことでだいぶスッキリしました。そろそろ遺産相続の手続きを進めることになりますか?
司法書士田中暢夫そうですね。簡単な死後手続きはおおむね片付いたので、徐々に遺産相続手続きにも手を付けていきましょう。
また、納骨やお墓の名義変更をまだ行っていなければ、この時期には行っておきましょう。
ご相談者様のケースでは「死亡保険金・共済金等の請求」も忘れずに行っておきましょう。
亡くなってから1か月ぐらいの間にやることとしては、前章までで十分です。
しかし、夫が亡くなってからやることは他にもたくさんあり、むしろ手続きのボリュームや難易度的にはここからが本番と言えます。
効率よく相続を完了させるにはある程度の区切りをつけて進めた方がいいでしょう。
そこでこの章では、優先順位や進めやすさを考慮して、2か月程度(四十九日前後)を目安としてやっておく手続きを解説します。
司法書士田中暢夫「遺産相続関連の手続きのうち早めに対応しておくこと」「他の相続人の関与なく進められる手続き」が中心になります。
主な手続きは以下の通りです。
■亡くなってから2か月後までを目安にやること
| 手続きの名前 | 時期・期限 | 手続き先・確認先 | 主な必要書類 |
| 四十九日法要 | 49日以内 | お寺,葬儀社,親族など | お寺等に問い合わせ |
| 納骨 | 適切な時期に | 墓地管理者(お寺,霊園など) | 押印済火葬許可証等 |
| お墓の名義変更 | すみやかに | 墓地管理者(お寺,霊園など) | 管理者に問い合わせ |
| 改葬・墓じまい | 必要に応じて | 墓地管理者(お寺,霊園など) | 受入証明書等 |
| 戸籍の取得(郵送請求その他) | すみやかに | 市区町村役場 | 身分証等 |
| 法定相続情報一覧図の取得 | 必要に応じて | 法務局 | 戸籍謄本等 |
| 死亡保険金・共済金等の請求 | すみやかに | 各保険会社 | 戸籍謄本等 |
| 生命保険契約の調査(生命保険契約照会制度) | 必要に応じて | 生命保険協会 | 戸籍謄本等 |
| 個人型確定拠出年金(iDeCo)の遺族請求 | すみやかに(5年経過で取扱変更) | 加入先金融機関・保険会社等 | 戸籍謄本等 |
| 個人年金(個人年金保険)の遺族請求 | すみやかに(3年で時効) | 各保険会社 | 戸籍謄本等 |
| 国民年金基金・厚生年金基金の遺族請求 | すみやかに(5年で時効) | 各基金, 企業年金連合会 | 戸籍謄本等 |
| 小規模企業共済制度の遺族請求 | すみやかに | 中小機構 | 戸籍謄本等 |
| 自筆の遺言書の調査・探索 | すみやかに | 法務局,自宅等 | 法務局での調査の場合は戸籍謄本等 |
| 公正証書・秘密証書遺言の検索 | すみやかに | 公証役場 | 戸籍謄本等 |
| 遺言書の検認 | すみやかに | 家庭裁判所 | 戸籍謄本等 |
| 相続放棄 | 3か月以内 | 家庭裁判所 | 戸籍謄本等 |
| 準確定申告 | 4か月以内 | 税務署 | 申告書等 |
これらの手続きは、基本的に遺族や相続人の代表者が単独で進めることができます。
とは言え、仕事や育児の関係で手続きにかかりきりになるわけにいかないかもしれません。
自分一人で対応が難しい場合は、専門家へ依頼することも検討しましょう。
以下、それぞれについてくわしく解説します。
四十九日法要・納骨・お墓の名義変更等
四十九日法要は、本来は亡くなってから49日目に執り行うべきものですが、平日にあたり家族・親族が集まるのが難しい場合は、直近の土日等にずらすこともできます。
ずらす場合は、正式な日よりも後にずらすのではなく、必ず前倒しにするようにしましょう。
一般的には四十九日法要に合わせて納骨することも多いので、まだ納骨を済ませていなければ、親戚やお寺に相談してみましょう。
夫が先祖から引き継いだお墓がある場合は、納骨前にお寺や霊園に問い合わせて「お墓の名義変更」(墓地使用者の名義変更手続き)を行っておきましょう。
お墓がない場合は、新たに一般墓を購入する、納骨堂や永代供養墓に納めるなどの選択肢があります。
司法書士田中暢夫地域によっては、四十九日法要を繰り上げて、葬儀と同日に行うこともあります。
お墓の名義変更(承継)手続きについてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

■お墓の維持管理が難しい場合は改葬・墓じまいの手続きを
先祖代々のお墓を引き継いだ場合、遠方のため管理が難しい、自分の代以降の承継者がいない、等の悩みが出てくるかもしれません。
そのような場合は、改葬・墓じまいの手続きを行うことを検討しましょう。
改葬とは、わかりやすく言うとお墓の引越しのことで、今のお墓に埋蔵されている遺骨を、別の墓地や納骨堂などに移すことを言います。
改葬に伴い、現在のお墓については、墓じまいをして墓地管理者に返還することになります。
改葬先としては、別の墓地や霊園に建てた一般墓のほか、管理の負担が少ない納骨堂や永代供養墓に移すという選択肢もあります。
お墓の改葬・墓じまいについてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

戸籍の取得(郵送請求その他)
先述のとおり、ほとんどの相続手続きでは、相続関係証明のために戸籍謄本が必要になります。

戸籍がある役所の窓口に出向いて取得するのが難しい場合、下記2つの方法により戸籍を請求することになります。
■本籍地の役所に郵送で請求する方法
本籍地の役所に出向くことが難しい場合は、郵送で請求するのが一般的です。
郵送請求は申請書に必要事項を記入し、発行手数料分の定額小為替と返信用封筒と一緒に本籍地の役所に請求します。
申請書は自治体のホームページからダウンロードできます。送付先や発行手数料についてもホームページで確認しましょう。
司法書士田中暢夫返信用封筒に切手を貼るのを忘れないようにしましょう。
お急ぎの場合や戸籍が多くなりそうな場合は、レターパックの利用をおすすめします。
■「戸籍の広域交付制度」を利用して最寄りの役所で請求する方法
「戸籍の広域交付制度」とは、最寄りの役所において、全国の戸籍を一括して取得することができる制度です。
2024年3月1日から始まったこちらの制度を利用すれば、相続手続きに必要な戸籍収集の手間を大幅に減らすことができます。
■戸籍の広域交付制度

広域交付制度を利用する場合、事前に予約をする必要があります。(自治体によっては不要な場合もあり)
最寄りの自治体のホームページを確認し、事前予約が必要であれば専用フォームや電話で来庁予約をしましょう。
その他、下記の点に注意してください。
【広域交付制度の注意点】
- 窓口の混雑状況よっては、戸籍の受取りまで数時間かかることがある。
- 自治体によっては当日発行できず7営業日程かかる場合もある。(その場合も郵送受取りは出来ず、後日あらためて役所へ足を運ぶ必要がある。)
- 広域交付制度で請求できるのは、「本人」「配偶者」「直系尊属(父母、祖父母など)」「直系卑属(子、孫など)」の戸籍のみ。(兄弟姉妹や甥姪の戸籍は対象外)
- 相続人本人が直接窓口で請求しなくてはならない。(郵送請求・代理人による請求は不可)
- 戸籍の附票やコンピュータ化されていない戸籍など、広域交付制度で請求できない戸籍等がある。
司法書士田中暢夫夫が亡くなり、妻と子供が相続人の場合は、基本的に広域交付制度ですべての必要な戸籍を揃えることができます。
一方、子供がおらず、妻とともに夫の兄弟姉妹(甥姪)が相続人になる場合は、兄弟姉妹や甥姪の戸籍は別途郵送請求等で取得する必要があります。
戸籍の郵送請求や広域交付制度による請求についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

■戸籍謄本や印鑑証明書は何通ずつ必要?
相続手続きに必要な戸籍謄本や印鑑証明書の取得数の目安は下記のとおりです。
- 戸籍謄本・・・2、3通ずつ(法定相続情報一覧図を取得する場合は1通ずつ)
- 印鑑証明書・・・相続人1人あたり2、3通ずつ
相続手続きが必要な金融機関や不動産は複数あることが多いので、戸籍謄本一式や印鑑証明書を複数取得しておくとスムーズに手続きを進められます。
ただし、戸籍謄本は1通450~750円の発行手数料がかかるため、手続き先が多いからと言って大量に取得するとそれなりのコストがかかってしまいます。
必要な戸籍や手続き先が多い場合には、後述する「法定相続情報一覧図」を取得することをおすすめします。
■コンビニ交付サービスやオンライン請求を利用して戸籍を集めることはできる?
多くの自治体では戸籍等を含む証明書類のコンビニ交付サービスを提供しています。また、自治体によってはオンラインでの戸籍請求が可能です。
コンビニ交付サービスやオンライン請求で取得した戸籍でも、相続手続きに利用することは可能です。
しかし、コンビニ交付サービスやオンライン請求はマイナンバーカードを利用したサービスであり、取得できる戸籍は「利用者本人が記載されている現在戸籍」や「現在戸籍の附票」などに限られます*。
*自治体によって取得できる戸籍等は異なります。
本記事執筆時点(2026年8月時点)では、相続手続きに必要なすべての戸籍をコンビニ交付サービスやオンライン請求のみで集める事は難しいでしょう。
コンビニ交付サービスやオンライン請求はとても便利なサービスなので、今後のサービス拡大が期待されます。
参考
コンビニ交付
≫コンビニ交付|J-LIS 地方公共団体情報システム機構
戸籍のオンライン請求
≫戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)などをオンライン申請する|横浜市
法定相続情報一覧図の取得
戸籍がすべて揃ったら、法定相続情報一覧図を取得することをおすすめします。
法定相続情報一覧図は、亡くなった方の相続関係を証明する家系図のような書面です。
■法定相続情報一覧図の見本

法定相続情報一覧図は、相続手続きの際に戸籍の代わりになる書類です。
法定相続情報一覧図があれば、手続きのたびにいちいち戸籍の束を提出せずに済みます。
戸籍一式を数通ずつ取得すると発行手数料がかさみますが、法定相続情報一覧図は何通取得しても無料です。
提出先の確認作業が大幅に短縮できるため、手続きの完了が早くなるというメリットもあります。
■法定相続情報一覧図の便利な仕組み

法定相続情報一覧図を取得するためには、戸籍一式をそろえて、法務局に申請を行います。
司法書士田中暢夫特に相続関係が複雑なケース、必要な手続きが多いケースでは法定相続情報一覧図を取得すると手続きが大幅に楽になります。
死亡保険金・共済金等の請求
団体生命保険(共済)の他に、亡くなった夫が被保険者になっている生命保険契約(共済契約)がある場合は、死亡保険金(共済金)等を請求しておきましょう。
死亡保険金は相続財産ではなく、受取人の固有財産とされているため、遺産相続手続きとは関係なく請求して大丈夫です。
請求の際には死亡診断書のコピー等が必要になりますが、受取人が単独で請求できるので、早めに請求しておきましょう。
司法書士田中暢夫死亡保険金は相続財産ではないものの、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となるため(ただし「500万円×相続人の数」の非課税枠あり)、気を付けましょう。
■生命保険契約の有無がわからない場合の調べ方
保険会社からのお知らせや保険証券などの資料が何もない場合や、把握している以外にも契約が無いか確かめたい場合は、「生命保険契約照会制度」を利用して調査しましょう。
生命保険契約照会制度は、相続人等からの申出により、一般社団法人生命保険協会を通じて、協会加盟の保険会社全社へ保険契約の有無を一括で照会できる制度です。
照会によって判明するのは「故人がどこの保険会社と契約しているか」までのため、その後個別に保険会社に対して調査・請求等は必要になりますが、照会によって国内の生命保険契約については、ほぼ確実に把握出来ます。
生命保険契約照会制度についてくわしくはこちら

私的年金(確定拠出年金・個人年金等)・遺族給付の請求
亡くなった方が公的年金や企業年金の他に、個人型確定拠出年金(iDeCo)や個人年金保険等の私的年金・退職金制度にも加入していた場合、加入状況に応じて遺族の方が一時金等を受け取ることができます。
また、亡くなった方が任意で「国民年金基金」や「厚生年金基金」に加入していた場合、それまで支払った掛け金の額に応じて遺族に遺族一時金が支払われます。(遺族一時金が無いタイプもあります。)
ほかにも、故人が小規模企業の経営者(個人事業主含む)や役員で、小規模企業共済に加入していれば、加入状況に応じて遺族に共済金が支払われます。
これらの一時金等を受け取れる方は、加入していた制度や規約によって異なりますが、基本的に受取人が指定されていれば指定受取人が優先、指定されていなければ「配偶者→子」の順で優先となることが多いです。
また、相続財産ではなく受取人の固有財産として扱われるため、受取人の方が単独で請求できます。
必要書類は故人との関係性等により異なるので、手続き先に確認しましょう。
■亡くなった後に遺族が請求可能な私的年金・退職金制度の例
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)
- 個人年金(個人年金保険)
- 国民年金基金
- 厚生年金基金
- 小規模企業共済制度
司法書士田中暢夫遺族給付の中には、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となるものもあるので注意しましょう。
亡くなった後に必要な私的年金・遺族給付の手続きについてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

亡くなった後に必要な個人型確定拠出年金(iDeCo)の手続きについてはこちらをご覧ください。

遺言書の検認(自筆の遺言書がある場合)
亡くなった方が自筆の遺言書を遺していた場合、家庭裁判所で検認の手続きを行う必要があります。
検認は遺言書の保管状態等を確認するための手続きです。
遺言書がある場合は基本的にその内容に従って相続することになりますが、検認を経なければ、遺言書を使用して相続手続きを行うことはできません。
検認は相続人の一人から家庭裁判所に申立てをして手続きを行います。申立ての際には戸籍一式等が必要になります。
司法書士田中暢夫なお、自筆の遺言書であっても法務局の保管制度を利用していた場合は、検認手続きは不要です。
検認手続きについてくわしくはこちら

法務局の自筆証書遺言保管制度についてくわしくはこちら

■遺言書の有無がわからない場合に調べる方法
子なし夫婦で配偶者とともに親や兄弟姉妹が相続人になる場合、遺言書の有無は早めに確認しておくべきです。
遺言書がある場合、他の相続人との話し合い(遺産分割協議)が不要になるため、残された妻の負担が大幅に軽減される可能性があるためです。
妻にも内緒で作成していることもあるので、特に義父母や義兄弟と揉めそうなケースでは、念のため下記の方法で遺言書を探しておきましょう。
| 遺言の種類 | 場所 | 方法 |
| 公正証書遺言 | 公証役場 | 遺言検索システムを利用 |
| 自筆証書遺言 | 法務局 (保管制度を利用していた場合) | ①法務局からの「遺言の保管に関する通知」の確認 ②法務局に対する証明書の請求 |
| 故人の自宅など | ①自宅の金庫やタンス等の探索 ②取引先金融機関の貸金庫の確認 ③司法書士等の専門家や金融機関への問い合わせ ④故人の親しい友人等への聴取 |
遺言書の調査・探索方法について、くわしくはこちらをご覧ください。

相続放棄(借金がある場合)
亡くなった夫に借金があり、預貯金や不動産などのプラスの財産を上回る場合は、相続放棄することを検討しましょう。
相続放棄する場合、亡くなったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に申立てをする必要があります。
具体的には、戸籍謄本や申述書等の必要書類を揃え、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出する必要があります。
期限内に相続放棄しなかった場合や、故人の遺産(現預金など)を使ってしまった場合、債務も含めてすべて相続した扱いとなるため、債権者から借金を支払ってくれと言われたら拒むことができなくなります。
相続放棄する場合は故人の遺産には一切手を付けないように気を付けましょう。
故人にどれぐらい借金があるかわからない場合は、「信用情報調査」を行うことでクレジットカードの利用状況や金融機関・消費者金融からの借り入れの状況を把握することができます。
司法書士田中暢夫相続放棄しても、死亡保険金や遺族年金は受取人等の固有財産なので受け取ることができます。
また、葬儀費用については遺産から支払っても基本的に問題ありません。
■配偶者が相続放棄する場合の注意点
亡夫名義で契約していた賃貸住宅に住む妻が相続放棄をする場合、原則としてそのまま住み続けることはできません。
故人の賃借人としての地位も相続財産にあたると考えられるため、住み続けると相続財産を処分したとみなされ、相続放棄できなくなる可能性があります。
例外的に住み続けるには、家主と交渉して自身名義で新たに賃貸借契約を結び直す必要があります。
なお、妻が賃貸借契約の連帯保証人になっていた場合、相続放棄をしても家賃の支払い義務が生じます。
司法書士田中暢夫そもそも夫婦には「日常家事債務の連帯責任(民法第761条)」があるため、連帯保証人になっていなくても、家賃の支払い義務が生じる可能性があります。
準確定申告
亡くなった人の準確定申告が必要な場合、相続開始を知った日の翌日から4か月以内に税務署へ準確定申告書を提出しなくてはなりません。
「準確定申告」とは、法定相続人が被相続人に代わって確定申告を行う制度です。
準確定申告の対象となる期間は亡くなった年の1月1日から死亡日までです。
司法書士田中暢夫故人が勤めている会社から給与を受け取っているだけの場合は、基本的に準確定申告は不要です。
一方、亡くなった方に事業所得や不動産所得があるケースなど、下記に該当する場合は準確定申告が必要になります。
■準確定申告が必要なケース
- 故人の事業所得・不動産所得が48万円以上あるケース
- 故人が年間400万円を超える年金を受給していたケース
- 故人が年収2,000万円を超える給与所得者だったケース
- 故人が2か所以上から給料をもらっていたケース
- 故人の副業所得等が20万円を超えるケース
- 故人が生前に一定額以上の満期保険金等を受け取っているケース
- 故人が生前に株式や不動産の売却を行い、譲渡所得が発生しているケース
なお、亡くなる前年(対象期間は1月1日から12月31日)に、故人が上記の条件に該当する場合で、翌年の1月1日から確定申告期限(原則として翌年3月15日)までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合、前年分と当年分(死亡した年の分)の両方の準確定申告が必要になります。
この場合の準確定申告の期限は、前年分、当年分とも相続開始を知った日の翌日から4か月以内です。
例えば、年が明けて2月1日に亡くなった場合は、前年分の準確定申告と、当年1月1日~2月1日分の準確定申告の2回分を行う必要があり、期限はともに6月1日となります。
■準確定申告の期限

司法書士田中暢夫準確定申告の期限を過ぎた場合、本税の他に罰則として「延滞税」「無申告加算税」が課されるので、できるだけ期限内に申告を済ませるようにしましょう。
参考
≫納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|国税庁
準確定申告が必要なケースに該当しない場合でも、申告することで源泉徴収された税金等の還付を受けられることがあります。
故人が生前に確定申告をしていたケースは、還付を受けるために準確定申告を行うことも検討しましょう。
なお、準確定申告の期限は4か月ですが、還付を受けるための申告(還付申告)は、原則としてその年の翌年1月1日以降、5年間*提出することができます。
*例えば2025年分の確定申告の場合、2010年12月31日までは提出可能

落ち着いたら本格的な遺産相続手続きを行う

先が見えてきたことで気持ちが落ち着いてきました。
遺産相続手続きはどのように進めるんですか?
司法書士田中暢夫「相続人調査(戸籍の取得)」→「相続財産調査」→「遺産分割協議」と進めるのが基本です。今回はすでに戸籍の取得は終わっているので相続財産調査から行っていきましょう。
遺産分割協議が終わったら、後は預貯金の解約や不動産の名義変更などの手続きを行うことになります。
遺産相続の手続きをいつ頃から始めるかの決まりはなく、亡くなった直後から始める方もいますが、一般的に亡くなってから1~2か月後、死亡直後の慌ただしさが落ち着いたころに始めれば遅くはありません。
遺産相続手続きは、亡くなった後の手続きの中でも最重要かつ手間がかかる部分です。
前章までを参考に、比較的簡単な手続きが終わっていれば、気持ち的にも余裕を持って遺産相続手続きに取りかかることができるでしょう。
遺産相続手続きの流れ
一般的な相続手続きの流れは下記のとおりです。
すでに本記事で解説した部分も含まれますが、改めて手続き全体の流れを把握しておきましょう。
各手順について詳しく知りたい方はリンク先の記事をご参考ください。
相続手続きを進めるにあたっては、必ず戸籍を集めて相続人を確認する必要があります。
窓口請求のほか、郵送請求や広域交付制度による請求を行い、効率よく戸籍を集めましょう。
戸籍が集まったら、後の手続きを楽に進めるために法定相続情報一覧図を取得することをおすすめします。

必要な戸籍が揃い次第、相続財産の調査を開始します。
調査対象は不動産、預貯金、株式等の証券、生命保険契約などです。
子供がいない場合など、相続関係によっては遺言書の調査も行っておきましょう。
亡くなった夫に借金があるかもしれない方は、念のため信用情報の調査も行っておきましょう。




財産調査が終わったら、調査結果をもとに相続財産目録を作成しましょう。
財産目録の作成は義務ではありませんが、遺産分割協議にあたっての相続人間の認識共有や、相続税の申告が必要かどうかの判断に役立ちます。
また、未成年の子供のために特別代理人を選任してもらう場合は、家庭裁判所に財産目録を提出する必要があります。
財産目録の形式に決まりはありませんが、PC(エクセル等)で作成すると編集が容易です。
下記リンク先のひな型も参考に作成してください。

相続財産目録で遺産分割の対象となる財産を確認した上で、遺産の分け方について話し合いましょう。
遺産分割協議は相続人全員の参加が必要です。
法律上の期限はありませんが、先延ばしにすると様々なデメリットが生じるので相続開始後6~10か月を目安に話をまとめることを目指しましょう。
司法書士田中暢夫夫が亡くなった場合、妻とともに未成年の子供が相続人になるケースでは、遺産分割協議にあたり別途裁判所で特別代理人選任の手続きが必要になります。



相続人間の話し合いにより遺産の分け方が決まったら、合意した内容をもとに遺産分割協議書を作成します。
戸籍謄本や登記簿謄本などの資料を確認しながら、記載ミスや漏れがないように作成しましょう。
下記リンク先の協議書の見本やひな型も参考にしてください。

遺産分割協議書を作成したら、相続人全員に署名捺印を貰います。
全員がすぐに集まれるなら一同に会してもいいですが、遠方在住の場合や時間が合わない場合は郵送で手配します。
一つの書面を順次回していく方法だと時間がかかる上、汚損や紛失のリスクもあるので、各自がそれぞれ単独で署名押印した書面をまとめて提出する方法(証明書形式)をおすすめします。
遺産分割協議書とあわせて、全員分の印鑑証明書を忘れずに貰っておきましょう。
司法書士田中暢夫未成年者の代わりに特別代理人が遺産分割協議に参加する場合は、特別代理人の印鑑証明書と家庭裁判所の審判書が必要になります。

相続人全員が署名捺印した遺産分割協議書と印鑑証明書が揃ったら、順次解約や名義変更手続きを行っていきます。
金融機関の相続手続きや法務局での登記手続きは、相続人代表者や財産の取得者が単独で手続きを行います。
司法書士田中暢夫金融機関の手続きでは、印鑑証明書の期限は6か月(3か月の場合もあり)としているところがほとんどです。
期限切れによる再取得の手間が生じないよう、速やかに手続きを終わらせましょう。




遺産総額が相続税の基礎控除額【3,000万円+(600万円×法定相続人の数)】を超える場合は、相続税の申告・納付を行います。
申告・納付期限は故人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です。
配偶者控除や小規模宅地等の特例等の税制上の優遇措置を受けるためには、遺産分割協議も10か月以内に終わらせる必要があるので注意しましょう。



司法書士田中暢夫相続をめぐる事情は人により異なるため、上記の他にも様々な手続きが必要になることがあります。
後述の「亡くなった後に必要な手続き180のチェックリスト」も参考にしてください。
遺産相続手続きの必要書類
遺産相続手続きでは、戸籍謄本など、ほとんどの手続きで共通して必要になる書類があります。
多くの手続きで共通する「基本の必要書類」は下記のとおりです。
手続きによってはこのほかにも書類が必要になりますが、まずはこちらの書類を揃えることを心がけましょう。
■相続手続きにおける基本の必要書類
| 誰の | 書類 | 有効期限 | 取得場所 | 備考 |
| 遺産分割協議をする場合(遺言書がない場合) | ||||
| 亡くなった人の | 出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本,改製原戸籍) | なし | 本籍地の市区町村役場 *広域交付制度利用の場合は最寄りの市区町村役場 | 法定相続情報一覧図で代用可能 |
| 住民票の除票(又は戸籍の附票) | なし | 最後の住所地の市区町村役場 *戸籍の附票は本籍地の市区町村役場 | 法定相続情報一覧図で代用可能 | |
| 相続人全員の | 遺産分割協議書 | なし | 相続人全員で作成 | 法定相続人が1人の場合は不要 |
| 戸籍謄本 | なし *相続開始日以降に発行されたもの | 本籍地の市区町村役場 | 法定相続情報一覧図で代用可能 | |
| 印鑑証明書 | 手続きによって有効期限が異なる | 住所地の市町村役場 | ||
| 遺言書がある場合 | ||||
| 亡くなった人の | 遺言公正証書書(正本又は謄本) | なし | 公証役場 自宅など | ①公正証書遺言の場合 |
| 遺言書情報証明書 | なし | 法務局 | ②自筆証書遺言書保管制度利用の場合 | |
| 検認済遺言書(又は検認調書謄本) | なし | 家庭裁判所 自宅など | 上記①②以外の遺言書の場合 | |
| 戸籍謄本(死亡の記載のあるもの) | なし | 本籍地の市区町村役場* *広域交付制度利用の場合は最寄りの市区町村役場 | 法定相続情報一覧図で代用可能 | |
| 住民票の除票(又は戸籍の附票) | なし | 最後の住所地の市区町村役場 *戸籍の附票は本籍地の市区町村役場 | 法定相続情報一覧図で代用可能 | |
| 財産をもらう人の | 戸籍謄本 | なし *相続開始日以降に発行されたもの | 本籍地の市区町村役場 | 法定相続情報一覧図で代用可能 |
| 遺言執行者の | 選任審判所謄本 | なし | 家庭裁判所 | 遺言執行者がいる場合* *遺言で指定されている場合は不要 |
未成年の子供がいる場合

ところで遺産分割協議は私と子供でやるんですか?
未成年なので事実上私が決めることになると思いますけど…
司法書士田中暢夫実は今回のように配偶者と未成年の子供が相続人になる場合、遺産分割協議を行うにあたり家庭裁判所での手続きが必要になります。
遺産分割協議を行うにあたり、相続人の中に未成年者がいる場合、本人に代わって親(親権者)が遺産分割協議に参加することになります*。
*子供が親より先に亡くなっているため、代襲相続人として未成年の孫が相続人になるケースが代表例。この場合遺産分割協議書には未成年の法定代理人として親が署名捺印すればそれで済みます。
しかし、今回のように親子どちらも相続人という場合は、形式上親子間で利害関係が対立するので、配偶者(母)は代理人の立場で遺産分割協議に参加することはできません。
そこでこのような場合、家庭裁判所に「特別代理人選任の申立て」を行い、母の代わりに遺産分割協議に参加する特別代理人を選任してもらう必要があります。

また、今回のように未成年者が複数いる場合は、子供たちの間でも形式上利害関係が対立するため、子供一人ずつにそれぞれ別の特別代理人を選んでもらう必要があります。

特別代理人は誰でもなることができますが、今回のように遺産分割協議のために選任してもらう場合、財産状況というかなりデリケートな状況を開示することになるため候補者は限られます。
通常は祖父母やおじ・おばなどの関係性の近い親族や、司法書士等の信頼できる専門家に候補者になってもらうことが多いです。
司法書士田中暢夫本事例では当事務所の司法書士2名を候補者として、お子様二人の特別代理人選任申立て手続きを行うことになりました。
なお、特別代理人が遺産分割協議に参加する場合、原則として本人(未成年者)の法定相続分の確保が必要であり、申立て時に遺産分割協議書案を提出する必要があります。
特別代理人選任の申立てについてくわしくはこちらの記事をご覧ください。

未成年者の法定相続分の確保は絶対に必要?
特別代理人の選任にあたっては、申立ての際に未成年者の法定相続分を確保した遺産分割協議案を提出することが原則です。
特別代理人は未成年者の権利を守らなくてはならないので、本人に不利な内容の遺産分割は認められないという趣旨です。
とは言え、法定相続分相当額が結構な金額になる場合は、未成年に多額の財産を渡すのはまだ早い…と考えるのも親として当然でしょう。
このような場合、裁判所に上申書や事情説明書を提出すれば、例外的に未成年者の取得分が法定相続分を下回る内容での遺産分割協議案が認められることもあります。
ただし、認められる条件はかなり厳しく、裁判官が納得するような事情を書面で説明しなければならないため、一般の方にはかなりハードルが高いでしょう。
司法書士田中暢夫実際にどのような内容の遺産分割協議案を提出するべきかは、遺産総額や財産の種類、未成年者の年齢等、それぞれの事情により異なるため、司法書士などの専門家へ相談することをおすすめします。
当事務所でサポートした下記の事例も参考にしてください。
上申書を提出することで未成年者が全く遺産を相続しない内容の遺産分割が認められた事例

未成年者に代償金を支払う事で親が不動産を単独取得した事例

未成年者の成人を待ってから遺産分割協議を行った事例

相続手続きを行うにあたり特別代理人は絶対に必要?
特別代理人が必要なのはあくまで「遺産分割協議」を行う場合であり、「相続手続き(預貯金の解約や不動産の名義変更など)を行うにあたり必須というわけではありません。
たとえば財産が預貯金のみの場合、どうせ未成年の法定相続分の確保が必要なのであれば、遺産分割協議をせずに、法定相続どおりに相続する前提で配偶者が解約手続きを行うというのも一つの手です。
金融機関にもよりますが、多くの場合、法定相続どおりに相続するのであれば遺産分割協議書を提出せずに、配偶者(子の親権者)が単独で手続きを行うことができます。
特別代理人を選任せずに相続手続きを行った方がいいかどうかも、遺産総額や財産の種類、未成年者の年齢等、それぞれの事情により異なります。
司法書士田中暢夫夫が亡くなり、妻とともに未成年の子供が相続人になる場合は、相続に詳しい司法書士などの専門家にお早めに相談することをおすすめします。

子なし夫婦の場合
亡くなった夫との間に子供がいない場合、妻とともに夫側の親族が、下記の順で法定相続人になります。
- 父母のどちらかでも存命の場合は存命の父母※1
- 父母が両方とも亡くなっている場合、祖父母が一人でも存命であれば存命の祖父母※2
- 父母や祖父母(直系尊属)が全員亡くなっている場合、兄弟姉妹(甥姪)がいれば兄弟姉妹(甥姪)※3
※1父母とも存命であれば両方とも相続人になる。
※2存命の祖父母が複数いる場合はその全員が相続人になる。
※3被相続人より先に亡くなっている兄弟姉妹がいる場合、亡くなった兄弟姉妹の子供がいれば親の代わりに代襲相続人になる。
司法書士田中暢夫上記に該当する相続人(夫側の親族)が一人もいない場合は妻のみが相続人になります。
子供がいない夫婦の相続は、子供がいるケースと比べて大変になりやすいです。
大変な理由として大きいのは、「遺言書がなければ、相続人全員での遺産分割協議が必要」という点です。
他の相続人と話し合わずに、配偶者が当然に全財産を相続できるわけではありません。
夫に先立たれた妻としては、今後の生活のことを考えて法定相続分よりは多く相続させて欲しい、できれば他の相続人には辞退してもらいたい、と考える方も多いでしょうが、現実は厳しいとお考え下さい。
義父母や義兄弟との関係性によっては辞退されるケースもあることはありますが、多くの場合、きっちり法定相続分どおり分けることになります。
司法書士田中暢夫筆者の経験上、妻が亡くなった場合は他の相続人が辞退することが多いですが、夫が亡くなった場合に辞退される方はせいぜい3割程度です。
特にもともと折り合いの悪い義父母や義兄弟がいる場合、感情のもつれから、話し合いが難航するケースが多いです。
一度感情的な争いになると、いくら法律や一般論を説明したところでなかなか収拾がつくものではありません。
子なし夫婦で現役世代の夫が亡くなった場合に、他の相続人とのやり取りで妻が苦労するケースはとても多いので、相続に精通した司法書士などの専門家にお早めに相談することをおすすめします。
当事務所でサポートした下記の事例も参考にしてください。
夫が急死したため、疎遠な義父母との遺産分割協議が必要になった事例

地方在住の義父との遺産分割協議が必要になった事例

夫が亡くなり疎遠な義兄弟との遺産分割協議が必要になった事例

司法書士田中暢夫もし、まだ相続が発生していないのであれば、残された配偶者が大変な思いをすることのないように、夫婦ともに遺言書作成などの生前対策を行っておくことを強くお勧めします。
子なし夫婦の相続が大変な理由や、遺言書作成時の注意点についてくわしくはこちらの記事をご覧ください。


夫が亡くなった後の手続きは代行してもらえる?相談先は?
現役世代の夫(配偶者)が亡くなると、妻は悲しみに暮れる暇もなく様々な手続きに対応しなくてはなりません。
中でも専門的知識が必要となる遺産相続手続きは、慣れない方にとって大変な負担となります。
そこで専門家への相談や依頼を考える方も多いと思いますが、一般の方には馴染みのない分野であり、誰にどの手続きのことを聞いたらいいかわからないという方もいるのではないでしょうか。
そこでここでは、死後手続き・相続手続きの専門家について、対応できる分野や選ぶ際のポイントなどを解説します。
専門家への依頼を考えている方は是非参考にしてください。
誰に相談できる?
相続についての相談先となることが多いのは、下記4つの士業専門家です。
- 司法書士・・・不動産の相続手続きや裁判所の手続きなどの専門家・一般的な相続手続きの代行も可能
- 弁護士・・・遺産分割交渉や遺留分請求など紛争解決の専門家
- 行政書士・・・行政関係手続きの専門家・戸籍の収集や預貯金の相続手続きなど一般的な相続手続きの代行が可能
- 税理士・・・相続税の申告や準確定申告など税務の専門家
具体的に相談・対応できることを専門家別にまとめると下表のとおりです。
■専門家別の対応可能業務

※〇は対応可能。×は対応不可。△はその業務の一部しかできない。または専門で扱っている事務所が少ない。
法律上、弁護士は相続登記や税申告も対応可能ですが、相続専門を謳う法律事務所でも紛争解決に注力しているので、実際には提携の司法書士や税理士に依頼することが大半です。
司法書士と行政書士は混同されやすいですが、司法書士は不動産登記や裁判所に提出する書類の作成等が代行できるなど、対応できる範囲に違いがあります。
上記を踏まえた上で、誰に何を相談できるかについては、一般的には下記のように考えておけば大丈夫です。
- 遺産を巡って争いになっていない場合・・・司法書士
- 遺産を巡ってすでに争いになっている場合・・・弁護士
- 相続税について相談したい場合・・・税理士
多くの方にとってはじめての相続の相談先としておすすめするのは「司法書士」です。
司法書士は相続全般について対応可能であり、相続を専門とする司法書士であれば、必要に応じて相続に強い税理士や弁護士の紹介もしてくれるので、最初の相談先としておすすめです。
司法書士田中暢夫ただし、司法書士の中でも相続については相続登記ぐらいしかやっていない事務所もあるので、相続手続き全般についてのアドバイスを期待する方は、相続に強い司法書士に相談するようにしましょう。
専門家選びの際は下記の記事も参考にしてみてください。


「何をどこまで依頼できるか」は重要
現役世代の夫が亡くなった場合、「何をどこまで依頼できるか(代行してもらえるか)」は、相続手続きを依頼する専門家を選ぶにあたっての重要なポイントです。
現役世代の夫が急逝した場合、ほとんどのケースでは、本記事の事例のように状況を整理し、必要な手続きをリストアップすることから始めなければなりません。
特に相続税申告が必要な場合は、優先順位を決め、期限に間に合うようにスケジュールを組み、実行する必要があります。
しかし、相続実務の経験が少ない事務所や、数は多くても簡単な依頼ばかり受けている事務所では、満足の行く対応は難しいと思われます。
「せっかく専門家に依頼したのに、どんな手続きが必要でどこまで代行してもらえるか明確に案内がなかったため、結局大半の手続きを自分でやることになり、思ったより負担が減らなかった。」
というのはよくある失敗例です。
司法書士田中暢夫相談の際は、「こちらの事務所にお願いした場合、私がやらなくてはならない手続きと代行してもらえる手続について明確に教えてもらえますか?」と確認することをおすすめします。
専門家選びの際は、「対応実績累計○○件」「年間相談件数○○件」等の数字だけではなく、これまでの解決事例やお客様の声などの「実際の対応実績」も参考にすることをおすすめします。
当事務所の解決事例一覧はこちら

現役世代の夫の相続で司法書士法人東京横浜事務所が選ばれる理由
私たち司法書士法人東京横浜事務所にご依頼いただく方の多くは、「相続まるごとおまかせプラン」をお選びいただいております。
「相続まるごとおまかせプラン」では専門的知識を要する遺産相続手続きについてはすべて代行可能です。
また、専門的知識はいらないものの意外と面倒な「遺産相続手続き以外の死後手続き」についても代行が可能です。
さらに、自分で行う手続きついてもアドバイス・サポートが可能です。
司法書士田中暢夫当事務所では、最初のご面談の際に詳しい状況を伺った上で必要な手続きをご案内しますが、その際「ご自身で対応できそうな手続き」と「専門家に任せた方がいい手続き」についても説明させていただきます。
その上で、ご相談者様のご負担と費用とのバランスが最もいいと思われるサポート内容を提案させていただきます。
また、私たちは相続のお困りごとを解決するためには単なる「手続き代行」では不十分と考えています。
多くのご依頼者様は単に面倒だから代行して欲しいというだけではなく、その背後には、親族関係からくる問題や、将来の家族や自分の相続に関する問題、予期せぬ課税リスクなど、相続をめぐる漠然とした不安を解消したいという思いを抱えていらっしゃいます。
私たちは、これらの不安を解消することこそが「相続の専門家」の真の役割だと考えています。
司法書士田中暢夫私たちは真の相続の専門家として、単なる手続き代行にとどまらず、ご依頼者様が気づいてない問題・トラブル防止法まで先回りしてご案内します。

「亡くなった後に必要な手続き180のチェックリスト」をダウンロード
本記事で解説した以外にも、夫が亡くなった後はたくさんの手続きが必要になります。
そこで、本記事で解説した手続きを含め、亡くなった後に必要な180の手続きを便利なリストにしました。
人によって必要な手続きは異なりますが、かなり網羅的なリストなので、ほとんどの方はこの中に必要な手続きはすべて含まれていると思います。
このリストで自分に必要な手続きをチェックして、期限までに忘れることなく手続きを終わらせましょう。
夫が亡くなった後の手続きについてのよくある質問
ここからは、夫が亡くなった後のご相談の際によく受ける質問を、Q&A形式で解説します。

まとめ
現役世代の夫が亡くなると、残された妻は様々なことに対応しなくてはなりませんが、本記事を参考にしていただければ、おおむね対応できると思います。
しかし、実のところ亡くなった後の手続きは本記事に書ききれなかったものがまだまだあります。
また、相続をめぐる事情は十人十色のため、イレギュラーな事態は普通に発生するのですが、その一つ一つについて自分で対応するのは大きな負担となります。
特に「未成年の子供がいる場合」と「子供がおらず義父母や義兄弟が相続人になる場合」の遺産相続は、配慮しなければならないことが多く、「自分はこんなに頑張っているのに…」という思いを抱え、疲弊してしまうも少なくありません。
手続きの進め方に不安を感じた方、これ以上自分で対応することが難しいと感じた方は、お早めに相続の専門家に相談することを強くおすすめします。
記事の内容や相続手続の方法、法的判断が必要な事項に関するご質問については、慎重な判断が必要なため、お問い合わせのお電話やメールではお答えできない場合がございます。
専門家のサポートが必要な方は無料相談をご予約下さい。

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